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『私の宝物』

―祈りを捧げる夫婦―(ブックエンド)



 今日は、我輩の誕生日である。
っちゅうわけで、めでたいので、今回は特別編だ。全然がしゃぽんじゃないけど。

「遠き 山に 陽は落ちて ♪」
という歌がある。結構好きで、夕日を見るとつい口ずさむ。その歌詞に合わせて、脳裏に浮かぶのがこのブックエンドの像だ。

 このブックエンド、僕が生まれたときには、すでに我が家にあった。母親が、なんかの折に買い求めたものらしい。どこで買ったのかも覚えていないそうだが、たぶん新婚旅行とかそんなときじゃないか? どう見ても外国製らしいのだが、まだ日本もそんなに豊かじゃなかったころだろうし、そんな外国製品を買おうなんて、よっぽど特別な時だったんじゃないだろうか?

 まあとにかく、僕はこの木像を物心ついたときからずっと目にしているわけだ。美術品ではないので、手が届く場所にいつもあり、つまり一番身近な造形作品だったわけだ。
 この二人が、いったい何をしているところなのか、子供のときはいろんなストーリを考えてみたものだ。玄関から入れてもらえない酔っ払いの親父と腹を立てているおっかさんだったり、悪魔に取り付かれた男と戸板一枚で隔てられながら脅える婦人だったり......コタツに入ってミカンを食いながら、兄貴と二人で妙な演技をつけながらお話を作ったものだ。

 この像があったから、そんな話を作るような子供に育ったわけじゃなく、子供ってのは、いつだってそんなものなんだろう。自由気ままに自分の思いつく物語を語る者だ。
 それがいつしか、思いつくままの物語ではなく、自分が好きな物語を語るようになり、ついには他人を楽しませる物語を作ろうとするようになる。
 別に、小説家や漫画家になることが物語を作るってことじゃなく、夫婦生活を作り上げたり子供を育てたりすることも、「物語」を語るひとつの形だと、最近思うようになった。兄弟や友人が家庭を持ち子供を育て、その子供たちがどんどん成長してゆく姿を見ていると、つくづくそう思う。

(著作権:???)

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