スタッフを育てるリーダーシップ



 

誰でもリーダー

 
 「私はリーダー役に向いていない」と、考えている人も少なくありません。リーダーシップを敬遠する傾向が、特に若い人を中心にして見られるのです。
 リーダー役を避けようとする人は、おそらく「リーダー」という言葉に対して、仕切屋のような古いイメージを抱いているのでしょう。ところが、最新のリーダーシップ論に触れると、それが誤解であることに気づくはずです。
 目的を実現するために、個人や集団に様々な影響を及ぼすのが、リーダーの役割であり、リーダーシップなのです。自分の目的を実現するために、周りの人々や集団に働きかけることは、誰にでもあるでしょう。リーダー役を担うのは、特定の選ばれた人だけではなく、実は多くの人が日常生活の中で、リーダーシップを発揮しているのです。
 

これまでのリーダーシップ論

 
 これまでのリーダーシップ論では、優れたリーダーのタイプをめぐって、「これか、あれか」の議論がなされてきました。権威型がいいのか、民主型がいいのか、それとも放任型がいいのかと、実験をしたり歴史上の人物を引き合いに出したりしながら、検討されてきたのです。
 また、「これか、あれか」ではなく、「これも、あれも」必要であるという議論もなされてきました。そして、やはり歴史上の優れた人物を研究することにより、判断力、統率力、実行力、人物的魅力などなど、ありとあらゆるものがリーダーに必要な特性として、あげられるようになったのです。
 このような古いリーダーシップ論に触れれば、リーダー役を担うことに、誰もが後込みしてしまうでしょう。歴史上の優れた人物を模範にしろと言われても、私のような凡人には無理だと、多くの人が思うのです。
 

しなやかなリーダーシップ

 
 「これも、あれも」必要だという議論から、やがて新しいリーダーシップ論が生まれてきました。それは、リーダーに必要な特性を重要なものに限定して、どういう時に「これ」が必要で、どういう時に「あれ」が必要かを検討する状況対応論です。今日のリーダーシップ論における一つの到達点が、この状況対応論だと言えます。
 状況対応論にも様々なモデルがありますが、ここでその一つを紹介しましょう。それは、フォロワー(スタッフなど)に対する接し方を、フォロワーの自立度に応じて、しなやかに変えていくというものです。
 直面している問題に対して、全く自己解決できない依存状態のフォロワーには、「こうしましょう」「ああしましょう」と、指示を出さざるを得ません。また、少しは自己解決できる半依存状態のフォロワーには、本人の主体性や自律性をもう少し尊重しながら、「こうしたらどうですか」「ああしたらどうですか」と助言します。さらに、おおよそ自己解決できる半自立状態のフォロワーには、主体性や自律性をもっと尊重しながら、本人の考えをうまく引き出して、「そうしましょう」と支持するのです。
 いつまでも指導者として君臨するリーダーは、フォロワーの自立を妨げます。フォロワーを支配・統制するのではなく、自立に向けてフォロワーを育てていくリーダーが求められているのであり、そのためには指示と助言と支持を、適切に使い分ける必要があるのです。

図:相手の自立度に応じた接し方


※詳しくは次の本やビデオで

・諏訪茂樹『看護にいかすリーダーシップ -状況対応とコーチングの体験学習-』医学書院
・諏訪茂樹『対人援助のためのコーチング -利用者の自己決定とやる気をサポート-』中央法規出版

・諏訪茂樹『コミュニケーション・スキルを磨こう -医療・福祉サービス利用者とのよりよい関係を目指して-』ビデオ中央法規出版
 ビデオ見本はこちら(WMV:5MB)















































レヴィンの実験 1939




ブレーク&ムートン 1964























ハーシー&ブランチャード 1977


「これか、あれか」の二者択一ではなく、「これとあれの使い分け」が、21世紀のパラダイム(基本的なものの考え方)だと言われています。「首尾一貫」ではなく、「柔軟性」や「しなやか」が、21世紀のキーワードなのです。








支持するためのコーチングについてはこちら

フォロワーの満足度を知り、自分の接し方を改善するためのワークシートはこちら(Word file




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ティーチング(指示や助言)とコーチング(支持)の使い分けについては、こちらもご参照下さい。

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