「松に聞け」 藤田省三
〜藤田省三小論集 『戦後精神の経験1』 影書房より、全体への序章〜
書名を打ち込むだけで、数分(?!)かかったような気も。
なんて、カタい本でしょう・・・(^^;
それでも取り上げたのには、ワケがあります。それは、この文章が、
私がハイマツという植物に興味を持つようになった、キッカケだからです。
改めて本を手にとって、序章を読んでみました。
本当は、全文を引用したいくらいですが、それはやっぱり、マズいだろうから・・・
筆力拙く知識も浅い自分では、この文章から受けた感銘を表現できそうになく、
何度か、諦めたのですが。
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昭和38年に乗鞍岳に自動車道路が作られた。そのとき、高山植物であるハイマツも、
多数犠牲になった。そのハイマツを一本一本集めて、まるで屍を弔うように、
樹齢と幹の直径と、年輪幅を計測した人たちがいたと、筆者は紹介しています。
その結果、たとえば標高2550メートルにおけるハイマツの平均寿命は109年。
幹の平均直径は7.98センチメートル、年輪幅の平均は0.37ミリメートルであったそうです。
年輪幅というのは、その木が1年間にどれだけ成長したかを示します。
つまり、1年に1ミリの3分の1強ずつ、109年間成長し続けたのだ、ということです。
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「何という遅々たる歩み。そして何という粘り強さ」と、驚嘆する筆者。
ホントは、このあとに続くハイマツへの賛辞がとても好きなのですが、引用は控えます。
ともかく、この筆者につられて、自分も、ハイマツってすごい! と、すっかり、感心してしまったのでした。
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おととし、その乗鞍岳に、行く機会がありました。
駐車場で車を降りて、さて・・・とあたりを見回して、まず何に驚いたかと言いますと・・・
そこらには、ふだん身の回りで見慣れた草が、まったくなかった、ことでした。
オオバコとか、カタバミとか、チチコグサモドキとかいった、ありふれた、
放っておくと庭でも空き地でも、どこまでもはびこってとどまるところを知らない、
あの強靱な雑草群が、です。
乗鞍の駐車場には、自家用車が列をなし、ふだん着姿の観光客が、
ひきもきらず押し寄せているというのに。
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観光客は、自分では気が付いていないかもしれませんが、まず間違いなく、
履いている靴の裏に、めいっぱい、雑草のタネをつけて、運んでいます。
八ヶ岳のピラタスロープウエイを登ると、ホタルブクロやゲンノショウコのかたわらに、
オオバコやクローバーが、いっぱい、生えていました。観光客の歩くルート沿いに、
それらは、多くあります。囲いから中に入った奥には、あまり見られません。
同じように、上高地の自然探索路でも、道沿いにはオオバコがぎっしり。
山で迷ったら、オオバコに沿って歩けば、何とか人里には出られる、というくらい、
このオオバコは、人とともにある草なんだそうです。
その草が、乗鞍には、ありませんでした。
「オオバコも生えない土地」
そこに根を下ろすハイマツのすごさ、しぶとさ。
やっぱり、すごい! と、思ったのです。
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今年の夏は、那須の茶臼岳で、また、そのハイマツに会う機会がありました。
観光客が登れないような、厳しい気象条件って、どんなかな? と、思いながら・・・。
(2001年9月)