| 初めての色の話 2000.6 |
| また、新しい体験をしてしまった。 「カラー診断」なるものを受けたのだ。 知り合いの、とっても素敵な女性の肩書きは聞いたこともない「カラーアナリスト」と言うものだった。 今までこう言った類いのアドバイスは受けたことがない。「紺が似合う」と言われれば「紺なら誰だって似合うでしょ」と思ったし、夏場真っ黒に日焼けするからパステル色は始めから諦めている。一歩間違えればまとめて化粧品などを買わされるのではないかという懸念もあった。 だいたいそんなものはファッションを追うような、別世界の人たちの話だと思っていた。化粧すらろくにしない私には無縁だった。そもそも色彩的センスに全く自信が無かったのも理由だ。それでも受けたのはその知り合いがあまりにも素敵な女性だったからだ。 まず、赤が似合うか、青が似合うかという話ではなく、どんな赤が似合うか、と言うことだった。 ABCDと4つのパターンがある。その4つのどのパターンの色が似合うか、という診断だった。青みの強いA・Bタイプと、黄色っぽい、アースカラーのようなC・Dタイプ。A・Cがそれぞれはっきりしている色調でB・Dは優しい色合い。一枚ずつ、自然光の下で顔の下に色の付いた布を当てる。髪の色、目の色、肌の色などが決め手となる。同じ布でも人によって全く違って見える。面白い。顔色が悪く見えたりしわが目立ったりするのだそうだ。これなら役に立ちそうだ。 分類しきれないときはその人の性格にもよるのだという。性格からかどうかは不明だが、私は、青みが強くはっきりした色合いのAタイプだと診断された。Aタイプの色見本には8色の基本色と、他に22色。同じ、赤でも青でもこの中の色同士を組み合わせるとなるほどぴったりくる。Aタイプの赤と他のタイプの青を組み合わせるとどこかおかしい。絶対に合わないと思っていた色同士でもおかしくない。なるほど。 一緒に診断を受けた友人はBタイプ。Aより少し優しい感じの色合いだった。そこで思い当たる。友人は貰い物の白いシャツを長いことしまい込んでいたのだ。どうして着ないの、と無理に着せたところやっぱりどこかおかしい。白が似合わない人が居るなんて思ってもいなかったのでデザインのせいにしていた。友人は漂白したような白ではなく、自然な、生成のような白が似合うのだと言うことだった。Bタイプの人にとって白は白過ぎ、生成を着ていても充分白く見えるのだという。 だんだん面白くなってくる。人には好きな色と似合う色があるのだ。貧乏性の私は、「あなたは茶色は似合いません」と言われて着る服が少なくなることを恐れてもいたが、そうではなかった。要はTPOなのだ。デートなど「ここ一番」の時に自分に似合う色を知っておくのは大変に価値がある。色にはそれぞれ特徴があり、例えば茶色が似合わなかったとしてもリラックスする色なのだそうで、「今日は何もないし、疲れた。」などと言うときは着れば良いとのことだった。似合うと思えば着こなしにも自信が出るし、あまり似合わないのであればそれなりの工夫もできる。 「じゃあ、ヨットチームのユニフォームは何色にすれば良いの?」と聞いてみた。これはどう見せたいかによるらしい。赤を選べば「元気なチーム」という印象を与えることができ、青だったら「清潔」とか「まじめ」な印象なのだという。強そうに見せたければ黒だと勧められた。もちろんこれは何もヨットチームのユニフォームに限ったことではない。「元気な赤」を元気ではないときに無理に着た場合、来ている本人が疲れるばかりでなく、相手は元気ではない反応を感じて拍子抜けしたり、「あ−あの赤い服の人」と服ばかりが目立ってしまうそうだ。反対に会社の会議など、相手にわかってもらいたい時には多少無理をしても、それなりの服装をする必要がある。リクルートスーツなどがその最たる物のようだ。「私はまじめによく働きますよ」というアピールをしなければならない。くれぐれも見透かされないように気を付けよう。 やはり、服自体はたいしたことないけれどぴったり似合う、と言うものを着たい。それは色ではなく着る人のスタイルとどれだけお金をかけるかによるものだと長年信じてきた私の目からウロコが次々とはがれ落ちた。 こうやって考えていくと、新しく買わなくても「タンスのこやし」となっていた服が活用できることが判ってくる。「このスーツには白のブラウス」と自分の中で決めていたオキテが崩れて色を楽しめるようになるかも知れない。同じ買うにしてもブランドなどに惑わされず自分に似合う物が買える。だいたい自分に似合う色なんてことを考えたことがあっただろうか。ブラウスは白とか、スーツは紺か茶、と無難な色を求めていたような気がする。これからは500円のTシャツ1枚でもおしゃれが楽しめるようになりそうだ。 顔や身体の姿形によって髪型や襟などのデザインも考え合わせれば鬼に金棒。今まで着こなせないと思って敬遠していた黒が似合うと言われ、日焼けした肌にはゴールドと思って仕舞い込んでいたシルバーのアクセサリーも掘り起こし、海外土産にもらった口紅の中から似合う1本を見つけてもらって、ご機嫌の午後だった。 3時間もたった頃私は、「日本もこんな教育をもっと小さい頃からするべきだ」などと言い出す始末。ファッションを追わない、化粧もしない、センスもない、貧乏性の私にこそぴったりの診断だった。 |
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