Since 2004.10.5〜
最新更新 2012.5.4 By.さわらびY(ゆみ)
1 馬場小室山遺跡のかたるもの
発掘調査が終わった静かな遺跡を、近所のご家族連れが見学しています。
ちょっと遺跡に詳しいお父さんが、「ほら、ご覧。お家の上におうちがあるよ。いっぱい重なって小山のようだね。」と子供にささやいている。そんな想像をしてしまうような光景です。
発掘調査が終わると、まれに保存される場合もありますが、たいていは、遺跡が取り壊されて、団地やビルや道路ができます。
せめて、この子供たちに残せるのは、一生懸命調査した成果とその記録です。
そしてこの記録には、大地の下の何千年前の暮らしと、そこに住んだ人々からのメッセージがあるはずでした。

2004.10.2 発掘調査の終わった馬場小室山遺跡
ここは、さいたま市緑区三室の馬場小室山遺跡。縄文時代の遺跡です。
およそ五千年前から三千五百年前の縄文時代中期から晩期にかけての集落跡で、時代ごとに住居跡が重なっている「盛土遺構」が話題になりました。
不思議な穴群、大量の土器、そして遺跡の下にまた遺跡!
ですから調査はたいへん手間がかかることになり、期限の2004年9月17日には終わらなくなったのです。
調査員や研究者の要望で調査期間は延長され、またボランティアの研究者も応援に駆けつけましたが、9月30日、さいたま市教育委員会は調査を「終了」してしまいました。
日本考古学協会は、埋蔵文化財保護対策委員会も保存を前提とした調査の継続を求める要望書を国や県・市に提出しました。
その要望書では、「計画予定地の約半分にあたる盛り土遺構および下位の遺構については、ほとんどが手つかずの状態にあり」「このままでは調査未了のまま破壊に至ると危惧される状況にある」と指摘しています。
保存の難しい重要な遺跡が、充分な調査とその記録も残せないで消滅するとは!
この子供たちの世代への、大人の責任の重さを思わずにはいられません
この探訪記は、そんな状況だった馬場小室山遺跡からの、ささやかなレポートです。