独身S氏の挑戦!−茶碗蒸し− 2000.春 |
友人のS氏は独身、優しくて穏和な45歳です。 ひとりで航海計器の販売、操作指導、メンテナンスの仕事をしています。ラグビーをやっていたのでがっしりした体格です。お酒やお肉が大好き。となれば心配なのは成人病。 彼が鹿児島に遊びに来たのでみんなで指宿の砂蒸し温泉に行きました。そこに設置された無料血圧計を試してみてびっくり。S氏だけ、血圧が高いばかりか心拍数まで私が運動している時のような状態なのです。始終汗をかいています。さあ、大変! 「お酒は飲まない方がいい」とか「いや、まずダイエットだ」、「飲まないように趣味を持つのはどう?」「ラグビーやめたからじゃない?」「最近車で通勤しているんだって!?」「ひとりで暮らして居たら倒れても誰も気づかないよ」などなど。よってたかって生活指導です。 結局、仕事の帰りに居酒屋へ寄らず、とりあえず「まともなものを食べる」という順当な結論に至りました。釣りが好きなので料理は苦手ではないようですが、いくつかのレシピを説明し、東京へ帰って行きました。 後日、連絡が来ました。「茶碗蒸しが固まらない」と言うのです。 「えっ???」 「料亭へ出すわけじゃないのだから卵が残っていたらお吸い物代わりに作ってみれば?」と勧めたのは私です。計量カップも何も使いませんが固まらなかったことはありません。だって間違えようがないのです。例え舌触りが多少ザラザラしていたって食べられないことは無いし、ギンナンなんか無くたって良いのです。私は、シメジだけとかカマボコだけ、なんていうのも食べています。結構いけます。 鰹節のダシに塩とほんの少しのミリンとしょうゆ。さめたら溶き卵を加えて、出来れば茶こしか何かで漉して、好みの具を入れた茶碗に注いで蒸すだけ。火が強いと「す」が出来ますが固まらないことはありません。調味料で味は変わりますが固まらないってことは・・・(^_^;) う〜ん、おかしい。変だ。固まらないっていう位だからダシに対して卵が少なかったとしか考えられない。でもダシは500CCくらいだって言ってた。私はその分量だと卵を1個しか使わない。堅いよりなめらかな方が美味しいもの。 2個入れても固まらない???そ、そんなぁ・・・。 ダシの量、卵の量、調味料、混ぜた状態、何度聞いても正しいのです。「それを何に入れたの?」「湯飲み茶碗。」よろしい、よろしい。 「蒸し器、持ってないんだよね。」「鍋に水張ってアルミフォイルで蓋した。」至って正しい。 私も諦めないタチなもので、直接会ったとき、もう一度聞きました。 ふんふん、それで? 「?」 「もう一度説明してくれる?」 「だから、水を入れた鍋にアルミフォイルで蓋した茶碗を入れるでしょ。」 「何に蓋をするって?」 「茶碗。」 「それで?」 「ガスコンロに火をつける」 「鍋の蓋は?」 「えっ?、しない」 彼は鍋に蓋をせず、茶碗に蓋をしていたのです。 それじゃあ、台所が蒸せても茶碗蒸しは蒸せませんよ、ねぇ。 |
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