クリニカルパス No.1

学会事務局より掲載許可をいただきました。

医療マネジメント学会雑誌2巻号 p179〜185に自分の書いた論文が掲載されてます。詳細はぜひ雑誌の方で。また学会アドレスは→こちら

ちなみに学会の方では「クリティカルパス」との名称に統一されています。自分の病院でもその呼び名だったのですが、地域の連絡会議で「クリニカルパス」との名称を使うようになり、このサイトでは両方の並記のかたちとなります。

発表原稿 要旨

「クリティカルパスの進化と功罪 −心臓カテーテル検査への導入−」

 近年我が国でも患者サービスや医療の質の向上をめざし, クリティカルパス(以下CP)が急速に普及しつつある. 我々は心臓カテーテル検査に導入していたCPに見直しを加え, 医師指示・看護記録を一体化した進化型CPを作成施行した. その評価のため半年間の使用ののち看護スタッフにアンケートを行った. また同時に患者アンケートも集計し, 両者の意識を検証した.

 患者アンケートにみる患者のCPに対する満足度は極めて高かった. CPにより検査への不安が軽減したとの意見も多く, CPが情報開示ツールとして非常に有益であることが明らかになった.

看護スタッフアンケートによると, 医師指示をCPに組み込むことについては, 指示が検査や経過に沿っているため把握しやすい等, 良好な評価であった. 看護記録の一体化とフローシートの採用についても評価は高かった. そのメリットとしては記録時間の短縮や観察項目の漏れの減少などがあげられており, まさにCPによる医療の効率化と均質化が具現化していた. だが一方で, 患者への接し方が画一的となってしまう不安等も寄せられていた. 今回, 看護記録としてフローシートの他に追加記事記載欄を設けたが, このシステムには7割を越す賛同を得た.

CPは成果医療を実行するためのものであり, その本質は効率化と合理化である. しかし効率化を求めるあまり患者個々の問題が見失われることのないよう, 細心の注意が必要である.

2001-10-1 kuu

さて、この論文のポイントは、クリニカルパスのウィークポイント(と思っている)をアンケートを用いて訴えたことにあります。どうしても『輸入もの』であるパスは、日本的な医療事情とは相容れない部分がある。これは導入当初から危惧されていたことです。

数多く開かれるセミナーや氾濫する雑誌の中では、「苦労はあるけど合理化への夢のツール」といったニュアンスで語られることの多いクリニカルパス。だけどちょっと待てよ、と。

たとえば、米国の有名な医学雑誌「Circulation」に掲載されたクリニカルパスに関する論文でも、学問的価値への疑問が論理的に展開されていました。そういったシンプルな疑問が日本の雑誌で紹介されているのをみたことがありません。

自分は決してクリニカルパスに否定的ではない。むしろ積極的に活用しています。いいことももちろんいっぱいある。ただ、そのイメージに振り回されてはいけないってこと。ちなみにアンケートを用いるのは臨床研究としてはあまりスマートではないんだけど…。

クリニカルパスに対し、ちょっとシニカルな目を向けている論文があまりないので、もしかして重宝するかもしれませんよ。論文準備されている方、是非読んでみて下さいね(笑)。

2002-1-12 kuu

    

この研究成果を元に、「医師指示・看護記録一体型パスへの進化」と題した論文を、メヂカルフレンド社の看護雑誌、看護展望2001,10月号にも掲載していただきました(vol 26, 11, p64〜73)。それは次回で。

            

これらの文章の著作権は、kuuに属します。

2002-1-19