CYCLE TRAVELLER
福島キャンプラン
2005年10月8日から3日間、福島県南西部から北部、東部の全域に跨り、
会津〜磐梯〜阿武隈の道中をツーリングしてきました。その模様をリポート。
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連休最終日、ツーリング3日目の朝。空は相変わらずどんよりと曇り、天気予報は時々雨。出発前は晴れの予報だった筈だが、どこで狂ってしまったのか。最終日に磐梯吾妻スカイラインを走ることが主目的だった今回のツーリングだったが、この天気で標高1600m超の山岳コースを走るのは当然不適合。プランは完全に白紙に戻り、体調も優れない中、とりあえず走りながら今日の行先を考えることにした。 |
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福島駅から県庁前を抜けてR4バイパスを南下すると、阿武隈川を渡って市街地を後にする。福島市は県北中央に位置する「中通り」地方で、そのままR4を進めば平野沿いに中規模の都市が連なるが、自転車で走るには魅力に乏しい。となれば、残る選択肢はひとつ。福島県東部に横臥する阿武隈高地を横断し、太平洋岸の「浜通り」地方へ抜けるルート。経路は何通りもあるが、とりあえず針路を東に変更。 |
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(6)磐城街道(R349) 福島市郊外にて仲間と別れると、飯野町を経て川俣町に至るR114へ。緩やかなアップダウンが連なる道は、交通量も多く退屈な行程。このまま真っ直ぐ東進すれば太平洋岸の浪江町まで最短距離で到達できるが、それでは余りに芸が無いため、川俣町で交差するR349を南下することにした。この選択は正解。道幅が狭くなると同時に交通量は激減し、絵に描いたような農村風景を横目に進んでいく。 |
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会津地方同様、この辺りの米作農家でもちょうど稲刈りの真最中。小型のトラクターを器用に操りながら、小さく区切られた棚田の一枚一枚で、黄金色の稲穂が刈り取られていく。稲を束ねて干す手法には、集落それぞれの独自色があって面白い。村の鎮守では収穫祭の準備か、天まで届くような長大な幟が鳥居の脇に掲げられていた。いつかどこかで見たような懐かしい光景。 |
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小さな峠をいくつも越えると、川俣町から東和町、そして岩代町と目まぐるしく自治体の名称が変わっていく。岩代町はその名が示すとおり、旧岩代国の境界線。会津地方から中通り地方にかけて旅した深き山嶽の国はここに終わり、これより先は旧磐城国となる。玄関口にあたる田村市(旧船引町)では、高さ50mを越えるという杉沢の大杉が堂々たる体躯でお出迎え。 |
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郡山から東に約15km、福島県を東西に横断する磐越自動車道と磐越東線が通う旧船引町の中心街は、「中通り」と「浜通り」とを繋ぐ交通の要衝。決して大きな街ではないが、寂しい裏街道を抜けてきた身には、コンビニや定食屋の並ぶ駅前通りが眩しく映る。時刻は正午を回っていたが、ここまで消化できた距離は約50km。これから太平洋岸に出るにはまだ60km近くを走らなければならないため、昼食は先送り。 |
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(7)船引大越小野線(県19) 船引から「浜通り」に向けては、高速道のほかに3本の街道が枝分かれしており、最終的に選んだルートは磐越東線沿いに延びる最もローカルな県道。交通量を嫌う自転車にしてみれば当然の選択だが、天候と体調が優れない中で、いつでも旅を切り上げることができる現実的な決断でもある。昼前に少し小雨が降り注いだ後は、空は小康状態を保っていたが、油断は禁物。最終目的地は、いわき駅。 |
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駅間の距離が長く、一向に列車がやって来ない典型的なローカル路線にぴたりと寄り添いながら、県道は阿武隈高地のなだらかな山々を背景に進んでいく。山間地でありながら勾配はほとんどないので脚はラクだが、気温がみるみる下がって肌寒い。空腹と相まって気力が萎えていくのがはっきりと分かる。帰宅後、すっかり風邪をひいたことを思えば、既に発熱していたのかも知れない。 |
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(8)小野四倉線(県41) 14時過ぎにようやく遅めの昼食をとってからも、天候と体調は一向に回復せず、ほとんど惰性で走り続ける。寂れた鉱山町の小野を抜けると、磐越自動車道とひと時の邂逅ののち、県道は一路下り基調に。ここでどうやら阿武隈高地のピークを越えたらしい。峠らしい峠が無かっただけに不思議な感覚。いわき駅まで残り40km。 |
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いわき市の境界を跨ぐと、夏井川の渓流と磐越東線の線路、そして県道が三叉のように絡みながら山を下っていく。いつしかクルマの姿はすっかり消え、秘境じみた隘路に自転車の風を切る音だけが染み渡る。苔むしたガードレール、レンガ積みの水道橋、雨に濡れた路面、そして色付き始めた広葉樹。気が付くと自転車を止めて、その寂然とした光景に見入っている自分がいた。 |
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徐々に深く切り立った渓谷となって流れ落ちる夏井川を横目に進むと、幾度と無く交差しながら並走する磐越東線に、列車の影が見え隠れする。静かな山奥にレールを軋ませる音が響き渡るも、木々やトンネルに隠れて姿は見えない。時折小さな集落を抜けるが人影はなく、次第に孤独感が募っていく。それは自由の裏返し。孤独が嫌なら旅は出来ない。 |
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適度な自由は、萎えかけていた気力を取り戻す格好のカンフル剤となる。余計な邪魔が入らず、あとは目の前の道を下るだけという状況は、残り距離やルート選択の束縛から解き放たれ、純粋にサイクリングの愉しみを味わうことの出来る貴重な瞬間。その快楽を切り取るためだけに、逆に言えば面倒な行程が必要なのかも知れない。どちらが欠けても旅は成り立たないから。 |
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どこにも休憩できるような施設が無かったため、最後の40kmはほとんど休み無く走り通し。そして16時過ぎ、「浜通り」最大のターミナル、いわき駅に到着。こうして、福島全県を横断する3日間の全行程を終えた。悪天候のせいもあって、強く印象に残るルートは少なかったが、300km超を走り切った充実感は確実に身体に刻まれた旅であった。 |
DATA|福島-飯野-川俣-東和-岩代-田村-小野-いわき|113.2km|700UP
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