healthy merci (1) (健康お役立ち) No.31-44

44.「あるあるの過ち」

あるある大辞典、っていうテレビ番組がどうもおしまいになるらしい。データのねつ造とか、外国教授のインタビューのテロップがでたらめ、とか、小学生でもしないでしょうって事例が満載で、まあそれも仕方ないよねって話ですが。

研究っていうのは、そんなふうに、フォーマットだけ学べばそれらしくアナウンスできるんだ。でもその精度は天と地ほども違う。それがサイエンス。有意に差が出るってことばの奥に潜むものは何か、とかさ。医学論文だって、その7割が統計の使い方が間違っているって話もある。これはデータ自体ではなく、その処理の仕方であるんだけどね。

世界には数字が氾濫しているけれど、その意味をボクらは知るべきです。たとえば、ボクらにとって、点滴500mlっていうのは、そのまま500mlなんだけど、輸液ポンプメーカーにとっては、1割くらいいいじゃん、みたいなところがあって、許容範囲が10%なんだよね。最近は少しはマシなんだけど。

自分がジェネリック薬品について懐疑的なのは、限られた時間と予算内で後発品を申請する際のデータの信頼性、それがどれだけの精度が保たれているかってことです。テレビ番組の製作会社を笑える?経済のプレッシャーがかかったときに。

「人気番組ならではのプレッシャーだった」って、それが言い訳として通るなら、お腹がすいたから万引きをしてもいいのかってことですよ。もうモラルの部分がぜんぜんアカンのです。それダメでしょうって誰もいわない世界がそこにある。

そしてそれが。あふれている。

1-24-07

     

43.「ブローグン’ハート」

ヤフーでニュースになってるので、色々調べてみた。とあるDrが匿名で患者さんの話題とかしてたんだけど、その書き方が患者軽視であったということで、病院長が謝罪した、っていう話。医療系ブログはけっこうみんな心配してた。そりゃそうですよね、明日は我が身だ。自分を含めて。

まあ読み手への配慮が足りなかった、というのは確かじゃないかな。お酒を飲んでる時に緊急呼び出しがあって、酔っぱらったまま手術だったよ、とか、当直中にカキコでーす、とかさ。ただまあ、社会面のニュースとして配信するほどのことかな、とも思う。匿名性は保たれてるし、それについて特定の個人から「これは間違いなく私のことです、守秘義務違反です!」といった声があったわけじゃないらしい。それ以外の何らかの力が働いた。だから記事になる。

ただ、ブログのもつ利便性がこの騒ぎの一助にあるんじゃないかって気もするね。自分も以前からブロガーですので思うんだけど、ブログってシステムは、トラックバックとかコメントとかが気軽で、そのため読者がみんな自分たちのサークル内であるかのような錯覚に陥りそうになる。また、基本的に日記的な側面が強くて、すべてのヒトに開かれているって意識が希薄なんだよね。

ホームページでは「アップロード」っていう作業があって、自分のパソコン内の著作物を公開する、って作業があるからさ。そこんとこはちょっと身構えるわけです、これでいいのか?って。

あとほら、Drそのものの体質っていうのもあるかもしれない。病院にこもりっぱなし、患者と接点はあってもあくまでと医師と患者という枠組みでの話。製薬会社のヒトと話をしても、それは広く市民の声を聴いたことにはならない。ごく狭い世界しかみていないんじゃないか。それが図らずも表出してしまったような気もするな。

自分はほら、文芸系サイトとかのおかげでずいぶん業界以外の友達も増えたし。ここでは患者さんやナースさん、コメディカルさんたちとも話できるしね。社会ってものを、常に意識したい。なんか変な風になってたら、指摘してやってくれー>おおる。

まあずっと言ってるんですけど、病気といかに戦い、いかに折り合いをつけていくか。そのお手伝いをするのがボクらの仕事で、そのための情報発信をするためにココやってるわけですから。

世界とどんな距離であればいいのか。それは時々、思う。

1-24-05

     

42.「ジェネリックはベストバイか?」

はいはい、だーれも書かないこの話題。ジェネリック医薬品、後発医薬品についての話。特許切れの薬品を他のメーカーがこしらえて安価で売ってるんですが、それをみんなで使いましょー、っていう偉い人たちの指導です。がんがん宣伝とかしてるでしょ?

まねっこ薬が薬として市場に出るために、審査があるんですけど、おいらのいいたいのは、その審査基準があまりにずさんでないですかってことですよ。

まずは「生物学的同等性試験」。なんかすげー検査みたいですけど、要するに、「試験の主旨に同意した健常人(20人程度)に対して先発品と後製品を常用量投与し血中濃度の推移を比較することにより、先発品との同等性を証明します。」って、あーた。

医療統計やったヒトなら、それで差を出す方が難しいことくらいわかってるでしょ?だいたいt検定を正確にやるなら25人以上、各群が。でもって最終的に使うのは健常人相手じゃなくて病人ですよ、オマケに高齢者とかちゃんと入っているのかな?そのテストに。

はいここ読んで。こことか。

http://www.sikai-web.com/generic-drugs.htm

http://www.chikennavi.net/word/seibutsugakutekil.htm

最終報告のかたちとして、数値が一部しか一般公開されてないのもなんだかなー。きちんとした実験系なら全部だしなさいってば。

もひとつの「溶出試験」にいたっては、「数種類のpHの異なる溶液の中に薬剤をいれて、基準薬(先発品)と試験薬(後発品)の溶け方を比較する試験。」って、そんなの人体とは全然違うやん。実際、血中濃度面積が先発品と後発品で大きく異なるという論文も出ているし。新潟大学さんは「先発品と後発品で生物学的に同等といえないのが2〜4割ある」っていってるし。会社によって提出した基準薬の溶け出し数値が違うっていうのも問題。基準薬のデータを再現できない実験系の何を信じろと?

自分、以前大学では基礎実験もやってたけどさー、たとえば試薬ひとつとっても、薬品会社とかロット番号とか、そういうのまでそろえて試験してました。そうでないと再現できないケースがいっぱいある。科学っていうのはそういうものです。製造会社が違うと、別の薬です。ケミカルさわってる人はみんな知ってる。

おんなじ材料使って、プロの料理人とおんなじ味ができますか?ってことですよ。どこの車のメーカーもおんなじ乗り味ですか?

それが暴論ならさー、女性の皆さんに聞くけどさ。化粧品にあんなにデリケートで、結局ブランド品買ったりするのに、実際使ってみて合う合わないってそれこそ肌で知っているのに、なんでそんな雑な試験通過しただけの毒物をざっくざく飲めちゃうわけ?

男性にしたって、ゴルフクラブとか車雑誌の比較ものとか大好きなのに、なんでお薬が素通りなん?ってことですよ。

おいらのいいたいのは、クスリは毒であり、その毒を安易な試験で認定するなってことです。よいものは世界に出てくるだろう。もう到達している企業もあるよ、だけどそうでないところもいっぱいあるんじゃないか。少なくとも現在されている認定のシステムではすべての後発品を先発品と同等とは言いがたいというのが持論。

怒っちゃう後発品メーカーもいるだろうけど、でも、自分たちじゃないメーカーが、後発品ばーっと作ってすぐ撤退とか、市販後調査逃れのための目くらまし的なやり口してるの知ってるでしょ?そゆうのもふるいにかけてからモノゆって下さい。業界として。

「ジェネリック薬は違う製造ラインで作ってて、不純物(夾雑物っていってる)も先発品に較べて0.1%多いけど(本当)、体内濃度曲線面積も時々違うけど(本当)、とりあえず人体に悪影響はなさそうだし(先発品がそうだからゆるしてちょ)、とにかく5%〜20%お値段安いし、それ使うと病院側に処方箋1枚あたり20円多く上げちゃうからね(本当)、薬局にも20円多く上げちゃう(本当)、一般名で書いたらさらに100円進呈しちゃうよん(本当)」って。

「そーやってインセンティブつけても、結局国家財政的には支出が少なくなるので是非使って欲しいなーって思ってるの」、とゆうことをそのまんま情報開示してほしいなってことです。それで困るようならジェネリック薬品の浸透はまだまだ先でいいんじゃないか。

アメリカFDAが後発品の同等試験に60億円か何か毎年かけてるのをもちろん知ってますよね、それだけの努力で浸透に15年かかった。だからがんばってくださいよってことです。でしょう?

「‥なんか手っ取り早く浸透させたいから都合の悪そうなデータはあんまし情報開示したくないなーどうせ国民なんてわかってないし医療費は高いのはけしからんって思ってるからこの話絶対乗ってくるよね簡単簡単、あ、これは内輪の話ですから」って聞こえてしまうんですけど、空耳ですわなきっと(笑)。

さーみなさん、医療費削減と家計の保護のため、医療機関では「ジェネリック薬品にしてください」っていいましょう!いえ、ココロからゆってますって(笑)。

10-13-04

    

41.「ご近所の底力にみる難問度」

まあ医療ネタだったンでビデオ撮ってみてみたんですが>NHK。それよか誰かボクにDVD買って下さい(笑)。

「かかりつけ医がほしい」ってタイトル。ちょうど別ネタ書いてたもんでタイムリーだな−とか思って。結果は、か〜な〜り〜、脱力でしたね。

岩手県花巻市で2年後に総合病院の閉鎖が決定、4年後には他の総合病院も閉鎖とのこと。で、かかりつけ医がなくなってしまうお困りご近所がスタジオに集結、そこで3組のタレントさんが解決策を紹介するっていう企画なんですが。

(1)電子カルテで地域開業医がネットワークをつくり情報を共有化した地域を紹介、これで医院や病院がなくなったとしても安心。

(2)テレビ電話を持った看護師が往診、在宅で診療を行っている地域を紹介。

(3)地域住民が公民館を提供し、独自に診療所を開設した例を紹介。

とまあ、それぞれの地域は悪条件を乗り越えるためにすごい工夫だと思うし、いいことだと思うんだけどさ。

問題は別のとこでしょ?「東北地方など医師不足が深刻な地域では病院の閉鎖もおこっている、どうやら研修医システムが変わったためらしい」ってゆうけど、あんたら何勉強してるの?病院減らしは厚生労働省の政策じゃんかー!!!!!!病床数半減が日本の医療の進む道ってはっきしゆってるじゃんか!!がおー!!!

そんなことするから人口の遍在が起こるでしょ?過疎問題と過密問題どんどん出る。国民はどこに住んでも等しく福祉を受けられるようにすべきです。ましれやこんな超老齢国家。

病院をつぶしたらあかんのですよ。医療の原点は福祉であって公共財。ただのビジネスチャンスだけではないはずです。道路作るなら病院守れ!社会保険庁はマッサージ器を全部返品しろ!あほー!!!

7-24-04

      

40.「酸素0.3%の攻防」

昨年あたりから酸素商法が活発化していますね。酸素エアコン、酸素空気清浄器、まそのうち酸素扇風機とか酸素テレビとか酸素マウスとか酸素携帯とか出てくるんでしょうけど、それはそれぞれの頑張りにおまかせして。

でまあ、濃度20.5-20.7%の低酸素空気を吸入すると、濃度21%の通常濃度の酸素を吸入した場合よりも計算能力が低下している、と。だから酸素吸入製品ってとても素敵!って広告がでてるんですが、うーんって感じですねー。

0.3%で何が変わるのか?って突っ込みはこの際ナシにして、やっぱりこの研究を仕上げるためにはボランティアの皆さんの血中酸素分圧が必要になります。0.3%の空気中の酸素濃度の差が体内環境にどんなふうに影響するのか?この立証は難しいよー。実は酸素分圧はかなり厳格にコントロールされていて、少々低酸素であっても体内動態は変化しないですから。

だから、酸素濃度0.3%アップの環境では、たとえばアレルゲンが少なかったとか、香りがあーたらとか、他の因子を厳密にチェックしないとね。ま、同業者ならみんな知ってることですが。

もひとつ。もしも御自宅に酸素チャ−ジャーをセットして、お仕事/お勉強効率が上がったとしますね。すると数週間か数カ月かで身体は高酸素状態に順応する。で、会社/学校にいきますと、そこはふだん通りの人ごみで、低酸素なわけでしょう?そこで実力を発揮できない身体になってしまわないですか?

テレビCMでほら、アスリートたちが酸素吸いながら走ってるでしょ?あれは正しい。そうやれば記録は伸びる。でも本番で出来ないから、高地合宿とかの低酸素状態でトレーニングするわけで。

だから御自宅を酸素バーにしてもいいけど、一歩外に出れば単なるヨレヨレ状態、みたいにならないとは限らないよね。てゆうか、理論的にはそうじゃん。

いやー世の中には不思議がいっぱい。マイナスイオン化粧品とおんなじくらい不思議です。

2-22-04

         

39.「救心とトリカブト」

先日看護学校の授業で強心剤の一つ、ジギタリスを紹介したんですけど、どーもようわからん、ってことで、ちょっと調べものしたので御報告です。

1)救心はジギタリスではない。

生薬系強心剤、救心にはこの成分入ってるのかと思ったんだけど、違いました。救心に入っているのはステロイド系強心成分、センソです。ヒキガエルの毒腺の分泌物ですとさ(おぇ)。

2)ジャコウとマスクメロン。

救心にはこのセンソのほか、ジャコウなどの成分が。ジャコウはジャコウ鹿の分泌物である(うひゃ)一種の興奮剤で、救心の効能のひとつである「きつけ」はこのおかげかも。生薬にはこういった覚醒作用の成分が含まれることが多いんだけど、みんな気付いてないんだろうな−。ちなみにジャコウは英語でマスク(musk)。マスクメロンの名前の由来です。どちらも独特の芳香があるからです。

3)附子とブス。

救心にはトリカブトが入っている、との記述も一部にあったんですが、これはどうも勘違いみたい。トリカブトは生薬では附子(ぶし)とよばれ、神経遮断作用があります。大量摂取では中毒となり死亡することもあり、植物界最強の毒物とも言われています。中毒初期では感情鈍麻が起こり、表情がなくなります。ここから「ぶすっとする」との表現が生まれ、「ブス」との単語もこれが由来。ブスってもともとは美醜とは関係ないんですね。かなりへぇ〜、でしょうか(笑)。

  *  *  *  *  *  *  *  *  *  * 

ジギタリスの勉強をするつもりが、ちょっと文学系トリビアになってしまいました。ちなみにもっとすごい発見は、トリカブトの花言葉。<人ぎらい人ぎらい>だそうですよ。10月16日の誕生花らしいです。大当たりのヒト、あきらめてください(笑)。

12-28-03

     

38.「I am a teacher.」

この12月からとある看護学校で循環器の臨床講議やってます。1回2時間で5コマ分。えー相手は1年生81人。最初どおなることかと思った(笑)。

これがけっこう面白いですね、生徒さんたちのリアクションが予想つかない。えーこんなので受けるの?とか、これけっこういいだろ、とか思っても全然反応なかったり(笑)。スライドはまあ、色々工夫してますので、乞う御期待ですよん。

でも名前と顔が一致しないねー。まあ当てたりしないのでしょーがないけど。時間が余ったりしたらやろうかとか思うンだけど、毎回いっぱいいっぱいで。本物のセンセーとかはやっぱすごい。ほんと、生徒さん全員自己紹介して欲しいよ。

提出してもらった質問・感想プリントでは「面白かったです!」「誰も寝てないのは奇跡的です!」とかあったので、まあなんとか出来てるみたい。授業中の質問も新鮮ですね、はっとすることも多いし。彼ら彼女らに理解できなかったら、そりゃ患者さんも理解不能ってことだから。

あせったのは2回目の授業。コンピュータのトラブルで、スライドでなくって。しゃーないのでプリントとしゃべりだけでなんとかかんとか。あとでおそるおそる感想プリント読んだンだけど、「…先生はスライドなしでもよくがんばっていたと思う☆」とかあって、思わず椅子から落ちそうになりました。続けて「ちょっとカミカミだったけど(笑)」って、て、てめー(笑)。

12-21-03

         

37.「精度の高いパスを出す」

心臓エコー検査ってゆうのもやってるんですが、自分。なにしろ中規模病院の悲しさで、検査技師さんと分担して。

で、人間ドッグの再検査って方も来られるんですよね。心電図異常がありました、だから2次検査へって。この人たちがみんな半信半疑っていうか、キツネにつままれたみたいな感じなんですねー。つまり、何故2次検査が必要なのかがうまく飲み込めていない。そりゃそうでしょう。

確かにね、ドッグ所見には至れり尽せりの説明がある。『心電図で見られる異常Q波は心筋梗塞の可能性を否定できません。循環器内科を受診し心エコーによる精密検査をお受け下さい』とか、『心電図で見られる高電位は心肥大の可能性があります。循環器内科を…』とか。いやそれはほとんどパーフェクトの説明なんですけど(てゆうか自分がうちの病院のドッグ用に書いたんですが(笑))。

ただその所見欄にある「異常Q波」だの「高電位」だの「陰性T波」だの「左脚ブロック」だの、その意味も重要度の順列もたぶんさっぱりわかんないと思うわけです。

だからまあ、その場で手短かには説明するんですけど。心電図が心臓のわずかな電気活動を記録していること。たとえば高電位は、波の振れ幅が大きい時にそう呼ぶこと。これは心臓の電気力が強いことを疑わせること。心臓の壁が厚いと、電気力が強くて高電位となりやすいこと。ただし体格などの影響も受け、ヤセ体系では高電位となりやすいことなど。

そおなんですか、ありがとうございます!と、皆さん笑顔で納得されてるんですけど、たぶんまた忘れちゃうんですけどね(笑)。それはそれでいいんです。ただ、医療にはきちんとした理由、整合性があるんですよって、そのことがほんの少しでもいいから伝わればいいなあ、と。

診断というパスを前線に送り込み、理解というゴールが患者さん自らの右足から生まれますように。精度の高いパスを出し続けるのは、ボクらのお仕事。

11-2-03

     

36.「センセイという呼称」

こんなん書いてる場合じゃないんだけどな…ちょっとウサ晴らしに(笑)。

えーっと。ボクらは仕事場でセンセイと呼ばれることが多いんだけど、これは基本的に知識に対する敬称であって、でもそれだったら八百屋のおじちゃんもタクシーの運転手さんもデパートの受付のおねーさんだってみんなみんなセンセイであるべきなのに、ごく限られた職種たとえば教師、弁護士、最近は政治家も?あとはベストセラー作家とかだけが甘受できる呼称、なんですよね。この呼称に惑わされて自分は偉いのダ、みたいになってる勘違い野郎とか多いけどなー。いいけどね。

研修医が天狗ちゃんになっていくのはこのあたりも問題だろうなあ。あと、教育かな。ひとまず2003年本日現在で、医学部の偏差値ってまだ高い部類なんでしょ?そうすると医学部に入ってくるやつは学校で塾で割とちやほやされちゃったりするんでしょう?そりゃ態度もデカくなるでしょーよ。きちんとしたヒトとの接し方を教わらないまま社会に出て年老いてゆく。これがいかんと思うわけですね。

んでもっていきなし「君らはシモベ」「君らはサービス業」とか言われておじぎの角度がナットランとか、そゆ感じなわけで困窮する。そりゃそうだわな。そこで自省するか開き直るかはこれまた個人の資質に戻っていくわけだけど。

この場合の教育って、学校だけではなく家庭も社会も含まれるんだけどね。いろんな勘違いが蔓延してるみたいだけど、しつけなんて小学校中学校の仕事じゃないですよ、そりゃ社会全体とやっぱし家庭でしょう。じーちゃんばーちゃんあにイモウトとーちゃんかーちゃんぽちたまぴーちゃんみんなみんな含めて家庭。みんなみんな含めて家族。

そこなんとかしようよ。きちんと責任があるですよ。子供に権利?あるよあるけど自由もあげるけど全部許すけどそのかわり義務も果たそうよ。社会はそれを支援しようよ。そのあたりをちょっと危惧しますね。

なんでこんなこと書いてるのかっていうととある事情でガッコウというものに行ってきたからです。続く。

10-12-03

     

35.「突撃!酸素バー潜入ルポ」

東京で話題の酸素バーが我が街に上陸!これは自ら体験するしかあるまい、ということでスタッフを拝み倒して一緒に出かけてきました。

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我々ルポ隊3名は台風直撃の夕方、とあるショップの前に集合。どうも店の奥のエレベーターからしかアクセスできないらしい。隊員A「なんかあやしいですよ」、隊員B「はいったら出れないとか」、「悪いけど君ら先にいってくれる?」隊長はあくまで弱気。

ともかく3階の健康食品フロアへ。広告でしか見たことのない「やせるイオン水」の類いをしり目に奥へ奥へ。おおっ、これか・・。売り場の一画がオープンカフェのように仕切ってあり、確かにそれっぽい雰囲気。でもフロアが明るいのでバーというよりはデパ地下の軽食コーナーみたい。余計なお世話か。

半円形のカウンターに並ぶのは10席ほど。席の前にはそれぞれアロマ発生機が置かれています。4本の透明シリンジにそれぞれ着色された液体が入っていて、そこを酸素が通過する際にお好みの香りがつく仕組み。香りはハーブ系やフルーツ系など約10種類で、好きなものを選べます。

香りのついた酸素は鼻につけたチューブで吸入します。これは初回に購入し(300円)、持ち帰ってもいいし、店内にキープすることも出来ます。このあたりが「バー」の呼称のゆえんでしょう。お値段は時間制で10分間の吸入で500円、30分で1400円ほどだったでしょうか。ひとまず自分は心身共にリラックスできるという「ユーカリの香り」をトライ。「せんせーお疲れなんですね・・」と隊員B。ほっといてくれ(笑)。

店の前でオドオドしてると店員のおねーさんに色々説明されてしまった。あのー、しろうとさんじゃないんですが一応。「この活性水素水はサービスです!是非お試しになってください!美容と健康にとってもいいんですよォ!」、はいはい科学的にぜんぜん根拠ないやつですねー、いいんだけど。

さて、病院では見たことがないみどりとピンクとバイオレットの鼻チューブからひとつを選び、慣れない手つきで(知ってるけど)つけてみるとかなりまぬけです。隊員Aに向かって「お前ータヌキみたいだぜ?」と、相変わらず余計なことを口走る隊長。明日からの業務にさしつかえます。

店員のおねーさんが酸素供給機のスイッチをオン!すると複雑怪奇な匂いが鼻腔にいきなり侵入してきました。「うわっ!」ひるむ隊長。「あ、それは4つの匂いが混じってますねー」とおねーさんの涼しい顔。早く言えよ。10分間、携帯で写真撮ったりパンフを読んだりして時間をつぶすルポ隊。いかにもな説明が居並ぶ中、「すべての病気の原因は酸素不足が原因である(野口英世博士)」とな?野口せんせーも浮かばれません。

さて、その効果の程は?隊員A「鼻がスースーしました(笑)」、隊員B「友達誘って来てもいいですか?面白いから」、そして隊長「あのー何の効果もないんですけど(笑)」。むしろ興味は先客だったカッターシャツのオヤジ。「だって1人で来てるんですよ!」「いいじゃん人それぞれなんだから」「あの人常連サンなんでしょうか?」「さー」「でも活性水素水おかわりしてました!」「あはは」。

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さて、うたい文句によると、高濃度の酸素をとることで、リフレッシュ、リラックス、疲労感がとれるというメンタル的な効果があるそうです。脳波を用いた研究報告もされているようです(ただ個人的にはちょっと疑問のある実験系ですが)。ただ、一時的な酸素吸入が疲労の長期回復につながるとは考えにくいし、高濃度の酸素吸入は毒性のある酸素(活性酸素)を増加させる、というデータもある。低酸素に陥ったスポーツ選手ならともかく、通常の生活ではあまり期待できないと思うんですが。

最近では酸素を増やす機能がついたエアコンとかもあるようですね。ですが閉めきった室内で問題になるのはむしろ一酸化炭素や二酸化炭素の増加です。定期的な換気をお忘れなく。

社内報用に固めの文章も書きました。それは→こちら。まあ1000字程度に縮小しないといけないし。

8-3-03

      

34.「Dr.コトーと妻夫木クンと」

くしくもコミックを原作とした医療系ドラマが続いてますね。前クールでは、妻夫木クン主演の「ブラックジャックによろしく」。そして今やっているのは「北の国から」の純役、吉岡クン主演の「Dr.コトー診療所」。

極論を言っていいなら、医療系ドラマとしてはDr.コトーの方が圧倒的に出来がいいなー。うちの看護スタッフも口々に「吉岡クンの方が面白ーい」とかゆってるし。

妻夫木クンは駆け出しの大学病院研修医。そこでヒューマニズムに突っ走ってトラブルを起こしながらも成長するってストーリ。一方吉岡クンも駆け出しだけど過疎の島で診療所をきりもりし、そこで起こる様々なドラマ。

一見よく似てるようだけど、目指すところが全然違う。妻夫木クンは、結局システムと戦ってるわけです。大学病院という、ね。先日コミック新刊の宣伝が新聞にのってたけど、推薦書いてたのは鳥越俊太郎、森本毅郎、立花隆、田原総一朗とそうそうたる顔ぶれ。つまり「医療というシステム」に興味のある人に響くストーリなのかもしれないな。日本の医学界はこんなふうに歪んでる、こんなふうに矛盾がある、それに切り込んでいくとはすばらしいじゃないか、って。

でもそれはね、システム。政治とか流通とかとおんなじ。湾岸署でキャリアとノンキャリが激突するように、どの世界にもシステムにはほころびがある。それと戦うことも有意義だけど、システムはあくまでも「便宜」でしかないからね。だから妻夫木クンのドラマの舞台がアメリカなら、ストーリは成立しない。だってシステムが違うから。

ま、原作のコミックの方はもう少し違う葛藤があるので面白いんだけど、それはいずれ。

一方、吉岡クンの方は、そりゃ学問的に破綻もあるんだけど、医療の本質をうまく突いてるんじゃないかな。医療は、「健康を損ねた人のとりうるいくつかの選択肢」でしかないってこと。正解なんてどこにもない。それをよく描いてるって思う。

妻夫木クンは大学病院の外科医の腕が悪いと聞いて、「日本の名医」っていう雑誌を握りしめて片っ端から電話をしていた。それ違うでしょ?そんな雑誌嘘っぱちじゃん。それよか口コミで腕の立つ医者とかわかるんだから、そっちに正式にアプローチをすればいい。自分が動いてトラブルになるなら、患者さんにゆってもらえばいいんだ。今どき患者の意向を無視した手術なんてあり得ないんだから。システムと戦うことに夢中になって、患者さんをいかに救うかってことがなおざりになってる気がする。それは実はこの国の特徴でもあるんだけどね。

吉岡クン、前々回で切迫流産の患者さんをヘリ搬送したんだけど、これは賢明だった。御都合主義的な展開でもそれでもいいよ。がんばっている人たちに幸福は舞い降りて欲しいじゃないですか。それを夢物語とか現実離れとか言う人もいるだろうけど、それは違うと思う。

医療は、科学。だけど数%はほとんど祈りと一緒なんです。システムも大事だけど、そゆ無形のものも大切だってこと。その部分を手探りしている印象がありますね。まあドラマなので今後変わっていくのかもしれないけど、是非頑張って欲しいなー。

ちなみに柴崎コウさん、彼女の突っ込みはかなりリアリティあるね。あー似たような場面あったな−、と思い浮かぶスタッフがチラホラ(笑)。

8-3-03

      

33.「サイエンティストの見る夢は」

今日はサイエンスと物語が遠くないって話でも。数年間の臨床研修が終わった後、研究室でリサーチ(研究)をするっていうのがボクらの大学の流儀だったわけです。そのシステムにのっとって大学に戻った時の自分は、研究者としてはずぶのシロウト。で、先輩に言われるがままに英語論文を読みあさる日々なのですが。

その中で強烈に覚えているのは、高血圧研究の当時世界的権威であるDrの論文。食塩と高血圧の関係について論じたもので、塩分摂取が多いと血圧は高くなるのだけれど、その程度はアメリカでは白人よりも黒人が強い。これはいったいどうしたことだろう、と。

その理由は「奴隷船」のせいかもしれないって書いてあるんですよね。一流の医学誌に、一流のDrが。正直、はああ?って感じで。

どうやら、こういう意味です。アメリカに住む黒人は、元来奴隷船に詰め込まれ、アフリカから無理矢理連れてこられた人たちだ。蒸し風呂のような船底、汗でどんどん失われるミネラルと水分。その過酷な環境の中で命を落とす人も多くいた。その中で生き延びられたのは、体質として塩分を身体に保持し、血圧を維持する能力を持った人たちである。だから今、アメリカに住む黒人(African-American、アフリカ系アメリカ人と呼ばれます)はみんな塩分保持能力が強く、食塩で血圧も上がりやすいのだ、と。

それってまるっきり推測なんだけど、妙に説得力があったりして。つまり、サイエンスというものは、ただわかったことを並べるんじゃなくて、その理由を、背景を、あらゆる知識と可能性を駆使して探っていくプロセスなんだなあ、と。

間違ってるかもしれないけど、まず考えよう。その態度から、たとえば青カビからペニシリンは発見されたし、シックハウス症候群の原因が新建材の出す化学物質ってことがわかったのも、最近のこと。まさかと思ったところに、解決のヒントはある。

わからないから、考える。そういった意味で、やはりボクらはサイエンティストのはしくれだなあと思いますね。ノーベル科学賞はもらえなくても(笑)。

7-13-03

     

32.「わがままなキミとボク」

ひとまずさー、お薬って、毒なんですよ。これを間違えてるヒト多いんじゃないでしょうか。どんな薬もね。漢方薬でも風邪薬でも。それだけのリスクを負うということ。

たとえば株を売買するのに、絶対に儲かるとか信じてるヒトいないでしょう?たぶんそれとおんなじくらい、結果は不確定なんです。内科医がゆっちゃまずいか(笑)。

それが恐くて薬を出さないってDrもいるんじゃないかな。自然治癒力を信じてあげて下サイ、とかなんとか。でもそれは違うと思う。Drにとって一番リスクの少ないのは、何もしないということ。そうすれば、自分は悪くない。全部病気のせいになるから。

それはボクらの仕事じゃないんですよ。予言者さんの領分。

やっぱニンゲンはワガママですから。欲望とエゴイズムの混合体だから。痛みは少ない方がいいし、すたすた歩ける方がいい。そこに付け込むいろんな商売だってあるでしょう?アヤシゲな電気治療機に30万円とか出しちゃったりするわけじゃないですか。

薬を飲むということは、リスクを負うことです。なぜリスクを負うのかといわれれば、自分自身のヨクボウ、すたすた歩きたい、痛みから解放されたい、脳卒中で寝たきりはイヤだ…そういった希望をかなえるたいがためだと思うんですね。そのお手伝いをすることが、ボクらのお仕事。

最も危険が少なくて、もっとも効果の高い方法を指し示し、共に一歩を踏み出すこと。交通事故が恐くて外に出ないのもひとつの見識ですけど、やっぱり外の空気吸いましょうよ、気分いいですよってドアを開けて道路で待っている、そんな感じ。

梅雨の晴れ間の、朝。

7-8-03

      

31.「混合診療と院内発砲」

あーなんだかひどいニュースだね>院内発砲での殺人事件。詳しいことはまだわかんないけど、病人扱いしてくれなかったとかいうのが犯人の動機?はああ。

ちょうど時を同じくした混合診療のニュース。これがタイムリーでした。混合診療っていうのは、セイフが認めてない医療でも病院で受けてもいいってこと。欧米の先進医療が簡単に受けられますよ−、患者さん嬉しいっしょ?その場合は病院が自由にお値段つけていいですよ、ほらほら病院さんも儲かりまっせーって。さ、どおです?なんかよさげですか?

そりゃ甘いって。

そのうち保険でできる診療範囲が狭くなるのは目に見えてる。たとえば、予防医学は個人の健康管理だから自分で払え、とかね。患者の出費は増える一方だ。だって国庫支出を減らすのが目的なんだもん。そんなことくらいサルでもわかるって。すると、お金持ちしか医療は受けられないシステムになるんだよ?それでもいい?

院内発砲の元組長は自殺を図ったらしいやん。ニンゲン、切羽詰まったらあとはどうだっていいんだよ。

もしもアナタがね、その日の生活にも困るくらいにお金がなくて、で、ばーって血でも吐いたらどうします?病院にいっても収入証明できず、診療を受けられなかったら、平穏な気持ちでにこにこおうちに帰れますか?つまりね、そゆ世界になるってことです。貧しい人は病気になったらアウト。それで社会秩序はどうなると思う?

今50代のヒトタチの自殺って、どのくらいか知ってますか?リストラと不景気でこれですよ。その上、医療という後ろ楯を失くした世界。

そんな明日へ。ヨウコソ。

3-1-03