在外研究途中経過 (10月15日) 

2000-2001年度開始

新学期がはじまって、もう2週間も経過してしまいました。

大学も、「いよいよ動き始めた」という感じ。なにしろ学生が多い駐車場が一杯で、空きを探すのに一苦労です。どうも、年度始めに学生が多い(そのあと次第に減ってくる)のは、日本の大学と同じですね。尤も、その多くは、積極的に企業に就職して自分を試しているのだとか。こちらの大学は、三カ月単位で単位が出ますから、気軽に「途中退場」して、またあとで戻って来ることができる仕組みになっているそうです。その点では、内容は少し違っているかもしれません。

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いよいよ私も、Reading Group を開始しました。テキストは、もちろん『永平広録』。これ以外の資料を読めと言っても、出来ませんので。初めは学生が集まりそうになく、立ち消えのおそれもあったのですが、なんとか、3名の院生が参加を申し出てくれて、格好がつきました。とはいえ、私の方が、学生に英語を教わる授業になりそうな気配。こちらの悪戦苦闘の様子も、逐ってご報告いたします。

配布物の団扇に「Entering Convocation」とありました、学位授与式とは思えないので、たぶん新入生歓迎式典でしょう。

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Exploring Autumn Quarter Courses

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for Guraduate Students

Jpanese Buddhism Seminar

By Bernard Faure

Wed 12:15-14:30

はっきり言って、このゼミは厳しい。毎週、課題図書が指定され、それを読破してサマリーを作成しなければならないのです。参加者中の一人が、それをもとにプレゼンを行い問題点・疑問点を議論する、というのが、このゼミの内容。毎週200頁以上の英文を読むのは、私にはまず不可能ですが、なかなか面白そうな本がそろっているので、とりあえず必死で読んでいます。

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10/11(Wed)

Book: Shifting Shape, Shaping Text -Philosophy and Folklore in the Fox Koan-

by Steven Heine;(Prof. of Florida International Univ.)

ハイネさんは、駒澤大学に良く顔を出されるので、ご存じの方も多いかと思います。フォール・ゼミの2冊目の課題図書は、ハイネ氏の最新刊でした。フォール氏のリクエストにより、この本の内容については、私も、プレゼンターの手伝いをして、卑見を提示したのです。ゼミの前の週末は、ずっと家で、辞書を片手にこの本と格闘するハメになりました。いやはや疲れた。

しかし読んでみると、なんとハイネ氏、私の書いた論文を引用してくれておりました。日本ですら、めったに引用してもらえない(あるいは、引用してもらっても、徹底的に批判されていますね、最近は)ものを、英語の本で引いてもらっているというのは、感激の至りでありました。

ということで、文章はとても難しいのですが、絶対に良い本ですので、是非とも読んでみてください。(評価が一面的すぎますか?)

Table of Contents

Part 1: Shape-Shifting

1. Putting the Fox Back in the Fox Koan

2. The Koan's Multivalent Discoursive Structure

Part 2: Text-Shaping

3. Philosophical Paradigm of Paradoxicality

4. Deep Faith i Causality

5. Folklore Morphology and the Issue of Repentance

6. Unconcluding Methodological Refledtions

この本は、副題からも分かるとおり、「百丈野狐」の公案を中心にしたものです。その内容を前半の「キツネの化け物」の部分と後半の「道義的対話」の部分に分け、さらに「禅宗清規の確立者としての百丈」の性格づけという多義性を、キツネの民話的要素を媒体として分析しようとしたもののようです。

Part 1 は、この「公案の分析」について、「キツネ」の肯定的扱いと否定的扱いの両義性から、公案自体の多義的構造を導き出そうとしていました。

Part 2 は、まず、公案の「因果論」の部分について、「不落因果」と「不昧因果」についての考察です。これは、『無門関』における、両者を同等と見る立場が中心。でも、そのあと、道元の『正法眼蔵』「大修行」と「深信因果」の矛盾について、批判仏教を踏まえつつ論じているところが、ハイネさんらしいところ。このあたりは、以前に出版した『Dogen and the Koan Tradition』を発展させたもののようです。そしてその後に、氏の「新分野」のFolklore関係へと繋がって行くのですが、この辺りは、私の基礎知識の不足と、集中力が続かなかったこととで、氏の主張を理解しきれませんでした。申し訳ありません。


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for Undergraduate Students

The Introduction to Buddhism

By Gregory Schopen

Tue & Thr 11:00-12:15

春学期に行われていたカール・ビーレフェルト教授の「禅仏教」に替わり、秋学期は、グレゴリー・ショーペン教授による「仏教入門」の講座が開催されています。グレゴリー氏は、今年、UCLAからスタンフォードに移籍してきたばかり。つまり、この大学における最初の講義ということになります。

だからといわけではないでしょうが、担当講座は、これともう一つフレッシュマン向けの「宗教とはなにか」といったセミナーで、今学期は、学部生(Under Graduate Students)の基礎教育専門のような形です。

しかしこの講義、初めから大人気。一回目は、なんと教室に人が入りきらないありさま。それでも、登録をする学生が後を絶たず、最終的に130名もの大講義となってしまいました。これには、グレゴリー氏自身も目を丸くしており、「こんなに人数の多い講義はStrangeだ」と、仰っていました。

などと言いながら、いざふたを開けてみると、講義の進め方は、ものすごく上手です。現在は、紀元前後の仏教興起の時代を中心に、その特色を解説しているところなので、氏の専門領域に近いという利点もあるかと思いますが、それにしても、毎時間、学生に多くの質問を投げかけ、その答えを吸い上げる形で、極めてスムーズに自分の論理を解説しています。これ、ものすごい「才能」ですよね。私も、日本での講義でまねしてみようかと、必死でメモをしていますが、はてさて結果はどうなることやら。