羊さんケニヤで毛糸ができる!? 1998 秋 



前略

 
鹿児島もやっと秋になり、編み物の季節がやってきました。
去年東京で購入し持ち越した、まるでうどんのようなオフホワイトの毛糸を基調にデザインした、旗とヨットと灯台それに波のジャケットは身頃が出来あがり、袖を残すだけとなりました。

 
そろそろ次に編むものを考える楽しい時期です。

 
去年も探し回ったのですが、暖かい鹿児島では太めの毛糸は売っていません。機械で編んだようなものではなく、いかにも手編みの風合いのあるものを作りたい私としては欲求不満が残ります。それに加え、今年の毛糸業界の動向はより細い毛糸の販売に力を入れているようで去年まで発売されていた太めの毛糸のシリーズも姿を消してしまいました。

 
そんな時、無料配布紙に面白いものを見つけました。
ご主人の仕事でケニアの首都ナイロビに3年ほど住んでいた女性が、現地でスラム街女性の自立を助けるために洋裁や紡績のボランティアをしており、日本に帰ってからもケニアの女性から贈られたセーターをきっかけに活動を始めたというのです。

 
そのセーターの毛糸は手作りで決して良いものとは言えなかったけれど何とか4年がかりで品質改良し、毛糸の販売にこぎつけたそうです。東京で始めた活動は再びご主人の転勤で鹿児島に移ったとのこと。

 
あまりにアバウトで製品とは言えないかもしれないとの記事に惹かれ、さっそく職員住宅の自宅にお邪魔しました。ちょうど現地で毛糸を作っているビデオがあり見せて頂きました。これが面白い!!

 
現地の女性達はその辺に生えている草を摘んでくる。中には日常食べているものも多く、当然野生。それらを適当に、本当に適当にバケツに投げ入れ、お湯を注ぎ、これまた私が紅茶を入れるのとまったく同じ大きさの茶漉しで漉す。バケツも家庭用。 どれか工夫すれば楽できるのにって感じ。

 
羊(イギリス領だそうでたくさん居るらしい。)から刈った毛はブラシのようなものでこすり、手動の糸紡ぎ機で赤ちゃんを抱きながら紡ぐ。で先ほどのバケツに漬けて染めるのです。

 
色はとりあえず8色だそうなのですが、大笑い。サバンナグリーンと名づけられたそのグリーン系の1色は私がどう見ても4色はある。だって黄緑もモスグリーンも現地の人からすればどうやら同じ色らしい。つまり同じ草で染めたってこと。この夏、彼女はケニアに行き、ずいぶん品種改良が進んだようですが、草の、量ばかりではなく収穫時期によっても色が違ってしまうというのには驚き。

 50グラム一玉で10個買ってセーターを編もうとする。サバンナグリーンで。でも10個の中には黄緑も緑も深緑だってある。販売する時には苦労して同じような色をまとめて売るそうですがそれは外見の話。一玉を途中まで編むと色が変わるなんてことはざらにあるそうです。購入したベテランの方達は市販の極細の毛糸と2本合わせて編んだりさまざまな工夫をされるらしい。色が変化するのも風合いのうちです。ははは

 色だけではありません。太さ、これがまためちゃくちゃ。7号針くらいかななんて思っているとミシン糸のように細い部分もある。

 これら全部が風合いで済む人には最高です。毎年3月に注文して到着は秋というこれまたアバウトな購入方法ですが、めったに無い糸が50グラム400円前後は安いと思う。送料の方が高いらしい。コンテナなどがないので入手できる限りの各種のダンボールで日本に到着するとのこと。日本で売られている草木染めの毛糸はそりゃあもう、目の玉が飛び出るほど高いんだから。

 染色は素手で行われるため、通常使われる化学薬品や金属も使っていない。塩か酢などで代用しているそうです。薬品を使っていないので完全な油抜きもされておらず、ずっと編んでいると手が汚れてくるとか・・・。ふつうのウールのセーターと一緒にしまっておくとこれだけ虫に食われるそうです。虫の方が本物を見極められるってことでしょうか。

 昔海で着られていたフィッシャーマンズセーターやご存じカウチンセーターは防水性のため油抜きされていない糸を使っていたようですがそんなものはめったに市販されていません。油抜きが十分じゃない?!結構、結構。来年の発注が待ちきれず余り毛糸を頂いてきてしまいました。

 近日中に、春に発注した分の配布のお手伝いをする約束をし、ラグなどを織るための極太の毛糸の見本を見て「これで編みたいです。」と言ったらあなたで二人目だ、と言われました。今回、鹿児島での購入者は14,5名だそうで自分では編み物をしない彼女は、来年から作品展をやりたいそうです。楽しそうでしょ。

 あ〜あ、流れ星は曇って見えませんでしたねぇ。
そちらはいかがでしたか?
                                    草々


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