Final Cut Pro5 感想文

さて、FCP5です。
パッケージの大きさとマニュアル類の厚さはFCP史上最大、最重量です。
現在、編集マシンとして使っている、G51.8GDualメモリ1.25GのOXをTigerにアップグレードして、FCPをインストール。起動してみると、いつものFCP、インターフェイスはなんら変わるところはありません。

色々新機能もありますが、1/5圧縮的にはまずは、地味なところから。今まで通りDVシーケンスの編集に使って気づく点です。

●プレビュー機能向上
ふーん、としばらく使っていて気づくのは、キャンバスの表示がずいぶんキレイになっている事です。例えばタイトルを入れて静止画でみている分には問題ないのに、レンダリングしてキャンバスの表示を見るとぼろぼろでなんだか気分が沈む(べつに実際の画質には問題ないんですですが)...なんて言うこともありません。レンダリングしてもレンダリング前の静止でもほぼ同じような品質でプレビューできます(これはあくまでうちの環境で、という事でマシンパワーによってプレビュー品質は異なります)。
また、リアルタイムプレビューに「ダイナミック」というモードがつきました。これは、プレビューの画質やフレームレートをマシンパワーとの兼ね合いをみながら動的に変えてくれるモードです。複雑なエフェクトや合成はドラフトちっくな画質で、単純なところは最高画質で、という風に自動的に設定を変えて「とにかくリアルタイムに」プレビューしてくれます。また、リアルタイムプレビュー出来る範囲も広がっています。

●ポイントコントロールがドラッグできる
ちょっと地味すぎますが、結構助かってます。
FCPのポイントコントロールってホントに使いにくかったですよね。十字の印がついたボタンをクリックして、キャンバスでもう一回クリックするやつ、ガベージマットのポイント指定とか、タイトル3Dの位置パラメータの指定に使うやつです。
今回からは、このポイントコントロールが新しくなって、キャンバス上でドラッグできるようになりました。使いやすい!最初からこうしてほしかったですねぇ。特にタイトル3Dでの位置指定や変更がラクになりました。
 
↑ちょっとわかりずらいかもしれませんが、ポイントの十字が赤になって、それをマウスでドラッグできます。

●Bris系(タイトル3Dなど)ジェネレータ
タイトル3Dなど、Boris系のタイトルジェネレータがバージョンアップしています。
タイトル3Dでは、なんといっても、日本語のテキストがクリップボード経由でペーストできるようになった事が○です。「ファイルをインポート」では相変わらず文字化けしますが、いったんテキストエディット(など)上で選択、コピーして、タイトル3Dでペーストすれば文字化けせずに長文の日本語テキストがテロップ化できます。ファイルメニュー「開く」で、テキストデータをビューアに開く事ができるので、そうしておいて、ビューアからタイトル3Dにコピーペーストしていくのも使い勝手いいと思います。
これは、スクロールタイトル用の「TitleCrawl」でも同様です。

↑テキストディタからコピーペーストしたもの

また、タイトル3Dでは、タイプインを行うコントロールが追加されました。今まではFCP純正の「タイプライター」を使うか、がんばって編集するしか無かったんですが、これで便利になります。上でも書きましたが、ポイントコントロールがドラッグできるので使い勝手はかなり向上しました。

それと座布団用のジェネレータとして「Vector Shape」というものが新登場。今まで、カラーマットとマスク(図形)で作っていたような方形・円形の図形が作れます。ボーダーが3種類、シャドウにもソリッドシャドウなんかが使えるので立体的な図形も作れます。これは便利グッズですね。4.5からFCP純正ジェネレーターに「図形」というカテゴリもできたんですが、アルファチャンネルがついてこないのでちょっと使い勝手が悪かったんです。これで解決です。

さらに、「Text Scranbler」という、謎のジェネレータが出現しています。これは、うーん、テキストのアニメーションをするソフトなんですが、ランダムに文字を入れ替えたり、バラバラに動かしたりするものです。例えば、1行のタイトルが10個の文字でできていたとして、それを、まったく関連無い別の10個の文字にランダムにいれかわっていったり、あるいは、10個の文字がバラバラな方向からバラバラな大きさで飛んできて最後整列する、とか、そういう事を「色々なランダムさ」のパラメータをキーフレームでアニメーションすることで実現します。しかし、まぁ、ちょっとおまけ的って感じですね。LiveTypeでやったほうが断然スマートです。

●メディアの再接続が便利に
FCPって、よくレンダリングファイルを忘れたりするんですよね、多分、僕のメディア管理がいい加減なんでしょうが、よく「再接続」ダイアログが出ます。で、ファイルを検索させると、とにかく、ボリューム全部をみて廻るのでどうも時間がかかる。
5では、再接続のための検索場所を指定したり、検索させるフォルダをあらかじめ登録できるようになりました。
これは、便利な気がします。

●マルチクリップ編集
新機能の目玉は、これ。これは、音楽ライブとか、イベントなんかを仕事の分野にしている方には待ちに待った機能でしょう。
僕自身はあまり使う機会もなさそうなのですが、いじってみるとかなり面白いです。
まず、パラ回ししたクリップをブラウザで全部選択します(べつに複数のクリップならなんでもいいですが)。そして、複数クリップの同期の仕方を指定して同期をとり、「マルチクリップ」を作成します。これは、同期した複数クリップの「束」のようなものです。それをいったん、タイムラインにどかんとおいてしまいます。
その上で、「再生ヘッドの同期」を「オープン」に設定してタイムラインとビューアの再生ヘッドが同期するようにします。
準備が出来たら、ビューアの再生ボタンを押します。
あとは、ビューアにマルチ表示されたアングルをスイッチャー感覚でクリックしていくだけ。
終わったら、タイムラインには、自動的に、スイッチングの通りのクリップが並びます。このままでは、まだ「マルチクリップ」のままなので、タイムラインでクリップ(マルチクリップ)を全部選択して、「修正」メニューから「マルチクリップをまとめる」というコマンドを実行。これでスイッチング通りに、クリップが並びます。
他にも、エフェクトがらみのミュージックプロモに使えそうな便利機能などもあるようですが、まだ試していません。
いつか使ってみたいですけどねぇ、これ。そういう仕事がまわってこないかな。

↑マルチアングル表示。青い線で囲まれているアングルが優先アングルになる

●HDVネイティブ対応
これについては、もっとくわしく別ページを用意しました。
iMovieでは、マシンパワーへの気遣いか、HDVからApple intermediateコーデックに変換してから、編集、というフローでしたが、FCP5はHDVをまんま編集できます。もちろん、iMovieと同じようにApple intermediateを経由することも可能です。
使ってみて思うのは「HDVいいなぁ」です。きれいですし、うちの環境で作業するぶんには、DVとあまり変わりません。
ちょっとプレビューが遅かったり、コマ飛びがシビアだったりもしますが、実用の範囲だと思います。なんか、確実にHDVの時代がきますね

●HDDに対する要求がシビアになったか...?
4.5での作業で、外付けのFireWiere接続HDDにレンダリングしていたプロジェクトがあって、それをFCP5で開いてみたんですが、プレビューしてみると、どうも途中で止まる。しかも警告も出ずに、こっそり画が止まって、再生ヘッドは動いている状態、というような事がありました。そこで、レンダリングファイルを捨てて、新たに内蔵HDDにレンダリングし直してみると問題なく再生できました。4.5では大丈夫なHDDでも5では使えない、なんて事もあるかも。
ただ、別のプロジェクトだと大丈夫だったり、何回か繰り返すと大丈夫だったり、ちょっと何がどう、というのが難しい状況ですが、プレビュー品質が向上した引き替えに、「なんか」がシビアになっている、という感じがします。


まとめ
プロ用、プロ用ですね、FCP5。あたりまえといえば、あまりに当たり前ですが。ある程度リッチなマシン環境があって、高品質に作業できる、という事を基本にして、そこに、マルチアングルとHDVを組み込んだ感じです。
Final Cut Proも、バージョン5まで高まってくると、1.25から使っている者としては、なにか感慨深いものがあります。どんどん高機能に、信頼性も高まってくる。
でもその分、だんだんと、現場で僕たちがやらなければならない事の範疇を越えてきていて、ちょっと「もったいない」ソフトになってきてしまった感もあります。
確かに10万円でこれができたらたいしたもの、なんですが、ますます3万1000円のFinal Cut Expressじゃなく、10万円のFinal Cut Proにしなければいけない理由が希薄になってきている、と思うのは貧乏性の僕だけでしょうかね。
ひょっとして、Final Cut ProからFinal Cut Expressに乗り換える「ダウングレード」な人たちも出てくるかなぁ。DVメインで使っていて、マルチコーデック、解像度フリー、HDVネイティブ編集、マルチカム編集関係ないなら、Final Cut Proにしなければいけない理由ってそんなにないですよね。僕の場合で言うと、CGアニメーションなんかをアニメーションコーデックで編集して非圧縮ムービーでカンパケる、というような事もあるのでどうしてもFCPと言うことになってしまいますけど。普段使うコーデックと解像度が、100%DVに決まっている人には、あまりProのアドバンテージってない気もします。
新しくこれから買う人は、Final Cut Expressを候補にいれてもいいかもしれません。iBookG4やMacminiでFinal Cut Expressを使う、というのも良い選択肢だと思います。


戻る