Final Cut Pro5 感想文

HDVとFinal Cut Pro5

実は、仕事関係で、借りています。ソニーのHDVカメラ、HC1。
しかし、これすごいですねぇ。この大解像度がこの小さな、しかも良くできた扱いやすいカメラでさくさく撮れちゃう、なかなか手放せない、返したくない...!
仕事に使う、という目でみると色々あるんですが、どう見ても、これ、ホームムービー用のカメラです。ホームムービー用途で考えると理想に近いんじゃないでしょうか。ギャラ入ったら、絶対に自前のHC1を買おう、そう心に誓っています。

さて、このHC1をFireWiereでMACに繋ぎまして、Final Cut Pro5を立ち上げます。
取り込みプリセットを「HDV」にして、「取り込みと切り出し」タブで取り込み。DVを使う場合とほとんどかわりません。かんたんかんたん。



<FCP5でのHDV使用の要点>

●2種類のワークフローがある
一つは、「HDV」の取り込みプリセットを使って、HDVネイティブ(つまりMpeg2のまま取り込んで編集する)で作業する方法。
もう一つは「HDV-Apple intermediate Codec」に変換しながら取り込んで、以降編集はApple intermediate Codecで行う方法。iMovieで採用されているのと同じ方法です。
両者の違いですが、HDVネイティブの場合は、時間圧縮されているMpegをまんま編集する関係から、プレビューや編集にマシンパワーが要求されます。そのかわり、DVと同じデータレートなので、HDDの容量やスピードは、DVとほぼ同じ条件で大丈夫。
FCP5の取り込みも、DVと同じように行えます。


↑HDVネイティブでは、DVとほぼ同じに操作できる

Apple intermediate Codecを経由する場合では、Mpeg2が時間圧縮をしていないApple intermediate Codecに変換されるので、マシンパワーのハードルは低くなります。その替わりファイルサイズやデータレートがDVに比べて大きくなるので、HDDの性能によっては不都合がある場合があるかも。
HDVはG5デュアルなど早いマシン用、HDV-Apple intermediate Codecは、比較的低速マシンでもHDV編集を可能にするソリューション、という事のようです。FCP5での取り込みは、デッキコントロールができなくなり、ややそっけない作業になります。イン点、アウト点の指定などもできません。このあたりiMovieのほうが良くできてますよね。

↑Apple intermediate Codecを使用する場合は、ちょっとさみしいんですが、このダイアログが出て、「取り込み」ボタンを押すと取り込み、変換が行われます。DVで「制御不能なデバイス」を使っている時のような感覚です

この二つの方法は「オーディオ/ビデオ設定」の取り込みプリセットで切り替えます。

●プレビューはPCディスプレイ上でしかできない
HDVカメラが繋がっていれば、FireWiere経由でカメラ側に信号がいくのかと思ってたんですが、これはできません。HDVカメラと対応テレビがあれば、DVでNTSC出力しながら編集するみたいにできるのかなと思っていたのですが、ムリのようです。
HDVネイティブでも、Apple intermediate Codecでも、プレビューは、キャンバスと、Digital Cinema Desktop Previewのみになります。
HDVは、1080i(720pもありますがHC1は1080iだけです)でインターレースされていますが、インターレース状態での確認は一回テープに書き出して、ハイビジョン対応テレビに繋いでみてみるしかないようです。

●HDVテープへの書き出しはテープにプリントのみ
DVのように「テープに編集」を使ってこまかくイン点を指定して書き出すことはできません。
テープに書き出すときには、まず、レンダリングしていない部分のレンダリングが行われて、さらに一本のMpeg2ムービーとして矛盾のないファイルにするための「適合化」という処理が行われ、それが済むと録画可能な状態になります。1工程増えているイメージです。結構時間がかかる場合があるので出力のスケジュールもちゃんと時間をみないといけませんね。


<これ、どう使いますかね?>
HDV、とても優秀なので、是非仕事に使いたいんです。
もし、外部のポスプロがどんどんHDV→HDCAM編集に対応してくれるようだと、今DVでやっている事と全く同じ事がHD環境で出来るようになります。

HDVで撮影→FCP上でHDVネイティブもしくはApple intermediate Codec編集→HDVテープに書き出し→ポスプロ持ち込み・テロップ入れとか繋ぎ込みとか→カンパケ→MA。
で、SDもHDもとなった時には、一度、HDカンパケを作ったのち、ダウンコンということになります。

ちょっと実地に仕事に使ってみないとなんともいえないんですが、僕としては、FCP5からはテープに書き出さずに、ムービーファイルとしてポスプロに持ち込めればいいんだけどなー、と思っています。
HDVは、ムービーファイルとしての使い勝手も上々なので、この際、テープは収録だけで、カンパケまではテープレス、というようにいかないものかな、と。なにしろ、DVと同じ容量、ビットレートなので、これはいいですよね。ハイビジョンだってのに。


<重要なおまけ>

●優先フィールドの問題
HDV→DVというダウンコンバートをFCPを使ってできるといいな、と思ったんですよ。
つまり、HDVで繋いだあとに、DVのシーケンスに貼って、DVバージョンも作ってしまう、と。
一応撮りはHDVでやったけど実際にはとりあえずSD納品、というケースはしばらくは結構あるでしょうから。
HDVのシーケンスで繋いだものを、新たにつくったDVシーケンスにそのまま置いて、レンダリングをかけるとレターボックスのDVバージョンができあがるはず。
で、実験してみたら、困った事に気づきました。優先フィールドです。HDVは奇数(上)が優先、DVは偶数(下)が優先なんですね。そのままだと逆になってしまう。NTSC出力を見るといたるところでがくがく、ぴくぴくしてしまっています。じゃぁ、と、DVのシーケンスを奇数に設定しなおしたんですが、結局それでも、NTSCに出力するときは機械的に偶数が優先になりますから同じ事です。
これはこまった、インターレースを取っちゃって、30pにするしかないのか、あるいは、カメラからDVにダウンコンして取り込み直すしかないのか...。しかしなぁ、FCPでダウンコンしたい場合も結構あるよね、なんか使えるツールがあってよさそうだよな、とエフェクトのフォルダをみていると、「ビデオ」フォルダの中に「シフトフィールド」という新しいフィルタがあるのを発見。なんだこれ、と見てみると、フィールドを一段ずらすフィルタのようです(これ、マニュアルには載ってませんでした、HDVとDVが混在した編集では結構重要なフィルタなんだけどな、こんなに分厚いマニュアルなのに)。これを使えば、もとのHDVの優先フィールドである奇数フィールドを、DVの優先フィールドである偶数フィールドに書き込む事ができます。つまり、フィールドを1本分、上か下にずらすんですね。これで安心。FCP5上でHDVをインターレースしたままDVにダウンコンバートすることができました。

↑地味ですが、とても重要なフィルタ「シフトフィールド」

で、こうしてFCPでダウンコンしたDVですが、画質は良好だと思います。
本当にうまく行ったDVCAMの素材よりはちょっとぼうっとしていますが、十分、違和感のないものだと思います。レターボックスでも、サイドカットでも、ちゃんと撮影されていれば、納品物として問題ないと思うんですよね。
これは、来年あたりドカンと、業界を席巻しそうですねぇ。
あとはポスプロの出方を見守るのみ。

下記はHDV→DVのダウンコンから切り出した静止画です(ping)。この静止画自体も圧縮してありますから、画質評価は一概にできませんが、HDVからのDV変換の雰囲気を見て頂ければ、と思います。

HDV 1920*1080にリサイズ> <DVレターボックス 640*480にリサイズ> <DVサイドカット 640*480にリサイズ

戻る