〜えたーなるぷろみす♪(おまけ編)〜
「花も変えて、墓も洗った・・・と」
和彦は『ふう』と一息つくと、その場から立ち上がった。
「香苗ちゃん・・・・あれから2年経つんだね・・・」
俺は香苗ちゃんの墓参りに来ていた。
身寄りのなかった香苗ちゃんだから、俺以外に墓参りに来る者もいなかった。
だからこうして定期的に墓参りに来ている、と言うわけだった。
「それじゃ・・・また、香苗ちゃん」
そう言って香苗ちゃんの墓に背を向けた時だった。
「藤井さん・・・」
「え?!」
聞き覚えのある懐かしい声に呼ばれ、俺は振り返った。
だが、そこには何も・・・いや、誰もいなかった。
「そうだよな、今更俺は何を期待してるんだよ・・・」
俺はそう呟くと、再び墓に背を向けた。
「藤井さん」
声が、先程よりはっきりと聞こえた。
「香苗ちゃん?!」
しかし、振り返っても誰もいない。
(いや、確かに聞こえた・・・・香苗ちゃんの声が・・・)
「香苗ちゃん!」
俺は香苗ちゃんを呼んだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「やっぱり・・・気のせい・・・か・・・?」
「藤井さん、お久しぶりです」
「??????!!!!!!」
墓の方・・・いや、墓石から声が聞こえた。
忘れもしない、紛れもない香苗ちゃんの声が。
「か・・・・香苗・・・ちゃん・・・」
「藤井さん!声・・・届いたんですね?!」
確かに香苗ちゃんの声が聞こえるが、どうも状況がよく把握出来ない。
「香苗ちゃん?!どこ?!」
「あなたの目の前ですけど?」
「・・・見えない(-_-;)」
「ええ〜〜〜!?ちゃんと姿もあるじゃないですか〜〜〜?!」
「・・・ないよ(-_-;)」
なんか混乱してきたぞ、おい。
「うう・・・せっかくおまけシナリオだからって『霊魂』の状態で
登場させてもらったのにぃぃ〜〜〜〜(;_;)
「はあ?!」
「やっぱり、『あなたにしか見えないんですよ〜』なんていう
都合の良い事にはならないんですね。ああ、現実って残酷・・・」
よくわからんが、ある程度は把握出来た。
多分、あの墓石の上には足のない香苗ちゃんがいる、という設定なんだろう。
しかし・・・
「ねえ、香苗ちゃん?」
「なに?」
「あの・・・性格変わってない?」
「ええ〜?だって、こういう性格の方がお話しやすいじゃないですか〜♪
それに、あんな暗い性格じゃあこのおまけシナリオは無理ですよ〜♪」
なるほど、これは作者の陰謀だな(-_-;)
「うう、でも藤井さんは私が見えないなんて・・・」
「ねえ、香苗ちゃん」
「はい?」
「このシナリオ、なんの『おまけ』なの?」
「ええっと、内藤シェルさんのホームページが20000HITを達成したそうなんで、
その記念なんだって」
大体わかった。
・・・多分、あの素直な香苗ちゃんのことだ。
あほの作者に『おまけシナリオ書くから、出演しない?和彦にも会えるよ』
などと言われてまんまと引っ掛かったんだろう・・・・。
不憫な・・・などと考えていると、
「ねえ、藤井さん」
香苗ちゃんが不意に呼びかけてきた。
「あの、この2年間どんなことがあったんですか?私、知りたいな」
・・・そうか、姿は見えなくても、香苗ちゃんは香苗ちゃんじゃないか。
ちょっと元気になったと思えばいいことだしな。
俺は、この場のノリに無理やりついていくことにした。
「そうだな、あの後高校を卒業して、それから・・・」
今の俺は、ただの大学生だった。
だが、くだらないと思っていた日常は、やはり香苗ちゃんにとっては
凄く興味惹かれることだったらしい。
香苗ちゃんは俺の言葉一つ一つに、面白いほど関心を寄せてくる。
少なくとも、あの時と何も変わっていない空気がここを包んでいた。
(しかし、はたから見たら『墓石と会話する変な少年A』だぞ、おい)
俺は今の自分の置かれた状況のあほらしさに苦笑した。
「私・・・いつか生まれ変われるのかな?」
「そう言えばそうだね」
俺は、香苗ちゃんと生前にした約束を思い出した。
「現世への思い入れが強いと、死んじゃった時と同じ状態で、この世に残ったままになるんだって」
「どういうこと?」
「あのね、生まれ変わるってことは結局、それまでの記憶とかをリセットして、
今度は違う人間として生まれてくることなんだって。
だから、死ぬ時に『忘れたくない』って強い思い出があったりすると、
こういう風にこの世に残っちゃって、生まれ変われないんだって。」
「ってことは、俺がいるかぎり生まれ変われないのか?!」
「ううん、ごめんなさい。本当は生まれ変わることはいつでも出来るの。
でも、そうしたら藤井さんとの思い出は全部忘れちゃうの。
私・・・忘れたくないの。大事な、大事な思い出だから・・・」
「香苗ちゃん・・・」
香苗ちゃんが哀しそうな顔をしたのは、容易に想像出来た。
あの時、俺は香苗ちゃんのことは思い出として心にしまい、
新しい人生に向かって強く生きていくことを心に決めた。
(そう・・・思っていた)
けれど実際は、こうやって2年ぶりに香苗ちゃんと会話し、
あの時と変わらない気持ちを抱いている自分がここにいた。
結局、俺は強くも何ともならなかったわけだ。
「藤井さんのこと忘れられたら、きっと楽になるのにな」
「俺も・・・・だな。」
なるほど、時の流れは何も変えなかった、と言うわけか?
否。
自分の生き方は、自分で変えるしかないのだから。
「ねえ藤井さん、今出来る事をやらないで将来後悔するっていうのは、
結局、作者さんの『やりたいことをやらなくて後悔するくらいなら
やりたいことをやってから後悔することがいい』のやりたいことを
やらなくて後悔するって言うことですよね」
(おい、それ第3作目の・・・)
「ああ、そうだな」
「今の私に出来ることって、藤井さんの事を忘れて
新しく生きることかな?それとも、やっぱり大事なものは
ずっと持ってちゃダメなのかな?」
「・・・そうだな、それは香苗ちゃんが決めるんだ」
「藤井さんは、私が藤井さんの事を忘れちゃったら悲しい?」
「正直わからない。このまま、君が俺に縛られてしまうのなら、
むしろ忘れてしまって欲しいと思うかもな・・・」
「私・・・」
「少なくとも、俺は」
そこまで口にした時だった。
「え?!もう時間ですか?!」
いきなり香苗ちゃんが慌て出した。
「ごめんなさい藤井さん!もうお別れなんです!
きっともう会えないと思いますけど・・・」
「はあ?!ちょ・・・急すぎるって!おい!作者!!!」
「藤井さん・・・もしあなたが私のことを忘れても、
私はあなたのことを悪くは思いません!
だから、今出来る事をして下さい!」
「わかった!それは香苗ちゃんもだからな!」
そう言った瞬間、ふっと風が流れ、香苗ちゃんの存在が消えた。
俺は、ただその場に立ち尽くすしか出来なかった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「さっき・・・・『少なくとも俺は』・・・なんて言おうとしたんだろう?
『香苗ちゃんを忘れない』?『香苗ちゃんに新しく生きて欲しいと思う』?
いや、なんか違う気がするな・・・」
まあ、どうでもいいか。
「はは・・・・」
なんか空しくなってきた。
それでも、1つだけわかっていることがある。
俺が、『墓石の前で騒ぐ変わり者B』だったことだ。
〜えんど♪〜
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【管理人(内藤シェル)のコメント】
◆20000HIT記念の頂きモノ小説♪ありがとうございました☆
本編はアレだけ感動的ストーリーということで好評なのに、
こちらのオマケはギャグ路線まっしぐらですよね(笑)
いや、僕はこういうのすごく好きなんですけど^_^;
ちなみに、この小説で一番の謎は、『墓石の前で騒ぐ変わり者A』は、
一体誰なのかということですね(笑)
真実はいつも一つ!(違&謎)