4/3放送のあるある捏造検証番組について

 

  4月3日に関西テレビにおいて「発掘あるある大辞典」での捏造に至る経緯などの検証番組が放送されました

 そこにおいて公表された事実を概説すると。

1.新年第1回における放送内容については、ダイエット食品Xというテーマが事前に決まっていた。

2.Xに何が良いかということをリサーチしていく過程で、納豆にダイエット効果があるという情報が浮上してきた。

3.当初は納豆に含まれるベータコングリシニンという成分にダイエット効果があるという論法を展開する予定だったが、その研究者には食品での検証を行ったことがないとして取材を拒否された。

4.そこで急遽、DHEAでダイエットが出来るという論理に切り替えられることとなったが、根幹になるイソフラボンでDHEAが生成するということを証言してくれる専門家がいなかった。

5.そこで別の専門家の証言に上から違う日本語をかぶせる(ボイスオーバーと言うらしい)ことで捏造した。

6.その頃、国内では納豆ダイエットの効果を検証するあるある大実験が行われていたが、被験者の血液検査を実施していると放送に間に合わないことが判明。実験結果を捏造した。

 

 発表されたおおまかな経緯は以上のようなものです。またこれらの行為については、日本テレワークから製作を託されたAディレクターによるものであり、監視するべき立場にあるはずの関西テレビのディレクターは捏造を見抜くことが出来なかったとしています。またAディレクターの「分かりやすく、面白い番組を作りたい」という気持ちが捏造という誤った方向へとつながってしまったというものでした。

 なお同番組では、今までの放送回520回をすべて調査したところ、この回以外にも7回で捏造が、8回で不適切な表現が見つかったとしています。

 

 今回の発表に対しては種々の解決されない疑問点が残るのですが、まずこの発表内でも明らかになった問題点についてあげると。

 「まずテーマありきで、それに対して内容をこじつけていくという製作姿勢」というものが露骨に明らかになっています。特に驚くべきは、テーマが納豆に決まった後、当初に描いていたるベータコングリシニンでダイエットにつながるという構成が完全に破綻したにもかかわらず、ベータコングリシニンをDHEAに切り替えて強引に製作を続けているということです。しかもさらに呆れるのは、専門家にインタビューを行う前に、既に発言の内容が「シナリオ」に記載されていたということも明らかにされていることです。この番組において専門家の証言とは、「番組に都合の良い話だけを引き出すもの」であったのは明らかであり、この番組の取材を受けた専門家の中から「発言を捏造された」との証言が出ているのも当然であることが伺われます。

 ただこれらの点については、関西テレビ側が公表するまでもなく、私を含め多くの人間が番組から推測していたことであり、「やはり」という印象は受けても、意外という感は全くありません。むしろ、あまりにこちらの推測どおりであることから、逆にこの線に落としたがっているのではないかという誘導の意図を深読みしたくなります。

 今回の発表において最も違和感を感じずにいられないのは、すべての原因をAディレクター個人の資質に帰結しようとしていることです。この検証番組から伺える捏造の原因は、Aディレクターの「分かりやすい面白い番組を作りたい」「話題になって視聴率を稼げる番組にしたい」という善意と功名心がつき混ざったようなものということになっています。

 しかし本当にこれだけなのかということには疑問を感じずにはいられません。

 まず言えることは、今回公表された捏造だけでも、このAディレクターによるものだけではないということです。捏造を生み出す体質が、Aディレクターの個人の問題ではなく、番組制作の根本にかかわる深い部分に根ざしているのではないかという疑惑があります。また今回の納豆の放送回に関して、事前にその情報が流通の一部に流出しているなど、番組制作側と業者の癒着をうかがわせる報道もあったにもかかわらず、その点について全く何もないかのように扱っていることには大いに疑問があります。

 さらに今までの放送回をすべて確認したとしているにもかかわらず、捏造や不適切な表現として上がってきた回は、ここ2年ほどに限られているのには大きな疑問を感じます。確かに捏造については、最近の分しか証拠となる資料が残っておらず確認できなかったと考えることは出来たとしても、少なくとも不適切な内容に関しては、ここ2年ほどに限られるものでないことは、この番組の内容を見れば明らかです。

 例えば、血液型占いやマイナスイオン、セルライトなど科学的に全く根拠のないものを、さも科学的に根拠があるかのように放送したのは、内容が捏造という以前にそもそも番組自体が不適切であるし、アミノ酸、CoQ10など、明らかにサプリの宣伝としか思えない怪しげな内容も今までに多々存在していますが、それについての言及もありません(このような内容の存在自体が、まさに業者との癒着を疑わせる根拠になっているのですが)。

 以上の事実を鑑みると、やはり一番根深い問題点は放置して、外部からでも容易に推察できた点に落とし込もうというシナリオが見えてくるのです。

 この件についての解明ですが、残念ながら私個人としては絶望的だろうという印象を抱かずにはいられません。というのは、この問題の背後には「触れてはいけない相当に根深いもの」が存在していることを感じるからです。最近になってのこの件に関するメディアの対応が、「ネタがないから」「世間の関心が他に移ってしまったから」という次元ではなく、なんとなく立ちすくんでいるように見えることがこの感を深めています。もっともこの世界に関して全くの部外者である私の邪推や個人的妄想という可能性は否定できませんが・・・。

 なお私を含める外部からの番組への批判については、先にNHKが番組関係者に行った取材で「有名税のようなものだと考えていた」というコメントを得たことを報道しておりましたが、これを聞いたとき私は、個人の行動の限界を感じずにはいられませんでした。また外からの批判に対しては全く意に介していなかったかのように関西テレビ側は証言しておりますが、これについては嘘と真実の双方が含まれているように思われます。というのは私の本を読んでいただけると分かりますが、私の批判の多くの部分は番組の実験で公表されている結果の数値の扱い方や解釈の矛盾などを突いているのですが、発表された捏造などを見ていると、明らかにこういった矛盾を突かれないようなデータに修正するという意図が見えているからです。残念ながら、私の「番組をよりまともな方に持って行きたい」と考えての行動の結果、逆に番組はより悪質な方向に向かってしまったように思われます。この番組がまともな番組となってくれることを願っていた私としては、今回のような形でこの番組が打ち切りに至ったことは非常に残念に感じており、無力感をかみしめております。

 最後に現在懸念されることですが、今回の事件を機に権力がマスコミに介入しようという意志を露骨に示していることです。安倍総理は以前より報道統制を志向している人物なので、今回の事件をきっかけにしたいと考えたと思われます。政府がこの姿勢を露骨にしていることが、マスコミ各社に最近ためらいが見られるようになった一因でもあると私は考えています。

 言うまでもなく、マスコミに権力の介入を招くと、いずれは北朝鮮のように権力側にとって都合の良い情報しか流れないことになるのは自明のことです。視聴者の中には「番組の信憑性を権威を持った機関によってチェックして欲しい」という声もあるようですが、このような他力本願の姿勢こそ、まさに報道への権力の介入を招く危険を生むものです。安易に誰かに頼るのではなく、やはり情報の信頼性については視聴者個々人が判断するしかありません。民主主義というのはそれなりの手間とコストがかかるものなのだということを、我々自身も自覚する必要があるでしょう。

 関西テレビが今回の事件を真に反省しているかどうかは、今後の番組に現れるでしょう。私としてはそれを見守っていくつもりです。またそれ以外のテレビ局についても、今後はより視聴者のためになる番組を製作していくことを願うのみです。テレビ関係者には、自分たちは素晴らしい仕事をしているのだという誇りを持って、視聴者に対して視線を向けてもらいたいと思います。

 

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