いよいよ21世紀に突入です。年末の忙しい時ですが これだけは申し上げておきたいと筆を?とりました。
さて・・・
今回は11月に参加した「動作法(動作療法)」セミナー
について報告したいと思います。僕としては改めて感
じるところもあったものですから、個人情報にしておく
には勿体ない気がしています。
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1.
11月に大阪で創始者の成瀬悟作氏が講演と実技
をされましたので参加して来ました。今年76歳の先
生に一番感心するところはまったく学者らしくないこと
です。あくまで「実技・実践」を重視されるところです。
自分の心理学的成果を現実の脳性麻痺の子供達の
回復に役立てようとされています。人間好きなんでし
ょう。
僕が面白いと思ったことだけ申し上げます。
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1.まず、人と動作のとらえ方です。
「人は脳によって動くのではない。動かそうとするのは あくまで「オレ」です。「オレ」が脳というプログラムを使 って動くわけです。脳性麻痺の子供達は動くのだけれ ども「うまく動かない」のを見てもそれは分かります。プ ログラムが壊れているからだと思われます。ですから プログラムの修理をするか違うプログラムを作れば正 しい動きは出てくるのです。
例えば、赤ちゃんは立つまでに大変な苦労をすること は皆さんご存じでしょうがあの過程は「オレ」が立つと いうプログラムを作っている行動なのです。おっぱいを 飲んだりする行動は生まれつきプログラムされていま すが立つ・歩く以降の動作は自分でプログラム制作を していることになります。
ですから動作を脳に頼ることは間違いです。あれは単 なるプログラムなのです。」
2.リラックスの意味とは?
「動作が心理学で捉えられたことはこれまでありません。 心理学はこれまで意識の問題だけをテーマにしてきまし た。そして動作は生理学としての筋・骨の問題として捉 えられて来ました。
動作は「筋肉の緊張とゆるみ」から起きてきます。
筋肉のゆるみは薬でも可能ですが「ゆるめる」のは「オレ」
が働きかけないと起こりません。
つまり「オレ」がうまく働かないと本来の動きは出てこない のです。脳などに損傷を持つと「オレ」はその間違ったプ ログラム(脳)をしきりに使おうとするからいつまでも正し い動作が出てきません。
ではどうしたら良いのか?
「オレ」を変えなければなりません。でもこれは大変なこと
なのです。何故ならこれまでそれで生きてきたからです。
言葉を変えるなら「オレ」を変えるということは「生き方」を
変えるということです。
「オレ」が変わる。「オレ」を変える。
そのとき初めて本来の動きが出る土台が出きるのです。
「リラックス」とは筋肉をゆるめることですが、これはなか なか出来ない。プログラムが壊れている人はもちろんで すがプログラムが壊れていなくてもなかなか上手くでき ないのです。
これはその人がこれまでそういう「生き方」をしてきたから です。こうした動作の癖は「肩こり」や「腰痛」などになって 現れてきます。「生き方」を変えてやらねばなりません。
これまでの間違った「動かし方」を続けている限りこうした 「変なコリ」から解放されません。
例えば現代はストレス社会と言われていますが別にどうと
いうことは無いのです。それに対しての対応が間違って
いるから「無用な緊張」が起きてくるのです。
無用な緊張は「コリ」となります。それが処理出きるところは
良いのですが出来ないところがある。例えば肩・腰です。
これが積み重なってゆくとき、その思考パターンや生活ス タイルが癖として定着し、「生き方」を緊張したものへと変 えて来たわけです。つまり今の自分は「オレ」が創り上げ てきたものなのです。脳に対して一生懸命プログラム作り をしてきたのはまさに「オレ」なのです。
これをうち破る方法は何か?
問題は自分の意識が常に外を向いて生きていることにあ
ります。だから自覚が難しい。この「心の癖」を変えること
が大切です。「外→内」へこころの向きを変えてやること。
身体を動かしてやると人の心は「内」に向き始めるのです。 これを利用して心の癖治しをしてゆくことに動作法の本筋 があるのです。
相撲などでよく「身体が勝手に動いて」勝ったという話を聞
きますが、あれは身体が知っているからそうなったのです。
つまり、自覚は無くても本当は本人は知っているのです。
麻痺の子供は本当は他人が治せるものではありません。
「本当の本当のことは本人が知っている」
それを引き出すきっかけにしてやる。これが動作法の根幹
です。
本当の本当のことは意識下にあり本人には意識できない のです。でもこれは本人が乗りこえないと絶対に自覚出来 ません。
「動作の課題」を一つずつ乗り越えてゆく。その過程の中で
本人の意識下への気づきが少しずつ出てきてやがて「オレ」
が変わってくるのです。その時「麻痺」は乗りこえられます。」
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今回はこれまでにしておきましょう。なるべく理解しやすいよ
うに書いているつもりですが、伝わりましたでしょうか?
自信がありません。
僕個人としてはとても感動しました。皆さんにも伝われば良
いのですが・・・。
次回は具体的な運動メニューについてご報告したいと考え
ています。
(参考図書/姿勢の不思議・成瀬悟作著/講談社・ブルーバックス)
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2.
前回の続きで・・・
動作法の具体的なトレーニングについてご案内
しようと思います。
1)駆幹のひねり<>br これは動作法の基本です。脳性麻痺の子供にも 成人麻痺の方にも有効です。言葉のとおり身体 の中心をひねるものです。2人でします。
まず、される側は横向きに寝ます。介助者は背 中に回って膝などで背骨を固定します。
そして同時に肩・胸を後ろに反ります。顔も一 緒に後ろを向きます。その時息をゆっくりと吐 きましょう。「はー」というゆっくりした息と 共に反らせます。介助者は本人の動きを導いて あげる感じで少し痛い程度まで伸ばてやります。 せぼねと肩甲骨の間が伸びて開いて行く感じで す。
そして、ゆっくりと戻しましょう。痛いですか? その痛みを感じましょう。麻痺していると痛いは ずです。回数は限定的ではありませんが少しほぐ れたなというところで終わります。
これを反対側もします。これで1クールです。 例えば片方を5回した後に、反対がわに移りまし ょう。
麻痺のあるものにとって一番肩甲骨の間は詰まり やすいところです。大抵は堅くなっています。堅 いところが伸びる時の痛みを感じることが大切で す。その時「オレ」=意識が「外から内に」向か うからです。
これが新しいプログラム作りの基本になる部分で す。他にもその人に合わせたトレーニングは場合 に応じてなされますが、「堅いと感じる」−> 「伸びると痛い」−>「ゆるんでいくのを感じる」 という一連の感受性が大切です。
その内に次第に自分の身体の状態に敏感になって 来ます。「今何処に無駄な力が入っているか」が わかり始めると力を抜く部位もわかり始めます。
私自身まだその途上です。
動作は筋の緊張と緩和のコンビネーションによって 成り立つわけですから、この感覚を次第に身体全体 に広げて行けば新しいプログラムが完成して麻痺が 改善してゆくことになります。
残念ながら短期間では出来ないことですが経験的に 言って続けていれば少しずつ進歩します。
2)真向法(座位/開脚+前屈+頭つけ)
成瀬先生は皆の前でこれをして見せました。76才 では到底出来ない柔軟さです。感動しました。以前 TVで105才のおじいさんが真向法の4動作をす べてしたの見ました。あれほどのすごさではありま せんが、目の前でこの年齢で心理学の大家がすると いうことにやはり凄みを感じました。
理屈は先ほどと同じですから方法だけ述べます。 これは一人でします。
まず、座ります。開脚します。そして前屈を始めま す。曲がらないでしょうから膝は伸ばすのを諦めま す。膝をいくら曲げても良いと言うことで前屈して いきます。堅いからすぐ止まってしまうと思います。
そこで諦めずに息を吐きながら手を前に出します。 何度も小刻みに同じことを繰り返して次第に腰を 曲げて前屈の角度を増やします。痛いと思います。 その痛さを感じながらもまた息を吐いて伸ばしま す。
成瀬先生の話しでは生体は痛みを次第に受け入れる 特徴を持っているようです。「痛い」>「受け入れ る」>「痛い」>「受け入れる」という繰り返しが 「ゆるんだのを感じる」ことになり結果「自分を感 じる」ことにつながると言うことです。
3)腕挙げ(寝位による)
これは意外にも成人の「ドモリ」の患者さんの対応 法として指導されました。この方には普段からすご い緊張があるようです。従って首周りがひどく凝っ ているようです。私も話しにくいことが良くありま すので口の麻痺以外にこうした身体の凝りを原因と する場合もあることを知って興味深く拝見しました。
まず、あお向けに寝ます。腕を腰のところから身体 に沿うように胸・顔をかすめながら頭の上に上げて 行きます。肩の関節を回転させる最小限の力を使っ た挙手運動です。他の部位に力を出きるだけ入れな いようにして肩の「必要最小限の力」だけで上げて 行きます。
簡単なようで意外に難しいものです。私も以前から 続けていますが、どうしても他の部位に力が漏れて しまいます。「上げよう」という気持ちが邪魔をし ます。本当はそんなに力が要らないのに入ってしま います。ですから「肩の回転に任せる」と言う気持 ちに抑えてそれ以上の「力み」をつくらないことが ポイントになります。
説明ではゆっくりすればするほど良いと言うことで す。これが出きると挙手の過程で「微妙な痛み」を 感じ始めるようです。これを味わって最小の力の使 い方を学習すると次第にこれまで不要に使っていた 自分の余った力で「凝り」を作っていたものがやが て消えて無くなるということのようです。
そしてその「凝り」が無くなることで緊張はゆるみ
「ドモリ」は改善するであろう。だまされたと思っ
てやってみるようにという指示をされました。
麻痺すると言語障害以外に言葉が出しにくくな
ります。あれはこの緊張から来ていると思われ
ます。
4)立ち方について
ある女性が実例となりました。先生が立っている女性
の後ろに回り足の重心を左右に振りました。すると一
方の足の指はぎゅっと床に踏ん張り、もう一方はあま
り踏ん張りませんでした。踏ん張った方の足が良い足
かと思ったら答えは違いました。
指が踏ん張る方の足は股関節か膝が堅いからやむなく 足の指で支えようと踏ん張るのだそうです。確かに この女性はそちらの足の股関節が堅いことをその場で 立証されました。指を踏ん張った方は腰の横方向の動 きが悪いのです。
「人はどうやって立っているか?」
股関節と膝と足首と指(足裏)で立っているのだそう です。
そうです。理想的な足はもちろんこのすべての間接に 柔軟性があることです。そうすれば何処かに負担が掛 かっても別の部位がカバーするのでとっさの状態にも 対応ができるということのようです。
階段などは麻痺患者の大きな壁ですが、それはこのす べての間接の堅さから来ていると想像できます。
最後に・・・
私はこのセミナーに参加して「動作とこころ」の微妙な
関係に改めて感じるところが多くありました。一番面白
いと思うのは「動作の癖」は「こころの癖」と密接な関
係にあるというところです。そして、このことは野口整
体で言われていることとほとんど同じと言うことです。
人間を究極まで見つめて行くと同じところに到達すると
言うことでしょうか?
言葉ではなかなか上手く伝えられないと思いますが 一度先にご紹介した「姿勢の不思議」を読まれて理解 していただいきたいと希望しています。
これらをどうか参考にしていただき日々のリハビリの 一端に加えて頂ければうれしく思います。
良い年をお迎え下さい。
ではまた お元気で!
PS.尚、以下HPアドレスに今移転中です。「脳卒中 片麻痺」篇は工事中ですが年明け10日までにはほ ぼ終わる予定です。またご参考にしていただければ 幸いです。
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e-医療ジャーナリスト オギノ テツヤ
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