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『走れ! 弾よりも速く』

―8マン―(8マン)


「サイボーグ」という言葉の響きにしびれた覚えは、少年時代があった人なら、誰にだって覚えがあるでしょう。僕がこの言葉を耳にしたのは、多分「サイボーグ009」が最初です。

「8マン」は、僕の少年時代の更に一世代前の作品だったので、それに触れたのは、中学生になって古本屋でマンガを買うお小遣いが貰えるようになってからの事です。だから、この作品に描かれた「サイボーグの悲しみ」は、既に「009」で学習済みで、インパクトがあったとは言いえません。
 しかし、桑田次郎先生のクールな描画と、平井和正氏の冷酷なストーリーが合いまって、「009」ではセンチメンタリズムに埋没した「人外の悲哀」が、哲学的な宿命論を子供に感じさせるまでに発展しています。

 ちなみに、僕が心うたれたのは、東八郎がサチ子さんの手料理を食べた後で、自分のお腹を開けて今食べたものを取り出してこっそり捨てるシーン(ここで「せっかくの温かい手料理も、僕にはボロ雑巾を飲み込むのとかわらない」という泣ける台詞が入ります)と、戦いで意識が朦朧となった8マンが、サチ子さんの顔を思い浮かべながらヨタヨタと歩くうちに、その顔が知らず知らずサチ子さんの顔に変身してしまうというシーンです。

 宍戸開が主演した実写映画は駄作の評価は高いけど、僕は結構好きな作品です。

(著作権:桑田次郎・平井和正)

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