はじめてのかけざん (2)
かけ算という計算の特徴は、・・・
- いくつずつかぞえるか(もとになる数)がしっかり決まっている。
- それを 何回か くりかえしかぞえていく。
- その累加的なプロセスの結果(総和)に関心がある。
・・・といった点にあります。
これらのことが、「挿絵」の中にどのように盛り込まれているかを見てみましょう。
「あたらしいさんすう」 三ねん 上 1949年検定版
5×7=35 この絵は、5×7 という かけ算のプロセスというよりも
その結果である「35」を表現した絵でしかありません。
「あたらしいさんすう」 三ねん 上 1951年検定版
5×7=35 5枚ずつ 「7回かぞえる」ことを どう表現するか。
「5枚」については明示できましたが、「7回」の方は
いかにも不自然です。
改訂 「あたらしいさんすう」 三年 上 1954年検定版
5×7=35 「7回かぞえる」という時間的経過を
子どもたちの様子から想像させようとの苦心の作です。
それでも、横に張られた絵は、やはり不自然です。
改訂 「あたらしいさんすう」 三年 上 1957年検定版
5×7=35 「5枚ずつ張る」という子どもたちの作業が、
すでに「2回」が終わり「3回目」に入っていることを示し、
一連のプロセスが進行中であることを、よりはっきりと
表現しています。
横に張られた絵の不自然さについては同じです。
「あたらしいさんすう」 2ねん 下 1960年検定版
5×4=20 よしこさんは おはじきを 下のように 5こずつ
くみに して かぞえました。
みんなで なんこでしょうか。
「新しい算数」 2 下 1970年検定版
2×3=6 テープを 2cmの 3ばいの ながさに きって
みましょう。
きりとった テープの ながさは なんcmでしょうか。
改訂 「新しい算数」 2 下 1982年検定版
2×6=12 1つの やじろべえを つくるのに、 ねんどの たまを
2こ つかいます。
やじろべえを 6つ つくるには、 ねんどの たまは
ぜんぶで 何こ いるでしょうか。
新訂 「新しい算数」 2 下 1988年検定版
3×4=12 ボートに のって いる 人は、 1そうに 3人で、
4そうぶんでは 12人です。
「新しい算数」 2 下 1992年検定版
コーヒーカップに のって いる 人は、 1つに 3人で、
4つぶんでは 12人です。
かけ算という計算の特徴は、・・・
- いくつずつかぞえるか(もとになる数)がしっかり決まっている。
- それを 何回か くりかえしかぞえていく。
- その累加的なプロセスの結果(総和)に関心がある。
・・・といったことですが、このコーヒーカップの「挿絵」には、そのすべてが盛り込まれています。
- コーヒーカップの中に人を乗せることで、3人ずつが「かたまり」であることを明示し、・・・
- そのコーヒーカップが 4つあることで、4つ分をかぞえることを示しています。
- さらにこの絵のよくできているところは、
コーヒーカップと人々のすべてを丸い大きな円で包んでいる点です。
この円が描かれていることで、
当面の関心事が、この円の中のことがらであることがはっきりとわかります。
- 私には、この1992年版の「挿絵」が かけ算の基本形 を示していると思われます。