サイエンスZERO
NHK教育で放送されていた硬派科学番組「サイエンスアイ」が終了して約1年、後継番組が登場しないことが惜しまれていたのだが、03年4月についにその血脈を受け継ぐ正統派科学番組が登場することになった。それがこのサイエンスゼロである。放送時間は火曜日の深夜0時といったサイエンスアイよりもさらに悪い時間帯であるが、番組の内容はなかなか濃いものがあり、初心者から上級者までレベルに応じて楽しめる科学番組である。司会は高市佳明氏にアシスタントが真鍋かおり嬢。アシスタントの名前にちなんだ「ZEROからまなべ」というコーナーが初心者向け解説コーナーであるようである。
ただ今回の司会の高市氏は文系の出身とのことで、理系の出身で自身も研究者としてこの手の科学番組に並々ならぬこだわりを持っていたというサイエンスアイ司会の山口勝氏に比べると、なんとなく軟派な印象は拭えない。番組全体としてもサイエンスアイと比べた場合、中途半端に軟派な印象がつきまとっており、この手の硬派系科学番組をもっと一般にウケるものにしたいという意図は分かるのだが、火曜日の深夜という非常に条件の悪い枠とも相まって、番組のターゲットを絞り切れていないということを感じさせられる。この辺りにどう整理をつけていくかが、この番組の今後の課題のように思われる。
('03.4.30)
2004.4.11追加
本年度4月より、新装開店。新コーナーなどを増やすと共に、放送時間も土曜の7時に放送が行われるなど、この番組にとっては恵まれた状態になってきたようである。目出度い。
2007.6.23追加
この春より放送時間が11時に変更、アシスタントも真鍋かをり嬢から安めぐみ嬢に変更になった。時間枠的に悪くなった上に、看板であった真鍋嬢が交代することで番組の先行きが心配されたが、現在のところは渋い落ち着いた番組として独自のペースを保っているようである。目下のところは内容的にもそれなりのレベルを保てているようである。もっとも、例によって再放送が多いという傾向は相変わらずだが。
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7/13 サイエンスZERO「ナノの世界に"輝く"光 近接場光」
近接場光というナノの世界に特有の光が注目されているという。
さてこの近接場光だが、番組の説明によると、ナノの世界で材料に光を当てた時などに、ナノレベルの先端部では内部からの光が外に出ることが出来ずに、まるで水道の先端で水が膨れるように光がはみ出したような状態になるのだとか。この光は拡散しないのでそのままだと見ることが出来ないのだが、金属膜などをナノレベルで接近させたりした時に、これが拡散して見えるようになるとのこと。
・・・と言われても今一つイメージが出来ない。光が表面張力を持つわけではないし。はっきり言って一応は理系の私でも理解に苦しむんだから、こりゃ一般人はお手上げだろう。まあ興味のある人は自分で勉強するしかないわけだが、とりあえずこの今一つ正体の分かりにくい近接場光が先端ナノ技術の世界で応用が進みつつあるのだとか。
一つ目は分析の世界。カーボンナノチューブはその構造によって物性が変わるのだが、これらに近接場光を当てることで違いを見極めようと言うことらしい。構造が違うので反応する波長が変わるらしい。
二つ目は記録ディスクへの応用。ディスク内部で近接場光を発生させるメカニズムを作ることで、ブルーレイディスクの数十倍の容量を持つディスクも可能ではないかという話。表面のアンチモンを塗布して、レーザーを当てることで反応させるのだとか。既に実用化の一歩手前まできているとのことだが、これが実用化されたらブルーレイも短命に終わって時代の徒花になるかも(最近はこんな規格ばっかりだが)。
三つ目はガラスのナノ研磨。現在では数ナノレベルまでの研磨しか不可能だが(これでも信じがたいレベルだが)、このガラスを塩素を充満した中に入れ、レーザーを当てて近接場光を発生させると、近接場光が発生した突起部が塩素と反応して吹っ飛ばされて、結果として0.1ナノ以下レベルにまで研磨できるのだとか。もうこうなったらイメージの世界を超えていて、私にはもうついて行けません。
最後は近接場光で原子を動かそうというもの。近接場光を使うと原子の誘導も可能ということらしい。これが実用化されたら分子レベルでの材料の設計が可能になる。気が遠くなりそう。
はっきり言って、最近のナノテクの進化には私のようなレトロな人間はついて行けなくなっています。とんでもない世界が実現しつつあるものである。
7/6 サイエンスZERO「遺伝子をあやつる不思議な仕組み DNAのメチル化」
DNAの発現を抑制するシステムとして、メチル化があるという。これはDNAの4塩基のうちで、シトシンとグアニンが連続する部分で、このシトシンにメチル基がつくことでDNAの機能が抑制されるのだという。
花などではこの働きによって、同じ遺伝子配列でも色が変わるというようなことが起こったりするという。またこのメチル化は生物の細胞分化に影響していると見られ、間質細胞のメチル化の程度を変えることで異なる細胞が生成することが実験で確認されているという。これを利用することで再生医療に利用できるのではないかという研究もなされている。
また蜂の研究で、遺伝子改造でメチル化を抑制したところ、女王蜂の発生確率が増えたなどの結果が得られているという。一般に女王蜂はロイヤルゼリーを与えることで誕生すると言われているので、食べ物でメチル化が影響される可能性もあるという。また遺伝子パターンの全く同じ一卵性双生児も、環境要因によってメチル化の違いが現れ、これが個性の違いにつながっていくとのことである。だから一卵性双生児でも、異なった環境で育てられると違いが大きくなっていくのだとか。
さらにガンにおいて、メチル化によって抑制遺伝子の機能が抑えられることで発生するという報告もあるとか。今後の研究が注目されている。
メチル化は初めて聞いた現象であるが、非常に興味深い現象である。またこの話を聞いていると、事前に遺伝子ですべてが制御されているという遺伝子万能論が的はずれであることも言えるような気がする。
6/28 サイエンスZERO「骨や臓器をつくりだせ 驚きの3D技術」
3Dモデリングの技術はかなり進歩しており、現在では立体プリンタを使用することで、試作品などを迅速に製作するというような技術が実用化されている。この技術を医療に応用しようと言う試みを紹介している。
まず最初に登場するのが人工骨への応用例。骨が欠損などした場合、そこを補うには人工骨をピッタリの形に合わせる必要がある。それをCRTのデータと3D整形技術を組み合わせることで可能にするのだという。骨の成分に近いリン酸カルシウムで人工骨をつくることで、ピッタリのものが出来ると共に、患部との融和が非常によいことから、自然骨との置き換えもスムーズに進行したとのこと。今後の課題は腕や足などの強度が必要な部分に対する対応をどうするかだという。
またこの技術で人工臓器をつくろうという研究がある。細胞を増殖させるための足場を3D技術を使用して、水で徐々に分解するプラスチックて製造し、その中で肝臓などの細胞を増殖させて人工臓器をつくり出す研究がなされている。またインクジェットプリンタの技術を応用して、実際に細胞を狙った形に打ち出すことで、立体的に細胞を積み上げるといった研究も紹介されている。
3Dモデリングの技術が、海洋堂以外でも応用されていたという例(笑)。3Dプリンタなどを使用すると、内部の精密構造も作ることができるというのはかなりの強みである。確かに人工臓器を作ろうと思えば、細胞を膜状に培養したのではどうしようもないので(人工皮膚や人工角膜ならそれで十分だろうが)、このような技術は不可欠になると思われる。それにしても技術の進歩ってすごい・・・。
6/7 サイエンスZERO「不思議な関係!?共生の謎に迫る」
世の中には種々の共生関係にある生物がいるが、その共生の謎についての解説。
共生については遺伝子レベルでの対応があるとのこと。粘菌と大腸菌を混ぜた状態にすると、粘菌が大腸菌を食べていくのだが、培地にいくつかコロニーを作って実験すると、中には粘菌が大腸菌を食べ尽くすのをやめて粘液の固まりのような中で共生する関係が成立するということがあるという。この研究は大阪大学大学院の四方哲也教授によって詳しく研究されているが、共生関係が成立した大腸菌の遺伝子を調べたところ、共生が発生した後に遺伝子の発現が強化されていたという。
また珊瑚と褐虫藻のように、体内に取り込んで共生関係にあるようなものもあるが、面白い生物として筑波大学の井上勲教授が研究している「はてな」と命名した生きものがあるという。奇々怪々な生物なので「はてな」と名付けたそうだが、このはてなは体内に藻類を取り込んで共生関係を結ぶのだという。そしてこのはてなが分裂して増加する時は、体内の藻類は片方にだけ集中し、そちら側は光合成でエネルギーを得る植物のような生活をし、反対側は口が出来て動物のような生活をするのだという。そしてこの動物体側がまた新たに藻類を取り込むことが出来ると、今度は口の部分が光を感知する機関に変化し、植物的な生活に入るのだという。植物細胞の葉緑体が体外から取り込まれたものだと言われているが、そのような進化のメカニズムの解明につながるのではとされている。
また体内に多くの原生生物を飼っているのがシロアリ。シロアリは腸内で原生生物を飼うことで、セルロースを分解できるという。またその原生生物を調べるとその原生生物の中に細菌がさらに共生しているとのこと。理化学研究所の研究によると、この細菌はアミノ酸とビタミンを合成する能力が非常に強いもので、これらを原生生物やシロアリに与えることで共生関係が成立しているという。この細菌を研究することで、木くずなどを原料にしたバイオエタノールの合成に使えるのではと期待されている。
以上、共生関係について。共生関係とは要はギブアンドテイクの共存共栄の関係であるが、生物の世界ではそれが遺伝子レベルで刻み込まれているということらしい。一方、共生とは似て非なるものに、寄生というのがある。共生は共存共栄だが、寄生は一方のみが依存するという歪な関係にあり、やがては宿主を滅ぼしてしまうこともある。こちらの寄生主の選び方は遺伝子レベルに刻まれているんだろうか?
なお人間においても共生関係を結べる相手もいるが、共生と言いつつその実は寄生しかしないという輩もいる。人間界も自然界に負けず劣らず複雑である。
5/31 サイエンスZERO「チャンス発見学最前線」
膨大な情報の中から、隠された重要な情報を選び出す手法である「チャンス発見学」(データの中から情報を発掘するという意味で、専門用語では「データマイニング」と呼ばれるが)について紹介。
まずは安めぐみ嬢がスーパーでの購買データを元に、鮮魚を売るためにはどういう対策を考えられるかという実習を行っているが、データとして相関性の高い要素だけでなく、登場頻度の少ないデータでも重要なものがあるということに注目していたのが特徴的である。またキーワード検索で製品開発の参考にしたメーカーも登場。要望などのキーワード分析の結果、多色ボールペンのノックの音を小さくするという開発を行ったとのこと。
主に番組で紹介されているのは東京大学工学系システム創成学専攻の大澤幸生准教授の研究。土曜スタジオパークに出演した時の安めぐみ嬢の発言から、彼女の発言の中で「視聴者」という単語がキーワードになっているということを分析したり、地震の発生地の情報の相関性から各地の地震の関連性を求めるというような事例について紹介していた。
最後に登場するのは、交渉の出来るコンピュータを作ろうという研究で、これは交渉におけるキーワードをコンピュータで分析しようと言うもの。実際の交渉の中から言葉の相関性を導き出し、キーワードを抽出するということを行っている。
今回の分析で共通している手法は、相関性の高い言葉の群れに注目するのではなく、独立した群れ同士を結ぶ位置にある言葉に注目していること。これらの単語は各テーマをつなぐ鍵になっているという考えらしい。とは言うものの、実際はこの手法ばかりで常にうまくいくというものではなく、試行錯誤が必要になるのだが。番組中で専門家が発言していたが、この手の手法は「今まで気づかなかったところに気づかせる」というのがもっとも重要な役割であり、この分析だけで何でもうまく行くわけではない。
正直言うと、データマイニングについては私は全くの素人というわけではないのだが、それでも今回の内容はなかなか分かりにくかった。特に今回登場した「テキストマイニング」の世界は特に分かりにくい(あまりに根拠が抽象的なのである)。実のところ、番組製作スタッフもよく分かっていないのではないかと思われる節があったのではないか。実際に説明があまり整理されていなかったように思われる。通常の発想と全く異なる世界なので、一朝一夕に理解しにくいのは事実であるが。
5/24 サイエンスZERO「不思議生物粘菌の力をいかせ」
ネンキンとは厚生年金、共済年金、国民年金の三種があるが、社会保険庁の杜撰な管理によって役人によって着服されていたということが明らかになった・・・というべたなボケはともかくとして、今回のテーマはあの南方熊楠が研究したことで知られている粘菌である。ただ今回のスタンスは、粘菌の生物としての特性がどうこうと言うよりも、粘菌の挙動を主に情報科学的観点から応用している例について。
まず登場するのは北海道大学電子科学研究所の中垣俊之准教授。彼の研究室を安めぐみ嬢が訪問しているのだが、そこで見せられるのが「粘菌が迷路を解く」という実験。迷路のパターンを作った寒天上で粘菌を培養して、出入り口のところに餌を置いておくと、出口と入り口をつなぐ最短経路の部分の栄養の行き来だけが盛んになり、それ以外の部分の粘菌はなくなっていき、最終的には最短経路だけが残るのだとか。このようなアルゴリズムをカーナビの最短経路探索などに応用しようとしているとのこと。極めて単純ルールだけで全体が統制的に動くのが粘菌のアルゴリズムのポイントらしい。
同様の研究がなされているのが、システム制御工学が専門という東北大学工学部の石黒章夫教授。彼は単に伸び縮みが出来るだけのロボットを使用して、粘菌の移動を再現した。3つのロボットを連結した時、3つが同じリズムで伸縮しても動かないが、タイミングが変わることで全体が動くのだという。例えば赤外線が当たるとタイミングが早くなるように設定すると、赤外線の方向に向かって全体が動くことになるとのこと。このロボットの数が増えた場合をシミュレーションすると、全体が実際の粘菌のように生物的に動き、しかも半数のロボットが機能停止した状態を想定しても全体が動くことが出来、生存性の高さが示されたとか。
最後に登場するのは細胞型粘菌の動きに対する化学的考察。立命館大学生命科学部の長野正道教授によると、細胞性粘菌はサイクリックAMPという物質によって集まる性質があることが知られているが、そのサイクリックAMPの濃度について、細胞性粘菌の回りのサイクリックAMPの濃度が低下した場合に、一定の濃度になるまでそれが分泌されるという法則を取り込めば、実際の細胞性粘菌が集合して一定の数が集まるプロセスが再現されたという。
以上、いずれも情報工学的なスタンスから粘菌モデルに注目していたことが興味深い。この粘菌システムのポイントは、個々は出来るだけ単純システムでいながら全体が制御できるということ。もっともこのようなシステムは自然界には決して少なくなく、群れ全体がシステム的に動く蜂やアリもこのような要素があるし、人間でさえ洗脳で個々の思考能力を奪って単純化したら、ナチスや北朝鮮のような全体主義国家という一つの生物になってしまうし、某巨大宗教組織なんかもこれに似たようなもんだ。
なお「粘菌と言えばやっぱり風の谷のナウシカだな」と思っていたら、しっかり「ゼロのツボ」で登場。さすがにオタクの多いNHKはこういうツボははずさないようである。
5/10 サイエンスZERO「江戸前の魚を守れ」
東京湾の海は「江戸前」と呼ばれて豊かな漁獲資源が寿司などに利用されてきた。しかしこの江戸前の海に危機が迫っているという。
実際に寿司屋の店主に聞いたところでは、江戸前のネタが減っているとの証言が。実際に水産技術センターの調査でも明らかに減少傾向があるのだという。
問題の一つと考えられるのが、海中の酸素濃度。特に夏になると、酸素濃度が極端に低い貧酸素水塊と言われる現象が見られるのだという。この貧酸素水塊の中では生物は生きることが出来ない。これが漁獲量に影響を与えると考えられているという。貧酸素水塊が発生する原因だが、大量発生したプランクトンが死んで海底に降り積もり、そこでバクテリアによって死骸が分解される時に酸素が大量に消費されるのだという。さらに夏には対流が減少するために、表面の酸素が海底まで循環しないのだという。またプランクトンの大量発生の原因は、いわゆる富栄養化で、川から流れ込む栄養分が大きな影響を与えている。
一方、海を守る活動として、アマモを植えるというような活動が行われている。アマモは酸素を作ると共に、魚などの住処になることが期待されている。
以上、江戸前の海の現状について・・・なんだが、今更言われるまでもないことが多かったような。富栄養化を抑えるという意味では、江戸前で貝の養殖をするのも良いかも。広島湾が牡蠣の養殖で知られるが、あそこが牡蠣の生育にとって好条件なのは、適度に富栄養化した水が流れてくるからとのこと。貝類には富栄養化した海水を浄化する能力があるので、江戸前でも貝類の養殖をしてみたら結構成長するかも。
なお科学∞は、ブログなどに載せるアニメを簡単に生成するという技術について。それは良いんだが、レポートに行った山田賢治アナが作成した新ポーズが「なんでやねん!」っていうのは・・・。彼って関西人? 調べてみたら、前任地が松江放送局とのことだが、元々は千葉県の人間ってことで、関西関係ないやん。
4/26 サイエンスZERO「ここまで見えた知られざる太陽」
現在、太陽観測衛星「ひので」が打ち上げられて最新の太陽映像が送られてきているが、そこから判明した太陽の姿について紹介。
番組では実際の映像が紹介されているが、太陽表面から吹き上げるガスが明瞭に観察されており、思わず「CG?」と聞きたくなるような鮮明な映像である。
太陽の黒点は太陽活動の活発さと相関すると見られているが、その黒点観測でもひのでは成果を挙げている。黒点の生成や消失などの際の磁場の観測を行うことで、黒点の生成には太陽内部から湧きあがってくる磁場が影響していることが明らかになっているという。
また100万度から1億度というコロナの高温の理由については今まで不明で、これは「コロナの加熱問題」と呼ばれて天文学最大の謎の一つだったとか。しかしこの問題について、ひのでの観測によって従来に観測されていた垂直方向の磁力線だけでなく、水平方向を向く磁力線があることが観測されたことから、これが磁力線に揺らぎ(アルベン波)を与え、その結果としてコロナにまでエネルギーを与えることになるとの推測がなされているという。さらに今回の観測データから、アルベン波が直接に観察されたとの報告もあるという。
また太陽風の予測などにも利用されようとしているとか。太陽表面でフレアという爆発が起こった場合、強烈な太陽風の発生で、人工衛星などの機器にダメージを与えるなどの事故が起こる可能性があるが、現在は予測がまだ難しい。そこでひのでの観測データと地球シミュレーターを利用した計算によって、このフレアを予報しようという試みも行われているという。
CGにしか見えないひのでの鮮明な映像はかなりのインパクトがあった。太陽活動は地球の状態とも密接に関係があるのだから、今後も太陽の研究が進むことを期待するところである。ところで今回のゲストには書道家が登場していたのだが、このゲストって意味あるの? この番組の場合、あまりに科学の素人すぎる人物をゲストに置く意味ってよく分からない。
4/19 サイエンスZERO「変わる科学ミュージアム」
日本全国で515もの科学博物館があるという。そんな科学博物館の現状を紹介。
まずは安めぐみ嬢が最新の科学博物館を体験するところから。最近は体感型の科学博物館が増えており、彼女が訪問したのもそのような博物館の一つ、静岡科学館る・く・る。そこで暗闇の中を手探りで歩いたり、上下が逆さに見える眼鏡を掛けたりして、人間の感覚について学習するという仕組みを体験している。ちなみに館名の「る・く・る」は「見る・聞く・触る」の意味だとか。
また博物館が積極的に外に出る試みなどもなされている。兵庫県立人と自然の博物館では標本を小学校などに貸し出してミニ博物館にするなどという取り組みが行われている。また同館の八木剛主任研究員によると、「あかねちゃんクラブ」なる組織を地元で結成し、地元の人たちを巻き込んでミヤマアカネの生態調査などをするなど、科学に対する好奇心を喚起する取り組みを行っている。
また博物館の標本が生態系保護に役に立った例がある。兵庫県立人と自然の博物館の三橋弘宗主任研究員は、武庫川の上流での河川改修の際、兵庫県からの生態調査の依頼に基づいて調査に取りくみ、過去の標本などを調べることで河川改修予定地から非常に貴重な標本が多数採取されていることを発見したという。兵庫県では三橋氏のアドバイスに基づき、水路に水の淀む水路を造ることなどによって生態保護に取り組んだという。
さらに一般人への発信を考えて、博物館の展示も変わりつつある。最近リニューアルした日本科学未来館では、新たに最新医療の展示を行うに当たって医学博士の科学コミュニケーターと先端医療の素人である展示のプランナーがコンビを組んで、互いの視点を補い合って展示を決めたという。
理系離れが叫ばれて久しいが、科学博物館は科学への興味を喚起する最前線となるので、是非とも頑張ってもらいたいところ。確かに最新の科学博物館は展示も凝ったものが多く、私も富山市科学博物館に行った時に、最新の体感型展示に感心したものである。ただ全国を見てみると、標本を並べているだけのマニアックすぎるところや、建造当時はそれなりに予算をかけて作ったと思われるのに、その後に全くリニューアルした様子がなく、わびさびの情緒が漂ってしまっているような施設もある。担当者の熱意もさることながら、自治体などが十分な予算をかけるかということも重要なのである。
4/5 サイエンスZERO「"流れ"が勝負を決める スポーツ工学最前線」
スポーツの世界で流体力学の応用が進んでいる。
軟式野球の世界では、硬球よりも飛びにくい軟球の飛距離を伸ばすため、流体力学を応用しての新設計がなされたという。表面の状態を変更することで空気の抵抗を減らし、従来のものよりも10メートルぐらい飛距離が伸びたとか。なお番組では安めぐみ嬢が実際にそのボールを打ってみていたが、かなり良いスイングをしていたところを見ると、彼女は以前にソフトボールか野球を経験しているのか?
サッカーの世界にも流体力学での研究が進んでいる。今注目を浴びているのがボールに回転を与えない無回転シュートとか。回転を与えられていないボールは、気流によって不規則な動きをしてコースが読めないのだとか(野球で言うところのナックルボールと同じである)。ただこのシュートはプロでも確実に打てるわけではなく、6割ぐらいの確率だとか。そこでこの無回転シュートをどうすれば打てるかなどの研究もなされているという。
最後は水泳について。水泳では従来はS字ストロークが最速と言われていたが、イアン・ソープはI字泳法と呼ばれる水をまっすぐ下に掻き出す泳法を取り入れたとか。この泳法はS字泳法がストロークの後半で推進力が高まるのに対し、ストロークの前半で推進力が高い泳法で、その時に肘ではなく腕全体を使えるので疲れにくいというメリットがあるとか。現在、流体シミュレーションに基づいて最速の泳法の研究が行われており、そこから出てきた一つの解答は、従来のS字泳法を改良したようなものとのこと。
以上、流体力学のスポーツへの応用について。なお流体力学はコンピュータの進歩の恩恵を最も受けている分野の一つである。高度な計算を繰り返す必要がある流体シミュレーションは、コンピュータの進歩があってこそ精度を上げて実用化することが可能になった。最近では車や航空機の設計などで大がかりな風洞実験の前段階として利用されるようになっている。
ただ個人的には、スポーツ工学という分野はどうも無粋に思えて仕方がない。そこまで理詰めで記録を追究するのって、スポーツの本来の目的だろうか?
3/1 サイエンスZERO「夢の万能細胞に挑む」
京都大学の山中伸弥教授が開発した人の皮膚から作り出した万能細胞・IPS細胞が世界中の注目を浴びているが、今回はその山中教授を招いてその開発の経緯などを聞いている。
山中教授はそもそも臨床医だった。しかし救えない患者の多い現状に限界を感じ、基礎研究に転じたとのこと。彼が開発したIPS細胞は、脊椎損傷を始め多くの患者を救える可能性があると期待されている。
IPS細胞は皮膚の細胞に遺伝子を4つだけ加えたものだという。受精卵を原料にしたES細胞と異なり、倫理上の問題がクリアできることも期待されているし、本人の皮膚細胞から培養することから拒絶反応の問題もないと考えられる。
開発で苦労したのはその4つの遺伝子を見つけること。山中教授は遺伝子に鍵があると考えていたが確証がなかったという。しかし京都大学の多田高准教授の研究で、体細胞とES細胞を融合させると体細胞が万能細胞科することが明らかになり、ES細胞がなんらかの遺伝子を活性化させるのではと推測できたという。その遺伝子を解明するには数万の遺伝子を一つずつ確認するという気の遠くなる作業になるという。そこで参考になったのが理化学研究所の林崎良英氏の研究だったという。彼は遺伝子の機能を徹底的に調べたデータベースをまとめており、それを使用することで候補遺伝子を100ほどに絞り込むことが出来たという。つまりは様々な研究の相互作用で開発に成功したのだという。だから山中氏は、苛烈かする世界との競争を勝ち抜くために、日本の選りすぐりの研究者を集めてチーム日本で開発を進めることを提案している。
実際、海外では医療への応用の実験を始めたり、遺伝子操作でなく化学物質によってIPS細胞を作る研究などもなされており、次世代の基礎技術を狙って各国の研究者が必死で競争をしている。
久々の日本初の大きな技術だから、ここは是非ともこのリードを保っていってもらいたいところ。アメリカの製薬会社などに特許を独占されるようなことにでもなれば世界中が不幸になってしまうので、是非ともそれは阻止してもらいたい。このような重要技術は、どこかの営利企業に独占させては駄目で、広く社会全体で共有する必要があるのだから。そのためには日本が政府主導プロジェクトなどで特許等を独占ししてしまう必要がある。
2/23 サイエンスZERO「"赤谷の森"多様な生態系を守れ」
群馬県の赤谷の森で長期間にわたって大規模に行われるという生態調査について紹介。観察のポイントは、各地に置いたセンサーカメラ。動物の体温などで反応して撮影をするという。するとカメラを設置した環境でどのような静物が活動しているかが分かることになる。するとイタチは水場に現れることが大半であるが、テンは様々な環境にまんべんなく現れているとか、そのようなことが明らかになるのだとか。また同時に糞などを調べると、その職制だけでなく森の環境なども分かることになるという。このような生態系全体を見渡したような景観生態学と呼ぶとのこと。
同地域にはクマタカが生息しているが、繁殖の成功率は低く、餌となる小動物が少ないのではないかと考えられているという。小動物を増やすには、森を意図的に伐採して光を入れるなどの積極的に手を加えた方がよい場合があることも、このような観察から明らかになったりしているとのこと。
ようやく自然全体を視点に入れての観察が開始されたというお話。興味はありますが、ネタとしてはやっぱり地味だな・・・。
2/16 サイエンスZERO「速さへの挑戦 次世代新幹線」
飛行機との競争も熾烈な新幹線はさらなる高速化を目指している。現在、320キロの営業運転を目指して東北新幹線に投入される予定になっている新型車両の実験車がファステックとのこと。このテスト走行に安めぐみ嬢が取材に行っている。
現在、ファステックは実際の路線を使用したテストを行っている。この車両の特徴は先頭が非常に長いこと。16メートルもあって世界最長とのこと。またこの車両は、カーブを高速に走行するために2度まで車両を傾けることが出来るようになっている。この回の走行テストでは335キロから急ブレーキをかけて、どれだけの停止距離で停止できるかをテストしていた。この時の停止距離は3.8キロとのこと。なお運転台も紹介されていたが、先端部を長くしたためにかなり狭い作りになっている。番組では「まるで飛行機のコックピット」と紹介していたが、私のようなオタク人間には巨大ロボットの操縦席のようにも見える。
列車の高速化のために重要になるのは軽量化である。単に速度を上げるためだけでなく、線路の傷みを減らすためにも軽量化は重要である。ファステックでは強度を上げつつ5%の軽量化を行うためにかなりの苦労があったという。その手法の一つは障害物を跳ね飛ばす排障装置の軽量化や、さらに電圧変換のための主変換装置の冷却を従来のファンによるものから、水冷と外気取り込みによる冷却を組み合わせたものに変更したとのこと。
また単に高速化すればよいのではなく、環境についても考える必要がある。まず問題になったのはトンネル出口で車両による空気の圧縮によって微気圧波と呼ばれる気流が発生して、爆発音のような激しい騒音が発生するという減少である。これを解決するため、ファステックでは先頭車両にアローラインという丸みを帯びた形状のものと、ストリームラインと呼ばれる直線的な形状のものを用い、その効果のほどをテストしたという。その結果、アローラインの方が10%程度ほど抑制効果が高いことが分かったとか。
さらに騒音についての解析を行っている。その結果、従来の車両ではパンタグラフによる騒音が大きいと言うことが判明したので、ファステックでは新型のパンタグラフを導入して騒音の抑制を図っている。
以上、新型新幹線の開発について。かつては将来の高速列車は車輪を持ったタイプでは不可能ですべてリニアモーターカーになるなんて言われた時期もあったが、現実にはリニアモーターカーはどう考えても採算が合いそうにないことから、従来型車両の改良も同時に進められている。技術は常にこのように複線化で考えることが重要である。かつては車輪付車両で300キロを超えることは不可能なんて言われた時期もあったのであるが、現実は既にそれを超えている。
なお私の個人的要望としては、ローカル線の劣悪路線でも安定してより高速運転できる車両の開発というのはできないものだろうかと思う。ローカル線が競争力を回復するためには、高速化というのも課題の一つだと思うので。まあ新型新幹線の開発よりも難易度の高い課題になりそうなくせに、地味な課題だから、やろうとする者がいるとは思えないが。
2/2 サイエンスZERO「"細胞の顔"糖鎖 その不思議に迫る」
糖鎖とは複数の糖が連なった物質であるが、細胞の表面に存在して一種の識別票のような役割も果たしている。血液型の違いとは、赤血球の表面のこの糖鎖の一つが異なるだけの違いであることも分かっている(当然ながら、その程度のことが性格なんかに影響するはずもない)。
この糖鎖を医療に応用しようと言う研究がなされている。愛知県がんセンターの神奈木玲児氏はがんの転移と糖鎖の関係を研究している。大腸癌の細胞は血管を通じて転移するが、このガン細胞が血管壁にとりつく時、シアリルルイスAという糖鎖が効いていることが明らかになったのだという。これは白血球が持つシアリルルイスxと類似の構造であり、白血球が細胞壁にとりつくメカニズムを使用して血管壁にとりついていたのだとか。これを阻止することでがんの転移を阻止することが考えられるとのこと・・・なんだが、下手をすると白血球の機能も阻害することにならないか?
また産業技術総合研究所の成松久氏のグループでは、がんの早期発見のための腫瘍マーカーを糖鎖の研究で開発しようとしている。レクチンアレイという装置を用い、レクチンとガン細胞との反応を調べることで、癌によって固有の糖鎖を解明し、それを利用した高精度の腫瘍マーカーを開発するのだとか。
以上、細胞表面の糖鎖について、その医療への応用。どうも癌絡みのネタばかりだが、ガン細胞が固有の糖鎖配列を持つことからこうなるようだ。ガン細胞の特有の構造が明らかになれば、ガン細胞を狙い撃ちする治療薬なんてのも可能になるのではと期待できるのであるが。ただ、抗ガン剤なども次第に効かなくなったりするし、ウィルスなんかは表面構造を変えて耐性菌が出来たりするなんて話を聞くと、ガン細胞の糖鎖も変化しないのかが気になるのであるが。
1/26 サイエンスZERO「世界最強!日本の磁石研究最前線」
現在、世界最強の磁石であるネオジウム磁石は、日本で開発されたものである。従来の磁石の10倍の強さを持っているという。
今やこのネオジウム磁石は産業の各分野で応用されている。モーター類はネオジウム磁石を使用することで大幅な消費電力削減につながっている。電気自動車などの開発にも不可欠のものである。また冷蔵庫などの冷却器への応用も研究されているという。
ただこのネオジウム磁石には弱点がある。耐熱性が低く、高温に加熱すると磁力を失ってしまうのである。これの対策としてはジスプロシウムの添加がこうかがあることが知られている。しかしここで問題になるのはネオジウムもジスプロシウムも共にレアアースであり、現在の産地は中国に偏っていることである。中国がレアアースの輸出を制限し始めたことで価格が高騰しており、日本も資源の確保が国家戦略として重要化しているのである。
そこでその対策として、磁石メーカーでは加工の過程で削られるクズからレアアースを回収すると共に、産業技術研究所では各地の地層サンプルを調査することで、レアアースを含む地層を解明し、新規な採掘地の探索を行っている。またジスプロシウムを使用しない高耐熱性ネオジウム磁石の開発も進められている。これは磁石の微粒子を小さくすることで磁力の喪失を防ぐという方法とのこと。ただし現状ではまだまだ問題も多い。
意外なことであるが、磁石開発に関しては日本の独断場だったらしい。ただレアアースの問題は深刻で、磁石に限らず各分野で戦略物資化している。中国もそれを意識して囲い込みに走っているわけで、注意しないと日本の産業が日干しにされかねないのである。そういう事情があるから、どこぞの馬鹿政治家のように中国といたずらに無意味な対立を煽るのは亡国行為なわけである。日本はアメリカにご追従しているだけでやっていけるほど甘くもないわけである・・・まあこれは科学とは別の世界の話だが。
1/12 サイエンスZERO「アートと科学のフシギな関係」
今回は、縁遠いと思われている科学とアートの関係について紹介。
まずは安めぐみ嬢が体験するのは新宿で開催されている科学とアートの関わり合いを示す展覧会(「サイレント・ダイアローグ−見えないコミュニケーション」展)。ここで展示されているのは、蘭が人間の存在に反応して流れる電流を音で表現した作品や、植物が発芽する際に発生する光を検出して表現した作品など。中には植物を動かすことで植物が新たに進化するかも?という作品もあるとのこと。
またアートの世界から科学の世界と結びついた人物も登場。埼玉県の彫刻家の金沢健一氏は、鉄を用いた作品を作っている内に、鉄をこすった時に現れる定在波を利用した作品に行き着いたとか。また別のアーティストは美しい形を追究する過程でカオス理論に当たったとのこと。
さらに科学の将来に疑問を投げかけるような作品も登場。クローン問題を扱った作品なども登場。
うーん、科学とアートの関係と言っているが、アートと言うものは常に口実を必要とするもので、かつてはそれが宗教などに求められたが、ルネサンス以降は人間に求められるようになり、現代では科学文明万能時代を反映して科学にも求められるようになってきたというだけの話に思えるのだが。
実際のところ、今回登場した作品などは、科学を批判した作品以外は別に科学的に見える材料から取り出すべき必然性はないから。屋根から落ちる雨だれのパターンからでも、浜辺に打ち寄せる波をとっただけでも、本人が「アートだ」と主張すればアートになってしまうのが現代だから。もっともその作品が他の人間にもアートと認識されて歴史に残るかは別問題だが。ちなみに私は、現代は「すべての人間が自らを芸術家と名乗った時代」と後世に言われるような気がしてならない。今のアートは、とにかく「誰でも出来る」作品ばかりですから。つまり思いついた者勝ち。
12/23 サイエンスZERO「2007 科学10大ニュース」
いよいよ年末。となると恒例のお約束行事である。いつものパターン通り、専門家と視聴者の双方にアンケートをして決定している。
まず専門家のランキング。10位は新潟県中越沖地震。9位は日本でのバイオガソリンの発売。8位はIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が6年ぶりの報告書とかなり地味系のネタ。さらに7位が北極海の氷が急速に減少、5位が氷河が急速に溶ける、4位が猛暑最高気温の更新と地球温暖化ネタ。飛ばした6位は冥王星が準惑星にいう占星術界を震撼させた話題。番外編が花を咲かせるフロリゲンの発見、動く分子の撮影に成功。
専門家の上位に行く前に、まず視聴者の下位ランキングの発表になる。
視聴者編は10位が探査機はやぶさ地球へ、9位が太陽系外に地球型惑星発見、8位は衛星タイタンにメタンの湖か、7位が北極海の氷急速に減少、6位が猛暑最高気温の記録更新、5位が氷河急速に溶ける、4位が冥王星が準惑星、3位が宇宙の暗黒物質分布地図、と言うわけで宇宙ネタが一般ウケするということがよく分かる。
後は上位の発表。
で、上位視聴者2位が月探査機かぐやで、これは専門家も同じく3位。専門家の2位はノーベル平和賞に地球環境問題。視聴者も専門家も共に1位は人の皮膚から万能細胞といったところ。
内容的には大体そんなところだと思う内容だが、視聴者は専門家に比べて宇宙ネタが好きだということが分かったのと。専門家の2位は視聴者の10位以内にも入らない地味なテーマだったということから、専門家の方が地球環境問題に注目しているということもうかがえる。この辺りは非常に特徴的。素人は宇宙開発などの派手なテーマに目を惹かれるが、専門家は地球環境問題のような足下の危機を警戒するという視点の違いである。このようなパターンの違いがあるから、専門家が高く評価する貴重な研究が世間から注目されなかったり、予算がつかないなんてこともあるんだが。
12/16 サイエンスZERO「驚きの再生力!骨髄幹細胞」
損傷した臓器などを再生する再生医療が近年注目を浴びているが、今回のテーマは骨髄幹細胞を使用した臓器再生の試みである。
骨髄幹細胞が以前から造血細胞として白血病の治療などに用いられてきたが、骨髄移植を受けた女性の腸が炎症を起こした時、その患部に男性染色体を持つ細胞が集まっていることが分かったことから、骨髄幹細胞が臓器の再生などに関与することが判明したのだとか。つまりこの女性は男性の骨髄幹細胞を移植されており、その骨髄幹細胞が腸の治療のために移動したのだという。
骨髄幹細胞の万能細胞としての能力はES細胞や、最近話題になったiPS細胞などよりは若干劣るとのことだが、ES細胞は受精卵から作るために倫理上の問題があるし、iPS細胞は遺伝子操作によって生み出すので安全性がまだ検証される必要がある。これに対して骨髄幹細胞は既に骨髄移植などに広く使われており、その安全性は既に確立されているというメリットがあるという。
ドイツでは既に心臓病に対する臨床試験が行われているという。心筋梗塞で心筋細胞の一部が弱ってしまった患者の血管のの閉塞部に骨髄幹細胞を注入したところ、そこから新たな血管が生成して弱っていた心筋細胞が回復したという。
同様に日本でも札幌医科大学で脳梗塞治療の臨床試験が開始されている。脳梗塞で左半身に麻痺が出ている患者の患部に骨髄幹細胞を注入したところ、注入してから5時間後に早くも患部の縮少が見られ、運動機能の回復が見られたという。骨髄幹細胞が脳の回復を促していると考えられるという。
骨髄幹細胞が患部に集まるメカニズムについてだが、脳梗塞などが起こった時にSDF−1というタンパク質が増加することが確認されており、これが骨髄幹細胞に指示を与えてるらしきことが分かったとのこと。
どの程度の能力があるのかはまだ未知数だが、脳の神経細胞まで再生できるとなればこれはかなり画期的な治療法となり得る可能性が高い。今後の研究が待たれるところである。
12/9 サイエンスZERO「いにしえの謎に迫れ 情報考古学最前線」
今回のテーマは考古学分野に最先端科学取り入れる例。
最初に安めぐみ嬢が訪問するのは奈良先端科学技術大学院大学の千原國宏教授の研究室。彼はバーチャルリアリティで平城京の復元を行っている。足にセンサーを取り付けることで、実際にバーチャルリアリティの中を歩き回れるようになっている。このようなイメージを作ることで、実際に平城京の中はどうなっていたかを考える参考にするのだとか。なお最初に安めぐみ嬢が復元された朱雀門を訪れているが、本当にここは何もないところにいきなり門だけが建ってるんだよな・・・平城京の敷地の中を鉄道も通ってるし、実際に現地に行くと光景が異様だから驚きますよ。
次に登場するのが、遺跡を3Dデータにしようという試み。例えば倒壊の危機に瀕しているアンコールワットの遺跡などを測定して3Dデータにして残すと共に、研究に使用しているのだとか。東京大学大学院の池内克文教授の研究室が、バイヨン寺院を3Dデータにして調査したところ、尊顔とよばれる多数の人面像について、今までは1つのモデルから作られていると言われていたが、実は3種類の原型があるということが分かったとか。実際の写真では汚れやコケなどで分かりにくい形態が、コンピュータに取り込むことで明確に分かるようになるとのこと。なおコンピュータと3Dデータの組み合わせは、土器の破片の復元などに応用する研究も進められているという。これに取り組んでいるのは岩手大学工学部の今野晃市准教授で、現在のところはまだ研究段階のシステムだが、将来の実用化が期待されているとのこと。
また古代人の足跡を探るなどという分野にも情報科学が応用されている。同志社大学専任講師の津村宏臣は貝塚の分布のデータなどから、シミュレーションの手法を駆使して、縄文時代に集落がどのように拡散していったかなどの推定がなされている。番組では房総半島の内陸部に集落が拡散していく経過などをビジュアルに示している。このような集落のネットワークが当時は形成されていたと考えられるとか。
また九州国立博物館にはX線CTスキャンが導入されており、文化財の内部などを非破壊検査出来るようになっているという。番組では蒙古軍がもちいた火薬兵器「てつはう」の内部を調査し、殺傷力を上げるために鉄片などを入れていたのが観察されている。
この調査の結果から察すると、従来は火と爆音で相手を混乱させる兵器と考えられていたてつはうが、実は現在の手榴弾のように殺傷能力の高い兵器だったということだろうか。これは従来のてつはうに対するの解釈に対し、蒙古軍が単なる虚仮威しの兵器を使うとも思えないし、鎌倉武士もただ単に爆音だけであんなに総崩れになるほど軟弱ではないだろうという私の考えとも合致する。
以上、今回のサイエンスZEROは考古学と最先端科学について。かつての考古学と言えば、血道に遺跡ほじくり返しては、発掘品から推理するだけの学問だったが、最近は科学分析というのは不可欠になっている。そのうちにタイムふろしきが開発されて、発掘品の製造時の姿が再現されるように・・・なるわきゃないが。ただ最先端の分析での結果、過去の学説が覆る例がかなり増加してはいるようだ。今回の場合は通常の科学分析だけでなく、情報科学というのが興味深いところ。3番目に登場した集落の拡散シミュレーションは、以前に登場した渋滞シミュレーションを応用した山火事の広がりシミュレーションなんてのとイメージが似ていたな。遺跡の3Dデータについては、これを一般公開したら、この場所を舞台にしたゲームが登場しそう(笑)。そういえば、イギリスの大聖堂だったかを舞台にした殺戮ゲームが「冒涜行為だ」として訴えられたとかいう話を聞いたが、アンコールワットを舞台にした戦争ゲームとか出したら、顰蹙買うだろうな。
12/2 サイエンスZERO「光る生物の力をいかせ」
自然界には様々な光を発する生き物がいるが、それを医療などに活かそうという研究を紹介。
最初に紹介されるのは実際に光る生物の例。ここで紹介されるのはウミホタルなどだが、ウミホタルは刺激を受けると上唇腺という器官からルシフェリン(発光物質)とルシフェラーゼ(発光酵素)が分泌され、これが混合されることで海水中の酸素と反応して発光するそうな。このルシフェリンについては生物によっていろいろあるようだが、ホタルのルシフェリンはセンサーなどにも利用されているとか。
東京の癌研究所の今村健志部長は、ガン細胞にホタルのルシフェラーゼを作る遺伝子を組み込むことで、がんの転移のメカニズムの解明などの研究をしているという。さらにクラゲの蛍光タンパク質を細胞に組み込むことで、細胞レベルでの移動を観察している。全体の様子を見るには生体に影響の少ない発光物質が、細かい部分を見るには光の強い蛍光タンパク質が有効なのだとか。
さらに特徴的な物質を使うことによる研究もある。理化学研究所の宮脇敦史氏はヒユサンゴが持つ蛍光タンパク質を脳神経の研究に使用している。ヒユサンゴの蛍光タンパク質は、紫外線を当てることで色が緑から赤に変わるので、これを利用して脳細胞の観察の時などに特定の細胞に紫外線を当てることで、その細胞の神経線維だけを色を変えたり出来るのだという。こうして特定の細胞の繊維だけを識別し、脳神経の成長などを観察できるのだとか。
以上、生物発光の応用についての研究。生物発光はエネルギー効率としては結構高いので、照明器具などの研究もなされましたが、化学反応で発するというのが難点で(つまりは物質を加え続ける必要がある)、照明器具よりはむしろ玩具や飾りなどの方が実用されている見たいです。
なお番組最後は久々の科学∞。今回のネタはヤマメからニジマスを産ませることに成功したという研究。東京海洋大学の吉崎悟朗准教授は、ヤマメの稚魚に雄のニジマスの精原細胞を移植することで、ヤマメにニジマスの卵を産卵させることに成功したのだという。従来から、始原生殖細胞を移植するとこのようなことが可能なことは知られていたが、始原生殖細胞は稚魚にしか存在しないために制約があったのだが、今回の研究で精原細胞を用いることが可能なことがわかったことで、応用範囲が広がったらしい(精原細胞はオスのニジマスならみんな持っている)。この精原細胞は凍結保存が可能なことから、絶滅寸前の魚の保護に使用できるのではと考えているとのこと(卵は大きすぎて凍結保存は出来ないとか)。
いよいよ絶滅種を遺伝子で残すという話が現実化してきたような感じである。ただ地球上からは生物がいなくなり、遺伝子ライブラリーだけに残っているなんて状態は御免蒙りたいところ。しかし今のままでは、野生の生物どころか人間までそうなりかねない。
例によって地味ネタだが、興味深い情報が多々提供されたという内容。この番組、最初の頃は一般人を意識した科学情報番組を目指していた節があったが、時間枠変更後には明らかに一般視聴者を切る方向に向かいつつあるような。だけどそれは正解だと思う。所詮はいくらレベルを下げても一般視聴者はこの手の番組は見ないし、レベルを下げすぎると理系の連中も見なくなるから。所詮は「玄人ウケする番組」を目指す路線しかないだろう。まああまり地味すぎると、私でも眠くなることはあるが(笑)。
11/24 サイエンスZERO「知られざる南硫黄島 25年ぶりの上陸調査」
人の手が全く入っていない絶海の孤島の南硫黄島で、25年ぶりの上陸しての学術調査が実施されたとのことで、その模様についての報告が今回。
火山島であり急峻な斜面に囲まれたこの島は、上陸からして苦労したようである。船は近寄れず、ボートも接岸できないため、最終的にはダイバーが泳いで資材を運搬したとか。
なお完全に孤立した状態でいたこの島では、独自の生態系が存在しており、今回の調査はその実態を明らかにするのが目的。それだけに外来生物の持ち込みには極端に神経を使ったようである。持ち込む荷物については事前に徹底的にチェックし、植物の種などが入っていないように注意したとか。このような閉鎖生態系は非常に脆いため、危険なのだとか。実際に恐いのは、難破した船などからネズミが上陸すること。現地の鳥などは天敵がいないために警戒心が薄く、ネズミなどの生物が上陸すると全滅する危険もあるらしい。今回の調査では、幸いにしてネズミが上陸している気配はなかったらしい。
ちなみに警戒をしたのは生物の持ち込みだけでなく持ち出しもであり、調査に使用した資材は1日冷凍して、生きた生物が持ち出されないように注意したとのこと。実際、後で機器の中に入り込んでいたトカゲの死体が発見されたらしい。
今回、この島だけで進化した新種のカタツムリが発見されたとのこと。外来の生物が独自の進化をするうちに新種になったらしい。またカタツムリがこの孤立した島にやって来たメカニズムとしては、鳥に食べられたカタツムリが、生きた状態でたどり着いた可能性があるとか。実験をしてみたところ、糞の中に生きて出てくる例もあることが確認されたとか。
また採取されたサンプルのDNAを分析することで進化のメカニズムを解明するとか、かなり興味深い研究成果が出ているらしい。
秘境探検シリーズです・・・とは言うものの、川口浩探検シリーズなどとは違い、地味です(笑)。内容的にはかなり濃いのですが、それだけにマニアックですね。植物学や部類学の類にはほとんど興味のない私には少々辛い内容(笑)。
なお今回は生物の持ち込みに極端に注意してましたが、実際に外来生物に環境を破壊されてしまう例はかなり多く、進化の箱庭と言われているガラパゴス島でも、観光客が持ち込んだ猫のせいで大変なことになったという話を聞いたことがある。オーストラリアがやはり外来の犬によって多くの生物が絶滅に追い込まれたことがあったようだが、孤立生態系ではよそから入り込んだ生物は容易に「最強生物」になってしまう可能性があるようである。確かにネズミなんてたちが悪そうだ。環境とか生態系って、破壊するのは簡単だが、回復させるのは不可能だし、維持するのも大変なのである。そう言えば日本の琵琶湖もとんでもない状況になっているとか。先に天皇がそのことを懸念する発言をしたそうだが。
11/10 サイエンスZERO「体をうるおす謎の穴 アクアポリン」
体内において水分というのは重要であるが、細胞の表面においてその水を通すための穴になっているというタンパク質がアクアポリンである。これの発見でノーベル賞が受賞されたという。
細胞膜は本来は水をなかなか通さないものであるが、実際には多くの水分のやりとりが必要である。その時に活躍するのがこのアクアポリンで、アクアポリンには3オングストロームの穴があり、この中を水分子は通過できるが、大きな他の分子は通過できないのだという。
このアクアポリンの働きを医療で応用しようという研究もなされているという。ドライアイが問題となっているが、その中でもシェーグレン症候群というのは目にゴミが入った時などでも涙が出ないという重症なもので、この患者の場合涙腺の細胞のアクアポリンがなくなっていることが分かったとのことで、何らかの刺激を加えることでこのアクアポリンを集めることが出来ないかが研究されている。
また脳が損傷した場合などに脳が膨れて圧迫される脳浮腫という症状があるが、これもアクアポリンが関与しているという。脳が損傷した場合にアクアポリンが増加してしまうのだとか。そこでアクアポリンを抑制することで脳浮腫を抑制する研究もなされているとか。
以上、アクアポリンの最前線について。アクアポリン自体は以前にガッテンで登場したことがあるが、より詳細な紹介というのが今回。アクアポリンは分子の大きさで通過分子を規制しているわけであり、こういうメカニズムはなかなか面白い。なお化粧品メーカーが肌の潤いという観点で注目していると言うが、一つ間違うと細胞を水浸しにしてしまいかねないので要注意。それにこれは、クリームなどに混合したからと言って効果があるものとも思えないし。宣伝が先行したら、また胡散臭い商品が出そうで。
10/20 サイエンスZERO「コウノトリ 野生復帰の舞台裏」
今回はコウノトリについて。前半のコウノトリ野生復帰の顛末等については各地で既出なので割愛。
今回、この番組で取り上げているポイントは、コウノトリの繁殖に当たっても遺伝子の多様性というものに注目しているとのこと。
かつて日本で最後に残った12羽の野生のコウノトリの遺伝子タイプを調べる研究を行ったのが、兵庫板大学の山本義弘氏。彼の研究はコウノトリの標本の羽から採取した細胞の、ミトコンドリアのDNAを調査したのだという。ミトコンドリアのDNAは母型の遺伝によって左右されるので、その血筋が分かるのだという。DNAのパターンのある一部のパターンで分類して、その分類のことをハプロタイプと呼ぶのだそうだが、これが最後の12羽では既に全部同じになってしまっていたのだという。つまり遺伝子の多様性がなくなっており、これが絶滅をさらに促したことになるのだとか。数が減ると多様性が減り、そのことによって数が減るというような「絶滅の渦」という状態になったのだとか。
そこで繁殖センターでも、ハプロタイプに注目したペアリングを行って、多様性の確保に努めているという。またロシアで新たなハプロタイプのコウノトリを譲り受けたりしているという。ただ人間側がいくら意図的に望ましいペアリングを使用しても、コウノトリ同士の相性というものもあるので、なかなか意図したとおりにいくとは限らない(今までにも失敗が非常に多いという)とのこと。この辺りは人間も同じである。
なおこのハプロタイプ、他の鳥の人工繁殖でも応用されており、例えば沖縄のヤンバルクイナでも適用されているとか。もっともトキの場合は既にハプロタイプは1つになってしまっており、そういう意味ではかなり危険な状態だという。
遺伝の多様性というのは重要な要素で、実はこれがないために、ある程度増えていた種が突如全滅って可能性もある。一度絶滅寸前までいっている種はこれが危なく、一時期数頭まで減ったというチーターの場合、例えば臓器移植などをしても拒絶反応が出ないぐらい遺伝的多様性が減少しているという。こういう動物は一つの病気で全個体がやられてしまう可能性が高いので、ある意味では風前のともしびとも言える状態。まだコウノトリはそこまでいっていなかったのは不幸中の幸いか。
ちなみに遺伝の多様性が産まれる一つの要素として、突然変異というのもあります。なお障害者などについては、本来備わるべき機能が備わらなかった欠陥というようなとらえ方が一般的ですが、実は遺伝の多様化の実験としての仕組まれた突然変異という可能性もあります。常にある一定の割合で、突発的に障害者が産まれることを考えるとその可能性もありでしょう。例えば、もし何らかの要因で人類が暗闇の中で暮らすことを余儀なくされたとしたら、視覚障害者の方が生存に有利になる可能性というのもあるわけですし。
なお多様な要素が必要というのは、人間の組織でも同じ。だから東大卒ばかり集めた官庁は、時代の変化について行けなくなって組織的破綻寸前になっているってわけ。エリートばかり集めた一流企業が意外と脆いなんてのもここに起因している。会社にとってお荷物にしか思えなかったような社員が、実はある時に得がたい人材になるということも場合によったらあるんですよね・・・って、なんか生物とは無関係の話になってしまった。
10/13 サイエンスZERO「進化するエコカー 電気自動車の挑戦」
今回は、地球温暖化などで再び注目を浴びている電気自動車の開発最前線を紹介。
まず最初は、安めぐみ嬢が、某自動車メーカーのテストコースを訪問して、最新の電気自動車を紹介・・・なんだが、メーカー名を言わなくても、画面に三菱マークがデカデカと映っている。多分、これを条件にして取材に協力してもらったんだろう・・・。
なんて裏事情はどうでも良いが、この電気自動車、確かに性能的には大分良くなっている。実際にベースとなっている同型のガソリン車と加速競争をすれば加速性能は上。ガソリン車は高速になるほど加速性能が頭打ちになるのに、電気自動車はリニアに加速すると以前に別の番組で聞いたことがあるのだが(某番組で、レーサーの片山右京が「電気自動車の加速はガンと来てグーッと」とまるでミスターみたいな説明をしていたのだが・・・)、やはりその通りのようである。性能向上にはリチウムイオン電池の開発による電池能力の進歩と、モーターの改良による軽量化が大きいとか(それでもガソリン車よりは重い)。なお試乗した安めぐみ嬢によると、まずエンジン音が静か(当然である)、さらに重心が低いので安定性が良い感じがしたとか。
現在エコカーとして開発されているのは、電気自動車以外に燃料電池車、さらに既に実用化されているハイブリッド車がある。現在はこのハイブリッド車をさらに進歩させて、家庭用電源から充電することで電池のみでも装甲できるプラグインハイブリッド車の開発を国内メーカーが進めているという。
また電気自動車ならではの特性を生かした新しい車の開発も行われている。神奈川のメーカーが開発している車(またメーカーは伏せているが、日産マークがもろに見えている)は、4輪が自在な方向を向くのが特徴。しかも運転席まで回転できるので、真横を見ながらまっすぐ横に走って縦列駐車するなんて芸当が出来る。この車は厚さ6センチのインホイールモーターで4輪を独立駆動しているので、このような芸当が可能になる。これはドライブシャフトで動力を伝えるガソリン車では絶対に不可能なこと。
さらに横浜国立大学の藤本博志准教授は、この電気自動車のフレキシビリティを安全性向上に使用しようとしている。彼が試作している車は、センサーでスリップなどを検知すると、タイヤのトルクを個別に制御して、人間が意識しないでも車体を安定化させるようなシステムを開発している。濡れた路面などのスリッピーな環境で威力を発揮する。
しかし現在電気自動車の最大のネックは電池である。現在のリチウムイオン電池を使用した電気自動車は走行距離で100キロ程度が限度である。そこで経産省は2030年までに電気自動車の航続距離を500キロまで伸ばすという目標を掲げ、産学協同での開発を促進している。
首都大学東京の金村聖志教授は、リチウム金属を使用した新しい電池の開発を目指している。リチウム金属を使用することで、電池の容量は理論的には2〜3倍になるはずだが、従来のような溶液系ではデンドライトと呼ばれるリチウムが電極に生成して電池寿命が縮んだり、電極がショートするのだという。金村氏が使用したのは固体電解質。固体電解質を使用することでデンドライトが生成しなくなるのだとか。さらに電極の密度を上げることで、効率も上げるのだとか。
以上、電気自動車開発の最前線について。確かに電気自動車は画期的なバッテリーが登場すれば一気にブレイクする可能性はあり。また高性能バッテリーは、例えば夜間電力の有効活用などにも活かせる可能性があるので、是非とも開発を進めてもらいたいところ。恐らくこれは次代のキーテクノロジーとなるので、この技術を押さえた国が次の時代の科学技術を牛耳る可能性もある。各国が力を入れるのもこれは当然。日本にも絶対に負けてもらいたくない。
10/6 サイエンスZERO「カエルツボカビ最新報告」
生態系に甚大なダメージを与える可能性があるとして警戒されているカエルツボカビだが、その状況についての最新報告。
カエルツボカビは両生類の皮膚に感染するカビの一種で、人間には感染しない。このカビは両生類の皮膚に感染するとツボのような形のものが出来、ここから遊走子と呼ばれる胞子のようなものを出して繁殖するのだとか。このカビに寄生されたカエルは毒や皮膚呼吸の阻害で死に至るとのこと。中米やオーストラリアではこのカビのせいで絶滅に追い込まれた両生類も存在するとのこと。今までアジアでは見つかっていなかったのだが、日本でペット用に輸入されたカエルからツボカビが発見されて問題視されている。
さてこのツボカビだが、日本で調査を行ったところ、ヨーロッパなどで発見されているものとは遺伝子パターンの異なるツボカビが発見されたのだという。このことは、ヨーロッパから入り込んだツボカビが日本で変異したか、もしくは日本にも固有のツボカビが存在したかのどちらかであるのだが、それについては現在調査中とのこと。
またツボカビに感染した時、すぐに死に至るような種と、比較的耐性のある種と言うように分かれるらしい。日本でも何種類かのカエルにツボカビを感染させて調べてみたところ、日本の種は比較的ツボカビに強かったらしい。もっともこれがすべてに言えるわけではないので、警戒が必要なのは間違いないが。なお日本の種がツボカビに強いのなら、やはり日本には在来のツボカビがいた可能性も強くなってくると思われる。
またツボカビへの対策だが、抗しん菌剤などを用いた治療法があるので、専門医に相談してくださいとのこと。とにかくペットがツボカビに感染した場合に最重要なことは、慌てて捨てたりしないこと。これはペットの飼い主に厳に知らしめる必要がある。
以上、ツボカビについて。今回の内容は比較的明るい情報が多かったように思われるが、これが油断につながらないことが重要である。この病気もペットブームの負の面である。私個人としては「そこに存在しない動物を遠くから連れてきて飼って、それに何の意味があるんだ」とペットブームには極めて批判的であるが、かといってペットを禁止できるわけでもなく、対策を考える必要がある。
9/22 サイエンスZERO「驚きの液体磁性流体」
今回のテーマは磁性流体。磁性流体とは10メートル程度の酸化鉄の粒子を界面活性剤を使用して有機溶剤の中に拡散させたものである。液体でありながら磁石につくという性質を持っている。
この磁性流体の使用例としては、スピーカーのコイルの部分などがあるという。従来のスピーカーでは使用によって発熱し、そのことによって高音が出にくくなるという問題があったという。しかし磁性流体を使用することで熱を逃し、それを防ぐことが出来るのだとか。またハードディスクにおいても、ディスクの回転によって発生した静電気を逃すため、軸受け部に使用されている(いわゆる流体軸受けというやつか)。磁性流体は「磁石につく」「摩擦が小さい」「熱伝導率が高い」「電気を通す」などの特徴を持っているので、それをうまく利用しているのだという。
さらに磁性流体を医療に利用する研究などもなされている。肝臓のガンの診断に利用されている例を紹介。血液中に磁性流体を注入すると、肝臓細胞にあるクッパー細胞という細胞に磁性流体が取り込まれることで、肝臓が黒く写るのだが、ガン細胞にはクッパー細胞がないためにその部分が白抜きのように見えるのだとか。
また直接ガン治療に応用する研究もなされている。中部大学で行われた実験では、マウスのガン細胞に磁性流体を注入し、交流磁場を加えることで発熱させ、ガン細胞を熱で死滅させるという試みがなされている。またこの実験の過程で、ガン細胞を発熱させることでガン細胞に対する免疫自体が活性化され、磁性流体を注入しなかったガン細胞まで死滅したという結果が出ているという。もっともこれはまだ動物実験の段階で、人体での効果を調べるにはまだまだハードルが高そうである。将来的には磁性流体の粒子にガン細胞に反応する抗体などを付加し、選択的にガン細胞に作用させることなども考えられるとのこと。
以上、磁性流体について。なお科学∞では、伝導性の透明セメントが東京工業大学の細野秀夫教授によって開発されたというニュース。現在透明電極には高価なインジウムが使用されているが、これを代替することが出来れば、劇的にコストを下げることが出来るという。
今回は新素材系についての情報。磁性流体については考え方自体はそう新しいものではないが、酸化鉄微粒子の微分散技術によって実用が進んできたということ。なお透明セメントについては非常に興味があるのだが、安定性や性能などはどうなんだろう。こういう内容は非常に地味なんだが、この手の番組を見ている理系の人間はこういうのに食いつくんだよな。
9/15 サイエンスZERO「食卓から魚が消える?」
最近、国際的に魚の消費が増えているが、それと共に資源の枯渇の心配が増してきている。
例えば日本の近海について言えば、サバの漁獲などに異常が現れているという。今年に捕れたサバを調査したところ、大半が3歳のものなのだという。去年の調査では2歳のものが圧倒的に多く、つまりある特定の年のサバばかりが捕れているのだという。これが1980年頃の調査だと、2歳以上のいろいろな年齢のサバが混ざっていた。サバが卵を産むのが大体2歳以上なので、今の3歳のサバを取り尽くすと事件の枯渇の恐れがあるという。
一方、ノルウェーなどでは資源の保護によって漁獲量の回復が出来たという。ノルウェーでは国立海洋研究所の調査員が漁船に乗り込み、魚資源の状況を調査して管理している。その結果に基づいて、今後卵を産む年代の魚を保護することによって、1980年代の倍に魚が増えているとのこと。
持続可能な漁業を進める意味で、イギリス発祥の「海のエコラベル」という考え方がある。持続可能な漁業を行っている業者について、調査の結果それを認定するマークを発行するのだという。
日本でも舞鶴がこのエコラベルの取得を目指しているという。舞鶴ではズワイガニの減少に歯止めをかけるべく資源の管理を行っている。ズワイガニとアカガレイについてエコラベルの取得を目指しているが、この際に問題になったのは、アカガレイをとらえる時にズワイガニが捕まる混獲だった。そこで漁協では一部に目の粗い選択網を組み込んだ網を使用することで、ズワイガニだけを逃せるようにしたという。
また魚資源の保護のための情報収集も進んでいる。農林水産省のプロジェクトとして、海水温などの細かい調査を行っている。魚の繁殖などは水温との関係が深いので、それによって漁業資源の適切な管理を目指すものである。
以上、漁業の問題について。NHKスペシャルなどでは国際的な魚争奪戦の状況について紹介されたが、この番組ではあくまで科学の視点からのみこの問題に迫っていた。この番組の性質から行ったらその方向は妥当だろう。それにしてもサバの現状については私は知らなかったので、特定の年齢のサバしか捕れていないというのはなかなかショッキングだった。このまま行けば、いずれ鯖寿司も幻の味になってしまうか。それは御免願いたい。
8/11 サイエンスZERO「イライラ解消 渋滞の最新科学」
今回のテーマは渋滞。このシーズンになるとこれにイライラさせられることが多いから、タイムリーなテーマである。
まず最初は安めぐみ嬢が渋滞学の専門家という東京大学大学院工学系研究科の西成活裕准教授と共に、車で渋滞観察に出かける。渋滞の先頭はどうなっているかを観察しようという趣向である。走ったのは土曜日の午前11時頃の東名高速道路。順調に走っていた車がまず渋滞に出くわしたのは横浜市内。この渋滞はインターチェンジでの合流が原因となっていた。ここをすぎるとまた車はスムーズに流れ出すが、またも突然に渋滞。しかしここは何があるでもなくしばらく行くと急に解消する。実はこの謎の渋滞がくせ者らしい。
この渋滞の原因は実は上り坂なのだという。上り坂になることで車の速度が落ち、車間が短くなることで次の車がブレーキをかけるということが連続するうちに渋滞になってしまうのだとか。実際、東日本高速道路が分析した去年の渋滞原因では、渋滞量で見た場合、上り坂が事故の倍以上で最大の原因になっているという。だからこのようなポイントでは「速度低下注意」の標識を出しているという。
とは言うものの、ここでいうパラメータの「渋滞量」とは渋滞時間と距離から出しているから、慢性的に起こりやすい上り坂渋滞がトップになったのだろう。我々が渋滞という言葉でイメージするような「車が全く動かなくなってしまう」というような渋滞に関しては、やはり事故が一番の原因だと思うのだが。
なお上り坂だけでこれだけ影響すると言うことは、高速道路でまともな速度を出せない下手くそドライバーとか、速度さえ出さなければ安全運転だと思いこんでいて、場にそぐわないノロノロ運転をする勘違いドライバー(私が「道交法原理主義者の渋滞テロ」と呼んでいるやつ)などがどれだけ危険な運転であるかと言うことである。こういうことはもっと啓蒙する必要があると思うのだが。特に運転技術の未熟は仕方ない部分があるにしても、「どんな時も速度を出さない=安全」という迷信はそろそろ払拭してもらわないと危ない。
次は狭い出口に人が殺到した場合の実験。実はこれについては以前に「トライ&トライ」で全く同じ実験を見た記憶がある・・・と言っていたら、番組がここで終わってしまいました(笑)。実は私が使用している録画機器の不調で、録画がここで終わっちゃってました・・・と言うわけで、続きはもし再放送がうまくチェックできればと言うことで。中途半端ですみません。
8/4 サイエンスZERO「高感度地震計で地下を探れ」
地震被害の多い日本だが、地震研究においては先進国である。今回は地震研究について。
今回の鍵となるのは高感度地震計のネットワーク。これは人体に感じられないような微少な地震も検知するもので、神童を避けるために100メートルの深さの井戸に設置しているという。現在は全国で800カ所に設置してネットワークを形成している。
先の中越沖地震では、この高感度地震計によって、地震波の伝播の時間的経過が追えるだけでなく、細かい震源まで推定することが出来るので、断層沿いで余震が多数発生している模様がハッキリと現れている。またこの高感度地震計を使用して、地震速報が実用化された。これは最初の揺れを検知してから本震が来るまでの数秒の間に警告を発するものである。ただ今回の地震では、柏崎市では震源に近すぎたために間に合わなかったという。
またこの地震計を使用することで地下の構造などを判断することも出来る。その結果、プレートの境界部分で深部低周波微動が発生していることなども明らかになったという。巨大地震の予兆ではなどとも議論になったが、現在のところは巨大地震の直接的前触れではないと見られているという。
また人工的に起こした振動をこの地震計で検出することで、地下の状態を調べる研究などもなされている。地震の起こる前にはその状態に急激な変化などが起こる可能性があるのではというわけである。
またこの高感度地震計のデータはインターネットで公開されているので、このデータを利用して地球内部の構造の解析に取り組んでいる研究者もいるという。
以上、高感度地震計を使用した地震研究最前線。中越沖地震が発生したところなので、タイムリーなネタとして扱ったのだと思うが、いささかネタとしては地味だった感も否定できずという印象。高感度地震計のネットワークのことはともかく、地震波を使用しての研究については、多くは既出だったような気がする。
7/14 サイエンスZERO「解明進む 痛みの科学」
病気などが完治しても、痛みが慢性化して治らないなどの症状が発生することがある。今回はその痛みの問題を脳なども絡めながら紹介。
まず最初に安めぐみ嬢が訪問するのはJR東京総合病院。ここの花岡一雄院長は痛みを数値化する装置を開発したという。これは電極を使用して、電圧を上げることで痛みを加え、今ある痛みを超えたと思った時にスイッチを押すということで痛みを数値判定しようというもの。痛みを研究しようにも痛みの程度は測定できないことに問題があったが、これで数値化が可能になったとか。ただ本当に「痛みが超えた時」って正確に分かるのか? なお鎮痛剤についても紹介していたが、これには3タイプあるという。一つは患部に直接作用する消炎鎮痛剤、次が痛みを伝える神経に作用する局所麻酔薬、最後は倉庫に厳重に保管されている麻薬モルヒネである。これは脳に作用するために強力な鎮痛効果を持つが、使用を誤ると中毒症状を発症するために厳重に保管されているわけである。
次に脳の観点から痛みを見る。帯状疱疹などの後、痛みだけが慢性化して残ることがあるのだという。慢性痛の起こるメカニズムについては幻肢痛との関連で明らかになってきたという。幻肢痛とは切断した腕などに痛みを感じる症状であり、幻肢痛を発生している患者の脳を調べたところ、痛みを感じる神経回路ができてしまっていることが分かったという。幻肢痛のある患者では、たとえば全く関係のない唇を動かしただけで失った腕の運動と感覚を司っている部分が活性化されていることなどが見られたという。痛みが持続的に発生することで、触覚の神経と痛覚の神経が接続してしまって、触覚が痛覚として感じられるようなことがあることが分かってきたという。つまり持続的な痛みを与えるのが危険であるということで、痛みの情報を脳に刻まないためにはどうするかという研究もなされているという。
この脳に刻まれた痛みを軽減するためのリハビリも行われているという。幻肢痛の患者に行われるのが鏡療法というもので、鏡を使うことで失われた手足を動かしているように思わせて(反対側の手足を動かしているのを、鏡で映して脳を錯覚させる)脳を刺激することで痛みを和らげる方法や、脳に直接に磁気刺激を与える方法などが行われているという。ただこれらの方法については効果のない人もいるのが問題だとか。またアメリカではバーチャルリアリティを使って痛みを和らげる方法なども研究されているとか。
最後はモルヒネについて。モルヒネは中毒症状があるということで使用をためらう患者が多いのだが、最近の研究によると、痛みのない人がモルヒネを服用すると快楽物質であるドーパミンの分泌量が増加して依存症状を起こすが、痛みのある人の場合はドーパミンの分泌量はあまり上がらないことが分かったのだという。つまりは痛みのある患者においては、適切に管理してモルヒネを使用することで中毒にはならずに痛みを抑えることができるという。このことから、痛みの除去に積極的にモルヒネを使用する病院もあるとのこと。痛みを抑えることでガンの症状自体が改善した患者もいるという。
以上、痛みについての科学。この痛みというのは多分に主観的な物であるだけに、特に西洋医学にとっては苦手な分野であったのだが、最近はQOL(生活の質)との絡みで研究が進んできたのだとのこと。私も実は今回のテーマを聞いた時に、東洋医学的な話が中心になるのかと思っていたのだが、今回は西洋医学の範疇での研究の紹介であった。最新の西洋医学がこの分野に注目することは大いに重要なことであると感じる。
7/7 サイエンスZERO「水中ロボット開発最前線」
今回は水中探査などのために開発された水中ロボットの紹介とのこと。ロボットといえば、陸上で二足歩行などを連想するところだが、今回は一風変わったロボットが登場する。
最初に安めぐみ嬢が紹介するのは、東京工業大学の広瀬茂男教授の研究室が開発している蛇形ロボット。このロボットはくねくねと蛇のように地面を這うだけでなく、浮力を水と釣り合わせているとのことで、まさに海蛇よろしく水中をくねくねと水深5メートルまで潜れるのだとか。細長い体で水中を自在に動けることから、配管の検査などに適用できるのではないかと期待しているとのこと。
また水中探査のための自立型ロボットの開発も進んでいる。東京大学生産技術研究所の浦環教授の研究室が開発したTri-Dog1はCCDカメラの映像などを判断しながら、自力で障害物を避けたりしながら水中の探査を行うのだという。たTri-Dog1では障害物の探知にソナーとレーザー光を用いているという。しかし鹿児島湾でテストをした時は、海中からあがる火山ガスの気泡を障害物と判断して、探査の最中に浮上してしまったとのこと。そこでレーザー光の反射で泡を判断するようなシステムに変更、無事に任務を達成することができたとのこと。サツマハオリムシの水中での分布を調査したマップは、生物学者にも注目されたという。
さらに登場するのは、港湾空港技術研究所が開発した水中を6本足で歩行する測量用のロボットや、大阪府立大学の有馬正和准教授が開発した水中グライダー。水中グライダーは海に沈みながらまさにグライダーのように滑降して動力なしで進行するのだという。また内蔵している窒素ガスを使用して浮上も可能で、浮上と沈降を繰り返しながら数ヶ月から半年ぐらい移動を続けることが可能であるという。これに探査装置を搭載することで、広く海洋を調査することが可能になると期待しているとのこと。自立型のグライダーをネットワークでつなぐことなんかも考えているとか。
なおおまけの科学∞は、マウスなどに変わってメダカが実験用動物として注目されているという話。飼育コストがかからない上に、ライフサイクルが短いことから薬物などの影響の判定がしやすいのがメリットとか。さらには実験用に体の内部が見えるメダカなどもあり、かなり注目されているらしい。マウスなどを用いる必要がない実験の場合、これを使用することで効率のアップにつながりそうである。
やはりインパクトとしては、水中をうねうねと動く蛇形ロボットが抜群だった。蛇の生態の観察から開発されたというが、うねうねしているだけで水中を進める原理が、物理学に疎い私には残念ながら今ひとつ分からない。
なお水中探査の自立型ロボットなんてのはこれから開発が進む分野だろう。ただこの技術が、馬鹿ブッシュなんかにかかると、水中を自律的に動きながら敵艦船を攻撃する自動機雷なんてのに応用されてしまいそうである。常に技術には裏と表の面があり、馬鹿にかかるとその裏の面ばかりが引き出されてしまうから要注意。
6/30 サイエンスZERO「ここまで見えた新型顕微鏡の世界」
顕微鏡といえば、一般的には電子顕微鏡と光学顕微鏡ぐらいしかイメージできないが、その顕微鏡の最前線を紹介とか。
まず最初に安めぐみ嬢が訪問したのは理化学研究所。ここの高感度高速レーザー顕微鏡は生きた細胞をそのまま観察できるのだという。この顕微鏡はレーザー光を使用し、さらに蛍光色素と組み合わせることで、従来の光学顕微鏡では今ひとつはっきりとは見られなかった生きている細胞内の観察が可能になったという。従来の電子顕微鏡だと、サンプルに強力な電子線を当てるためにサンプルが死んでしまう(その上に電子顕微鏡は高真空が必要なのでサンプルを乾燥させる必要があるはずだ)。この顕微鏡を使用することで、細胞内でのゴルジ体の動きまで観察できたという。
また東京大学大学院医学系研究科の河西春郎教授は、大脳皮質を顕微鏡で観察して記憶のメカニズムを探ろうとしている。彼が用いたのは赤外線を断続的に照射するレーザー光で、これを使用することで細胞にダメージを与えずに深くまで観察できるようになったという。この観察で神経細胞のネットワークの突起が深くまでのびている様が観察できたという。さらに神経の刺激を受け取るスパインが学習に相当する刺激によって大きくなることが観察でき、これが記憶が強化される原理ではないかと推測されるという。
さらに細胞内を分子レベルで観察する試みもなされている。理化学研究所の徳永万喜洋教授の研究室では、分子レベルでアレルギーのメカニズムを解明しようとしている。ごく弱いレーザー光を照射することで狙った分子だけを観察する原理だという。リンパ球とマクロファージが接触した時のタンパク質のの移動などが観察され、免疫の研究の進展への貢献が期待されているという。
今回はさらに科学∞が付属。医学生の訓練に使われるシミュレーション技術について紹介。ゲームメーカーと共同開発しているという問診シミュレーション(画面内のCGと対話することによって問診する。問診が不適切だったら好感度が減少して、最後は失恋してしまう・・・っていう恋愛シミュレーションとは違うが、はっきり言って雰囲気はそっくりだ。)や触診のシミュレーション装置などが紹介されていた。医師の技術向上には現場の経験が不可欠なのだが、患者をモルモットにするわけにもいかないので(昔はもろにそうだったのだが)、その狭間をシミュレーションで埋めようという試みである。ただ恋愛でもそうなんだが、所詮はシミュレーションと実践は違うので、その隙間をどうやって埋めるのかが問題。
顕微鏡については、今まで「死んだサンプル」しか観察できないというのが限界であったので、現在は生きたまま観察するライブイメージングの方向に向かっているようである。実際、このような「現場」をいかにしてそのまま観察するかというのは、化学の分野などでも重要であり、化学の分野ではまさに化学反応が起こっている現場を観察する(in situ)という分析技術の研究もなされている。まあやはり、いずこのジャンルでも考えることは同じである。
6/23 サイエンスZERO「進化する人工筋肉」
今回のテーマは人工筋肉。まず最初は安めぐみ嬢が東京理科大を訪れてマッスルスーツを体験するところから。開発しているのは小林宏準教授。このマッスルスーツはゴムチューブとナイロン繊維を組み合わせて、空気圧で制御するというもの。これでサポートすることで大きな力を生み出すことが出来るので、介護の現場などへの応用を考えているという(ただ実用化のためにはまだ装置が大がかりすぎる)。
なおスタジオでは同じく空気圧型の手袋型の人工筋肉の実演をしていたが、これを装着した安めぐみ嬢と熊倉悟アナが握手をしたところ、熊倉アナが手をつぶされそうになって絶叫する羽目に。そこで次にペットボトルを握りつぶす実験をしたところ、一瞬にしてペチャンコ。あまりの威力に熊倉アナが「ゲッ」という表情を浮かべたのが一番印象に残ることに・・・よほど痛かったんだろう。
さて人工筋肉は空気圧制御のものだけでない。理化学研究所バイオミメティックコントロール研究センターが開発している人工筋肉は、薄い樹脂に電気を流すことで屈曲させるというもの。イオンの移動によって体積の変化がおこるのだとのこと。これを使用するとかなりなめらかな動きが可能となる。先ほどの空気圧式よりもより生物の動きに近くなる。携帯電話の小型カメラの制御やカテーテルの先端への応用などが検討されているという。今までのようにモーターを使用していたらとても実現可能な小型の駆動装置が出来るのが最大の強みである。
さらに電気で人工筋肉を動かすのではなく、人工筋肉を動かして電気を生み出す研究もなされているという。日米共同で開発されている静電気を帯びた人工筋肉は、力が加わって伸びるたびに電力を発生するという。これを使用して波力発電などの実験がおこなわれているとのこと。またこの人工筋肉を使用した旗のようなものを大量に作り、風力発電なども考えられるという。
最後は生物の筋肉を元にした人工筋肉の研究。北海道大学の角五彰助教授はホタテの貝柱のアクチンミオシンを使用した人工筋肉の研究をしている。アクチンを束ねた大きな繊維を作り、これをATPで化学的に動かすのだという。大きな繊維を作って人工筋肉にするだけでなく、マイクロマシンの駆動装置などに使用できないかなどが考えられるという。
以上、人工筋肉について。なお科学∞で人工降雨への取り組みも紹介。雲の中にドライアイスを撒くことで人工的に雪を降らせようと言う研究が気象庁気象研究所でなされており、どのような条件の時にどのぐらいの効果があるかというようなことを明らかにしたいとのこと。
人工筋肉と言っても、最初に出てきた空気圧制御のタイプは、実用化は近いように感じるが、あまりにメカニカルにすぎるので人工筋肉としての旨みは少ない。本来の意味での人工筋肉という観点では、次に登場した樹脂型のものの方が本命だろう。最後のタイプになると人工と天然の境界が曖昧になってくるので、生体親和性は良さそうだが、放っておくと腐りそうだ(笑)。これは番組中で話が出ていた、自分の筋肉を使ったナノマシンで抗ガン剤を運搬するなんてところが実用化できれば面白いが。
6/16 サイエンスZERO「驚き 江戸のテクノロジー」
江戸時代といえば、鎖国によって外国の先進文明と切り離された科学未開の時代というように一般には思われがちであるが、実は独自の科学文化が花開いていたというのが今回のテーマである。
まず最初に登場するのは新装なった国立科学博物館の展示から。ここには日本人が自分で作った顕微鏡や時計などの展示がある。当時の日本人は西洋から入ってきた顕微鏡を元にして、自分たちで独自のものをすでに作っていたという。またそれを使って、麹などの微生物や雪の結晶を観察した記録が残っている。ただ単に西洋文化を取り入れたのではなく、独自の研究も行っていたのである。
また宇宙に迫る観測もなされていた。国友の鉄砲鍛冶であった国友一貫斎は自作の反射望遠鏡で、木星や土星、さらには月を観測した記録を残しているという。また彼の望遠鏡に使われた技術は非常に高く、その反射鏡に用いた銅と錫の合金は現在でもなかなか作れないほどの高品位のものであるだけでなく、鏡の精度についても現在の望遠鏡に匹敵する精度を持っていたという。
さらに当時は和算という日本独自の数学が高度に発達していた。その中には微分積分に匹敵する概念も存在していたという。和算の特徴としては実地での応用を重視していたことで、農業技術などとも密接に結びついていたという。日本はこの和算の発達があったからこそ、明治以降に西洋文化をただちに取り入れることが可能であったのだという。
最後は、江戸のカラクリを現在の製造現場に取り入れている例。愛知県岡崎市の大手自動車メーカーの工場(三菱自動車?)では、無動力搬送台車というものを用いているのだが、部品を運搬するこの台車は動力を使用していないという。これを開発した生産技術本部の池田重晴氏は、子供の頃に見たカラクリをヒントにして、バネなどを組み合わせたシステムを作り上げたのだという。この台車では部品の重みが動力となり、部品を下ろした後は部品の重みで圧縮されたバネの力で元の位置に戻るという仕掛けになっているのだという。動力を使用しないので、コストの低減につながっている上に、装置の保守なども容易になるのだという。
江戸時代の科学技術は実は侮れないレベルがあったというのは聞いていたが(特に日本では、西洋からの文化をそのまま取り入れるのではなく、必ず独自のアレンジを加えている)、やはり相当のレベルがあったと言うことを感じさせてくれたのが今回の内容。それにしても最後の台車カラクリは理系人間のハートを熱くするものがある(私は訳あって化学に進んだが、本当は機械工学をやりたかった)。こう言うのを見ていると、日本の若者が理系離れをしているというのはいかにも悲しい。
今回の内容は、今までのこの番組の傾向から言うと毛色が少々異なるが、なかなかに面白い内容であった。最新科学の紹介だけでなく、こういう「身近に存在する科学」という切り口もありだな。
6/9 サイエンスZERO「ここまで来た再生医療」
損傷した臓器などを再生する再生医療が近年注目を集めている。今回紹介するのはその最前線。
まず最初は生物の再生のメカニズムについて。安めぐみ嬢が訪問するのは国立遺伝学研究所の清水裕氏の研究室。彼女がここで見せてもらったのは、非常に強力な再生力を持つ「ヒドラ」。ヒドラと言ってもこれは怪獣ではなく、クラゲやイソギンチャクの仲間である。このヒドラの身体をメスで2つに切断しても、4日もすると完全に再生する。ヒドラの再生力の秘密は幹細胞と呼ばれる細胞の存在で、この細胞が分裂して、いろいろな細胞に分化していくのだという。
この幹細胞を使用した再生医療は、現場への応用も始まっている。番組で紹介される事例は薬品による角膜損傷で視力を失ってしまった中学生の事例。彼の場合は右目の角膜の幹細胞も失ってしまっており、通常の角膜移植では回復は不可能なのだという。そこで目の幹細胞を培養して、それを角膜にまで成長させ、幹細胞を含むこの角膜を移植したという。もっとも簡単な技術ではないため、3回目の移植手術でようやく良い結果が得られたという。
ただ角膜のような均一な組織はともかく、臓器のような複雑な組織の再生はまだまだ困難である。東京理科大学の辻孝教授の研究室では、マウスの歯の再生に挑戦していた。複雑な内部構造を持つ歯の組織の再生は困難である。マウスの胎児から歯の元になる歯胚の細胞を取り出して調べたところ、上皮細胞と間葉細胞の2種類からなっており、彼らはまずこの両細胞から歯胚を再生することに挑戦したが、両細胞を接触させて置いておいても、細胞が流れ出してしまって失敗したという。そこで粘りのあるコラーゲンを用いて、その中に細胞を固定することで、歯の組織や血管などを再現できたという。この技術を応用すると、身体の他の部分の上皮細胞と間葉細胞から歯の組織の再生が可能になると期待できるが、組織の再生のためには細胞に指令を与える必要があるという。
東京慈恵会医科大学の横尾隆氏は腎臓の再生に挑戦している。彼は人の骨髄から取り出した間葉系幹細胞を取り出して、ラットの腎臓に移植したところ、腎臓の組織のようなものが再生されたことを確認したという。彼によると、細胞が分化していくには場所が重要なのだという。恐らくその部位には細胞に指示を与えるホルモンのような物質が存在していると考えられるので、それが解明されると臓器の再生などが可能になることが期待できるという。
あらゆる臓器を作り出せる可能性がある万能細胞として注目されているのがES細胞であるが、ES細胞は受精卵からしか得ることができない。ES細胞を使用せずに万能細胞を作り出す研究もなされている。京都大学再生医科学研究所の山中伸弥教授の研究では、マウスのES細胞では4つの遺伝子の働きによって機能していることが明らかになったという。そこでマウスの他の細胞でこの4つの遺伝子を活性化したところ、ES細胞のようにいろいろな細胞に分化できることが出来たという。彼はこれをiPS細胞と名付けている。人間の細胞でも同様のことが出来れば、臓器再生の可能性が出てくるとのことである。
急速に進む再生医療の最前線であるが、やはり問題になるのは倫理面であろう。この手の医療が進歩すればするほど、生命とは何かという問題に行き当たってしまう。再生医療というのは、生命を生体パーツの集合体として見て、損傷したパーツを新しいパーツで置き換えていくという考えである。しかしこれであらゆるパーツが置き換え可能になってきたら、一体生命の本質は何なんだという問題は絶対に浮上するだろう。この問題の解答は単純に科学研究だけからは出てきそうにないだけに大問題になりそうである。既に、臓器移植の段階でも臓器にも魂があるようなことを言い出している連中がいるのだから・・・。
6/2 サイエンスZERO「"におい"の不思議に迫る」
他の感覚に比べると研究が遅れていて謎が多いのが嗅覚である。その嗅覚がらみの研究の紹介。
最初は安めぐみ嬢が香料メーカーを訪れるところから、その香料メーカーの話によると、バラの香りだけでも数百の成分が含まれており、主要な成分は数十種類からなっているのだという。匂いとはかくも複雑らしい。ちなみに番組では安めぐみ嬢をイメージした香りを合成してもらったなどと言っているが、テレビ放送では匂いが伝えられませんの・・・・残念!
で、その匂いを伝えるマシンというのも開発が進んでいるのだとのこと。東京工業大学の中本高道準教授の研究室では、嗅覚ディスプレイの開発を進めている。このディスプレイでは32種類の匂い物質をセットし、この組み合わせで匂いを再現するのだという。混ぜ方で異なる匂いを表現できるとのこと・・・・であるのだが、問題は実際の匂いをその32種類の匂いに還元できるかという点にもある。これをクリアできないと例えば放送などで匂いを伝えるというのは無理だろうな・・・それにいちいち匂い物質を補充する必要があるというのもなんとなく間抜け(しかも古くなったら匂いが変わってしまうなんて可能性も)。
また人間の嗅覚センサーは数百種類あるということは分かっていたのだが、たった数百のセンサーで数十万種類の匂いをかぎ分けられるのは謎だったのだが、そのメカニズムについて解明を行ったのが東京大学の東原和成準教授。彼の研究によると同じセンサーでも異なる匂い物質に反応するのだという。複数のセンサーが匂い物質の種類によって複数反応するので、その組み合わせによって多くの匂いが判別できるのだと言うことが、脳の研究で分かったらしい。
さらに匂いセンサーを実用面で利用しようという研究も。九州大学の都甲潔教授(やけにテンションの高い人だが)が開発したロボットは、匂いセンサーで焦げ臭いに匂いを判別して警告する機能を持っている。このロボットはアンモニアセンサーと水素センサー、さらに2種類の匂いセンサーを持っており、これらの組み合わせで問題のない匂いと焦げ臭い匂いを判別するらしい。
以上、匂いセンサーについて。なお最後には臍帯血の幹細胞を使用した再生医療の研究についても紹介していたが、これは次週にもつながる模様。
さて嗅覚であるが、これはもろに化学物質そのものを感知するというものであり、視覚や聴覚などと異なり、物と直に接するというベタな感覚であるが、味覚や触覚よりは遠距離性があるという中間位置になっている物である。ただその中途半端さが災いしたのか、今まで研究はあまり進んでいなかった。しかしその分野も、近年はこんなに研究が進んできたということらしい。なお組み合わせで複雑な物を判別するというメカニズムは、味覚でも同じことをしているのだろうと感じられる。
5/12 サイエンスZERO「ここまで進化 未来のテレビ」
今回は年に一度のNHK放送技術研究所のPRである。毎年の年中行事だな、これは。
まず最初に安めぐみ嬢が体験するのは、立体めがねを使わずに立体を再現できるというテレビ。このテレビのポイントは、多くのレンズを組み込んだフィルターを使用していること。これらのレンズ使用することで、一つの物をあらゆる方向から録った像が撮影され、これを同じく多くのレンズを持ったフィルターを通して投影することで、どの位置からでもそれらの映像が見えると言うこと(私自身もこの原理をイマイチ理解できていない)。ただ一見して分かるように、かなり画素が荒いので、これを上げるのが課題だろう。
2つ目に登場するのは、マトリックスなどで使用された一瞬のうちに回りを周回する映像を撮影する技術。大河ドラマの「宮本武蔵」でも使用したらしいが、この時はデジタルカメラをズラリと並べたそうだが、それをデジカメでなくてビデオカメラにして、撮影した映像をPCで処理してリンクすることで、好きなタイミングに好きな角度から見られるようにするもの。処理速度がかなり上がって、簡単に操作できるようなったことから、スポーツ番組で使用したいとのこと・・・なんだが、コンピュータの処理技術を上げたというだけで、この技術自体は何も新しいところがない。
さらに最新の映像技術が研究の分野に使用されている例として、高速度カメラで花粉が鼻に吸い込まれる様子を調査している例や、白内障治療で濁った水晶体の破壊に使われる超音波発生器の撮影などが紹介されていた・・・が、正直どっちでも良いような映像だな。
最後に登場したのは、ダミーヘッドを使用しての音響において高い臨場感を再現するシステム・・・・ったって、この技術自体は滅茶苦茶古い技術なので、一点マイクの録音からコンピュータ処理でこれを再現できるようにする技術の紹介・・・にしても、あまり新味はないわな。
なんか全体的に新味に欠けたという印象の内容。放送技術研究所もネタに苦しんでいるのか。毎年のようにアピールのタネを出さないといけないが、それがないので無理矢理に引っ張ってきたという印象の強いネタ。何やら、期限に迫られて苦し紛れにまとめた自由研究のように見えなくもない。
5/5 サイエンスZERO「宇宙を満たす暗黒物質の謎」
宇宙論の進化に伴い「暗黒物質」と呼ばれる物質が注目を浴びている。
そもそもこの暗黒物質であるが、ビッグバン宇宙論に基づいてシミュレーションを行った時、現在の宇宙に存在する物質量では重力が小さすぎて銀河などが生成しないという物理法則からの要請で考えられたものである。その特徴としては、あちこちに存在していて質量はあるが、観測が出来ないということであり、物質の5倍の量が存在するとされている。
今年一月、ネーチャーに暗黒物資の分布地図が作製されたとの記事が掲載された。この研究はハッブル宇宙望遠鏡を用いたプロジェクトの成果で、重力によって光が歪むという重力レンズの効果を使用して解析されたものだという。50万個もの銀河の歪みが調査されて、満月9個分に当たる面積の解析が行われたという。その結果、暗黒物質の多い場所と普通の物質が多い場所はかなりだぶっているという。
暗黒物質を実際に観測しようという試みもなされている。暗黒物質は未発見の素粒子だと考えられている。京都大学を始めとする研究グループでは、暗黒物質を捕らえる実験を実施している。このグループではアクシオンが暗黒物質だと考えており、強力な地場を使うことでアクシオンが出す電波を捕らえようとしているという。
岐阜県の神岡鉱山では東京大学のグループが、ニュートラリーノという素粒子が暗黒物質だと考えてその検出を目指している。ニュートラリーノが原子核に当たった時に発生する光を捕らえようとしているのだという。
一方、ビッグバンを再現しようという試みもある。ジュネーブの郊外に1集27キロメートルの加速器の建設が進んでいる。これを使用して陽子を光速に近い速度で衝突させることで、ビッグバンに近い状態を再現しようとしている。
なお現在の研究では観測されている物質は4%にすぎず、22%の暗黒物質と74%の暗黒エネルギーと呼ばれるものが存在すると考えられているという。これは宇宙背景放射の分析から得られた結果だとか。
うーん、理系の私ですが、物理系ではなくて化学系の人間なので、このような話を聞くと「ホンマかいな?」という気がしてなりません。化学屋というのは物理屋と違い、実際に観測できるものしか信じませんので、理論の要請から新しい物質が推測されたなどと言われると「そんなもん、理論の方が間違っとるんと違うんか」と考えてしまうんです(この辺りが化学屋が物理屋から「泥臭い」とか「頭悪い」とか言われる所以でもありますが)。正直なところ私には、ダークマターなんてまるでスターウォーズのフォースと同じ次元に聞こえてしまいます。なんとなく現代のエーテル(大昔、空間には力を媒介するためのエーテルという物質が充満していると考えられていた。低沸点で可燃性の有機溶剤のことではないので注意。)に思えてならないんです。まあダークマターの存在が観測で証明されるのは、物理屋さんの活躍に期待しておきましょう。
4/28 サイエンスZERO「昆虫の不思議な力に学べ」
昆虫の持つ能力を研究することで、技術開発へ応用しようという研究の最前線を紹介。
まずは安めぐみ嬢が多摩動物園の昆虫園を訪れるところから番組は始まる。ここで紹介されるのが蝶のオオゴマダラ。この蝶は交尾のためにメスの後をオスが追っかけるのだが、この蝶の雄雌は実は紫外線で見ると一目瞭然なのだという。蝶は紫外線も見える複眼によってメスを追跡しているとのこと。
この昆虫の複眼をセンサーの原理に応用しようという研究がなされている。東京大学の下山勲教授は、超小型機械の開発を研究しているが、そのためのセンサーとして複眼の原理を応用した視覚センサーを使用しようとしている。複眼は小さな個眼が集まった構造なので、焦点距離が短く小型化できるのだという。現在縦4ミリ横5ミリの広さに104のレンズを並べたセンサーを開発したという。厚さが0.1ミリのために柔軟性があり、曲面に貼ることも出来るので、これを使用すると昆虫のように複眼で広い範囲をカバーするということが可能になるとのこと。
またコオロギの尾部には感覚毛と呼ばれる微妙な空気の流れを感じる感覚器があるが、下山教授はこの原理も応用して、手をかざしただけで反応するセンサーなどの開発も進めているという。
また昆虫の脳のメカニズムを調べることで、人類の脳の解明につなげようという研究もある。東北大学の水波誠教授の研究室では、コオロギを使った実験によって、長期記憶に作用する酵素が存在することが確認されたという。この酵素の働きを抑えたコオロギでは、長期記憶が固定されず、学習によって学ばせた記憶(水と模様を結びつける実験を行った)が翌日には失われたとのこと。昆虫の脳は人間の脳よりも単純なので、より単純な脳で研究した結果をもっと複雑な脳で検証するということが可能なのだとか。
以上、今回のテーマは昆虫。内容的にはまずまずだが、昆虫が苦手の私にはキツイ(笑)。なお、分かっているようで意外とまだ何も分かっていないのが昆虫のメカニズムだったりするようで。学術的興味は尽きない研究対象ではあります。私は苦手だけど(笑)。
4/21 サイエンスZERO「新エネルギーで地球を救え」
化石燃料の使用が限界に来つつあることは誰もが感じているところである(石油業界と癒着した馬鹿ブッシュだけは分かってないかもしれないが)。そこで新エネルギーの開発が各方面で進められている。
まず最初に上がるのはバイオマスエネルギー。最近になってバイオエタノールが注目されるようになった。しかしこれの原料にトウモロコシなどの穀物を使っているようだと、食糧問題が発生する。そこでいかに穀物以外からバイオエタノールを製造するかが鍵になる。
安めぐみ嬢がまず訪れているのは、東京農業大学の鈴木昌治教授の研究室。ここでは生ゴミを原料にして、酵母を利用してバイオエタノールを製造しているという。生ゴミ中に含まれるデンプンを酵母が分解し、3日後にはエタノールが生成するという仕組みである。ただこのシステム、どうもまだ効率に問題がありそうな気がする。
次に紹介されるのはセルロースを分解してバイオエタノールを製造する技術。セルロースを原料に出来れば、草などからバイオエタノールを製造できるので、劇的に資源面で有利になる。ただセルロースを原料にした場合に問題になるのは、セルロースを分解するとグルコースやキシロースなど数種類の糖が生成するため、それぞれを分解する微生物が必要なため、プロセスが複雑になってしまうのだという。地球環境産業技術研究機構の湯川英明氏のグループは、この課題に対し、遺伝子改造によって複数の糖を分解できる機能を取り込んだ微生物を製造したのだという。ただこの微生物は、発酵の過程で生成する物質によって分裂が阻害されて死んでしまうという問題が発生したので、それを解決するのに酸欠状態で発酵させることで、微生物の分裂を抑制することで死滅が避けられるようになったとのこと(ただやはりコスト面の問題はまだまだありそう)。
バイオマスの次に登場するのは、今や古典的新エネルギーというイメージさえある太陽電池である。アメリカでは新型太陽電池の開発が進められているが、あるベンチャー企業の場合、鏡で光を集めると共に太陽を追尾するシステムを用いることで、使用するシリコンの量に対しては発電効率を上げるという方法での低コスト化を目指している(太陽電池自体は特に新型でなくても、システム全体で効率を上げようというトライで、ある意味では現実的対応)。
一方、太陽電池自体を新たな素材でつくる研究もなされている。桐蔭横浜大学の宮坂力教授は、植物の葉緑素と同じ機能を持つ色素を使用することで、新たな太陽電池を作る研究をしている。色素を使用した場合、フィルムに塗布して製造することが出来るので、画期的に製造コストを下げることが可能になる(どうもまだ電池自体の効率には問題がありそうだが)。
最後の科学∞では燃料電池を使用した車椅子を紹介。国と機械メーカーが共同(メーカー名は出していないが、車椅子の側面と登場した技術者の作業着の胸に、しっかりと「クリモト」と書かれています(笑))で、燃料電池を搭載した車椅子を開発しているという。この燃料電池は車椅子に搭載できるサイズにするために空冷式にし、また水素貯蔵合金を内部に使用した水素ボンベカートリッジを使用することで、10時間の稼働が可能になったとか。
以上、新エネルギーについての最前線の紹介。こっちの方面の技術について関心の高い私としては、初めてというネタはほとんどありませんでしたが(燃料電池車椅子だけは初めて聞いた)、一般人に対してはこれらの技術はどんどんアピールしていくべきでしょう。ただ一つだけ気になっているのは、新エネルギーが本当に採算ベースに乗りだした時、アメリカなどの石油産業が強い国では、石油業界がこれらをつぶしにかからないかということである。実際、最近の企業経営者は極論すれば「地球が滅んでも自分が儲かったら良い」という感じの近視眼的な利益しか考えない輩が増えているので(こういう連中が幅をきかす世の中が「グローバリゼーション」らしいんだが)、人類100年の計よりも、四半期後の自社の株価だけを考えそうな気がしてならないのだ。だから、このような「抵抗勢力」になりそうな連中を、いかに取り込んでいくかという駆け引きも将来は必要になりそうである。
4/14 サイエンスZERO「未知の深海に挑む」
日本のしんかい6500は現役の世界の潜水調査船の中では最も高い深海潜行能力を誇るが、そのしんかい6500による探査性かを紹介。
まずはお約束で、安めぐみ嬢がしんかい6500に実際に搭乗してみる(と言っても当然潜行はしないが)という企画。しんかい6500の居住スペースはかなり狭く(トイレはポータブルを使うそうな)、内部は「暗い、凍える、怖い」の3Kだそうな。
番組ではしんかい6500による熱水鉱床の調査のドキュメントも伝えていたが、300度の熱水を採取し、チムニーのサンプルなども蒐集している。
しんかいが見つけた生物などにはかなり特徴的なものもあるという(クジラの死体にだけ棲息する鯨骨生物群集とか)。中でも注目を浴びたのは、多量の重金属を含むブラックスモーカーと呼ばれる熱水噴出口で発見されたウロコフネタマガイ(スケーリーフット)だという。この巻き貝はなんと硫化鉄のウロコを持っているとのことで、体内に硫化水素から硫黄を取り出すバクテリアを飼っており、この硫黄と熱水中の鉄分から硫化鉄のウロコを作り出したと考えられるとのこと。このウロコは硫化鉄とタンパク質の二重構造になっており、柔軟性と強度を兼ね備えた優れた素材になっているという。
さらにしんかい6500は巨大地震を起こす断層の調査などに使用されているとか。
以上、部分的に興味深い情報はあったが(スケーリーフットの話とか)、全体的には今一つ地味という印象。しんかい6500の成果についても、大抵は「どこかで聞いたことがある」という内容が多かったので(既にNスペなどで紹介されているものが多い)、例によって新味が薄い。次回に期待したいところ。
4/7 サイエンスZERO「神秘の世界 土星探査最新報告」
放送時間変更と共に、ナビゲータが真鍋かをり嬢から、安めぐみ嬢に変更になっての第一回である。テーマは土星探査。
最初はナビゲータの変更に伴い「ZEROから学べ」から「めぐみの一歩」に変更になったいわゆる訪問編。安めぐみ嬢が訪れたのは国立天文台。ここで土星を実際に見ようという話なのだが・・・以前に全く同じことを真鍋嬢がやっているので、安めぐみファン以外にはあまり意味なし。
この後はカッシーニの探査結果についての概説。登場するのはタイタンの話とエンケラドスの話。タイタンについてはカッシーニから探査機を着陸させて観測させた結果、炭化水素の海がある可能性が示されたという話題。エンケラドスについては極地方で内部から水が噴き出しているらしきことが観測されたことから、地球の噴火活動みたいなことが水で起こっているようであることが見つかったというエピソード・・・なのだが、どっちも今までにどこかで聞いたような。
なおこの2つのエピソードの合間に、ZEROのつぼなる解説コーナーがあり、zeroboなるキャラクターが登場。これが声があのカオリンと同じことから、ナビゲータ変更に伴い新装されたコーナーであるらしいことが分かる。
最後には「プラスZERO」から転じた「科学∞」というコーナーで、ここで紹介されるのは国際プログラミングコンテストについて・・・なんだけど、これも以前に聞いたことのあるような・・・。
まあナビゲータ変更に伴い、コーナーの名前などは変更になっているが、構成自体は全く変わっていないといういかにもNHKらしいリニューアル。ただそれは良いんだが、中身のネタも以前にどこかで聞いたことがあるようなものばかりというのは・・・・。以前からこの番組で惑星探査ネタを出す時って、ネタ自体には新味が全くない場合が多いのも事実。もう少し気合い入れないとじり貧になりますよ。
3/24 サイエンスZERO「"世界一"注目されている日本人研究者」
今回の主役は世界で最も論文引用回数の多い日本人研究者である。その研究者とは大阪大学の審良静男氏。彼の免疫に関する論文は世界中で各分野に引用されているのだという。
まずは審良氏の論文の要旨について、真鍋嬢が「世界一受けたい免疫学講座」(どこかで聞いたことのあるような・・・裏番組やんけ!)と題して、直接に審良氏に説明を聞きに行っている。それによると、人間の免疫には最初に病原菌などを無差別に攻撃する自然免疫と、病原菌などに応じた専用武器で攻撃を行う獲得免疫があるのだが、実は自然免疫が獲得免疫に対して指示を出していたということを発見したのだという。
審良氏の研究自体は最初から順風満帆だったというわけではないという。世間の関心が獲得免疫の方に向かっている時に、彼はあえて自然免疫に注目して研究を行っていたのだという。その過程で自然免疫を司る細胞にトル様受容体があるということを発表した論文を見つけ、彼はこれトル様受容体が病原菌を判定するセンサーであると推測して研究を行い、論文を発表しようとしたが、その論文は発表寸前にアメリカの研究者によって先を越されてしまったのだとか。しかし彼はそこで諦めず、さらに研究を重ねることでトルが獲得免疫に指示を出していることを明らかにしたのだと言う。
彼の論文は多くの分野に引用されているが、その中の一つがガン治療の研究。北海道大学の西村孝司教授は、トルを刺激するCpGという物質を使用して、キラーT細胞を活性化する研究を行っている。マウスでの実験では、ガン抗原にCpGを加えて与えることで、明らかにガンの発生が抑止されたという。
また生物分野への適用例もあるという。北海道大学の瀬谷司教授はヤツメウナギのトルの研究をしているのだが、彼の研究によると人間のトルのいくつかは進化の過程で使用されなくなり消滅したのだという。これに対してヤツメウナギは水棲の細菌に対するトルなどを持っており、これらのトルを人間に加えることでコレラなどの水由来の感染症を防止できるのではないかと考えているとか。
以上、世界に影響を与えた日本の基礎研究について。論文の引用回数が多いというのは、それだけ重要な研究であると言うことを示しているので、学者の功績を計る指標になることはよく知られています。ただなぜか日本ではこういったことがあまり評価されず、ろくに引用もされない論文しか書かない研究者が、国から多大な費用を引き出して巨大プロジェクトの責任者に治まったりするんですよね・・・中にはろくな研究もせずに、その金を運用して儲けていたというとんでもない奴もいましたが。
プラスZEROのコーナーは、電気の使用量で、震災時などの被害を見積もるという試みについて。これなどは観点としてはなかなか面白い。
ところでこの春から、この番組の放送時間が変更になるとのこと。土曜日の11時45分からの放送になるという(昔のサイエンスアイの頃の枠だな・・・)。さらに長年この番組のアシスタントをしてきた真鍋嬢が卒業するとか・・・・正直、この番組もこれで終わったのではという嫌な予感がしてしまう。実際、視聴率を稼ぐ意味では真鍋嬢がこの番組のライフラインになっていたから。それに時間枠の変更もこれは明らかに左遷。確かに7時枠の番組としては、明らかに数字がとれていなかっただろうことは推測できるが。
まあ深夜枠に移動して、地味で硬派な番組としてコツコツやっていくというのも一つのあり方ではある。ただ一端こうなると二度と浮上できなくなる可能性大。先が不安だな・・・・。多分私は最後までつきあいますがね。
3/17 サイエンスZERO「ふたご研究最前線 環境と遺伝のひみつに迫る」
人間の性格や行動パターンさらには体質などは、いわゆる「遺伝」によるものと「環境」によるものの影響がある。それを一卵性双生児と二卵性双生児を追跡することで調査しようという試みについて紹介。
登場するのは慶應義塾大学文学部の安藤寿康教授。彼は双子について20年にわたって観察をしているのだという。一卵性双生児は遺伝子パターンは全く一緒なので、それで違いが出る部分というのは環境や偶然の何かの要素によって違いが出た可能性が大きい。ただ共通点については単に遺伝によるものとは判定しにくい。それは彼らの育った環境が大抵は同じであるからである。そこで二卵性双生児と比較して有意な差があれば、それは遺伝によるものと考えられると言うわけである(二卵性双生児も同じ環境で育っているはずだから)。
そのような視点で見た場合、身長などには遺伝の要素が大いが、例えば50メートル走のタイムのような身体的能力に関しては、環境(つまりは後の訓練など)による要素がかなり大きく反映するという。また子供を対象にした行動パターンの調査などでは、一卵性双生児ではかなりの類似性が見られたという。さらに大人になってからの行動パターンなども追跡することで、その後の影響なども観察中だという。また脳についての研究では、言語に関しての能力には遺伝による影響が大きく見られたが、逆に数学の能力などは後天的な訓練の影響が大きいことが分かったという。
さらに医学的な研究もなされている。中高年の双子の健康状態を調べることで遺伝の病気与える影響を見たところ、コレステロールの値は遺伝の影響が大きいが、中性脂肪は環境の影響が大きいことが分かったという。またガンについては特殊な遺伝的なガン以外では体質の影響は小さいというデータが出ているという。
以上、双子研究による遺伝と環境の効果について。なお現代社会の最も愚かな迷信の一つである血液型占いは、人間の性格に対する環境の影響を全く考慮していないという一点だけで、全くの正当性を持たないということは明らかである(しかも性格は一生変わらない上に、世の中の人間の性格が4パターンしかないとしているのだから馬鹿の極み)。今後、遺伝と環境の研究が進むことでこういう馬鹿な迷信が一掃されればよいが、あの手の詐欺師は、血液型が駄目になると次はゲノムでも持ち出そうとするのがオチだから、科学に携わる人間としては、先回りにしてそのようなインチキがはびこる余地をつぶしておく必要があるのだが・・・。
3/10 サイエンスZERO「生物に学べ 最新環境技術」
生物はいろいろな優れた仕組みを持っているが、それに学ぼうというのが今回のテーマ。環境技術と銘打っているから、いわゆるエコロジー関係かと思っていたのだが、どうも違うようである。
最初は真鍋嬢が日本大学理工学部の安田邦夫助教授のもとを訪問。安田氏の専門は航空工学らしいが、彼は植物の種から高効率の航空システムを学ぼうとしているらしい。例えば東南アジアのアルソミトラ・アクロカルパという植物は、種に大きな羽のようなものがついているのだが、その重心の位置が絶妙で、そのおかげで動力もないのに風に乗ると1キロも飛行することが可能なのだという。またカエデやボダイジュの種はヘリコプターの羽のようになっているのだが、実は羽の表面に翅脈と呼ぶ細い筋があり、それが空気の流れの効率を上げることに影響していることが明らかになったという。飛行機の表面もこのような加工をすることで効率が上昇すると考えられるとのこと。
またカタツムリの殻から油汚れをしにくい製品の開発も行われたという(愛知県の住宅機器メーカーとのこと、社名は伏せているがINAXか?)。カタツムリの殻はただの炭酸カルシウムの板と違い、油が付きにくくなっているのだという。カタツムリの殻の表面には土などの薄い層があり、そこに微細な穴があることで水の層ができて、これが油をはじいているのだという。同じような加工をタイルの表面にすることで、油汚れのしにくいタイルが開発できたという。
理化学研究所の工藤俊章研究員の研究室では、シロアリが持つバクテリアから木くずを分解してバイオエタノールを作る研究をしている。シロアリの体内のバクテリアにセルロースの分解能力があることは知られていたが、空気触れると死ぬので培養が難しかったという。そこでその遺伝子を麹菌に取り込んで、酵素を作ろうとしたのだという。その結果、木くずが分解されていることが確認されたので、5〜10年後の実用化を目指しているという。
さらに岩手大学の伊藤菊一教授は雪の中で花を咲かせるザゼンソウに注目し、そのエネルギー産生のメカニズムを研究しているという。ザゼンソウは根にため込んだ炭水化物を花の部分で熱に変換していたのだという。熱が産生するのはザゼンソウの花の細胞内のミトコンドリアで、本来は植物にはない脱共役タンパク質という動物が体温を保つためのタンパク質を持っていることが分かったという。この能力をさらに研究して、新しいエネルギー技術に結びつけようとしているという。
最初は環境と全く無関係だったのだが、最後の方のネタになってかろうじて環境に結びついた。だけどこれって、環境技術と言うよりも新エネルギー開発では?
最後はプラスZERO。土星探査機カッシーニの最新データの報告である。土星の衛星のエンセラダスでは表面で水の噴出が、タイタンではメタンの湖が観察されたという。
以上、どうもネタ的には地味という印象がつきまとった。無理矢理に環境に結びつけた感があるが、環境に結びつける必然性はあったのだろうか?
次回は双子の研究によって、性格や行動などに人の個性に対する遺伝と環境の関係について説明するとか。ちなみにこれって、血液型占いが根本的にインチキであることの証明でもあります(人間の性格に対する環境要素を全く考慮していない。同じ意味では占星術もそうです。)。
3/3 サイエンスZERO「未来を切りひらくスーパーコンピューター」
今回のテーマはハイテクの先端分野で不可欠のスパコンについて。
まず最初は真鍋嬢が東京工業大学の最速コンピュータのTSUBAMEを紹介。このスパコンは複数のコンピュータを接続したいわゆるグリッドコンピュータになる。なおこれはCPUにAMDのOpteronを使用していることでも有名なのだが、この辺りのことは番組では解説していない(細かく言い過ぎるとAMDの宣伝になりそうだし)。番組で紹介してるのは乱流のシミュレーションを極めて高精度で行っている例。
巨大グリッドコンピュータとして既に実用化されているのが地球シミュレーターだが、これでは気候のシミュレーション、血管内での血流のシミュレーションや身近なところでハードディスク上での気流のシミュレーションなども実行されているという。また自動車の衝突シミュレーションなども今日ではスパコンで行われるようになってきたという。実際に衝突実験を実施すると費用もかかるし制限もあるのだが、この手法によって様々な条件で何度でも実験が出来る上に、各部品ごとの衝突時の変形なども求めることが可能になったとのこと。また核融合炉内部のプラズマのシミュレーションといった例もあるという。
現在、CPUの開発能力を持っているのは日本とアメリカだけで、両者は熾烈な争いを繰り広げている。地球シミュレーターは登場当時には世界最速マシンとしてアメリカに大きな衝撃を与えたというが、その後再びアメリカに抜き返され、TSUBAMEも世界順位では9位にすぎないという。そこで理化学研究所では次世代の世界最速コンピュータの研究が進められている。ここで問題視されたのはCPU同士の通信。電子で情報をやりとりするのでは遅すぎるので、光でやりとりするのだという。そのために電子を光に高速で変換する素子や、光のままスイッチングするシステムなどが開発されており、それが次世代のスパコンには導入されることになるとか。
まさにハイテク日本の象徴のような分野である。メイドインジャパン技術で世界を取ってもらいたいところ。新世代スパコンが登場する頃になると、地球シミュレーターなんかも既に旧型になっているんだろうな・・・。
今日ではシミュレーションというのは最先端の科学分野に不可欠の存在になっている。今後もその進展に期待したい。
2/17 サイエンスZERO「驚きの透視パワー 不思議の波テラヘルツ波」
今回のテーマはテラヘルツ波。ヘルツというからにはこれは振動数であり、テラはキロ、メガ、ギガと来て次の単位である。最近はHDの容量などが既にこの域に到達しつつあるが・・・これは無関係(笑)。
テラヘルツ波と言えば聞き慣れないが、従来の電磁波区分で行くと、電波と可視光の中間に当たるとのこと。今までこの領域の電磁波は発生させるのも検出するのも困難だったので、ちょうど空白域のようになっていたのだが、それが最近になって半導体でテラヘルツ波を発生させる技術が開発されたことで、注目されるようになったのだという。
テラヘルツ波の特徴は「中途半端な透過力(笑)」。例えばX線などは透過力が強いため、人体を透過させると密度の高い骨など以外はすべて透過してしまう。これに対してテラヘルツ波は水に良く反応するので、人体を透過できないらしい。その性質を逆手にとって、タンパク質の検出に使ったり、植物中の水の測定に使ったりなどが可能だという。
テラヘルツ波の利用については各種考えられているという。1つは封筒などの中に入れられた禁止薬物などの検出。理化学研究所でこの研究がなされており、研究リーダーの大谷知行氏によると、化学物質によってテラヘルツ波に対する反応に固有のパターンがあるので、それを利用すると覚醒剤などを検出できるのだとか。これ以外にも遠隔から爆発物の検出をするなどというセキュリティ面への応用も可能ではないかとのこと。
医学方面への応用も研究されている。福井大学医学部の三好憲雄氏は、テラヘルツ波を使用したガンの診断を研究しているという。ガン組織は他の細胞と水分や脂肪などが異なっているので、その違いを検出することでガンを判断できるのだという。この技術を応用すれば、標本検査などに比較して、素早く簡単にガンの検出が出来るのではないかとしている。
産業面への応用を研究しているのは大阪大学基礎工学部の安井武史助手である。彼はテラヘルツ波を使用して内部の検査をする方法を研究しているという。例えば塗装したアルミの表面にテラヘルツ波を当てた場合、塗装がうまくなされていると塗膜表面とアルミ表面から2本の反射が検出されるが、塗装がうまくいっていないとアルミ表面の一本だけになり、塗膜に浮きがあると空気層でも反射して3本になるのだという。この技術には自動車産業が注目しているほか、例えば橋脚などの接近しにくい部分の検査などに使用できるのではないかと期待されるとのこと。なおテラヘルツ波の応用については、最近ではスペースシャトルの断熱材の気泡の検査などにも応用できると言うことでNASAの方でも研究が進んでいるとか。テラヘルツ波を利用すると手軽な全数検査が可能なので、効率を上げることが可能だとか。
最後は久々のプラスZERO。今回は両生類にとって脅威であるツボカビの話。ツボカビは両生類にのみ感染し、皮膚などに致命的なダメージを与えるとのこと。海外ではこれのせいで絶滅に追い込まれているが、現在は日本では自然に検出されていない。しかし最近になってペットとして輸入されたカエルなどからツボカビが検出される例が増えており、これが自然界に漏れ出すことが懸念されている。輸入ガエルなどがおかしな症状を示したら、まず感染症に詳しい獣医の元に持ち込むことと、死亡した時にそれを埋葬したりせずに焼却するか生ゴミで捨てるように、また水槽の水はそのまま捨てずに殺菌するようにとのことである。
以上、テラヘルツ波については興味深いが、ネタ的には非常に地味という印象(笑)。まあ科学ネタでそんな派手なネタなどそもそもないが。現在、あらゆる電磁波が利用されているが、テラヘルツ波もその一環としてその性質を活かした利用が今後されていくだろうという話である。
最後のツボカビについては、これもペットブームの副産物である。いろいろな生物が世界を移動することは、よろしからぬ病気が行き来することにもなる。今まで一地域にしか存在しなかった風土病が一気に世界中に蔓延する危険があるということである。このツボカビについては両生類にしか影響がないので、どうも社会的注目度が低いが、同じような病気で人間に感染する危険のある病気があったら、もっと大問題になるはずである。自然界に蔓延させないことが重要なので、ペットの飼い主はキチンと責任を持って対処するように(感染した場合、専門の獣医で殺菌等の治療は可能ですので)。
2/10 サイエンスZERO「ここまでわかった花粉症研究最前線」
これからのシーズンになるとつらいのがこれ。実のところ、私も数年前から花粉症を発症するようになり、このシーズンになると苦しんでいる(私の場合は、特に目のかゆみと言った症状がよく現れる)。この花粉症の研究の状況を紹介するとのこと。
まず最初は、真鍋嬢が花粉の飛散情報などがどうやって調べられているかという状況をレポート。東京都などでは観測点を設け、実際にガラス板などで飛散している花粉を収拾し、その数をカウントしているのだという(実にローテクである)。ただこの方法だと熟練者でも時間がかかるので、レーザーを使用して花粉量を自動測定する装置なども開発されたので、1時間単位での花粉の飛散の予報なども可能になるとのこと。
さて花粉症の原因だが、これは一般に言われているように免疫の誤作動である。ではなぜ誤作動が起こるかであるが、その原因は種々言われている。舗装が原因だ、住宅の気密化が原因だ、ストレスだ、食生活だ、大気汚染だなどといろいろ言われているが、最近注目されているが感染症の減少が原因だという説である。
以前からBCGを打った人は打たない人よりも花粉症が少ないという指摘があったのだという。理化学研究所でのマウスを使用した実験によると、BCGを打ったマウスの方が確かに抗体の量は減ったという。ここで注目されたのがNKTという細胞、この細胞はBCGに反応するのだが、これが増殖する際に免疫のB細胞(抗体を作る)を抑制するという効果が明らかになってきたとのこと。この結果から、将来はワクチンの開発も期待しているという。
また花粉症の薬はいろいろあるが、根治が難しいことと、人によって効果が出にくいとかが問題になっている。現在の根治療法の一つは減感作療法であるが、長期にわたって医師に通って注射をする必要があった(だから続かなくなる)。最近登場している方法に舌下減感作療法というものがあり、これはパンなどにアレルゲンを染み込ませ、舌下で2分ほど放置して粘膜からアレルゲンを吸収する方法だという。医師に定期的に通う必要がなく、家庭で簡単に出来るというメリットがあるが、現在はまだ保険適用外とか(なんでやねん)。
さらに薬が体質によって効いたり効かない場合がある問題については、遺伝子のタイプを調べることによって体質を見極めるという試みがなされているという。岐阜大学によって子どもの血液サンプルに基づいた遺伝子分析と病歴、生活歴(ペットを飼っていたかなど)を照らし合わせた結果、特定の遺伝子と薬の効きやすさの相関関係のようなものが見えてきたとのこと。これを利用することで、その患者に一番あった薬を処方できる可能性があるという。
また理化学研究所の石井保之氏のグループが研究しているのは、免疫のB細胞に花粉を異物と認識させないようにする方法。B細胞内部に花粉成分を取り込ませることで、花粉を異物として認識させないようにするのだとか。この際に利用するのがリボソームで、この中にスギ花粉成分と免疫の働きを調整する成分を入れ、花粉症のワクチンを製作したとのこと。現在、マウスでの実験では効果が見られているとのことだが、まだまだ今後の臨床試験などが必要であるとのこと。
花粉症の根治にまで踏み込もうとすると、やはり遺伝子レベルの話は不可欠なんだなと感じたのが今回の内容。それだけにまだまだ一筋縄ではいかないと思われる。
なおこれは全く別の話になるが、最近はゲノムブームで遺伝子云々が大流行だが、そのうちに遺伝子の特定の部分だけを取り上げて、性格などと相関するなどと言い出すゲノム占いが登場するのではと私は懸念している。あの手のエセ科学を持ち出すペテン師共は、常に次のネタを探しているので、これだけゲノムブームだと目をつけないはずはない。血液型占いのような荒唐無稽なものでも「科学的」だと信じている者が多いという日本国民のリテラシーのレベルを考えると、血液型よりもさらに「科学的」と感じられるゲノムを持ち出されると、多くの者がコロッとダマされそうである。専門家の方には是非とも今のうちに一般人に予防ワクチン的な情報を積極的に流しておくことを期待する。
この番組は科学的に情報の扱いが厳密なのが以前からの特徴だが、今回については「あくまで仮説なので断定はできない」とか「まだマウスのレベルだから臨床が必要」などとさらに強調していたように感じられたのは、やはりあの事件の影響か。こんなに厳密にやっている番組にまで影響は出ているんだな・・・。世間の反応がヒステリックになりすぎて、気をつけないと魔女狩りに近い状況になりつつあるのに懸念を感じる今日この頃。
2/3 サイエンスZERO「男と女の不思議に迫る」
今回はこの番組初のエロネタ・・・のわけはありません。例によって極めて学問的に迫ります。間違っても、そこらの週刊誌の特集とは違いますので誤解のないように。
まず、性と言えば雄と雌の2種類と考えがちであるが、実は自然界にはそうでない例も多いのだという。ミドリゾウリムシには性が4つあり、それぞれの組み合わせで生殖が可能なのだという。さらにテトラヒメナという生物になると、7種の性があるのだという。性が多いメリットは、性が二つだけなら全体の50%しか生殖の対象に成り得ないが、4つだと75%、7つだと86%と生殖の対象が増えることだという。なるほど、人間も性が4つぐらいあれば、私のような相手にあぶれてしまう者の数が減