『今物語』(いまものがたり)

全訳注 三木紀人  講談社学術文庫

 

鎌倉中期の説話集だそうです。

ほんの短いおはなしが、全部で53コ。

読んでみようと思ったのは、「降れや雨」という小話に心を惹かれたからでした。

「大納言なりける人」が、日頃から愛していた女房(かみさん、じゃないですよ。女官のこと)の

ところへ行って、こまごまとお話するんですが、

夜も明けそうだというのに、ちっとも「思うよう」にならない。

ので、今夜はもうやめて帰ろう、と思って一計を案じて立ち上がったところ、

それを察した女房が、さらりと歌を詠む・・・

その歌のすばらしさに感じ入った大納言、その晩はやっぱり泊まることにして、

この二人は、その後も長く続いた・・・という、お話です。

 

この『今物語』には、ほかにも、とっさにさらりと歌を詠む・・・エピソードが、

いくつか出てきます。

「降れや雨」みたいな、男女の機微ばかりではなく、

たとえば「聖の家」というお話では、

女性関係の多いのを通りすがりにからかわれた聖人が、小法師を走らせて歌で言い返した、とか。

「いやまったくその素早さは、大変なものでした」なんて、感動しています。

 

 

当意即妙。

この言葉が、アタマに浮かびます。

インターネットの世界も、そのあまりの回転の速さに、じつはときどき・・・

ついていけない、と感じて、疲れてしまうことがあるんですが。

 

もしかしたら、必要なのはこの「当意即妙」かな、なんて・・・

 

でも、じっくり考えて。

寝かせて、寝かせて、熟成させた作品というのも、

また、よいですよね。

 

要は、使い分けかな、と・・・・・・。

 

 

ところで、この『今物語』。

雅なおはなしが続くのですが、ナゼか?

最後のほうになって、ものすご〜く、品が落ちます。

解説者も、そこのところどう言ったものかと、悩んでいる様子でした。

びっくりするような内容ですが・・・それも、古文で読むとなんだかオカシクて、

大笑いしてしまった、私です。

 

 

(2002年3月)

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