| イタリア遺聞 |
| 初 出 | 「波」1979年2月号〜1981年12月号 |
|---|---|
| 刊 行 | 1982年7月15日 新潮社刊 |
| 1994年3月25日 新潮社刊(新潮文庫) |
一生には、時に不可能なことがあるほうが人間的だと私は思っている。そして、そういう不可能を、可能よりも私は大切に思う。著者が取材の過程などで知った、イタリアにまつわる様々なエピソードを紹介したエッセイ集。
―「第三十話 レオナルド、わが愛」 より
同じようなエッセイ集として『イタリアからの手紙』という作品がありますが、それよりもさらに歴史の話が増えています。というより、ほとんど歴史の話だけと言っていいでしょう。収録されているエピソードはどれも興味深いものばかりです。ロードス島で知り合ったギリシア軍の将校について書いた「スパルタの戦士」、ルネサンス時代に活躍した“編集者兼出版業者”アルド・マヌッツィオについて書いた「ある出版人の話」、レオナルド・ダ・ヴィンチの伝記を書くことができない理由について語った「レオナルド、わが愛」などは特に印象に残っています。
この本は、もちろんこれだけを読んでも面白いのですが、塩野さんの他の著作と併せて読めば一層楽しめることでしょう。例えば、高所恐怖症の塩野さんが、ギリシアなどに遺るヴェネツィア共和国の城塞を必死の思いで取材したことを知れば(「城塞の話」)、『海の都の物語』を読む楽しみもさらに増すというものです。
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