芦沢俊郎の   シナリオ塾   


 

10年間慣れ親しんだ江東区民センターが、
この7月から1年あまりをかけてリニューアルされることになった。
つまり、教室が借りられなくなったわけで、うちの塾も移動せざるを得ない。
現在、浅草で物色中だ。

曾つて私は、東銀座にあった松竹シナリオ研究所へ主任講師として20年通い続けたが、
常にもどかしさが付き纏っていた。
生徒の数が多すぎるのだ。
50人も60人もいては膝詰めの伝達などとても出来ない。
教壇で2時間喋って終わりだ。
で、そこが閉鎖されて間もなく、私塾を開いてみたわけだ。
最初から10名前後を目指したから、雑誌などに広告も出さなかった。
それでやっと、得心のゆく形となった。
それでも次々と卒業し、入れ代りに新規の人を迎えたりして、
交流した人の数は100人近くなったような気がする。
こうして書いていても、一人一人との懐かしい想い出が甦ってくる。

塾生の最古参であるY君によれば、私はこの2、3年春先から夏になると、
「塾は今年一杯で閉鎖するつもりだ」とコメントしているらしい。
憶えもある。
それは別に、怠けている塾生への警鐘ではなく、
俗に云う『寄る年波』、その時は本当にそう考えていたのだ。
でも、極く最近、下の妹にこっぴどく叱られた。
「塾が生甲斐になってるんじゃないの、教壇で倒れなさいよ。
最後まで若い人たちに囲まれて、倖せ者だったと云って上げるから」

ま、それはともかく、気になっている塾生が2、3人いる。
彼等が半年後、1年後にどれだけ作劇のコツを身につけているか、
プロとして通用するようになっているか、見届けたい気持になっていることは確かだ。

 

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