ローマ字の書き方

現代の標準的なローマ字のつづり方リスト(伊藤サム編)、ローマ字の歴史、ヘボン式と訓令式など日本語の表記問題

このページの目次:
ローマ字の混乱状況例  
現代の標準的なローマ字のつづり方 五十音 濁音など 人名 パスポート  促音(っ) 
英語で日本語音表記
 
ローマ字主要サイト
ローマ字の歴史: ヘボン式 日本式・訓令式 パソコンのローマ字かな変換 
資料: 1954内閣告示「ローマ字のつづり方」
読者の声


ローマ字の混乱状況

 

訓令式
(文科省)

修正ヘボン式
(The Japan Times)

パスポートで許可
(外務省)

発音そのまま

伊藤

Itou

Ito

Itoh

Etoe

大原

Oˆhara

Ohara

Ohhara

O-hah-rah

・ローマ字表記の2大潮流は「訓令式」と「ヘボン式」。どちらも一長一短

.

スペル

発音

訓令式

×

 ヘボン式

日本語式ローマ字である「訓令式」は、日本語話者にとってはスペルが分かりやすく、体系的。
しかし、日本語の発音と、訓令式のスペルから(外国人が)予想する発音はかなり異なる。このため、海外で混乱をきたすことも。

・実際に普及したのは英語式ローマ字である「ヘボン式」。日本語の発音とマッチするように作られた表記法。しかし、日本語の表記とはマッチしない。

・訓令式では、外国人が混乱する。スペルと実際の発音が違うので、新たな外国語単語をいちいち学ぶ感じになり、日本語をローマ字化したメリットが感じられない。
・ヘボン式では、スペルが分かりにくくて日本人が混乱する。しかし、日本人は日本語ネイティブだから、その混乱の度合いは、訓令式による外国人の混乱の度合いほどひどくはない。このために、ヘボン式は実用的。

・ヘボン式は、米軍主導のGHQ占領下で、鉄道名をはじめとして日本でも普及。
ローマ字は日本人だけのものではなくなり、米国の図書館などで日本語文献を英語で表記する標準化作業が進んだ。これらは研究社がまとめたバージョンのヘボン式に基づくものが優勢だった。

・そのヘボン式も、その後時代とともに長音記号など実情に合わない点、表にあっても使われなくなったスペルなどが出てきた。

・日本人は小学校で訓令式を習う。しかしパスポートではヘボン式を使わなくてはならない。英字新聞や海外ではやはりヘボン式。

・パソコンではどちらでも変換してくれるが、独自ルールもあり。「間違ってもパソコンが正しく変換してくれる」ことも。

・同様のローマ字表記の混乱は、中国や韓国でもあり。
中国についてはピンイン(Peking → Beijing )が優勢。
韓国は2000年から「発音に添う形でつづる」という原則を採用。主要海外メディアも切り替えた。Pusan → Busanなど。しかし人名(Lee)などには例外が多く残っている。

・ローマ字表記についての混乱には、言語文化的・政治的な理由があり、容易な解決はみられそうにない。1954年内閣告示も実際は折衷型であいまい。その後、統一されていないのも、根本的な対立があるため。

・本ページの目的は、「表記を統一しましょう」と意図するものではありません。どれが優れていると主張するものでもありません。
淡々と実用的に、「実際に標準的に使われている表記はこれです」と全体像を示し、ローマ字で書く方々のご参考にすることが目的です。


 
英語の世界英語の世界英語の世界英語の世界英語の世界英語の世界英語の世界英語の世界英語の世界 



■現代の標準的なローマ字のつづり方

(伊藤サム編 2003/8/17updated)

現代で実際に広く使われているローマ字のつづり方です。
具体的には、
修正ヘボン式(American Library Associationバージョン)を、現代での実際の標準的使用に合わせてさらに修正したもの。

1954年内閣告示以降は正式な日本語ローマ字表記の改訂がなく、修正ヘボン式も老朽化して実情に合わなくなりました。
一方ではパソコンのローマ字入力による漢字変換が普及するなど、ローマ字表記は大きく変わりつつあります。そこで私が実際に使われている標準つづり方をまとめました。「再々修正ヘボン式」に相当します。

日本の日刊英字新聞、英文ニュースなどで国際的、標準的に使われるローマ字つづり方(ヘボン式が時代とともに変化してきたもの)が現実に存在するにもかかわらず、その全体像・ルールを整理したものがなかったので作成したものです。

ローマ字についてはさまざまな議論が続いていますが、このリストはローマ字の新しい書き方を提唱しようするものではありません。これが最も良いつづり方だとしているわけではなく、実際に広く使われているつづり方はこれです、と紹介しているものです。

今のローマ字は小学生のときに習ったものとは違うようだが、どこを探してもリストが見つからない、標準的にはどう書かれているのか知りたい、というときにご参照ください。

過去の経緯については「ヘボン式の歴史」をご覧ください。

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■現代の標準的なローマ字のつづり方(伊藤サム編) 

五十音

a い i う u え e お o

ka き ki く ku け ke こ ko

sa し shi す su せ se そ so

(訓令式では し si )

ta ち chitsu て te と to

(訓令式では ち ti  つ tu )

na に ni ぬ nu ね ne の no

ha ひ hi ふ fu へ he ほ ho

(訓令式では ふ hu )

ma み mi む mu め me も mo

ya       ゆ yu       よ yo

ra り ri る ru れ re ろ ro

wa                   を o

n 

濁音など

ga ぎ gi ぐ gu げ ge ご go

za じ ji ず zu ぜ ze ぞ zo

(訓令式では じ zi )

da ぢ ji づ zu で de ど do

(訓令式では ぢ zi )

ba び bi ぶ bu べ be ぼ bo

pa ぴ pi ぷ pu ぺ pe ぽ po

 

きゃ kya きゅ kyu きょ kyo

しゃ sha しゅ shu しょ sho

(訓令式では しゃ sya )

ちゃ cha ちゅ chu ちょ cho

(訓令式では ちゃ tya ちゅ tyu ちょ tyo )

にゃ nya にゅ nyu にょ nyo

ひゃ hya ひゅ hyu ひょ hyo

みゃ mya みゅ myu みょ myo

りゃ rya りゅ ryu りょ ryo

ぎゃ gya ぎゅ gyu ぎょ gyo

じゃ ja  じゅ ju  じょ jo

(訓令式では じゃ zya じゅ zyu じょ zyo )

びゃ bya びゅ byu びょ byo

ぴゃ pya ぴゅ pyu ぴょ pyo  


人名の例  (長音オオ、オウ など)

名前は個人の所有物。本人にスペルの希望を聞くのがベスト。分からなければ修正ヘボン式かパスポート式。

大野 大田 よく好まれるのは Ohno Ohta

パスポートは修正ヘボン式+長音符不使用であるため、Ono, Otaしか許されなかった。しかし「オオ、オウ」(実際の音はオー)としてohを好む声が強く、ついに2000年4月から認められた。

実際には英語ではoもohも発音が同じ。Onoと書いてもOhnoと書いても、共にオゥノゥと発音され、英語発音では大野と小野の区別はできない。

大井さんとしてOhiと書くと、オーヒと発音される

Oonoと書くとウーノゥと発音される(schoolのooに見えるため)

ō長音符( ¯ ) などは英語に存在しないため通じない。このため使われなくなった。

洋子・陽子などはYokoが好まれる。Yohkoは少数派。

優子 Yukoが無難。Yuukoは発音しにくい。

日本語と英語は発音体系が違うため、英語ではスペル不可能な名前がある(短音「お」が苦手、「小野」が発音できない)。英米人には、実際の発音を聞かせて覚えてもらうのが一番。

(1)実際の発音が長音オーであれば o  (イヤな人はohと書いても可)

扇  おうぎ Ogi, Ohgi
大西  おおにし Onishi, Ohnishi
大河内 おおこうち Okochi, Ohkohchi
大山 Oyama, Ohyama
狩野   かのう Kano, Kanoh
亨   とおる Toru, Tohru

参考:東京 Tokyo 「トキョ」でなく「トーキョー」と発音される

(2)オ・オ(2番めのオがきちんと発音される)なら o

妹尾(せのお) Senooが無難。英語ではシヌーと読まれる。これは大野(オオの実際の音は長音オーなのでo)と違い、「せの・オ」という独立した音と考えるためoが二つ。ただし、実際の音が「セノー」であれば、Seno (Senohも可)となる(シノゥと読まれる)
Sehno-oならセーノゥ・オゥと読んでもらえるので一案。  

横尾 「ヨコー」(長音)ではなく「ヨコ・オ」(オは独立音)なので Yokoo (× Yoko、× Yokoh)
五所野尾   ごしょのお Goshonoo
城尾  じょうお Joo

(3)同じ漢字でも本人によって発音が違う場合もある → 発音によって (1)(2)に当てはめる

瀬野尾 せのお  Senoo 長音(セノー)で発音している場合はSenoかSenoh
御園生 「みそのう」であれば長音と思われるのでMisonoかMisonoh
     「みそのお」であれば単独音なのでMisonoo 
栗生   あおう  Ao, Aoh     あおお Aoo

●そのほかの例(未分類)

・ゆき ゆうき 

・KinoshitaをKinoshtaとする例  

・Eiko イーコと読まれてしまう  
Reiko りーこと読まれてしまうのでメルアドはReycoにした 

・あつし」はtu, tsu? 




パスポートでの氏名表記ルール

旅券法施行細則で「ヘボン式ローマ字」と決められている
1985   「非ヘボン式」も一部可能に    長音 Taro →Tarou, Taroh
2008  さらに弾力化  愛(らぶ) Rabu→Love     譲治George   スミスSmith    金(キム)Kim
以来、年平均六万件の「非ヘボン式」表記を外務省旅券課は受理  その呼び方を実際に社会生活上の基盤としているなどが条件


○(修正)ヘボン式がベースで、長音符を省略した(パスポートでは昔、表記できなかったためか)書き方と考えると納得がいく

○長音を表記しないが、例外として オー ohなどは原則不可だが許容(大野は Onoだが、 Ohnoなども許容) 申出書提出が必要

長音を表示するために文字を重ねない( Oono は原則不可だった)
優子 Yuko (Yuukoは原則不可。Yukoのuは長音符が省略されているū)   日向(ひゅうが) Hyuga   中馬(ちゅうま) Chuma 
 

長音を表示するためにローマ字の上に長音符をつけない( Ōno は不可 )

u を挿入しない( Ouno は不可)

大野 Ono, Ohno 

伊藤 Ito, Itoh  河野 Kono, Kohno  佐藤 Sato, Satoh

洋子 Yoko, Yohko     

○撥音 b, m, p の前の n は mに変える

難波(なんば) Namba   本間(ほんま) Homma 三瓶(さんぺい)Sampei  

●パスポートでの特例(カギカッコ内は東京都サイトより転載)

「 ヘボン式によらないローマ字氏名表記
外国式のローマ字表記や長音表記(H、O、Uの挿入)を希望する場合には、ヘボン式によらないローマ字氏名を旅券に表記することができます。この場合、「非ヘボン式ローマ字氏名表記等申出書」に希望する綴りを記入して申し出てください。その際、その綴りが実際に使用されていることを示す書類等(出生証明書、婚姻証明書又は配偶者の外国旅券、その他)を提示してください。       
ヘボン式によらないローマ字氏名表記の例示 
(1)外国式氏名     (ヘボン式表記) (非ヘボン式表記) 
  戸籍姓 ピーターソン PITASON → PETERSON 
  戸籍名 ジェームス  JIEMUSU → JAMES 
(2)長音表記 
  戸籍姓   大野       ONO → OHNO/OONO/OUNO 
  戸籍名   優子      YUKO → YUUKO 
(3)外国式表記 
  戸籍姓   松田   MATSUDA → MATUDA/MAZDA 
  戸籍名   里沙       ISA → ISA   」
             怜央      REO  → LEO

その後も、その表記を使い続けることを条件に、柔軟になったようです。

→パスポートつづりリスト(東京都)  神奈川県 山梨県 兵庫県 ルールは全国共通です 

よく考えてからどうぞ: 理恵RieさんがLieさんと変更したところ、海外の学校でいじめられて、元に戻すことを申請 lie = 嘘

 


↑図解は朝日新聞2012/1/14b4「ローマ字表記、混在する事情 国際化進み、弾力化」より引用させていただきました


ん  nでよい

昔のヘボン式では b、m、p (破裂音)の前は n を m に変えた(英語で発音しやすいため)。地名などは旧ルールのままmでスペルされるものもある。現代の(再)修正ヘボン式ではnのままでよい。

地名 新橋 Shinbashi(修正ヘボン式、道路案内板)、Shimbashi(旧ヘボン式、駅名) どちらも使われている

人名 本間 そのままHonmaが好まれる。

英語のnは上歯の手前に舌をつける関係で、Honmaと書いてもHommaと発音される。このため昔のヘボン式では n → m と変えるルールがあった。このスペルは本人が「私の名前ではない」と嫌がる。

nnはパソコンでの変換専用なので使えない(nn → ん に変換)

促音(っ) t など

子音を重ねて示す。: Hattori, Roppongi吉川(きっかわ) Kikkawa 

chi (チ)、cha (チャ)、chu (チュ)、cho (チョ)音に限り、その前に t を加える。

: mitchaku 密着(みっちゃく) 発地(ほっち) HotchiI   八丁(はっちょう) Hatcho   


■↑この標準ローマ字リストの探し方

参照したいが、このページのアドレスを忘れてしまったときは、下記検索でこのHPを探し、「ローマ字」ページへジャンプしてください。



英語で日本語の音が出やすく表記してみる

ah ee O kah kee shee say tah chee tow/toe nah hah hee mee yah ree ro wahgee goo gay zoo dah  
文節ごとにハイフン
-hは、日本では「長音」表記に使われるが、英語では単音表記に適していることが多い

Junichiro Koizumi は joo-NEE-chee-ro   ko-ee-zoo-mee と発音されている。
Naoto Kanは nah-O-TOE KAHN

このような表記は、英BBCなどの放送用に使われています。

■長音符

日本語の文章をそのまますべてローマ字で表記しようとする場合は(Nihongo no bunsho o sonomama subete romaji de hyoki shiyo to surubaaiwa)、長音符がないと、何をさすのか分かりにくい。romajiはローマ字か、ロマ字か?
しかし、現代でのローマ字の使用は、英語の文章内での、日本人名・地名など、限られた使用。これらの場合、長音符がなくても比較的混乱しない。

■そのほか

おおおか  Judge Ooka Tadasuke, Echizen no Kami (Lord of Echizen)    (JT04/11/21p11)

大堀    Ohoriがよいのでは 

■見かけたスペル

基盤    kibon

住居    juukyo

住民票   juuminhyou

 


 

■ローマ字についての主要サイト

アルファベットの書き方など初歩から教えてくれる 中学英語がゼロからよく分かる本

ローマ字相談室 あらゆる資料。ヘボンの「和英語林集成」も見られる

Wikipedia (goo経由) ローマ字 ローマ字論

Wikipediaのメインページから直接↑上記ページへ行くと、上部タブから「ノート」(論議ページ)も読めます。
ローマ字   

ローマ字論  

ローマ字 各種ローマ字の表(現代の標準は修正ヘボン式 =Modified Hepburn

ローマ字表記の歴史 

なぜ二種類のローマ字があるのか? どのように統一すべきか?

日本ビーコムキーボードの涙 

渡辺組通信 No.43 

日本ローマ字会  99式という表記法を提唱(田中式の系譜。"99siki"となる)

日本のローマ字社  日本式で文章をつづることを実践

日本ローマ字教育研究会

国語審議会 


拡張ヘボン式 
    ジzhi ヂji ズzu ヅdzu    逆アポストロフィー(色は匂へど iro‘a ni‘o‘edo)
    翻字式ローマ字「擴張ヘボン式」  An Extended Hepburn System 

    提唱・上西俊雄さん 


ローマ字化日本語とメール(ローマ字での日本語メールは、漢字よりひらがなよりも外国人にとって書きやすい)

Romanization systems  ローマ字の歴史について英語で

 


 

ローマ字の歴史

ローマ字の歴史 エジプトのヒエログリフから発達。ローマ時代にほぼ現在の形に。

16世紀 外国人宣教師→日本にローマ字導入 
1591 ポルトガル語式ローマ字(タ行 ta chi tcu te to)  
1592 『平家物語』[Feiqe no Monogatari]

1720 洋書解禁→蘭学
オランダ語式ローマ字     (ta ti toe te to)

明治〜太正
ドイツ語式ローマ字      (ta tsi tsu te to)
フランス語式ローマ字     (ta tsi tsou te to)

ヘボン式の歴史   日本内外で広く普及  発音が日本語と近い

= 英語式のローマ字    (ta chi tsu te to)ヘボン式 

旧ヘボン式( = 最初のヘボン式) 

1885 羅馬字会結成 
の提案も取り入れて音声重視でローマ字を作っていたヘッバーン(Hepburn, ヘボン)が有名にした
「ん」はp/b/m が後続するときは m 
(新橋Shimbashi) 長母音は横線

「ヘボン(Hepburn)」は明治時代の米国人宣教師・明治学院大学創設者  「を」はwo
ヘボン James Curtis Hepburn (1815-1911)は日本最初の和英辞典『和英語林集成』“A Japanese and English Dictionary”を出版。日本語を発音重視でローマ字に転記する努力を続け、この本を改訂した。これの第三版1986のものが「ヘボン式」として知られるように。
羅馬字会の提案を取り入れたもの。
明治学院大学アーカイブ
で検索できる   「エ」は初版 ye だったが、  三版では e

1908  標準式 これが現在のヘボン式の原形
現在では「
修正ヘボン式」)(modified Hepburn system / modified Hepburn romanization )と呼ばれ、日本内外で広く知られるが、定義ははっきりしない 

駅名 
連合国軍総司令部(GHQ)が路線名にローマ字表記を入れることを命令   朝日09/3/7夕p14
GHQの命令だったので英語にとって都合がよいヘボン式が採用されたと思われる
昭和22年7月26日の「鉄道掲示規程」(運輸大臣 苫米地義三  達第三九八号 第八條 六 「 ローマ字のつづり方  改修ヘボン式(別表一)によること」)
→ JR。 私鉄もおおむね同様 
        JR東日本は「修正ヘボン式」でShimbashi, Yurakucho (oの上に-) 
道路名も  (国土交通省道路局)  昭和61年に、道路の案内標識にアルファベット表記併記が本格的に開始

地名表記もヘボン式だが、関係者間で協議

戦後 (再修正ヘボン式) 
研究社『新和英大辞典』の「本辞典に使用のローマ字綴り方表」 
撥音(すべてnで表し、それまでのヘボン式のように b, m, p の前に mをおかない。新橋Shinbashi) と
促音(っ)で独特の方法。
長音には長音符を使用している 

海外でもローマ字化統一の動き  ヘボン式ベースが多い
・米国 American Library Associationなどとの協力のもと、米国議会図書館(Library of Congress)が日本語の英語転記を研究
1959   American Library Association and the Library of Congress  “Manual of romanization, capitalization, punctuation, and word division for Chinese, Japanese, and Korean” ヘボン
American Library Associationは研究社『新和英大辞典』の表記(第三版以降?)をベースに採用
ALA-LC Romanization Tables: Transliteration Schemes for Non-Roman Scriptsの1997版( approved by the Library of Congress and the American Library Association)のPDF   「日本」は原則Nihonとする
"American Library Association" "Hepburn" Japanese romanizationでGoogle検索 

・1972   ANSI Z39.11-1972 of the American National Standards Institute   “American National Standard System for the romanization of Japanese” ヘボン式だったが1994廃止。1989のISO(訓令式、日本式)に譲ったため

・1972 英国  BS 4812:1972  “(British Standard) Specification for the romanization of Japanese” ヘボン

→事実上の 再々修正ヘボン式
時代とともに実情に合わない点が増える。
ジャパンタイムズでは社内スタイルで、「研究社式をベース、固有名詞は当事者の意向を重視」などと規定
撥音すべてn
学芸面を除き長音符は使わない

旅券、外交の公文書はヘボン式が原則

2003 「現代の標準的なローマ字つづり方」 伊藤サム編
    1954年内閣告示以降は正式な日本語ローマ字表記の改訂がなく、修正ヘボン式も老朽化して実情に合わなくなったため、日本内外で実際に広く使われるようになった標準的なローマ字表記をまとめたもの。修正ヘボン式ベースだが、使われなくなった部分を削除したりして整理したもの。その後マイナーなアップデートをしている

 

日本式・訓令式の歴史   

小学校で必ず学ぶが、普及していない  発音が日本語と違う

= 日本語式ローマ字

1885  日本式(田中式)
△物理学者・田中館愛橘が
日本式ローマ字を提唱    (ta ti tu te to) 
長母音は^ 「ん」n  
日本人にはスペルが分かりやすい
五十音図となる 実際の発音は日本語とはずれる 
田中館  →(改良)→ 日本式

→訓令式   
昭和12年内閣訓令 ○双方を組み合わせ、あいまいな「訓令式」  

→ヘボン式に 戦後の占領政策で米軍マッカーサーがヘボン式の使用を指示

→再び「訓令式」に統一したが、ヘボンも可に
昭和29 (
1954年)12月9日の内閣告示「ローマ字のつづり方」 吉田茂首相名で
 「ん」は「n」, 長音は「^」
  
・一般に「訓令式」と呼んでいるのは第1表(田中式ベース)に従う表記をさす。 公式の文書では訓令式を使わなければならない場合がある。
実際には折衷型であいまい
「はねる音を表す n と次に来る母音字または y とを切り離す必要がある場合には、n の次に ' を入れる」

「長音は母音字の上に ^ をつけて表す」
「特殊音の書き表し方は自由とする」
・「国際的関係その他従来の慣例をにわかに改めがたい事情にある場合に限り、第2表に掲げたつづり方によってもさしつかえない」としてヘボン式(表の上から5列目まで)と日本式(6列目以下)のつづり方のうち訓令式と異なるものが載っている。

How bureaucrats spell logic in Romanized Japanese 日本式は、ひらがなの発音というものがもともと一貫していないにも関わらず、(実際の発音を無視して)一貫したスペルを押し付ける。発音をすでに知っている日本人用であり、外国人も使うのだという視点が欠けていると、皮肉たっぷりに批判 JT09/8/27p11

1989  国際標準化機構 ISO 3602:1989  海外図書館での表記向け
    ISO 3602:1989 Documentation -- Romanization of Japanese (kana script)   訓令式、一部は日本式。日本のローマ字社による訳  その後、改訂が議論されており、ヘボン式か併記になりそうだとのこと

2002? 群馬県 Gumma(ヘボン) → Gunma (ISO) に変更
    ただし、旅券では本籍地Gummaのままなので、群馬県国際課長名で、同じ地名を表しているとする英文資料を発行 朝日新聞2012/1/14b4

日本で小学校4年(文部省)で習う「ローマ字」は訓令式 2011新学習指導要領では小学校3年

しかしパスポート(外務省)ではヘボン式(撥音m。しかし長音符は不使用。2000年以後、ohなど解禁)

 

パソコンのローマ字かな変換が登場  

1980年代に確立
    訓令式・ヘボン式ごちゃまぜで使え、よく普及  
仮名に対応づける必要があるので, 「おうou」と「おおoo」, 「おo」と「をwo」などを区別。「ん」は「n'」か「nn」

日本規格協会が変換方式を審議


 

■資料 昭和29年12月9日の内閣告示「ローマ字のつづり方」

これ以降は正式な日本語ローマ字表記の改訂なし。

注:この1954年内閣告示は古く、実際には訓令式はほとんど使われていません。例外である第二表の上部が使われています。

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ロ ー マ 字 の つ づ り 方

内閣訓令第1号 
各官庁 
  ローマ字のつづり方の実施について 
 国語を書き表わす場合に用いるローマ字のつづり方については、昭和十二年九月二十一日内閣訓令第三号をもつてその統一を図り、漸次これが実行を期したのであるが、その後、再びいくつかの方式が並び行われるようになり、官庁等の事務処理、一般社会生活、また教育・学術のうえにおいて、多くの不便があつた。これを統一し、単一化することは、事務能率を高め、教育の効果をあげ、学術の進歩を図るうえに資するところが少なくないと信ずる。
 よつて政府は、今回国語審議会の建議の趣旨を採択して、よりどころとすべきローマ字のつづり方を、本日、内閣告示第一号をもつて告示した。今後、各官庁において、ローマ字で国語を書き表わす場合には、このつづり方によるとともに、広く各方面に、この使用を勧めて、その制定の趣旨が徹底するように努めることを希望する。
 なお、昭和十二年九月二十一日内閣訓令第三号は、廃止する。

   昭和二十九年十二月九日 
内閣総理大臣 吉田 茂 

 

内閣告示第一号 
 国語を書き表わす場合に用いるローマ字のつづり方を次のように定める。

  昭和二十九年十二月九日 
内閣総理大臣 吉田 茂 

 

前書き


 一般に国語を書き表わす場合は、第1表に掲げたつづり方によるものとする。

 国際的関係その他従来の慣例をにわかに改めがたい事情にある場合に限り、第2表に掲げたつづり方によつてもさしつかえない。

 前二項のいずれの場合においても、おおむねそえがきを適用する。

(↑注:これが「訓令式」と呼ばれているもので、田中式ベース)

(↑注:これらはヘボン式(5列目まで)と日本式(6列目以下)のつづり方のうち訓令式と異なるもの)

 

そえがき
 
前表に定めたもののほか、おおむね次の各項による。


 はねる音「ン」はすべてと書く。

 はねる音を表わすnと次にくる母音字またはyとを切り離す必要がある場合には、nの次に ' を入れる。

 つまる音は、最初の子音字を重ねて表わす。

 長音は母音字の上に ^ をつけて表わす。なお、大文字の場合は、母音字を並べてもよい。

 特殊音の書き表わし方は自由とする。

 文の書きはじめ、および固有名詞は語頭を大文字で書く。なお、固有名詞以外の名詞の語頭を大文字で書いてもよい。

(以上、文化庁サイトより転載)-------------------------------

 


 

読者の声

週刊STやメールでいただいたコメントを紹介させていただきます。


「大堀さん」のローマ字表記
伊藤先生、私は昨日(7月16日)のウエディングカリグラファー養成講座で受講していた者です。講義の最後の質問コーナーで「大堀さん」のローマ字表記の仕方を質問した者です。あの時は、私の質問する時の発音が悪く、聴き取りにくくてすみませんでした(^_^;)
ローマ字の勉強は小学校の時以来(勿論、英語は中学からやっていましたが)でした。長音で、「O」の上に「―」や「^」が使われなくなったのは初耳でした。と言うより、日本人しか知らない事だと言うのがオドロキでしたね!
問題の「大堀さん」は、私の同僚なのですが、彼は自分の姓をローマ字で「Oohori」と書いていたのをたまたま見た事があって、それがとても不自然だと思いました。「そりゃないだろ」って感じで。
だったらどのように表記すればいいのか。私は考えました。先生がおっしゃったように、「O」の後に「h」を入れると「h」がダブってしまうし、「Ohori」だと「オホリ」さんになってしまうし、自分では解決できませんでした。これは先生に聞くしかないと思い、質問させていただいた訳です。
先生も、この質問に関しては「なかなか難しいですね」とおっしゃっていましたし、私も質問した甲斐がありました(^^)
また、先生を困らせるような質問がありましたらメールいたします。

この度は、先生のようなお方の講義を聞く事ができ、とても光栄に思います。とてもわかりやすくて楽しい授業でした。
私も、一期一会を大切にしたいと、いつも思っています。
また何かの機会にお目に掛かれたら嬉しいです。  福島県・郡司 聖(グンジ サトシ)さん06/7/17

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こんにちは。当日は貴重なご質問ありがとうございました。
「大堀さん」は難問ですね。無難なのはOhoriだと思います。
字の形を重視してローマ字にすると Oohori ですが、ウーホリ(またはウーホライ)と発音されやすい難点があります。
実際の発音は「オオホリ」ではなく「オーホリ」であることから、発音重視のヘボン式でローマ字に直すと、Ohori となります。でも本人は「私は小堀さんではない」と思うかもしれません。
Ohori は最初のOhを発音したときの口の形が h のままで次の ori を発音しますので、結局はOh-hori と発音されやすく、「大堀」には近いと思います。
しかしこれでもオーリ、オーライと発音されてしまうことも。
あるていどきちんと発音してほしければ Oh-horee (オーホリー)ですが、ヘボン式でも訓令式でもなくなってしまいます。   伊藤サム06/7/20



○ウリとしてUriはユーリと発音されてしまう

「米国に住んでいる叔母が、ウリという名前の犬を飼っています。獣医さんに行くとき、Uriと書くとユーリになってしまうのでOoriと書くって言っていたのを思い出しました。Oopsのウかな。」(神奈川県・杉本圭さんST02/10/11)

○ヨシ Yoshe

「ちなみにお父さんが日本風の名前を付けたかったので『ヨシ』となったカナダ人ALTの名前のつづりはYosheです」(茨城県・石上喜美恵さんST02/11/1)

○純一郎とJunichiro

January 11のOnoの読み方の記事を見て長年の疑問が少し解けました。
ではJunichiroと書いたら英語圏の人々はどう発音するのですか。ジュンイチロウ、それともジュニチロウ? 教えてください。
道路沿いの案内表示板にJun-ichiro Tanizaki Memorial Hallと記してあるのを見てなるほどと思ったのですが、これが本当にいい工夫なのかどうか」(兵庫県・堺広子さんST02/1)

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日本語の「(小泉)純一郎」という名前(Junichiro)に初めて接したネイティブは、ジュニチロウと発音します。nが「ン」と違い、下が口蓋に接するためです。ハイフンで分けるのは、発音的には妥当です。
日本人はABC...のCを「シー」と発音してしまうのと同様に、アメリカ人には日本語に発音できない音があります。
ただ最近は大リーグでIchiroを見慣れたため、Ichiroの部分をみて発音する人も増えているでしょう。ただし一郎の「イ」はiとeeの中間のような音ですが、アメリカ人は「エ」に近いiで発音してしまいます。スペルはJun-eechiroとすれば、発音記号的で、日本語に近くなります。
しかし、人の名前の発音を調べるのは、相手の責任です。
 


兵庫県・S.Oさん 02/11「「これであなたも英文記者」---正しい発音をネイティブに教えましょう---をとても興味深く読みました。と言うのも、旧姓が「大坪」でしたのでOHTSUBOと書いておりました。か、正しく発音してもらうには、実際に私が発音して真似してもらうのが一番で、どう書こうと大した差がないのです。私たちも外国の方の名称を正しく発音するのは難しいことです。一番大切なのは、なるべく正しい発音でしっかり相手の名前を覚えることだと思っています」

神奈川県・相澤憲子さん02/11/8「解説を一生懸命に読みました。以前何かの本で、日本人にとって単音と長音は苦もなく区別できるが、ネイティブにとってはそれがすごく難しいと読んだことがあります。逆にネイティブにとってはまった区別の音なのに、日本人には判別困難な音もありますよね。最近よく「英語耳」という言葉を耳にしますが、やっぱり日本語を判別する耳と英語を判別する耳って違うんでしょうか」
 日本語の母音は短いつもりでも英語の短母音よりは長いです。「小野」はネイティブの耳にはじつは「オゥノゥ」と聞こえることが多く、ますます大野(これもオゥノゥと聞こえている)との区別はつかなくなります。

滋賀県・岩城啓子さん02/11/1「苦肉の策でOnoeとしたら、当の小野さん、何か自分の名前ではないみたいに思うのでは...そんな感じがしました。  女の子の名前によくある「ユキ」ちゃんと、男の子の名前によくある「ユウキ」くんも英語表記では区別できないのかと悩んでいます」
 「小野をOnoと書いても、オウノウと読まれることが多い、というのはちょっとした驚きでした。しかし考えてみれば、例えばMr. RightとMr. Lightがいたとして、日本語で書くと、どちらもライトさんになってしまうようなもので、それぞれの言語に特有の発音を正確に表現することは難しいですよね」(大阪府・南谷三世さん)
「日本語を教えていて気がつくのですが、日本語を勉強する外国人にとって促音、
音、長音は難しいようです。正しく発音できても正しく書くことができない人も多いようです。」(東京都・齊藤和秀さん02/11/8)
静岡県・溝口正子さん02/11/1「解説を読み、地下鉄サリン事件の頃、イギリス人のペンフレンドに「オウムのリーダーと同じな前だね、男女兼用の名前なの?」と聞かれて、違いを説明するのに、とても苦労したことを思い出しました」
アクセントの有無や、前後の字の発音の影響を受け、「(文字からだけで)正確に発音してもらうのは難しいねという結論」(神奈川県・藤井秀明さん)になります。
 「日本語の都市名や氏名を英語で表記するのは難しいと言うより、限界がある」(神奈川県・志村清四郎さん)。同感です。どうスペルしても、言葉が異質なので正確な音は伝わりません。
これは日本の人名・地名に限らず、英語の人名・地名でも、文字を見ただけでは正しい発音が分かりにくいものはたくさんあります。英語の弱点のひとつは、発音とスペルの関係が複雑なことで、40の音に対して1,100以上も綴り方があるそうです。
 ローマ字についてさらに一言。ラリルレロはra ri ru re roとなっていますが、日本人のラ行音は自然な速さで発音すると、どちらかというとlに聞えます。ですから発音的にはla li lu le loの方が近いことになります。

 ホームページのドメイン名としてヘボン式(または長年使ってきた実績のあるスペリング)を使うことを求められるため、地方自治体の公式名はヘボン式が優勢です。なお、駅名のローマ字は鉄道会社が独自に決めています(役所が決めた公式名とは一致しないことがある)。

いったんスタイルを決めたら、自分の名前でも他の方の名前でも、統一して使うといいと思います。
 学校で習う「文法」はすべての人が守らなくてはならない決まりです(守らないものはすべて「間違い」)。これに対して表記法などを含む「スタイル」(style)は、正しい文法の範囲内で、好みに応じて各人・各社が独自に設定するルールです。
 地名をもし無理やり日本順に書くとすると、Hyogo Prefecture Ono City(愛知県・間鍋明裕さん)となります。


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