(この話は徹の視点で描かれています)

〜アペンドストーリーA 第11話 訪れる変化・T〜


緑の葉が赤へと変わりだしていた。
夏が過ぎ、秋が来ようとしていた。


大学が終わり、帰ろうとしていた時、真子に呼び止められた。
「ねえ、徹」
「何か用?真子」
「今から帰るの?」
「ああ、そうだけど」
「じゃあ一緒に帰ろうよ」
「ああ、別にいいよ」
真子の誘いを、俺は軽く受け入れた。
別に昨日今日に始まった事ではなく、
最近はずっと俺と真子は一緒にいる。
前は前で真一とめぐみちゃんを一緒にいさせてあげるために
わざと真一たちを避けるような事もあったからだけど、
あの2人が正式に付き合い出してからというもの、
俺たちは前にも増して2人でいるようになった。
別に悪い気はしなかった。
と言うよりむしろ真子といると、なぜか心が弾むような気持ちになるのだ。
理由は・・・ま、別にいいか。わからないし。
「ねえ、早く帰ろ」
「あ、ああ」
真子が話し掛けてきたので、俺たちは歩き出した。


「あ、ねえねえ徹!この服なんかどう?!かわいいと思わない?」
「あ、ああ、いいんじゃない?」
「あ、これはこれは?!」
「うん、真子によく似合うと思うよ」
「ほんと?!じゃあ買おっかな?!」
俺たちは駅前のデパートに来ていた。
俺がレポートを買うために寄らせてもらったんだが、
めぐみが冬物の服を見たいというため、
俺達は服売り場に来ていたというわけだ。
「あ、これもいいな!」
真子は楽しそうに服を選んでいる。
(女の子ってこういう事にすぐに夢中になるんだな)
俺は苦笑した。
「徹はどれが良いと思う?」
「え・・・?」
俺はいきなり聞かれて困ってしまった。
女の子の好みなんて分からないし・・・。
「こ、これかな」
俺は適当に白色のセーターとスカートを選んだ。
「じゃあこれ買おっと!」
「・・・は?」
「徹、そこにいてね!」
俺はぼーぜんとしてしまった。
(あんな適当でいいのかな?)
女の子って・・・わかんない・・・。


カタンコトン・・・カタンコトン・・・
俺と真子は電車に揺られて帰路についていた。
真子は胸に先ほど買った服を大切そうに抱えていた。
(・・・俺と真子の関係もいつかはなくなるんだろうか・・・)
俺は真子を見ながらそう思った。
「どうしたの、徹?」
俺が見ているのに気付いた真子が話し掛けてきた。
「え、いや・・・」
俺は言葉を濁した。
そういえば真子はなんで俺と一緒にいるんだろう?
4人組みの名残だろうか?
(・・・ま、いいか)
「まもなく矢波です。お降りのお客様は忘れ物など・・・」
車内アナウンスが聞こえた。
「そろそろ着くね」
「ああ」
俺達は席を立った。


「あれは・・・?」
駅を出てすぐの事だった。
「真君、今日真君の家にいっていい?」
「別にいいけど、どうしたんだ?」
「えへへ、新しい料理覚えたの!真君に作ってあげようと思って!」
「お、頼むわ」
「うん!」
前を真一とめぐみちゃんが歩いていた。
どうやら気付かずに同じ電車に乗っていたらしい。
それにしても・・・
「ほんと仲が良いね、あの2人」
「うん・・・。」
俺は率直な感想を述べたんだけど、何故か真子は憂鬱そうに答えた。
「ねえ、徹。もうあの2人の間に私たちが入る間はなくなっちゃったみたいね」
「そうだね」
「徹はあの頃の4人に戻りたい?」
「そうだね・・・少しは・・・、
 でも、あの2人を邪魔しちゃ悪いしね」
「うん、めぐみは私たちの前だと4人でいたいっていうだろうけど、
 やっぱり誰より真一と一緒にいたいんだろうしね・・・」
「ああ・・・」
「徹、私だけじゃ・・・ダメかな」
「え?」
いきなり真子が変な事を言い出すので俺はすっとんきょうな声をあげた。
「だから、真一もめぐみも抜きで、私と徹だけじゃ・・・」
「そ、それってどういう・・・」
「もうにぶいなあ、真一みたいだよ。
 徹が・・・その・・・好きってこと・・・だよ」
「ま、真子・・・」
真子の突然の告白に、俺は驚きを隠せなかった。
「ねえ・・・ダメ・・・?」
「・・・少し考えさせて欲しい。悪い答えはしないと思う。
 俺にとって真子はなんなのか・・・俺の中ではっきりさせたいから・・・」
確かに俺には真子は友達以上の感情を持っていた。
けれど、いきなり好きと言われても実感がわかなかった。
「・・・うん、わかった」
「それにいきなりで驚いたし」
正直な感想だった。
「あ、ごめんね・・・」
「じゃあ、今日はこれで!」
俺は真子に背を向けて走り出した。
わからなかった。真子にあんな風に思われていたなんて。
俺は真子の事を特別に思った事はなかった。
「仲がいい女友達」だったはずだ。
俺は走った。何も考えたくはなかった。
どこに行けばいいか分からなかった。
俺は走りつづけた。

〜To be continued〜

◇←Prev 
Home Next→◇