「解す」納得のお店紹介 「ソバ屋で解す」 

カレーなる酒蕎徒四人衆ほか 著
07/10/08 「くりはら」UP!


誇宇耶にて

はじめに

 このコーナーは、我々蕎麦&酒好きが何度か行ったことのあるお蕎麦屋さんをご紹介するコーナーです。酒蕎徒4人それぞれが数限りなく通い詰めたお店やいっぺんしか行ったことのない店など混在していますが、どのお店も納得のいく美点があって、我々言うところの”解す(げす)”お店です。杉浦日向子&ソ連著の「ソバ屋で憩う」に対抗したわけではありません。が、「憩う」の内容に賛同していますし、かの本に書かれている内容も正しいということが私たちの報告で分かると思います。各お店を批評する気や特に持ち上げる気もありません。お店の案内ガイド本ではありません。
 これを読んで、あなたもそのお店に行ったつもりで良い気持ちになっていただければ幸いです。

 

西荻窪 「鞍馬」 お店の写真  箸袋の写真

 今年の夏の猛暑といったら、地球温暖化云々を超えている。蕎麦にとっても、きっと辛すぎる暑さだ。しかし蕎麦中毒の皆の衆は、夏で風味が落ちていると重々解っているのにお店の暖簾をくぐり、手繰ってしまう。そう、そして新蕎麦以降の季節を皆待ちわびるのであります。西荻「鞍馬」。蕎麦好きを自認する者が皆公認の美味い蕎麦を供する名店である。都内でも他の追従を許さぬストイックさで蕎麦本来の風味をビシビシ味あわせてくれる希有な存在である。かくいう私も若き日に酒蕎徒会長、長澤氏より一押しされ初めて鞍馬の蕎麦を経験した時の感動は忘れません。蕎麦開眼を一気に加速させたのでした。考えてみれば、寒い季節にしか鞍馬に行っていない。「ざる盛りせいろ」はいつも美味であった。そこで暑いこの夏、本当に久しぶりに鞍馬を訪れた。11時35分に左手の大テーブルに席を取る。小音量のBGMの中、相変わらずの鞍馬的落ち着きの空間で、既に数人の客が憩っていた。厨房に目をやれば、緑の作務衣がちらつく。主、吹田政巳氏であると思われる。きびきびと水切りをするリズミカルな音が心地よい。「箱盛り蒸籠」を頼む。丸い笊から箱になってからは初めての来店である。黒塗りのその箱は細長く、随分イメージが変わったことが認識される。それに抱えられたそばは、相変わらずのフィールドグレイで、十割とはいえ、きめ細かく密実につながりよい感じである。十分の味ではあったが、鞍馬をもってしても、この猛暑にはやられたといった感じであった。初めておかわりしなかったが、これが使用玄そばの今現在のベストなのであろう。新しくなった鞍馬をしかと味わうには新蕎麦以降の寒い季節にまた来ねばなるまい。箱となって、量は僅かに減ったような気がした。個人的には笊盛りの方がつまみ上げ易いし良かったように思うが、これも日々進歩を目指す名店の進化の過程と認識することとしよう。2枚、3枚とおかわりせざる終えない、鞍馬の本来の魅力を存分に味わうために。鞍馬のそばならきっと救ってくれるはずなのだ。

(西尾)

 

西荻窪 「つる家」 お店の写真   箸袋の写真

 西荻窪には鞍馬という名店がある。しかし、16:00で閉店してしまうため、そば好きはいったい何処へ・・・・。そこで、つる屋である。JR西荻窪駅南にあるごく普通の街の蕎麦屋といった風情だ。ここの売り物は「カレーせいろ」であるが、香りがきついのでこれは最後にした方がよい。まず、酒を頼む。すると、おばさんが笊のかごで猪口を持ってくる。この中から好きな猪口を選ぶことができるのである。酒とつまみ(卵焼きと板わさ)を食した後、いよいよ「カレーせいろ」を頼む。出てきたものは、せいろに鴨汁ならぬカレー汁が付いたものである。食すると、蕎麦屋のカレー味である。当然、そばのほのかな香りはどこかへ飛んでいってしまう。んー、蕎麦屋のカレー味好きな御仁にはたまらないといったところですか・・・。
 なお、近所には地酒の揃った酒屋で有名な「三ツ矢商店」がある。酒好きには是非寄って欲しい店だ。

(佐藤)

阿佐ヶ谷 「庵」  箸袋の写真 お店の写真

 わたしは今、とある国家試験の2次試験中である。しかしながら頭の中は「早く庵に行って憩おう」である。実はこの3ヶ月前、1次試験後にも行っている。おかみさんの絶妙の接客に平打ちのせいろ。程良い客の入りの店内。旨いつまみ類。さあ、試験はこの辺にしてと思い立った私は退室時間が来るやいなや東西線に滑り込み阿佐ヶ谷へ。駅からは15分と遠いがこの程良きウォーキングがまた一杯目を旨くすることを知っているのだ。旧仲之町でのお店の様子は知らないが、まだ新しめの内装の店内は憩える。いごこちの良さはこの界隈では随一だと個人的には思ってます。大和芋磯部揚げ+菊姫。卵焼き+もう一本かなと思ってた矢先におかみの注文取りが来た。以心伝心とはこのことか。無論追加して、締めにせいろをやはり2枚。田舎は売り切れだったので今度の楽しみとしよう。勘定を払い馳走の旨を言う瞬間奥から「ありがとうございましたぁ」の声。あぁー、やはり解す店は姿勢がちゃう。また来ねば、と心に刻んだ。

(西尾)

 

阿佐ヶ谷 「高はし」 箸袋の写真 お店の写真

 「高はし」はJR中央線荻窪駅から環状8号線を南へ10〜15分歩いた郵便局の先にある。店は環状8号線に対して直角に面しているので、脇道を数m行ってから入る形になる。このため、店内は意外と静かで落ち着いた上品な雰囲気である。まず、お酒はおすすめの酔蕎(特別純米、1,000円/1合)を頼む。おかみさんが笊でお猪口を10〜20個持ってきて選べるシステムになっている。酒の味はハードで超辛口であるがコクもあり、なかなかの旨い。つまみはまず定番の卵焼き。これはわずかに甘みを利かせたしっかりとした( 剛性の高い)もので量が多くうれしい。お酒の2杯目は加賀鳶(純米吟醸、800円/1合)。ふっくらとした旨みのある酒だ。つまみは穴子の煮こごり。旨みが凝縮された味である。絶品といっても良い。その他のつまみも充実しているようだ。さて、蕎麦は細打ちで丸抜きを挽きぐるみしたような風味である。ご主人が修業した本むら庵の蕎麦とはまた異なったもので「高はし」独自のものとなっている。店の雰囲気、客あしらい、酒、つまみ、蕎麦、すべてに関して高いレベルの銘店であるが、蕎麦の水切りがやや足りないように思えたことが残念である。

(佐藤)

阿佐ヶ谷南 「みや野」 

 阿佐ヶ谷はソバ屋選択肢が多い町だ。色々なタイプの店が点在している。そんな中、夜のみ営業の異色ソバ屋「みやの」へ足は向かう。予約という行為はあまり好まないが、必要らしいので一人だが一応行く寸前に店に連絡を試みる。携帯電話を持たない自分としては、ちょっとめんどくさい。なぜなら最近では街角の公衆電話はめっきり少なくなり、探すのに苦労する。あー、古代人だなぁ。
 商店街裏に隣接する入り口から階段を上がる。そこは、控えめの音量でジャジーなBGMが流れていて、ソバ屋とは思えないバーのような異空間。20代前半頃の自分がよくこのような雰囲気のところで洋酒をやりに行っていたもんだと妙に懐かしく思う。奥の部屋に案内された。大テーブルの隅に一人腰掛け、田酒純米大吟を頼む。この日はおまかせコースのみであった。まず、自家製豆腐からつまみ、自らに一献。美味い。冷やされた鉄瓶で供される田酒は格別である。コース故我が運命は店の方が握っており、次々と手の込んだ一品つまみがホテルレストランのボーイのような店員が軽い説明付きで出してくれる。感じも良い。小鮎の蕎麦実あえ、さらにはグレ(=メジナ)刺身などが来た。食材がしっかりしていることは魚を食えば分かる。そしてやむなく、というより当然のごとく志 太泉を追加。これも正しく美味い。既に1時間半経過。ゆっくり解してきたが、蕎麦はまだ出てこない。客も4人増えたが、まぁいいか。このさい贅沢に憩ってしまえ、と言い聞かせる。そばがきのあと、蕎麦が運ばれてきた。お椀に乗ったそれは、長くは繋がっておらず、啜るというより粗挽きで蕎麦の風味をあじあわせるタイプだ。むしろ汁は いらない感じだ。最後にデザートが付く。美味い。技も気が利いている。2時間以上が経過した。ここは、店のやり方で蕎麦ディナーをじっくり供している感が強い。周りを見れば、ほとんどが男女二人組で、まさに蕎麦もある大人のバーである。収容人員も考えてある。
 たまには一人でこういうお店も良いか、と思う。ただし一人で9千円以上の散財。ひーぃ。しかしながら、はっきりしたコンセプトを持ち、大人の空間をきっちり演出している、ハレのお店である。

(西尾)

 

中野 「さらしな総本店」

 もうすぐ昼飯時である。仕事へ向かう途中、中野駅周辺にいた私は混み合う前の11時45分にサンモールの脇道にある「さらしな総本店(北口店)」へと滑り込んだ。民芸調で統一された店内にはすでにお客が多い。入り口横に席を構え、太切りの田舎を頼んだ。北海道産石臼挽き。噛みごたえがあり、甘みのにじみ出る蕎麦を味わいつつ、そば湯をいただく。濃い、濃すぎますがな。なして昼前にすでにポタージュ状態か?。別製だろうがとにかく旨い。やけに熱いが全部飲み干して、店を後にした。夜の営業も比較的遅くまでやっているので次回は酒も味わいに来ようと思った。

(西尾)

 

新宿三丁目 「大和庵」 賛

 久しぶりに新宿に来た。飲みに行く前に軽く大和庵で焼き海苔&板わさに日本酒を合わせて手繰っていこう。新宿三丁目ウラの末広亭の通りに到着。ありゃ?!無い。お店がない。ガビびびびぃ〜ん!あるはずの大和庵がありません。無くなっていた。ショック!。思い返せば、早い時間帯に呑んで帰りに寄るにはちょうど良いお店で、地下にはいると江戸風然とした蕎麦とメニューで新宿の猥雑な表空間とは別世界の、静かで落ち着いた空間を供してくれていたのに・・・。とにかくショックだ。移店ではないようである。忘れじの大人の憩い空間がまた一つ減ってしまった。悲しい。今晩は上を向いて歩こう。さようなら。

(西尾)

 

新宿 「きんかん亭」

 また来てしもーたー。とはさっきまで宮崎地鶏の店で芋焼酎霧島のキープボトルで地鶏のモモ焼きを喰ってた私の弁。この地鶏屋ときんかん亭は近すぎる。ついつい恒例で行ってしまうのだ。そしてまたそば湯割りと穴子天。これまた旨いんです。最後に重ね割子につゆをかけガンガン食べる。あーうまかった。そば湯をのみこれで二日酔いも無しやなー!?。ほんまかいな。このお店で気を付けねばならないことはただ一つ。何せ朝までやってるので終電に気を付けろです。数年前、会員3人ここで終わってしまい、唯一不参加で珍しく酒の入っていない佐藤会員にクルマで迎えに来て貰うハメに。その節はお世話になりました。でもまた夜遅くにきんかん亭へと行ってしまうのです。直接関係はないけど、すぐそばにある「用心棒」というお店を知ってる方、情報を求む。

(西尾)

 

新宿 「永坂更科布屋太兵衛 新宿店」

 小田急をよく利用する私は時折奮発して特急ロマンスカーに乗ることがある。いつも30〜60分後発の列車になるのだが、この間の手待ち30分が惜しい。こういう局面では間違いなく永坂更科で時間ぎりぎりまで憩うのである。JR中央口から丸の内線近くのメトロ飲食店街にちょいと上がればお店がある。時間に余裕があるのならばすぐそばのフレンチ「墨繪」の美味しいパンか中村屋のインドカリーでも土産に買っておこう。さて、今日は時間までまだ35分もある。酒(黒松)と鴨焼きだ。時間がないのに腰掛けて一杯やるのもイイものだ。あと15分を切った時点で御前そばでスキッと締め、そば湯タイムで微調整。これで今日も又気持ちよくロマンスカーに乗り込むことが出来た。私にとっては嬉しい立地のお店なのである。

(西尾)

 

新宿 「渡邉」

 このお店は昼飯時は混んでいる。新宿西口はやはり人が多い。相席なので速攻で手繰って、啜って店を出る。夜の部もまた混んでいるが比較的入りやすい。奥に広いスペースが拡がる店内は昼より落ち着ける。店員はバイト生だ。若い女の学生が注文を取りに来る。昼はおばちゃんだ。どちらにせよ無難な接客で大丈夫である。ゆっくりと酒と肴を楽しめる。寒い日にかけを食した。汁は濃厚。これが東京のいわゆる濃い口か。冷たいそばは、てらいのない松本弁天本店を思い出した。飛び抜けたタレントは感じないが安心できるお店である。

(西尾)

 

吉祥寺 「よしむら」  箸袋の写真 お店の写真

 吉祥寺の焼き鳥立ち呑み処「いせや本店」で軽くいなした後、明永氏と「よしむら」へと向かった。ちょっとしたバーのような雰囲気である。つまみが豊富である。ひとまず冷酒とスズキの刺身で様子を見る。まずまずである。取っ手付きの片口がよろしく欲しくなる。次は天盛りだ。解してきた。酒は大好きな杉の森があるが大吟醸は高過ぎ(晋作)なので、生酒を頼む。さて、せいろである。なかなか旨い。さらに限定の生粉打ちをついに頼んでしまった。黒くて太めだぁ。やはり旨い。具合もよろしくなったところでお勘定を・・・。んっ!カネが足りない。二人の有り金全部足しても千円ほど足りない。カードが利くはずもなく、酔いも醒めた。とりあえず明永氏を人質とし、私は駅前の銀行へと走った。時間は夜10時半過ぎ。何とか駅前銀行で現金を引き出すことに成功し、お店へUターン。まさに走れメロス状態。すでに暖簾の下がったお店にたどり着き勘定を済ませた。疲れた。すっかり酒も抜け、2人はトボトボと井の頭公園方面へと帰っていった。このお店は酒も蕎麦も高価であるということを忘れて憩ってはいけないのである。みなさんも気をつけよう。(こんな奴は普通いないワナ!)

(西尾)

 

神楽坂 「たかさご」 箸袋の写真 

 交通の便が悪いといわれている店「たかさご」。最寄り駅はJRだと市ヶ谷ですね。神楽坂駅方向へ歩いて15〜20分位。途中、左手に気になる手打ち蕎麦屋があるが、そこではない(ちなみに、後に知ったが蕎楽亭といい、なかなかのところ)。店前に着いても目立たないように暖簾に「たかさご」の行書か草書による店名のみしかないので、見逃してしまいそうである。店内は4人掛けテーブルが6卓で落ち着いた雰囲気。少人数でじっくりと酒とつまみを嗜む店といった風情である(蕎麦も忘れずに)。酒は菊姫が各種(650〜3,500円/一合)あるが、蕎麦には山廃ではなく、比較的すっきり系のものが良いでしょう。つまみは、定番の出汁巻き玉子を食す。これはなかなか量が多く、味がよい。おすすめ品だ。ほかには、たたき海苔など質が高いものがある(その分値も張るが)。そばは、二八風の喉越し重視系である。全体的に静かで落ち着いた店。ここでは大酒飲んで酔っぱらってはいけません。

(佐藤)

 

市ヶ谷 「蕎楽亭」 お店の写真 名刺の写真

 JR市ヶ谷駅から神楽坂方面へ約10分歩くと左側にある。店内は明るく、スタッフ(店員というより似合う)も若い。カウンターとテーブル席(座敷なし)合わせて20席程度で広くはない。つまみは28種類(非常に多い)、日本酒は8種類(750〜1,600円/1合)。酒はまず和歌山の黒牛(純米)。これはこくあり、味よし。2杯目は福島の飛露喜(特別純米生原酒)で、これも良い。蕎麦は十割とざるの二色盛とした。十割は粗挽き打ち田舎。ざるは丸抜きの挽きぐるみで香り高く、風味は十割に匹敵する。ざるの方がCPは高い。最後の蕎麦湯は別製と思われるポタージュ系蕎麦湯であった。某TV番組で山本益博が奈良の「玄」にて蕎麦湯を前にして、そして飲んで言ったセリフを思い出した。「おー、これは絶対そうだな。」「これは蕎麦のポタージュですよ。」

(佐藤)

(追記):カウンターにて会津の銘酒と豊富なつまみで憩えば、これまたソバ解すワールド。納得!(西尾)

表参道 「表参道蕎麦工房」 賛

 冬の夕暮れ時、表参道を歩く。緩やかな坂道を飾る並木の合間から、連なる同潤会アパートがその素顔を見せる。道ばたの鮮やかな色の店舗とは対照的に、歴史ある重鎮としては不当に扱われ、取り残されたその表情は寂しげにも映る「俺の方がホンモノだ・・」と囁いているのだろうか?。
 明治神宮方面には渡らずに手前の角を曲がり、住宅街の道を登る。5時半の営業開始と同時に入店。2階へと案内された。前回は前面道側の特等席であったが、今日は一人なので窓際の2人席にかける。ひとまず、幻の瀧(純吟)に秋刀魚酢〆を合わせる。こりゃ美味い!私好みの味だ。次いで以前から気になっていた、焼きそばがきを注文。小振りのたこ焼きを思わせる、かわいらしい蕎麦団子といった感じで、山葵・大根・茗荷などと一緒に出てくる。そのままでも優しい蕎麦の甘みが広がる。ついつい酔鯨(純吟)追加。猪口を片手に窓の外を眺めれば、夜景に浮かぶ東京タワーの点滅が都心であることを教えてくれる。そうでなければ、都会の喧噪などとは完全に隔離されており、場所を忘れさせてくれる居心地だ。ふぅーっ、解してきた。さてさて、締めにもりそばを注文。日光産の玄蕎麦でシャープな細切りで甘さの乗った優しいお味です。水・土曜は限定の磐梯もりがある。こちらは新蕎麦らしい野趣があり、こちらも美味い。昼も夜も感じの良い客あしらいと、肴・蕎麦ともに感じられる優しさが嬉しい。ご主人の人柄なのだろうか。最近、都心のソバ屋には、期待することもないが、このお店は名ばかりの「名店」ではなくホンモノの「銘店」になりうるに十分です。お店の流儀に客を従わせるのではなく、客が能動的に力を抜いてゆっくり楽しめる。お店を出るときに言いました。「ご馳走様、また来ます。」
(追記):2003年に店終いしてしまったらしい。蕎麦打教室などは行っているとか。もっともっと通いたかったお店でした。お疲れさまでした。

(西尾)

渋谷 「おくむら」 箸袋の写真 

 全くもってこのお店は静かである。しかし和む。NHK放送センター近くにあり、渋谷のお店とは思えない。ウラ渋谷である。バケもののようなギャルや地べたに座り込む輩は見かけない、静かなところだ。最寄りは千代田線代々木公園ではないかと思う。左手の座敷に上がると控えめな優しいお母さんが注文取りに来た。ひとまず東北泉と田酒を頼んだ。どちらも特別純米であろう。旨い。突出しの珍味からすみで充分楽しめる。待ち合わせの明永氏が来た。神亀に肴は厚焼き卵と天盛り。天盛りはまさにソバ屋のそれである。てらいや気取りはなく、好感が持てる。この空間は時間が静かに長い廊下を歩いていく感じである。イイ、解してきた。最後に珍しいお酒「ねぶた」を飲み、もりを食した。極細の蕎麦切りで、繊細な味わい。この店の空気を写したかのようだ。今日は長居はやめて、宮益坂のお店にちょっと寄って帰ろう。

(西尾)

 

水道橋 「斗庵」

 JR水道橋駅近くの店。蔦を絡めた引き戸を開けて入ると、昼間だがやや薄暗い雰囲気。右側奥の座敷に陣取る。酒を頼む。酒は大信州の樽酒だ。珍しい。この店は、信州にこだわっているようだ。つまみも定番のものより信州特産の品が目に付く(何があったかは今では定かではないが・・・)。ふと気が付くと、他の客は常連さんが多いようだ。そばは、二八系の超細切りである。喉越し重視といった感じ。そういえば、暖簾に二八そばとかいてあった。んー、この店は信州出身者あるいは信州好き者の憩いの店といったところですか。

(佐藤)

 

銀座 「明月庵田中屋 銀座店」

 わたしは海苔好きである。このお店には是非行かねばならないと思っていた。それは長澤氏に炭仕込焼海苔の件を聞かされていたからである。池之端藪など炭仕込焼海苔は存在するがまだ味わってなかった。この日は明永氏とともにひとまず浜松町の「秋田屋」でコートを着ながら立ち飲みをし、程良く温まってきたところで銀座へと流れてきたのだ。さすが銀座、夜とはいえ混んでいる。めずらしく30分ほど並びやっと店に入れた。鷹勇純吟と焼き海苔で解してきたがその後、せいろで軽く締めた。実物観察・研究の末、今度自作の焼き海苔保温器を作ることを心に決めた。

(西尾)

 

赤坂 「遊 庵」 賛  箸袋の写真 

 バブル華やかなりし頃、赤坂近辺にも準高級居酒屋(値段だけが高級であった感が強い)が増殖し、そういうところによく連れて行かれたものだ。そこで、いつも騒々しさと窮屈さの中で疲れる酒を呑んでいた。遊庵との出会いはちょうどそんな頃だった。日枝神社の門前そば屋から始まったらしく、店内に一歩足を踏み入れると落ち着いた空間が広がっている。こぢんまりとはしているが、窮屈さを感じさせないテーブルや椅子の配置、店員の客あしらえは自然で気持ちいい。
 ここではお酒を注文するとお猪口が十数個入っているかごを持って来てくれる。気に入った猪口を選んで、まず一献。定番のとりわさと玉子焼きに舌鼓を打ちながら、ゆったりとした時間を過ごす。つまみは非常に充実しており、刺身やあなごの白焼きなど海のものもあり、これがまた絶品である。蕎麦も主張のない自然体でのどごしさわやか、ついついおかわりしてしまう。
 たまに仲間を誘って訪れたものだが、皆、気に入ってくれる店であった。東京を離れ、訪れる機会もなくなってしまったが、うわさでは店は昔の場所にないらしい。どこかへ移ってしまったのだろうか。廃業となったのであれば寂しい限りである。 (現在は五反田で営業しているとのこと)

(長澤)

赤坂 「明月庵 田中屋」 

 近頃赤坂はソバ屋激戦区?らしい。知っての通り、元からある高級老舗を尻目に新たなお店が次々と出店しているようである。そんな中、銀座での実績をひっさげ「明月庵田中屋」も参入してきた。赤坂では一ツ木、みすじ、田町通の各通り、脇筋に色んなタイプの料理屋があって、赤坂独特の夜の雰囲気を醸し出す。田中屋もそんな街の中央部に位置している。赤坂=洒落て高級?、こんなイメージだけのソバ屋ではさえぬ。このお店はどうだろうか。店内にはいると中央のテーブル席がメインで、外周を半個室風の席が配されて新鮮な感じで、内装や材料にも力が入っている ものである。ちょっと高級な感じも演出しており、サービスの行き届き具合にも不安が走る。まぁひとまず酒と肴を頼む。品揃えもそうだが値段のレンジも広く選択肢に困ることはないし、店内に目と気を配る和服の女将さんがよく働き 居心地よくこれで不安は払拭されたのであった。ソバはせいろのみでしっかりと打たれ切られた律儀な東京蕎麦だと感じた。見た目にも味にも安心感が漂う。 時期が良いと味も乗っている。薬味が大量に来て困ってしまうが、なんとなく時々食べたくなる蕎麦である。勘定すると思うのだが、高そうで高くは付かないし、気を入れてサービスしているが結構憩える。何度か訪れているが夜は居酒屋状態であったり、 また昼は混んでいるし、立地・雰囲気を狙ったようでいて結果的には砕けた感じで、高級路線になっているような、いないような、不思議なカオスの魅力を持つお店であると感じるのでした。

(西尾)

日本橋 「室町砂場」   案内の写真 

 今日は明永氏と台場ZEP東京でのライブに行くことになっている。開演は夕方5時からであるので、もちろん早めに待ち合わせし、ソバ屋へ。場所は日本橋室町。エントランス、構え、プラン・内装、広々と明るくクリーンな店内、店員さんらの動き、まさしく都会のソバ屋である。清々しさと気持ちの良い雰囲気が漂う。冷酒と卵焼きを頼む。酒はむやみに多種多様を並べるのではなく2種類ほどでツボを突いてくる。卵焼き・・・これは旨い。だしがしっかり効いていて酒との相性も素晴らしい。ソバ屋の中でもトップクラスで忘れじの味となった。板わさもさりげなく旨い。酒(冷や)を追加し、さらに解してきた。昼下がり、クリーンなガラス越しの坪庭的緑が憩い度をアップさせ自分がオフィスビルのような建物の中にいることを忘れさせてくれる。店舗設計の妙である。おっと、開演時間が近づいてきた、まあイイか、憩おう。ソバを頼む。小さめの角蒸籠にのせられた、やや色白で程良い柔らかさの上品な彼女を速攻で手繰り寄せ、胃の腑へと滑り込ませた。十分満足、憩えた。都会のオアシスで、大人の砂場遊び。解す。また来よう。あーっ、もう開演だ!。またしても時間を忘れ憩いすぎてライブ開演には間に合わなかった2人なのでした。

(西尾)

 

吉祥寺 「吉祥寺砂場」 

 吉祥寺に来るとやはり、一日数千本焼くといわれる「いせや本店」にて焼き鳥でやった後、その後蕎麦を求めて彷徨う。今回は夜遅くまでやっている「吉祥寺砂場」である。ビルの地階にあるが、広々としており何とも良い雰囲気である。節度ある大人たちがそれぞれ好きなように呑んだり、手繰っていたり、会話を楽しんでいる。全く頃合いが程良い。つまみなどは室町などを連想させるも、酒などやや豊富(+2種類ほど)であり、存分に「ソバ屋」を楽しめる。蕎麦はやはり砂場系のそれで、それ自体で云々というよりすっと胃の府に吸い込まれていく、例の食感と容姿である。吉祥寺でも夜遅くまで(25時までだったと思う)出来る大人の砂場遊び。また何度もこの大人の空間に落ちていくに違いない。

(西尾)

 

上野 「おきな庵」

 午後5時半。大久保での仕事を終え、会社の後輩濱野氏と山手線に乗り上野「おきな庵」へと向かった。なぜわざわざ上野へって?。そりゃ前の晩深夜のFAXのせいですよ。我が会長の長澤氏とその後輩より関西のとある現場より指令が出たのだ。その後輩とやらは生粋の上野っ子。上野ではおきな庵。これで決まりだそうな。数ある名店をさしおいて、地元民が推挙する店とは?。ひとまず大久保界隈の誘惑を振り切り、その店の暖簾をくぐった。程良い広さと華美さのない土間のようなスペースに卓と椅子。我々は奥の長テーブルに腰掛けた。キャパは30人程度か。ビール→燗酒→板わさと進んで憩ってる横に初老の御仁が座った。背筋がピンと伸びている。おそらく近所の我が家へ帰る途中ふらりと吸い込まれた様子である。背筋をのばしたままビールを飲み、飲むたびに感慨深げな表情をしていなさった。かと思うとすーっつと蕎麦を平らげご帰宅されたようだ。我々は酒もなくなりお目当ての「ねぎ南せいろう」を食した。店全体の雰囲気と心底この店を楽しむ御仁らの様子と相まって、旨い。勘定してお店を出るとき店内をふと見回せば、老若男女皆幸せそうな顔。私わかりました。地元上野に生き抜く人々の真のオアシスがこのおきな庵なんだと。地元民のためにそっとしておきたい名店です。   (西尾)

(別記):広小路口から国道4号を渡り、浅草方面へ少し歩いたところに翁庵はあった。奈良は吉野の山奥で職場の同僚だった山下氏に教えられ、いつかは訪れねばなるまいと思っていた店である。いかにも下町の蕎麦屋でございという風情と佇まいが嬉しい。中に入るとこれがまた、よい雰囲気である。その理由は客層がご近所さんばかりで、名店にありがちな気負って蕎麦を喰いにきましたといった輩がいないことだ。西尾氏が訪れたときに遭遇した背筋を伸ばしてコップ酒を一口づつ感慨深げに呑むというご隠居さんには会えなかったが、そのようなお客さんがいつ入ってきてもおかしくない風情である。私もまず、桝に入ったコップ酒を背筋を伸ばしてキュッとやる。「ぷっふぁ〜」酒が食道から胃に流れ落ちていくときの快感に思わず目をつぶり口をすぼんで舌打ちしてしまう。このように気合いを入れて酒を味わうのもまたおつなもんである。さて、山下氏おすすめの「ねぎせいろ」をたぐる。香ばしさが口一杯に広がる。蕎麦は普通であるが、なぜか、みょう〜に旨い。うん、解した。こうゆう普段着感覚でゆっくりくつろげる蕎麦屋がいつまでも残っていくことを切に願う次第である。  (長澤)

 

上野 「池之端 藪」

 この間の日曜日、上野東京国立博物館に平等院鳳凰堂宝物展を観に行った。藤原氏摂関政治の栄華がなせる技であろうか、平等院の大仏様を取り囲む数十体の雲中仏像群の個々の御表情と器楽されているその様は優雅である。これらは、かの仏師定朝らの手による。銅製の一対の鳳凰も素晴らしかった。大挙してわざわざ東国上野の地まで飛んでこられたようである。と、このように上野は文化的匂いも強く、その他コルビュジェ設計の国立西洋美術館などが公園内にあるのはご承知の通り。そんなこんなで、いにしえの美技を堪能した後は不忍池を渡って池之端へ。お目当ては無論「池之端藪」である。右手の座敷に席を取る。きびきびとした女性が注文を取りに来た。暑い日だったのでビール一本と樽酒の冷や+板わさと焼き海苔。うーむ、解す。濃厚な蕎麦味噌が付いてきたし、妻と二人で差しつ差されつ酒がすすむ。板わさ用の醤油も気の利いた器で供され、並木藪を思い出させてくれるが、池之端では焼き海苔が炭仕込みだ。あー、解してきた。明月庵田中屋のそれと大きさ作りも同等でますます欲しくなった。焼き海苔の数枚は息子に奪い取られたが、充分満足だ。逆さのざるに盛られたせいろは量は少ないが滋味である。十分満足し、店を後にした。霞む夕立の中、博物館で観たもの、即ち今は消えてしまったいにしえの技と、昔からの技を現代にも残す蕎麦屋の技との対比をはっきりと見ることが出来たような気になった。  (西尾)
 

(別記): 鈴本演芸場横の居酒屋や料理屋が立ち並ぶ小路を春日方面に向かうと、気を付けねば、通り過ぎてしまいそうな池之端藪がある。混んでいたので店員さんから相席を頼まれる。
 快くO.K.すると品のよい老紳士が向かいに座った。私が板わさと鴨焼きで一杯やっているとその老紳士は「この店の常連さんですか?」と声をかけてきた。「いえ、初めてです。」というと「そんなことないでしょう。」と切り返された。そんなに店の雰囲気に溶け込んでいたのかとついつい自分を誉めてしまう。さらに、その老紳士は店の賞賛を始めた。聞けば、このかた30年間もこの店にかよい詰めているらしい。今は馬事公苑にお住まいのようで、そこから上野にかよっているとは、その気合いの入れように頭が下がる。そうこうしているうちに、その老紳士は炭仕込みの焼き海苔で一杯やったあと、せいろをずっず〜とたぐって去っていってしまった。こちらは蕎麦にも行き着いていないのに、その素早さはまさに蕎麦っ喰いの神髄を見たような気がした、と同時に自分はやはり単なる酒呑みでしかなかったことを自覚した次第である。  (長澤)
 

 

浅草 「並木藪」

 とある日の夕暮れ時、酒蕎徒三人で並木藪に集まることになった。私は神谷バーに吸い込まれることもなく、いち早く五時半に並木の暖簾をくぐった。良い雰囲気だ。一番奥の座敷席へと案内された。残りの二人が来る間しばし焼海苔&樽酒で憩う。働き者のおばさんが素晴らしい。さりげなく各種新聞を持って来てくれ、選ばせてくれる。過不足なくいい塩梅で口調も柔らかだ。名店故の妙な緊張感や息苦しさは皆無である。待ち合わせの残り二人がそれぞれやって来た。酒を追加し、板わさを注文。いい感じで解してきた。店内は客それぞれが穏やかなこの空気と共に至福のリラクゼーションを味わっている。世知がないこの世で溜まった体内の毒素がすっと抜けていく思いである。ソバやつゆについて云々解説する必要はまるでない。この至福の空間でまずく感じるはずもない。雰囲気も味の内。紛れもなく、浅草の名店である。

(西尾)

日本橋浜町 「浜町藪」

 森下の方から歩いて何となく、というより目指して来た。明治座も近い、とあるビルの1階。自動ドアを開け店内に入る。喫茶店でも銀行のCDでもない。ここは「浜町藪」である。小綺麗な店内はすっきりさっぱり。なぜだかおちょうしにて昼からいこいまくってるおじさま方の姿を確認する。これはある意味完成された東京=お江戸の文化だ。焼き海苔と冷や酒を頼みしばし憩う。郷に入っては郷に従えの精神でその身を任す。なんの問題も感じない。蕎麦云々ではない。他の藪系よりやや白い更級っぽいソバは予想を裏切る風味と量である。少し抜きんでた上品さが店内に漂うが、東京の藪系のソバ屋である。鯔背な江戸っ子には愛されるべきお店であろう。てやんでぇ、こちとら蕎麦好きよぉ。

(西尾)

 

森下 「京金」 お店の写真

 千葉へ行くには新宿線で本八幡で乗り換えていこう。新宿線を利用する訳は森下に途中下車したいからである。つまりは、「京金」である。下町のハンサムボーイを御拝顔しにいった。駅そばの交差点に位置する。暖簾をくぐれば、靴を脱ぎ板の間を歩く。我々酒蕎徒3人は幸運なことに奥左手の座敷に陣取ることが出来た。酒も肴もメニューは豊富で目移りする。いっそのことほとんど頼んでしまおう。酒は各地ごちゃ混ぜではあるが選択肢は多い。辺りが暗くなってきた。店内はもはや居酒屋状態である。赤ら顔の近所のおじさんらが憩いまくっておる。下町らしい。蕎麦はせいろを食した。キャラは薄いが優等生的味わいである。いろんな人がいろんな酒やつまみを選び、蕎麦で締めることが気兼ねなく自由に出来る、肩肘張らず楽に過ごせるお蕎麦屋さんである。次回は近くの気になる大衆酒場もあわせて楽しみたい。

(西尾)

神田 「眠庵」

 表参道から銀座線で銀座方面へ向かう。神田だ。江戸気質の名残ある町。故に老舗の多い町でもある。脚は自然と須田町交差点へ。とある路地に潜り込む。路地と言うには厳しい幅の隣地境界線だ。奥にほんのりと暖かい白熱球の明かり。やけに明るい青白い蛍光灯とは全く違う。旧い作りの戸を開け、玄関に靴を置く。 思わず「フーッ、ただいまっ」と言ってしまいたくなる旧き良き日本家屋の雰囲気を持つ建屋。ここが「眠庵」なのだ。2004年末開業のこのお店は、新しさよりむしろ安心感と居心地の良さを与えてくれる。酒を頼む。今夜の一杯目は國香でいくか。純米無濾過生原。ぴちぴちグイっと旨い。カウンター越しには若く見えるご主人がニコリ。静岡酒を中心に仕入れられた新鮮な酒が、唯一この店が新鋭店であることを物語っているようだ。粗めのおからや山葵漬けが、お次を誘う。やはりここは主力酒である喜久醉でいこう。常温から燗までへこたれないこの真面目な旨さ。酒と雰囲気に身を任せ、油断すると危険だが飲み過ぎても大丈夫な?まさに良酒。キッチリ一合注がれてあるのも嬉しい。フヒョェーッ、解してきた。そろそろ蕎麦で締めとかなくてはいかんようだ。店内奥にある電動石臼によって挽かれた蕎麦は、今のところ益子産を軸に色々とあり、日々表情・風味・味わいを変える。だが、そのベーシックな基本レベルは非常に高い。自分に合う蕎麦を求め何度も通うと楽しみも倍増である。ホンモノである。なにより蕎麦の味がする。・・都心にあるはずのない懐かしい我が家にいるかのような眠庵。今のところご主人一人でまかなっているので、客としては店の様子に溶け込み、ゆっくりじっくりやってお目当てが来るまで待とう。14席ほどの小体な店故、込むと大変である。自家製豆腐を塩で良酒と合わせつつ時を待つ・・・。
 昔は付近に寄席などがあったそうで、その雰囲気が受け継がれているのだろうか。東京神田にまさに心地よく眠ってしまいそうな温かいお店の登場である。

(西尾)

 

神田 「神田藪そば」 箸袋の写真

 「いらっしゃあい〜」店を入ると独特な節回しのおばさんの声が耳に飛び込んでくる。「熱燗1本おひとりさん、後でせいろつき〜」と奥へ注文を通すときの口調も同じイントネーションだ。これは一度行って聞いてみられることをお勧めする。老舗の良いところはちょっとしたところに風情が感じられて気分がなごむことだ。奥の座敷に座り込み庭を眺める。都心でこれだけの空間に出会えるだけでも嬉しい。
 蕎麦やつまみにはこれといった主張はないが、普段着感覚で楽しめる味である。「はなまきそば」や「おかめそば」の演出も微笑ましい。たまに行くと良い気分転換になるであろう。

(長澤)

 

神田 「神田まつや」 箸袋の写真 

 今日の仕事はお茶の水で打ち合わせだ。いつになくそわそわする。早く打ち合わせが終われば「まつや」へ行ける。17:00以降は混雑して入れないことが多い。16:15打ち合わせ終了。会社に直帰の電話をかけ、いざ「まつや」へ。16:30到着。それでも1席だけしか空いていなかった。ぎりぎりセーフ。この時間から呑んでいる輩が気になる。とりあへず、冷や酒と鳥わさを注文し、周囲を見渡す。サラリーマン、自営業風のおじさん、ご隠居さん風のおじいさん、皆、強者に見える。第二段は冷や酒と玉子焼き。う〜ん解してきた。最後はせいろで締め。正味30分あまりの勝負。今日は立ち呑み屋チックな食し方をしてしまった。まあ、これもおつだが、今度は平日の午後ゆっくり憩おうと心に決めて行列ができはじめた店を後にした。

(長澤)

 

猿楽町 「松翁」 名刺の写真 

 実力派の店である。酒・肴・蕎麦3拍子そろっている。最近は午後2時くらいでも土曜日などは行列が出来ているので行きにくい。混み合っていないすき間の時間帯を狙うべしである。酒の種類も豊富で、そばがき等も美味である。肝心のそばも間違いない。太さ・腰・風味など大変バランスがよく納得がいく。その上うどんなども旨い。お茶の水・神保町界隈に来たら行きたくなるお店である。(カーマなどあまたあるカレー屋も超魅力的だが)この店にないモノは何だろう。やはり伝統やおかみさんの振る舞いだけか。混んでるときも接客はいつもと同じようにきちんとして4拍子を目指して欲しい。それにしても料理・蕎麦に関してはレベルが高い良いお店である。

(西尾)

秋葉原 「志な乃」 箸袋の写真

 秋葉原にはオーディオ関係のパーツや製品を買いに時折訪れる。最近の秋葉原はまさしく「電子立国日本の自叙伝」ならぬ「電子立国日本の地獄絵図」である。改札を出ると煩い音の洪水とケータイを売りさばくお姉さん達、パソコンショップの呼び込み、変なコスチュームで闊歩するセールスガール、店頭ゲームに夢中な胡散臭いお兄さん達、こども達。でもこれが秋葉原なのである。サエん。疲れて腹が減ってきた。ちょいと九州じゃんがららーめんを覗く。長蛇の列である。しかも並ぶ客は前述の輩である。こりゃいかん。いつもならその対面のカレー屋「ベンガル」であるが、今日は麺類を体が欲しておる。そこで「志な乃」である。暖簾をくぐれば、そこは別世界。下界のよどんだ空気とは正反対。胡散臭いお子ちゃまはこの様な大人の空間へはまず来ない。これだ、まさしく地獄に下りたった天使的オアシスである。まずビールと蕎麦味噌を食す。ここは関内の本店とはひと味違い、お江戸の定番ツマミが並ぶ。酒を注文し、ひとしきり憩った後蕎麦を食す。これまた関内とは違って軽快な細身である。解す。お勘定を済まし、ダッシュで帰路へと着いた。

(西尾)

青山 「くろ麦」 

 ここは青山ツインビル東館のB1Fである。7時から「ラ・パウザ」というお店で結婚式の2次会に呼ばれている。しかしながら時間はまだ5時半、隅の方にガラス張りの蕎麦打ちスペースがある。脇の暖簾をくぐった。偶然を装ったが、告白すると2次会より「くろ麦」がお目当てだ。この現代ビルディングにまさにウナギのように居着くソバ屋である。まず、冷酒(白鹿)&焼き味噌で様子を見る。うむ、まずまずだ。ついで胡麻豆腐。うむむ、解す。と、そこへ、はたまた偶然を装って明永氏来る。酒追加&ひな鳥焼き。うむむむ、さらに酒追加。若い方の女子店員さんが無表情に持ってくる。あぁ、ここは青山、やはり都会だ。既に時間がないのでせいろで締めた。色白でやや太めでしっかりと打たれている蕎麦だ。量も十分に多い。そば湯も十二分に濃く旨い。次回は勿論ぶっかけを食さねばならないと思いながら、すぐ近くの2次会会場へと2人は急いだのであった。

(西尾)

 

高田馬場 「傘亭」 案内の写真

 高田馬場駅から落合方面へ歩いて15分程度の場所にある。前回は臨時休業であった。西尾氏も痛い目にあったと聞く。今回は開いていた。時間が早かったため、客は私1人。カウンターの内と外で1対1のプレッシャーを感じる。まずは、お酒(義侠の純吟)と崩れ豆腐を頼む。美味い。素材もかなりのもののようだ(その分ちと高めか)。そばもかなりのものである(ちと少ないけど)。素材重視の店。憩いにくいが、是非勝負して欲しい。

(佐藤)

本郷 「萬盛庵」  賛 お店の写真

 仕事の関係で東京大学へと来た。さすがに古い校舎で、お金持ちの新進の私立大とは比べるべくもないが、この重厚な歴史はなかなか真似できない良さがある。さて昼時だが、カレーなども気になるお店があるのだが、正門前の路地を入っていき、萬盛庵の暖簾をくぐった。昼時故、人も多い。蕎麦掻きなどもお昼はやっていないとのこと。とりあえずせいろで様子を見た。上品でにこやかなおかみさんの対応が安心させてくれる。せいろは横長の箱入りで(鳥モノは丸笊)、麺は太い。二八であろう、腰が強い。蕎麦切り加減はややまばらにして噛みごたえがある。量は普通か。九百円は、私のような一般人にはちょいとキツイが、これも定めじゃ。と、割り切る。普通の真面目なお店・・・すぐ近くの東大とこのお店のキャラが似てくるのかなと想像しながら、また次回は夕方一杯やりながらと心に決め、待ちの出来た店を後にした。
(追記):2007年に店終いされたとのこと。寂しくもあり、まことに残念。長い間お疲れさまでした。

(西尾)

荻窪 「本むら庵」 お店の写真 箸袋の写真

 ついに21世紀が幕を開けた。1月5日の新年早々、急遽酒蕎徒4人衆ほかで新年会=例会を執り行うことになった。長澤氏が福岡から久々に東京上陸を果たしたのである。場所は、荻窪「本むら庵」本店である。新装成ったお店の様子をうかがうには絶好の機会だ。私が午後7時、2番乗りで暖簾をくぐった。きびきび優しげなおばさんに案内され、奥の右の座敷へ。既に長澤氏が余裕ぶちかましで外の庭園を前に憩っておった。夏の関西例会以来なので、「お久しぶりですなぁ」と声をかけた。脇の伝票に目をやると、例によって「升酒(剣菱樽酒)」の欄に正の字に一つ足りないまでに呑んでおられた。聞けば、昼3時あたりからやっているらしい。出来上がる直前であるが、まぁいつものことなので気にせずこちらも樽酒をバシバシ頼む。鳥わさ+つぶ貝しぐれ煮など憩いボルテージがだんだんとアップ。さらに樽酒追加。解してきた。周りを見渡すと新年早々皆楽しんでいる。あぁ本むら庵に来たんだ。と実感できる。贔屓にしてた町田店と規模は比べるべくもないが、本むら庵スピリッツは店の雰囲気と店員の動作で伝わってくる。8時前、佐藤氏をはじめ他のメンバーがやってきた。ラストオーダーとなり、いつものようにせいろ2枚。明永氏などはラスト駆けつけ樽酒Wを注文。なぜにこんなにもここの樽酒は妙に旨いのか。もはや中毒患者である。皆、蕎麦を手繰ってすすり、今世紀も酒蕎徒活動ならびに解していこうと誓いを新たにし、新宿の2次会へと流れたのであった。

(西尾)

 

新井薬師前 「松 扇」 箸袋の写真

 今日は中野で仕事である。昼飯をカレー屋「ドン」にてハードパンチの地鶏カレーを食した私は、晩はもちろんお目当ての「松扇」へと歩いていこうと誓っていた。中野から行く途中、薬師さんをお参りして生活感のある商店街を西武新宿線方面へと散策しながら行った。そして、かつての松扇があった前を通り過ぎた。この「かつての松扇」には苦い思い出がある。我ら酒蕎徒3人が訪店した折り、少ないカウンター席は常連の酒徒らが席巻。その輩の一人に「あんたら今からじゃ入れないよー、だはは!」と門前払いをくらったのだ。しかも客にあしらわれた。あれから数年・・今晩はリベンジだ。いつもより気合いを入れ開店前から新装なったお店の前の席にて寒い中、しばし待つ。開店時刻一番乗りで中に入れてもらった。長くなりそうだったので隅の卓に座ろうとしたところオープンキッチンカウンターの真ん中へと導かれ、黒龍と西京味噌、美味い。その後鴨焼きとメニューにはない灘のにごり酒。うーむ、美味い、解してきた。前店舗で入れなかったことやお酒の話などを御主人と話し、締めにセイロを2枚。粗挽きなのに透明感のあるしっかり立った個性的なせいろ。気に入りました。他ではあまりないタイプです。カウンターで隣に座した近所に住んでいるという品の良いおばあさんと話し込み、「遠くの親戚より近くの蕎麦屋」を合い言葉で、後から来たおじさんらとともに気勢を上げ、ついつい長居してしまいました。しかし、それだけ居心地の良いもてなしと雰囲気を持つお店なのでした。近所に欲しい!。

(西尾)

 

三軒茶屋 「安曇野」 箸袋の写真 

 東急三軒茶屋駅近くの店。店内は落ち着いた雰囲気、入って右側に座敷がある。つまみ、酒、そば、すべて平均点以上の名店である。ただし、特徴がないのが欠点といえば欠点か。まあ、一回だけで判断してはいけない。

(佐藤)

 

目黒 「一茶庵」  賛

 目黒駅近くの雑多な建物のある小道に高い入り口の民家がある。その玄関で靴を脱ぎ、廊下の右手の普通のウチっぽい座敷にあがって、周りに目をやる。昔ながらの座敷で、みんなほのぼのと蕎麦を食べている。床のレベル(水平)がとれていない。酔ってもないのに傾いているように見える。根太・大引・束などの基礎部に不安がよぎる。今の建築施工基準では・・・!?ではあるが、そんなことはどうでも良い。とにかく、くつろげるのだ。平日の昼飯時、混み始めたので、一枚手繰ってさっと帰ろうと思い、せいろを注文。わずかに平打ち目の麺は色つやも良く、九段なんかに比べるとみずみずしい感じがする。蕎麦にとってはつらいこの季節にしては風味も十分である。店員のおばちゃんの応対も普通でリラックスして食べることができる。そば湯も普通だが旨い。ごちそうさま、ありがとう。店を出ると10人ほどの行列が出来ていた。古いおうちに招き、真面目に旨い蕎麦を供する店。一茶庵系の中でも貴重なお店である。
(追記):最近ではご主人の健康状態が芳しくないとのことであったが、すでに店じまいされたということである。貴重な空間と旨い蕎麦を提供してくれて長い間ご苦労様でした。

(西尾)

 

九段 「一茶庵」 箸袋の写真 

 仕事の都合で九段下に行く事が時々ある。こういう場合の昼飯は九段一茶庵である。昼飯時は速攻でせいろを食す。漆塗りで角に金箔があしらわれテーブルがまず良い感じだ。店員のおばさんの動きもよく行儀のよろしい高級感のあるソバ屋に来たと実感できる。暖簾をくぐりながら「セイロッ」と叫び余裕ぶちかましで新聞片手に来店する超常連の姿も見受けられる。なかなか強者のようである。夜の部は予約席で一杯であることが多い。飛び込みでは、ほとんど無理だ。解せん。ならば、日を改め土曜の昼下がりをねらえばOK。以前明永氏と訪れたときには、鉄瓶にて注がれる冷酒は格別の味わいであったため調子に乗って出羽桜吟醸の追加を重ね、最後はつくねせいろで締めようと試みたが、このつくねと付け汁のせいでまた冷酒を追加。結局2人で1万2千円の散財。酒は高い。旨いし、まぁしゃーないか。

(西尾)

 

江古田 「甲子」 箸袋の写真 

 17:30の開店前まで古くて魅力的な商店街を歩く。学生の姿も多く文化的匂いも良く、生活感もありなぜか馴染みやすい町のようだ。おっと、もうすぐ開店だ。妻と二人で蔵造りのお店へと向かった。既に先客が並んでいたが時間ちょっと前にスムーズに店内へと導かれた。それにしてもおかみさんはプロフェッショナルである。知らぬ間に一杯となった店内を破綻なくにこやかに切り盛りしている。織部焼き風の立派な徳利に供された辛口の沢乃井が厚焼き卵と合う。やや薄暗く、天井の高い空間は特別だがほっとする雰囲気を醸し出している。締めの平打ちのせいろは重ねでお得な値段設定。満足だ。この沿線にはなかなか来る機会が少ないが、この空間にまた吸い込まれたくなった。

(西尾)

 

椎名町 「休屋」 お店の写真

 椎名町と書いたが駅からは随分と距離がある。歩くとほどほど疲れる距離だ。店に到着すると文字通り、しばらく休んでしまう。店内の雰囲気はどこにでもある町のおそばやさんであるが、さりげない調度品が心をくすぐる。
 カウンターに陣どり徳利を傾けながら「せいろ」を待つ。ここの蕎麦は他のどの店でも経験したことがないような味覚を体験できる。最初に口に運んだときは独特な香りを主張するが、後でどことなく爽やかな風味に変わっている。う〜ん、なかなか表現が難しい、と思う間もなく、いっきにたいらげてしまった。蕎麦の余韻を愉しみながら、中野坂上から帰路に着いた。
 営業時間が短いこの店で蕎麦を食するにはご近所さん以外、なかなか至難の業だろう。「休屋へ行っちゃったよ。」と佐藤氏に話したところ、「何でいけるんだよ。」と地団駄踏んで悔しがられたのが快感であった。

(長澤)

学芸大学 「夢呆」 箸袋の写真

 中央林間でワインとパスタでいなした我々2人は余勢を駆って東急で東へ向かう。学芸大で降りると、そこは住宅街。ぽつぽつと解しそうな店が点在しており、少しだけ高そうな上品そうなお店が多い。そんな中「夢呆」はある。店内は明るく広く親しみのもてるモノだ。大テーブルに陣取り樽酒で乾杯。卵焼きと鳥焼きで憩う。樽酒が旨い。内側が朱塗りであるのもいいものだと思った。ソバは細切りでライトな感じである。他のお客さんも近所の家族連れなどが多く品の良い方々ばかりである。土地柄をよく表しているようである。値段は普通。ライトな感覚の中にもまじめなソバ屋としての業が光るお店である。

(西尾)

大森 「手打ち蕎麦 しのはら」 

 夕方、京浜東北線で横浜方面へ向かう。顔の白い新しい通勤車両内は人で一杯だ。横浜までの乗車はせず、またしても途中下車である。ホームを上がり改札東口を抜け、アーケードに入り、また新井小の方へはずれていく。脚が急ぐ。一刻も早くあの建物に吸い込まれたい。昭和初期建立の日本式洋館は新しいこのお店を優しく包み込み、他に比べようのない独特の良い雰囲気を醸し出している。何とも落ち着けます。「手打ち蕎麦しのはら」である。開店後一年ちょっとであるが、この建物と新旧絶妙のタッグワークを魅せる。これは酒・肴・蕎麦全てに於いて同様である。ご主人は伊豆松崎の名店「小邨」、また長坂「翁」で修行したとされるが、他の翁系とは別の心安まる居心地です。ひとまず加賀鳶大吟&山葵醤油漬でしばし憩う。うん、解す。さらに水芭蕉&出汁巻き玉子。うんうん、解す。ほぁーっ、ゆっくりと時間が流れ出してきた。こりゃ私が好きなお店で感じる独特の感じだ。普通の翁系ではなかなか味わえない、構えずともよい至福の時である。山法師も美味い。ついでに頼んでしまえ。解しきったところで、蕎麦を頼む。間違いなくしっかり打たれた安心感の高いもりは、酒で緩んだ所をピシっと締めさせてくれる。これぞ二八の快感。新蕎麦期には香りも高い。また、夜も昼下がりもしっかり憩える。都内のソバ屋に素敵な解す空間の登場である。

(西尾)

大森海岸 「布恒更科」 お店の写真

 川崎方面での仕事がおわり、足は京急大森海岸駅へと向かった。京急蒲田ニイハオの餃子の誘惑に打ち勝ったのだ。駅とビルの路地裏にある布常更科を発見。夜の部スタート5時きっかりに店内にはいる。いい雰囲気だ。薄暗い土間に配された卓と蕎麦関係の読本が並ぶ。ひとまず〆張鶴純吟&板わさを注文。解す。ここの板わさは私の中では3指に入る出来。量・盛りつけ・味において満足度は高い。続いてさらに〆張鶴純吟&巣ごもりを注文。あつあつの巣ごもりと冷酒が合う。程なく中年のカップルが来店し、ビールを酌み交わしている。会社の仲間同士か。怪しげな匂いがした。私は結構腹にたまったので最後はもり一枚。通常普段通りのもりといった感じ。粗挽きは食すことができなかった。次回に取っておこう。しめて4千8百円。酒が割高故またしてもちょっとお高い寄り道になってしまった。

(西尾)

 

練馬区中村 「 玄蕎麦 野中」 (旧 田中屋)

 今日は都内で会議だ。帰りに何処に寄るか。そう言えば「橡」には以前昼に一度行ったきりで夜は行っていない。ということで、17:30頃練馬の「橡」の前に着く。ガーン!シャッターがしまっとる。右の方に営業時間11:30〜16:00(売り切れ終い)とある。営業時間が変更しておった(実は1年前既に変更されていたことを忘れていただけ・・・・)。もっとも売り切れかもしれないが・・・・。これで、「橡」に対する打率は3打数1安打で3割3分3厘だ。さて、そういえば、練馬駅にはもう1軒行かねばならない店があったはず。「田中屋」である。練馬駅から南へ徒歩で15〜20分、南蔵院付近でメインストリートの裏通りの住宅街にある店で、隣に5台分の駐車場がある。店先左側に石臼と打ち場があり、「本日の蕎麦粉は福井県なんとか町産、水分量14.3%」と表示がされている。店内は右奥がテーブル席8〜10名分、左奥が座敷約20名分となっている。座敷の奥角に陣取り、まずお酒とつまみだ。お酒は天界(純米吟醸)、十四代(本丸)、東一(大吟醸)、八海山(純米吟醸)、純米樽酒、桝酒などが揃っており、十二分なラインナップである。さらに、吟醸酒のぬる燗酒も勧めており、な、な、なんと燗狸で供されるのである。実際、お隣の御仁は燗狸でやっておった。秋から冬にかけてはたまらない。ただ、私は早歩きで来て少々暑かったたため(このときは5月上旬)、十四代の冷酒とした。気合いの入った片口で供される。流石に旨い。つまみは定番の出汁巻き玉子とした。ふわふわ系で旨いが、1.5〜2人前の量なので1人で食するには多い。他に「こだわり豆腐」、「小魚の網焼き」、「にしんの旨煮」、「焼き海苔」などいろいろなつまみがある。全体的に価格は高めだが、量が多いのかもしれない。蕎麦に行くまで、テーブル上にある「蕎麦粉製粉工程説明書」をみる。蕎麦粉の製粉工程が写真入りでわかりやすく説明されている。なるほど、丸抜きにするまでが意外と手間がかかるのですなあ。
 肝心の蕎麦はまず1日20食限定の「手挽き田舎そば(1,000円)」を食す。最後の1食であった。外観は黒い殻を含んだ細切りの田舎蕎麦である。量は多い。香りはそれほどではないが、食感、味は優れもの。次に「せいろ(550円)」を食す。これはCP比が高い。量は多少多めで、香りは田舎より多い。黒い殻が田舎より少なく、やはり細切り、食感は田舎にツルツル感を増した感じである。この「せいろ」で十分旨い。さらにお品書きには「2枚せいろ(850円)」というサービス品もある。なお、薬味の山葵は鮫皮とともに供され、セルフ(自分)ですりおろすパターンである。
 総括すると、この店は特に蕎麦とお酒には気合いが入っており、推薦できる銘店といえそうである。
(追記):その後、「田中屋」改め「玄蕎麦 野中」となった。内装も変わったが、燗酒や豊かな蕎麦の味はそのままに、益々の進化と繁盛が予想される。

(佐藤)

 

練馬 「橡」 賛

 9月も下旬となった。「橡」を目指して大江戸線に乗り、練馬で下車した。午後2時半、看板には「本日は売り切れ」と書いてあり、ショックを隠しきれずに帰ろうとした瞬間奥さんに呼び止められ、「1人ならOKですよ」ということで3年越しにして、やっと入店できた。店内はモダンな感じで橡の幹と共に無垢テーブル2枚が存在感を示している。間近で見ると虎モク模様の部分もあり、楽器でも作れそうなボリュームの木である。BGMは80年代初頭のBNWであると思われる。ひとまず、善知鳥&鰊煮で様子を見る。酒は小さめ(半合ほどか)のグラスにて、「温まってきたら風味が出ますよ」という奥さんの解説付きで供される。千百円!・・。私は田酒でお馴染み、西田酒造の善知鳥を飲むのは久しぶりだったが、室温で温まる前に口の中で転がしてとろみを味わいつつ、とっとと飲み、日置桜純米を追加。鰊煮は大きくて酒1つでは全く足りないのだ。鰊は肴として非常に旨かった。解す。店内に目をやると、諏訪泉鵬なども気になったが高価そうなのでしり込みしてしまった。さてソバであるが、手挽き生粉打ちは売り切れと言うことで、粗挽き二八を頼んだ。細切りで好み。香り、食感もイケる。水持ちが良すぎか。手繰るとちょいと重たかった。蕎麦湯はこってりポタージュで旨いの一言。
 もう一人後からお店に来たおばさんに説明していたが、店内にいるグループ客のお代わり分を確保して「本日は売り切れ」としているところに旨いソバ屋としての自信が感じ取れる。客に対する心配りなんでしょう。今度は生粉打ちを食べねばと、思いつつ馳走の旨を奥さんに告げ、店を出た。何故か少し秋っぽくなった外の空気に触れたくなった。
(追記):2003年3月をもって、惜しまれつつ閉店した。閉店直前にいただいた手挽きの2種類のせいろは文字通り絶品となってしまった。お店の今までのご苦労をねぎらいたい。長い間お疲れ様でした。

(西尾)

 

浜田山 「安藤」  お店の写真

 京王線浜田山駅付近にあるコンクリート打ち放し店。店内も中央右に暖炉があり、その付近は洋風、手前はテーブル席で、奥には座敷もある和洋折衷な雰囲気である。席は当然、暖炉の前の低めのテーブル席につく。まず、東北泉の樽酒である。これが、本むら庵の剣菱樽酒と同様に妙に旨い。ぐいぐい呑んでしまう。つまみには鴨煮が黒くて珍しい。どうやら盛り汁で煮込んだものらしい。鴨南でも同じものであるかと思い、注文するとやはり同じものがのってやってきた。そうこうしているうちに、大酒飲みの連れのペースにのせられていつしか樽酒が3合以上になり、飲み過ぎである。そこで、せいろで締めて店を後にした。ああ、樽酒が旨かった。そばはどうだったかは申し訳ないが、記憶にほとんどない。この店も要再来店となってしまいました。
 なお、帰りには浜田山駅前のおでん屋に寄ってみて下さい。ここのつみれが絶品で・・・。   (佐藤)

(追記):先日酒蕎徒3人で例会を行った。東北泉の樽酒は美味く、板わさ、鴨煮、そばがき、新香、天ちら等とあわせて今年の蕎麦ツアーの打ち合わせを行った。最後はもりでしめた。誠実なお味で納得したが佐藤氏はまたしても飲み過ぎてしまっていたようであった。次のおでんやでジ・エンドと相成った。 (西尾)

 

鶴見 「登茂吉」 箸袋の写真 お店の写真

 鶴見に会社の上司が住んでいることもあり時々この地を訪れる。スポーツセンターでバドミントンをやった後、会社の先輩と潮田公園へと向かった。午後1時半、公園向かいのある場所に既に数人が並んでいる。この人達の目当てはもちろん「登茂吉」である。民家と見紛うモルタル塗りの外壁に質素な外観。しかしよく見れば電動石臼が回っている様子が見える。20分以上待って入れた。相席となったが奥の座敷に座れた。運動後の絶乾状態で行ったのでビール3本。揚げ蕎麦と合う。ついで板わさ、量がすごい。2人でも多い。次に鴨焼き。じゅーじゅーと鉄板に載せられた焼きたてのそれは、これまた大量に盛られている。厚さもダントツだ。合鴨で野趣あふれる味わい。これも2人以上でちょうど良いはず。酒は両国。これがまた侮れない。リーズナブルで旨い。ハイCP比である。蕎麦は細めの粗挽き系で好きなタイプ。本むら庵を連想させる。しかし量は倍はある。解す。満足&満腹になれる。ゲットイナフである。駅からは遠いがまた来たいありがたいお店である。

(西尾)

 

世田谷経堂 「経堂」 お店の写真

 春先、生田緑地にて花見をした。弁当を広げ昼間っから、一献。ウチの家族3人と明永氏とで満開の桜を楽しんだ。花びらがひらひらと片口の酒面に落ちてくる。板わさと賀茂泉との相性もよろしい。時間を忘れしばし憩う。花見を終え、足は「経堂」へと向かった。やはり蕎麦で締めたいのである。駅に近いので便利だ。暖簾をくぐり玄関で靴を脱いで店内奥左手の部屋へ。店のおばさんも親切で愛想良い対応をしてくれる。部屋は和洋折衷な感じでアンティークな小物や家具が雰囲気を引き立てる。ひとまず手取り川と鴨焼き。鴨はやや塩味の強い味付けで否応なく酒がすすむ。卵焼きなど食し、ソバを手繰る。あっさりとしており、主張は感じない。土地柄を反映しているのだろうか。品が良く、丁寧な対応が印象的な上品なお店である。

(西尾)

喜多見 「志美津や」 お店の写真

 喜多見には、駅近く野川沿いの小田急車庫上に屋上緑化を兼ねた区立ふれあい広場がある。これほどの広い公園を造るには、相当の土量を運搬整地にしたに違いない。高台にあるかのような見通しの良い所だ。または、近くの野川沿いの緑道を散策しても良い。「志美津や」は、そこより5,6分歩けばある。住宅街の中にある地域密着型的ソバ屋である。1時半というのにお客は一杯だが、超有名店ほどの差し迫った行列もなく近所の住人が気軽に来店している様子である。店内は明るく街の喫茶店風であるが、真ん中に電動石臼が構えており、脇の附室には蕎麦打ちスペースがあつらえてある。酒を頼む。浦霞純米の当たりのよい飲み口に蕎麦豆腐と鴨がそれぞれにマッチしている。見回せば、やはりご近所の面々で品の良さが漂う。おばさんらのサービス・動きもとても気持ちの良いもので、爽やかだ。蕎麦は大きく2種類。生粉打ちせいろと田舎であるが、十割のせいろを頼んだ。七百円台では非常に良心的な量でまず嬉しい。少し緑がかった、かなりの細切りのそれを手繰って口にすれば、ちょっとビックリだ。頬が緩んだ。和やかな明るい店内とのギャップを感じるほどの、本格的旨さである。香り・味の深さ・・・一級品である。オイオイこりゃぁー解すよ、解しますがな!ラッキーだ。と、心中叫ぶ私。素敵なソバ屋との出会いに乾杯。このお店は全く気張って構えることもなくリラックス度も高い。雰囲気が「ウチの店は、凄い蕎麦だから・・どうじゃぁ」というような偉そうにしているところが全くない。規模は小さいながら自家製粉をやっているお店の良いところがしっかり出ている。ご主人が研究研鑽されているのでしょう。次回は夜の訪店を自分に約束させ、気持ちよく店を出た。今後この沿線に電車で来れば、私の途中下車は避けられそうにありません。

(西尾)

奥沢 「織田」 名刺の写真 お店の写真

 例会で酒蕎徒3人奥沢で待ち合わせた。奥沢の商店街を駅から進むとすぐに寿司の名店「入舟」の誘惑があるが、そんな大金も持ち合わせていないので織田へと行った。黄橙のモルタルが塗られた外壁と小物がサンタフェ的であり、普通のソバ屋でないという面構えをしている。店内にはいるとジャジーなBGMが流れているが、メニューを見れば、全く持ってまっとうなソバ屋であることが分かる。鳥わさ&菊姫、卵焼き&手取り川と、お約束のコース。旨い。ワインでも出てきそうな雰囲気に石川産の名酒が待ったをかける。せいろはやや量は少な目。台付きのざるが目を引く。味はまっとうである。またゆっくりと来たい。

(西尾)

 

六本木 「本むら庵」 

 今日は有楽町の東京国際フォーラムでのライブを見に行く日だ。直前検討会は有楽町ガード下で行えば十分。まだ時間がある。集合までの昼下がりのひとときをいかに過ごそうかと考えた。六本木交差点で明永氏と待ち合わせ後、一つ裏の通りの、とあるビルの2階へと行った。入り口を入ると右手に座席と見慣れた雰囲気の卓。が、自然と足は左手の座敷へと上がっていた。しかも打ち場の横の席だ。ひとまず鳥わさ&蕎麦豆腐&樽酒×2。片口により継ぎ足され溢れ出した樽酒がやっぱり妙に旨い。少な目であるが塩をひと舐めし、こぼれないように置いたまま枡に接吻する。解す。そうです、ここは「本むら庵六本木店」。鳥団子&上新香に樽酒×2の追加。職人さんが打ち場ではドンドンッと蕎麦をこね始めた。こねられたそば粉が弾めば自然と話も弾む。いかん、すでに約束の時間だ。日比谷に行かねば。と、いうことで速攻でせいろを食した。食べ慣れたか弱くか細い旧町田店のものより、やや腰がしっかりして繋がり良きせいろで、支店とはいえ僅かなる個性を感じ取ることが出来た。それにしても本むら庵の座敷憩い度は本当に高い。

(西尾)

 

町田 「本むら庵」 賛

 2000年2月末日。わたしにとって、ここ数年で最悪の事態に追い込まれた。数年来通い詰めた町田ビーミー大丸が閉店したのだ。即ち9階の飲食店フロアも閉店ということで、旨い鰹を供してくれた高知皿鉢料理の「司」や本店にも行った大阪手打ちうどん「川福」とおさらば・・・・。SHOCK BIG!、オロロオロロである。そして何よりも我が心の桃源郷=シャングリラ=最大の憩いの場であった本むら庵を失ってしまった。一大事である。・・・・思い起こせば、「いつもの所、空いてます。どうぞ〜」と明るく礼儀正しい店員清宮さんの一声。一人で来ようが、連れがあろうがいつでも憩える。ひとまず剣菱樽酒。塩をひと舐め樽酒、濃厚な蕎麦味噌ひと舐め樽酒。そしてまた塩を・・・このリズミカルなビートが織りなす至福のグルーヴ感。良いメンバーで構成されたバンドのパフォーマンスが一体となった心地良さ、幸福感と同じだ。我が定席の座敷席は、いわば第2の我が家、いやそれ以上かもしれん。他のどんな場よりも心開ける最良の席であった。注文せずとも黙って蕎麦豆腐やサービスの新香が付いてくるし、ここ一年は荻窪本店も意識した肴のラインナップ。締めは最近では重ねせいろ。本店より量多し。あーぁ閉店だなんて残念だ。最期の日、無理を言って記念に桝をもらって涙が出てきそうになった。このお店のおかげで、とある難関の国家資格もとれたし、我が子も安産で生まれた。閉店が近づいてからは家族3人で行くことが多く、息子の顔も覚えられ、特別メニューが出てくるほどでした。閉店後は、新規店舗を探してらっしゃるという話を聞きましたがその後どうなったかはまだ解りません。しばらくは蕎麦難民を覚悟しています。デパソバでありながら私に蕎麦屋の過ごし方を自然に教えてくれたお店「本むら庵 町田ビーミー大丸店」、ご恩は決して忘れません、ありがとうございました。感謝感謝!感謝感謝!感謝感謝・・・・・。
 (追記):その後(今年2月)、お店をやってた清宮さんからはがきが来て、なんと愛媛県松山市に「福寿庵」(松山市東石井町655-5 TEL:089-957-5332)として開業されたらしい。祝!。うどん文化圏で頑張って蕎麦を提供し続けて下さい。松山で寄らねばならぬポイントが増えたのです。

(西尾)

 

町田 「神田まつや 町田東急店」 賛

 2000年春。本むら庵町田店に続き、町田東急百貨店に入っていた、「まつや」の町田支店が閉店した。わたしはよく東急に買い物に行った折に利用していたが残念である。昼時は込んでいるため、いつも午後3時頃行っていた。周りも買い物帰りのおじさんたちが着の身着のまま、一杯やって手繰っていた。何とも安心できるスペースだっただけに残念である。私はよく鳥和佐と冷やを一本つけ、大好きな胡麻蕎麦等のソバで憩っていたものだ。いかなる時間帯も混んでいる神田の本店とは違って、午後の一時は落ち着いた空気が流れており、気が安まる時間をたくさん貰ったのに残念である。もう、焼き鳥も丼モノもソバ屋らしい天ぷらも、気軽に味わえないとは、誠に残念無念。また、本店か吉祥寺で会いましょう。(なお、現在は代わりに永坂更科が支店を出している)

(西尾)

 

鷺沼 「よしみや」 箸袋の写真 

 とある土曜日、家族で鷺沼の「ビゴの店」にフランスパンを買いに行った。私が家族サービスをかねて行く理由はただ一つ、よしみやである。ここで初回来店時、「ソバ屋で憩う」初版を購入した('98年頃?)。とにかくまた来ちゃった。午後5時すでに店内は家族連れ等で一杯である。赤子連れでも柔軟な接客がうれしい。ひとまず丹沢山+魚沼豆腐。待ち合わせの御仁、伊東氏合流後、開運特純+鴨焼き+舞茸天。さらに新香+よしみや。最後にせいろ2枚。細切り上品。あっ!、今日は鴨つくねを食い忘れた。また次回の楽しみとしておこう。

(西尾)

 

横浜関内「志な乃」 お店の写真 

 数年前の出来事・・。あと3時間後に自分の結婚披露宴が横浜みなとみらいのホテルで始まる。いかん、九州の旧友が西の関秘蔵酒を片手にやって来た。こりゃおもてなしをしないといかん。と、いうことで友を連れ関内志な乃へと行った。ひとまずそばがきと燗酒。こりゃ解す。また燗酒とつまみ。・・・おぉっと!もうあと2時間無いぞ。最後にもりを速攻で食った。極太田舎系で量は多いので半もりで充分。その後ホテルへ帰って披露宴の準備。黒燕尾服を着、写真撮影。給仕さんらになんか酒臭いと言われてしまった。

(西尾)

 

横浜板東橋 「三吉橋 小嶋屋」 案内の写真 お店の写真

 数年前に4人衆で例会。その後も一人で数回訪れている。ここに行くには市営地下鉄が良い。駅から歩くと程なく横浜橋商店街に入る。この商店街が良い感じである。ここに暮らせば伊勢佐木町や横浜駅周辺など行く必要はない。程良い密度の人々と、その活気と笑顔で本当の横浜がある。由緒ある商店街なのだ。この通りの誘惑を振り切り三吉橋へ。この橋のたもとに演芸場がある。これまた魅力的である。橋を渡れば右手に小嶋屋である。翁系であることが酒を頼むと分かる。角盆にグラスの徳利&猪口。ここでは天界が好みである。せいろを2枚食して帰ることになるが時折水の加減が悪い日もあるようである。ごちゃごちゃしてない店内は憩い度は高い。ちょっと寄るには良い店である。

(西尾)

 

秦野 「丹沢そば石庄」 箸袋の写真 

 単車のエンジンに火を入れ、宮ヶ瀬→ヤビツ峠へとショートツーリングへと出かけた。丹沢からヤビツの峠道を降りるとすぐそばに石庄がある。今日は単車なので酒は控えて田舎とせいろを1枚ずつと思って注文したが間違ってバイトのお姉さんが田舎をもう一枚持ってきた。しゃーないのでせいろを再度注文して結局3枚食べた。結構高価なので痛かったが、美味かったのでまあ良しとしておこう。酒の酒類も豊富だが値段もそれなりに要する。やはり、ここでは九一のせいろの風味をさっと楽しむくらいにしておこう。
(追記):2001年忘年会を執り行った。リラックスムードの同店ならでは。全く問題ない。ただ単に憩えるのであった。

(西尾)

 

八王子 「坐忘」

 最寄り駅は、JR中央線西八王子駅。甲州街道を越えた住宅街の手前当たりに位置する。まず、入り口では身をかがめて入りましょう。茶室のように入り口が低くなっております。入ったら靴を脱ぎましょう。ここは板の間+座布団ですので、当然土足厳禁です。1〜2名でしたら、大きなテーブルへどうぞ。それ以上でしたら、各テーブルへどうぞ。店内をは広くありませんが(21席)、見回すと少々装飾が変わっております。書道の本?を張り付けた感じですか。お酒は、通常の銘柄はありません。酒のコーディネーターが選んで命名した美味そうな酒が用意されています。つまみも定番の品だけではなく、かなり力を入れているようなので、コースを頼むとよろしいかと思います。肝心のそばは美味かったことしか覚えていません。再見!

(佐藤)

(追記):八王子の市民に愛されている様子が分かる客層である。家族連れからおばさんグループまで。量も十分のつまみとすっきり系、こってり系等色んなタイプの酒で楽しませる。蕎麦もなかなかに美味く、店内接客のお兄さんが良い振る舞いで、解した。(西尾)

 

西国分寺 「山泉」

 JR中央線西国分寺駅南にある店。蕎麦は手挽きの石臼挽きの手打ちで、1回目に訪れたときは挽きぐるみ系であったと記憶しているが、2回目は少し殻分が減り洗練されたものに変化していた。ともに味、風味ともに優れたものだ。お酒やつまみ(料理)も洒落てはいないが、質が高く、価格もリーズナブルである。店内は比較的明るい雰囲気で左側に小上がりもある。おかみさんの客あしらいも好感が持てて、goodです。近所に欲しい店である。最近、道の向かい側に大きなマンション群が建ったため、今後も一段と繁盛(混雑)が予想される。

(佐藤)

 

京王堀之内 「 一澤」

 八王子から東に野猿街道が走り、多摩地域のニュータウンが街道南の丘陵地に拡がっている。一時期団地開発や学園都市開発で活況を呈していた地域である。その一頃からすると一段落の感があるが、そんな中、京王堀之内駅から近いところにある「一澤」はひっそりとだがしっかりと良い蕎麦屋として表出してきた。近場には名店が控えているが選択に迷わされる。ありがちな店構えとは裏腹に店内に入れば、広くはないが落ち着きのある空間が待っている。特に夜の雰囲気はダウンライトで静かに過ごさせてくれる。貸し切り出来る個室も設えており、色々な楽しみ方がありそうだ。ひとまず戸上がりで酒を頼む。黒龍と燻り鴨で様子を見る。きれいなおかみさん?の応対も感じ良く、ゆっくり出来る。四季桜を追加。ここの特徴として他のつまみも手の込んだ、ちょっと創作系和料理でワインでもいけそうな感じで楽しませてくれる。量は一人を標準としており、自己と向き合える。ひゅーっ、解してきた。そこで蕎麦を頼む。生粉打ちがあれば、その引き締まったシャープで細い食感と主張を楽しむのも良いし、せいろも系統を同じくしてスッキリと締まり、まさにシメの一枚・二枚となる。このソバたちの野暮ったさのない洗練さがこのお店をも表しているようだ。なんというか、落ち着いた空間で料理・蕎麦・自分の一個一個と向き合える、貴重なソバ屋ではなかろうか。その上、町のソバ屋的楽しみも残してあり、懐の深さを感じずにはいられません。

(西尾)

南橋本 「小武海」  賛

 新聞折り込み相模原ミニコミ誌の記事で店の存在を初めて知る。家から2km程度で近い。ということで初めて行ったのが2004秋冬頃。その頃は夜も予約のみで営業していたが、最近は昼のみの営業になっている。蕎麦も常に進化しており、当初は製粉所のものを使用していたようだが、2004年秋冬から自家製粉石臼挽き(自動+手挽き)に換え十割蕎麦(星入り)にし、メニューも絞ってきた。蕎麦、つゆとも立派なもので、量も十分。月ごとに内容が変わる郷膳蕎麦(料理と蕎麦のセットメニュー)があるため、最近は月2回以上は行っています。20053月から鴨せいろ、鴨南蛮も始めたとのこと。日々、蕎麦、メニューの研究に余念がないようで目が離せません。酒はご主人の郷里である秋田の高清水純米のみ(475円位)だが、これで十分旨い。店は、JR相模線南橋本駅から徒歩から3分程度の住宅改造型店舗で、入り口に蕎麦の産地(常陸産秋蕎麦など)の表示がある。席は居間6席、掘りごたつ席8席、テーブル席2席であるが、大抵は席に十分余裕があります。繁盛に慣れていないためか、仕事が丁寧なためか、とにかく時間に余裕が必要です(急いでいる方は要注意)。まあ、掘り炬燵席で高清水純米をやりながらゆっくり微睡みながら待ちましょう。

(追記):いろいろと試行錯誤しながら向上を続けていたご主人。2006年に閉店いや休店されている。パワーアップし、またの復活を待ち望んでおります。

(佐藤)

 

茅ヶ崎 「明静庵 八十八」 お店の写真 名刺の写真

 この日の晩は茅ヶ崎在住の田代氏とライブを見に行く予定である。早めに待ち合わせし、勢いを付けてから行こう。待ち合わせ場所は、「八十八」。茅ヶ崎に来れば寄りたくなるお店なのです。南口から東へ十五分ほどでたどり着く。午後五時半過ぎ。夜の部第一号の客となった。屋外作業の疲れをエビスと板わさで癒す。田代氏がなかなか来ないので、丹沢山しぼりたて&ごま鯖。毎回頼んでしまう肴です(他のつまみも十分に旨いのでお試しあれ)。所謂博多の「ごま鯖」とは違って、生でなく、鰹節・わさび・葱が乗った煮しめてあるもので、こりゃー、酒のベストフレンドです。博多の「ごま鯖」も大好きですけど。田代氏合流後、解してきたので、酒(嘉美心)を追加。蕎麦は粗挽きで締めた。ここは、せいろも九一で量も風味も丁度良くガンガンいただける。いかんっ、開演時間が既に過ぎてるがな。まぁ、しゃーない、ゆっくり行こう。後ろ髪を引かれる思いで店を後にした。しっかし、近所に住んでる田代氏はうらやましいですなー。
(追記):先日家族で。丹沢山純吟生酒「隆」&ゴマ鯖とで既に微酔い。若い店員さんらも接客が上手く、解した。

(西尾)

 

茅ヶ崎 「将庵」

 茅ヶ崎駅からはやや遠い。20分位東にある。入り口の脇の看板に「苦蕎麦荷野郎」と書かれている。店内はクリーンで広い。奥には座敷があって憩い度も高いようである。最初に来たときには酒蕎徒+その家族らにより、酒&つまみ&蕎麦を大食いしてしまったので、今回はストイックにせいろだけ軽く手繰る。ちなみにつまみ類は値段に対し量がかなり少なく、お高めなのでここでは酒は軽くいなしてからすぐにソバを食べることをおすすめします。一茶庵系改と思われる九一のせいろはやや細切りで香り・腰とも程よく上品で旨い。周りのお客は周辺住民の家族連れが多く、ほのぼのとした雰囲気である。ただし蕎麦は本格的。「八十八」など茅ヶ崎に良いお店は多いのである。余談だが、ここは丹沢そば石庄、厚木宮本庵らと並び神奈川木鉢会加盟店である。

(西尾)

 

西湘二宮 「オリベ」 お店の写真 

 西湘二宮の住宅街の坂道の中程にある。最初に行ったときは星月からのハシゴだったので時間が合わず、変わり蕎麦のしそ切りしか食べられなかったので再挑戦。箱根を走った後に単車で訪れた。西湘バイパスの二宮インターから近い。午後3時では既に田舎は売り切れであったがせいろを食す。まじめで誠実なお味である。香ばしくもあり品がよい。ご主人はガラス張りの蕎麦打ち場で静かに仕事をやっている。器もおもしろい。奥様とおぼしき女性に勘定を払う。案内紙の経歴を見ると色々と鑑みると、料理にかかわる人間の、一つの自己表現がこの店そのものとなったに違いない。予約の懐石コースを食べてみたくなった。
(追記):先日、佐藤氏と開店11時に行った。丹沢山&焼き味噌&蕎麦実入り胡麻豆腐で様子を見た後、田舎とせいろを頼む。太くない田舎は香ばしく、せいろも相変わらずの洗練さ。改めて気張らない上品さが印象に残った。

(西尾)

 

町田 「満屋」 箸袋の写真 お店の写真

 ある年のGW、子供の国の帰りに満屋へ寄った。駐車場はタイトだ。3台か。そのときはたまたま夜の部一番乗りで、小さいクルマであることも幸いしてスムーズに駐車。お店にはいると思いのほか広く、迷わず座敷へ。おかみさんとおぼしき若い女性が注文を取りに来た。ひとまず小ビールと板わさ。付け出しに小さな厚焼き卵などがありこれだけでも十分だろう。当然のごとくこの店でスタンダードであると思われる冷酒(桃の滴 純吟)を一本。さらに鴨焼き。うん、いい感じで憩える。ほどなく息子が調子に乗って騒ぎ出したが、その時はお客さんも多くなかったので何とか事なきを得た。気にしないでとにこやかに応対された。うれしい心配りである。最後に細切りさっぱり系のせいろを食した。お勘定をするとき、駐車場を見ていたようで、ご主人に私のクルマ(HONDA Z)のことについて色々と話しかけられた。かつてNコロに乗ってたようである。地球に優しい360ccを愛する人に悪人はいない。解す。結構近くに住んでおきながら今まで来なかったのが残念でならない。今後常連になるべくしてなるであろう。
(追記):この間、久しぶりに単車で寄りました。相変わらず街のソバ屋としての憩い度は高く安心。桃の滴&鳥わさで様子を見てせいろを。以前よりワンランク美味くなってました。これからのますますの向上が楽しみです。ハイ。

(西尾)

 

相模原 「三峰庵」 箸袋の写真 お店の写真

 このお店は、ご主人があまり取材などを好んでおられないとの話を聞いていたので詳細をお知らせするのは控えていたのですが、他のHPにも紹介されちゃっているので満を持して紹介します。一言で言えば、相模原ひいては神奈川でも指折りの名店である。料理も蕎麦も美味である。多少民芸調ではあるが雰囲気も良い。一枚板の無垢のテーブルがさりげない。午後の静かなひとときを旨い料理とともに有り難く供してくれる嬉しいお店だ。嬉しさのレベルが本当に高い。ちょっとしたつまみを頼めばすぐに解るはずだ。日本料理店的な品数の多さ、旬を捉えた素材の良さ。心がこもっている。妥協など無い。すべての仕事が丁寧である。20人以上入れそうな店内ではあるが満席の場合は大変であろう。ほぼご主人一人で料理されている。したがって時間もかかる。ここはひとつ、酒でも頼みちびちびとゆっくり待って心にゆとりを持とう。フランス鴨を使った鴨ロース、鴨焼き、豊富な天ぷら類、全てレベル高く旨い。特に鴨料理は絶品であると断言できる。私が口にしたソバ屋鴨料理の中でも間違いなくナンバーワンである。炭の仕込まれた鴨焼きと自家製のタレ。素晴らしい。つい最近も行って来た。料理の旨さは相変わらずで安心し、生粉打ちを頼む。食感は田舎風で噛みごたえがあったが蕎麦の甘みと香りがのどを通る後に沸き上がる。ふつうは合もりを頼むが、他にも蓬切りなどの旨い変わり蕎麦も豊富。酒は高めだが男山純米などがある。住宅街にひっそり佇むわかりにくい立地であるが一見一食の価値あり。地元の人が誇るべきお店なのである。いつも満足して帰るのだが、また暫くすると、このお店の鴨と蕎麦が私を引き寄せるのだ。

(西尾)

 

相模原 「十割そば」 賛 箸袋の写真

 神奈川県相模原市中央4丁目、市役所近くの店。最寄り駅は強いて言えば横浜線相模原駅で徒歩15〜20分かかる。駐車場はない。不便である。店の説明書きによれば、この店は岩手県岩手郡玉山村藪川イーハトーヴ農場直営店で、ここのそばは自家農場産の玄そばを石臼で自家製粉しつなぎを一切使わないいそばだそうだ。盛り蕎麦は2種類あって、南部と石臼。南部の方が色が濃い田舎系で香りもあり安い(確か500円)。こちらがおすすめ。細挽きで機械打ちのためかつながりが良く、長すぎるため少々食べにくい面もある。好みの問題ではあるが、つゆが薄目で蕎麦に負けている感が否めない。蕎麦の量は多い。普通の胃袋の人は大盛りはしない方が無難だ。毎月10日は1000円で食べ放題であるが、盛り2枚も難しいと思う。その他、酒のつまみもリーズナブル。特に野菜のかきあげが150円で落涙を禁じ得ない。酒は岩手川のみ(300ml:370円)、高級酒ではないが悪くはない。店内は明るい雰囲気で、手前にテーブル席(24)、奥に座敷(16)がある。たいていは座敷に陣取ることにしている。座敷付近には、蕎麦の実の見本や模型があったりして教育にも余念がない。以上をまとめると、高級感、洒落た雰囲気はないが、気取らない良心的な十割蕎麦のお蕎麦屋さんなのである。なお、前回、訪れたときに名店「翁」の高橋邦弘氏の色紙が飾ってあるのを発見しました。
(追記)2001年8月。閉店となってしまった。安くて旨い店がまた一つ減り、姉妹店の相模原「遠野」に集約し、頑張るとのことであった。最後までリーズナブルで方針崩さず安心できた。合掌。

(佐藤)

 

相模原 「会津山都そば飯豊」賛 箸袋の写真 

 神奈川県相模原市にあった店。最寄り駅はない。自宅から淵野辺公園への途中にあったが、平日は昼間のみの営業のため、比較的近くの店であったが結局、2回しか訪れていない。蕎麦は会津系のつながりが良い風味豊かな十割蕎麦であった。酒も会津の地酒(銘柄は覚えていない)でリーズナブルなもの。ご夫婦2人で切り盛りしており、家庭的な雰囲気であった。また、店頭で売っていたそば粉を買って、自分でも十割で打ったところ、まだ初心者であったにもかかわらず問題なくつながり、このそば粉の威力に脱帽であった。その後は、この店のもののような良質なそば粉を使っていないためか、十割では全然つながっていません(二八でも怪しいものだが)。しかし、その後、店前には長らく本日休業の看板が掲げられ、いつしか日本料理屋に変わってしまった。移転か廃業か転職(食)か不明である。今思うと確かにご主人が疲れ気味に見えたことは確かであった・・・。大丈夫であったろうか。誠に残念!

(佐藤)

 

相模大野 「大むら」 名刺の写真

 小田急相模大野駅の近くには、なぜかソバ屋が少ない。そこで飲み屋街の大野銀座通り商店街を行く。すぐに憩い度超級の焼鳥屋「ほがらか」の絶大なる誘惑があるが、昼間はやってないのでさらに奥へ進むと、左手に「 手打ちそば」の旗が見えてくる。ここが「大むら」である。見た目は町の小ぎれいなソバ屋といった感じだ。店内にはいるとメニューの数に驚く。定食類や居酒屋的つまみなど多い。私はいつも夏なら「ビール職人」の瓶か蕎麦酒とつまみ一品。様子を見てすぐ蕎麦を食べる。蕎麦はご主人が本むら庵で修行されたとあって、細切り上品系であるが、色は白めで、腰がやや強く喉越しを楽しませる。せいろは2段で出てくる。このような本格的蕎麦に不要?な食事的メニューといった感じもするが、これも店の個性であろう(御主人とそのお母さんの意見の折衷案であると推測される)。地下にも座敷があり、そこは本格的ソバ屋空間で雑多な1階との二面性を示す。また、時折、夕方にサラリーマンが旨そうにお得なソバ定食セットを食べているのを見かける。気取りのない街のソバ屋にして本格ソバ。その二面性こそが「大むら」の魅力となり得ている。
(追記):最近食べ物のメニューを減らしている。蕎麦へ注力したいとのこと。出来の波が小さくなるか。酒ラインナップへの愛情も欲しいところです。

(西尾)

 

座間相武台下 「やぶ久」

 最寄りの駅はJR相模線相武台下駅だと思われるがなかなかわかりにくい。店の入り口の右脇に蕎麦打ち部屋がある。近頃、石臼挽き自家製粉を始めたようだ。評判は佐藤氏などから聞いていたのでちょっと様子を見に来店した次第。板の間のスペースと右手に個室風の座敷が3部屋ほどある。メニューを見ると、ほぼ居酒屋定食屋並みの豊富さ。どんぶりモノから揚げ物、焼き物、何でもござれである。ひとまず酒とつまみを2品ほど頼む。安い。リーズナブルである。かなり居酒屋っぽい。次はそばだ。メニューには普通のもりなどの他にやぶ久せいろとやぶ久田舎がある。こちらのほうが自家製粉のモノらしい。田舎しかなかったので頼むと、居酒屋然とした雰囲気からは予想つかないような挽きぐるみの黒っぽい本格派が現れた。旨い。この辺りでは無いタイプのものである。わさびもビッグサイズの本わさびだ(お持ち帰り厳禁とある。持ち帰ろうとしたS氏の様な輩もいるらしい)。なぜに2種類の粉(製粉所のモノと自家製粉したモノ)で差を付ける必要があるのか、居酒屋的メニューが必要なのかはわからず口惜しいが、今後成長&バケる可能性を秘めたお店である。また期間をあけ来店せねばなるまい。
(追記):最近行った。蕎麦への注力比率が大きくなってきたが、蕎麦自体が変化していた。また今後の様子見です。

(西尾)

 

海老名 「竹葉庵」 箸袋の写真 

 毎年3月から4月にかけて必ずこの店に顔を出す。小田急海老名駅と座間駅の中間ぐらい。ちょっと不便。ひっそりと竹林の中に佇むお店である。この時期に訪れる理由はただ一つ。それは竹の子である。なんせお店の周りの竹林から掘った採れたてのホクホクを食べさせてくれるのである。竹を眺めながら風情のある階段を上がり、暖簾をくぐる。何はともあれ竹の子と酒。五百圓でこの量と質はそうそう出会えない。大満足である。蕎麦は細切りで腰のそう強くないタイプ。数人で行くと特大のざるに人数分入れてくれる。座敷から外の竹林に目をやり一杯。解す。又おばさんの対応も過不足なく憩えるのだ。品が良くあっさり系、水切り良く摩擦係数の高めの蕎麦を速攻で手繰り、おみやげに本山葵をいつも買って帰る。春が来れば思い出すお店、それが竹葉庵である。
(追記):かけの美味さが非常によろしい事を発見。竹林に夕陽が煌めき、かけ汁+タケノコ+冷酒で日が暮れる。解す。

(西尾)

 

厚木 「浪花そば」 案内の写真 

 厚木市荻野新宿交差点そば。浪花うどんではないが、手打ちうどんも供す。週末などは狭い駐車場と相まって来店が困難である。店にはいると「いらしゃぁあい」と、やや低いトーンでおばさんがお出迎えしてくれる。左手の座敷がお気に入りである。今回は樽平でまず一献。つぎに違う酒をと思い注文する。無い。酒メニューの種類は豊富なのだが、半分はないことが多い。鴨焼きせいろを頼む。お得だ。量も充分。鴨肉でもう一杯イケる。そばは石臼挽き自家製粉であるが、強い個性はあまり発していない。食べやすい細切りである。気取らず、構えず。うどんも良い出来だ。「ありがとうございまぁす」と送り出される。かなり行きにくい場所ではあるが繁盛している理由の分かるお店である。   
 (追記):先日久々に行ったら、酒のメニューは一新されていた。せいろが新蕎麦らしく非常に良いお味であった。

(西尾)

渋沢 「 手打そば くりはら」

 小田急線で、小田原・箱根方面への急行に乗り込む。厚木を過ぎてくると丹沢・大山を北側に眺めながらのどかな田園風景が車窓を右方向に流れていく。新緑・紅葉と季節の移ろいを映し出す里山風景がすっかり馴染んできたところで秦野市の渋沢駅に到着。
  南口より峠方面へテクテク歩いてゆけば、ビビビィーンッと蕎麦屋レーダーが反応。交差点の電柱に手打ち蕎麦屋の看板発見。なすがまま左に折れて行けば、古民家を再生した蕎麦屋と遭遇。ここが「くりはら」である。暖簾をくぐると、懐かしい感じの敷居の内側に続き間が広がり、知り合いの農家を訪れた気分になる。ここはひとまず一舐めして様子を見よう。少し酸の効いた黒牛と自家製の漬け物がこれ又旨い、奥の板の間で胡座をかき、ふぃーっと一息し、窓外の庭を眺めれば、もう昔から旧知の仲であったような気がしてくる・・。蕎麦掻き追加。フワフワで空気量が多めのやさしい食感と濃厚な蕎麦風味が、店の雰囲気を映し出す・・ふひぇーっ、解っ、解してきた。その他刺身こんにゃく、ゆかりある京に因んだ鰊旨煮、ひじき煮等も滋味深く美味い。田酒で締めとし、いよいよソバだ。せいろは2種類有り、全粒の手挽きと食感を意識した造りのもの。無論、両者とも十割生粉打ちであり、それぞれに産地・季節感・造りを丸ごと楽しめて有り難い。特に今日の手挽きは鶯色麗しく、草のような新蕎麦の風味を存分に引き出している。また、やさしい汁のかけもイイ。ご主人の努力も並々ならないのであろう。
  全てにおいて、自然愛と実直さを感じるお店である。農家であったおふくろの実家で遊んだ自分の子供の頃を想い出す。子連れにも優しく、近所のお客さんものんびりとしており、最近の蕎麦屋では得難い落ち着きと憩いがあり、ほっと出来る空間だ。このお店に出会えた事に感謝、お店にも感謝である。

(西尾)
 

小田原 「星 月」 メニューの写真

 今日は天気も良いし、単車のメンテも一息ついたので、昼は久しぶりに星月へと行って手繰ろう。幹線道路は避け、県道を軸に寄り道しながら走る。換えたばかりのMOTULのオイルも馴染んできたようだ。自然と右手のひねりも大きくなる。タイヤも一皮むけグリップが上がってきたところで星月に到着。相変わらずのわかりにくい立地で迷いそうになったが午後2時に店内へ。100kmほど走っただろうか。程良い疲労をいやすため軽くビールと穴子天。やはり美味い。値は張るが解す。これはきんかん亭と双璧であろう。無論小田原という土地柄、板わさ等のつまみも解す。丹沢山等の酒とのマッチングも良く憩いのひとときを供する重要アイテムである。さて、そばだ。前回酒蕎徒4人衆の例会では、いささか飲み過ぎたので今回は蕎麦重視。せいろにおかわりを一枚。計3枚。普通に一つ頼むと黒塗りの丸せいろに平おきで2枚出てくる。750円。みずみずしく上品でかなりの細切りである。量も程良い。おかわり追加でもう満足する。喉越しの良さは特筆モノでがんがん胃の腑に吸い込まれていってしまう。接客も軽く好感の持てるものでリラックスできる。ごちそうさまを告げる。勘定時には主人の御礼の一言。全く肩の力が抜けている。店内の様子もそうだが、気取らない無の境地が星月の良さである。

(西尾)

 

伊豆稲取 「誇宇耶」 お店の写真 箸袋の写真

 ここは「ソバ屋で憩う」に掲載されていたので、伊豆ツーリングの途中に立ち寄った。結果から言うとあまりにも解したので、遠いけどその後も半年に一回ペースで訪れている。一、まず酒が旨い。静岡産の銘酒がずらりと並ぶ。二、肴が旨い。本格的だし、量も程良い。三、蕎麦が旨い。天城産の玄蕎麦などを使ったせいろで旨味があり好みにあう。四、ご主人が良い。最初訪れたときから、お酒の説明や蕎麦談義で盛り上がった。しかも半年後、しっかりと我々の顔を覚えていてくれた?!以上のような理由で、伊豆では良いソバ屋が多いけれど、ここが私にとっての一番であり、一つの理想のソバ屋のカタチがある。’99年秋の蕎麦ツアーでは、気合いを入れて飲むために歩いていける近くの宿に泊まったほどである。前回は夕方から閉店時まで美酒・肴・蕎麦で大変満足した。前々回は大雨の中、夕方おじゃまし、斗瓶囲い・雫取り系のレアな地酒でずらりとグラスを並べ、生粉打ちの蕎麦と共に存分に堪能させていただいた。また、初めて訪れたときには蕎麦挽き小屋まで見せていただいた。とにかくお世話になった。さすが、蔵元にまで出向き手伝いをされているだけあって酒を語ると、その熱き思いはびしびし伝わってくる。広い座敷に海の見える立地。是非近所に住みたいものだ。あー、また誇宇耶に行きたくなった。(何を隠そう、近々行くことが決まっている)

(追記) :この間家族で訪れた。夕食を兼ね、午後4時半から2時間座敷で憩った。子供には岩海苔、妻にはひみこ、私はお気に入りの「大器晩成」A+B、古米でロゼ色の「ニッポニアニッポン」、無論「翁弁天」中取りらとツマミ一通り、さらにご主人推奨の「杉錦」大吟、かけ+せいろでぽんぽんパンパンで満足の極致。また行かねば。
(追々記):先日、佐藤氏と蕎麦の原料を仕入れがてら憩いに行きました。例によって大器晩成に始まり、杉錦&登呂人の宴など多種のスペシャル酒で解した。沖縄の塩にて食す寄せ豆腐など、ご主人と共に話しつつ、いやがおうにも酒がすすむ。蕎麦は十割&かけ。蕎麦自身の味、かけつゆの味(僅かにマイルドになったが相変わらず美味い)とも申し分なく旨い。あぁ、満足。至福の時間、また、タイムスリップしてしまった・・・・。(2001年4月)
(さらに追記):酒は無論のこと、福井産の低温熟成十割が非常に美味かった。感激。これからもご主人の蕎麦道追求の邁進・進歩は間違いない。(2001年9月末)

(西尾)

 

熱海 「多 賀」 箸袋の写真 

 数年前の伊豆走行会の第一目的地として訪れた。小さい港前で国道脇の奥まったところにある。垣根に囲まれたそのお店は趣のある古民家を移築している。もう、これだけで解してきた。中にはいると手前両側に座敷、奥の土間にも席があり、かなりの収容人数がある。この古き良き雰囲気は、八王子「車家」や和食の名店、名張「三太夫」を彷彿とさせる。ひとまず、ビール数本に揚げ蕎麦がよく合う。ついで樽酒と板和佐&厚焼き卵&湯葉さし。解してきた。この座敷は憩える。さてソバである。みんなせいろ2枚づつ。本むら庵で修行したとされるが多少の面影は残しつつも量はやや多めでつながりの良いしっかりとした感じのソバである。食べやすい。最近では十割に移行するとの噂も聞いた。店を出るときも庭を抜け港の方へ気分良く歩ける。伊豆観光のお客でにぎわっているが、雰囲気・味の両面で間違いなく伊豆の名店の一つであるのだ。

(西尾)

丸の内 「桜 庵」 (伊豆高原 ・四谷三丁目より移転) お店の写真(伊豆高原時代)

 伊豆は色んな交通手段で楽しめるエリアといえるでしょう。車では、東海岸側を通り南下する場合、国道は避け伊東から川奈方面へ車を走らせる。信号や商店の少ない別荘地やゴルフ場の脇道を通るのが気持ちよい。眺めの良い海岸で一服した後に伊豆高原駅方面から国道方面へ。丁度その合流付近の少し入ったところにお店はある。余裕を持って伊豆急で来ても駅から10分ほどか。高原別荘地からもアクセスは良い。春先になれば周辺の桜の木が迎え、まさに「桜庵」たる風情が味わえそうです。店内は清々としていて小さいながら座敷がメインである。酒と肴を頼む。出羽桜や〆張り鶴などの名酒があり、またソバ屋定番つまみがすっかりリラックスさせてくれる。とくに焼き海苔は炭仕込みの大きめの箱入りで一枚ずつずらして並べてあって、炭火の熱が偏らないように気配りがされていて、ちょっと嬉しくなってしまう。知り合いの家にお邪魔しているような錯覚を覚える。解してきた。蕎麦は三つ色。せいろ、更科、田舎が用意される。せいろは品の良い優しさと蕎麦の風味を保つ。新蕎麦時期には色良く香り高いものだ。この座敷でゆっくり憩えばソバ好き、ソバ屋酒好き、色んなタイプのソバ喰いがそれぞれ満足できそうである。
 奥さんのはきはき爽やかな仕事ぶりと、優しく美味しい蕎麦が真面目なこのお店の全てを表している。伊豆の蕎麦巡りには寄らねばならない好感度が非常に高いお店です。

(追記):2002年12月、桜庵は伊豆高原より東京四谷へと移転した。移転後は静岡の地酒を加えた豊富なラインナップとなり、十割蕎麦も織り交ぜるなど、メニューもパワーアップされ、より憩い度・好感度がアップした。気の利いた対応・アットホームさはそのままに今後の発展に期待大である。

(追記):2007年7月末より東京丸の内に移転した。昼はビジネス街の多忙店と化し、客層、人の流れもずいぶんと様変わりしたが週末の夜はかつての四谷店の雰囲気が味わえそうである。「東京のソバ屋」としての大いなるチャレンジに期待したいところです。
 

(西尾)

富士裾野 「蕎仙坊」 箸袋の写真

 東名高速裾野ICを下りて、富士サファリパーク方面に上る。周遊道でなく山林をぬける近道を使ってしばらくすると、右手の林の中にそのお店は佇んでいる。キノコ研究所を目指しても、そこは分かりまへん。久しぶりに訪れた。旧家そのものの立派なお屋敷である。玄関で靴を脱ぎお座敷の奥庭の桜の木が眺められる席に陣取って、まず福寿を冷やで鴨焼き・板わさなどに合わせて様子を見る。うーむ、憩える。ついで酒追加&鴨しぐれ&蕎麦味噌。このような広い座敷が我が家にも必要だと、改めて思うが、未だかなわぬ夢か。他にいぶり鴨や蕎麦豆腐などつまみは充実しており、寒くても敢えて自家製凍結酒をやっても解しそうだ(某明永氏が以前、極寒の2月にやっておった)。鴨料理は名物だけあってなかなか旨いんです。蕎麦であるが、太切りの田舎と細切りのせいろがある。どちらもワイルドさはないが、甘みの乗った優しい味である。初めての場合二色もりが無難でしょうか、鴨南も行きたいところではありますが。また、つゆもそば湯も旨い。有名店故、平日の昼下がりなのに結構な客数だ。ゴルフ帰りのおじさんや観光客など客層はワイドだ。びっくりするようなタレントや鋭さはないが、富士山を近くに望むこの場所でゆるりと一時のリラクゼーションを過ごすには、うってつけのお店である。

(西尾)

 

秩父 「こいけ」 箸袋の写真 お店の写真

 酒蕎徒3人で青梅から敢えて名栗−正丸峠越えで秩父へと向かった。狙うは「こいけ」。開店時間ピッタリとはいかなかったが早い内に店へと入れた。いい雰囲気である。これぞソバ屋という虚飾のない店内。左手の座敷の大テーブルが気になるが満席である。手前の四人卓へと腰掛けた。酒を注文する。旨すぎる。銘柄はと聞けば島根「豊の秋」であった。いつもより旨く感じたのは気のせいか。蕎麦味噌も解す。酒を追加し肴を数点。いよいよ肝心の蕎麦である。これまた旨い。美味いし、巧いのである。卓越した蕎麦打ちの技を感じる洗練の味わいである。無論3人ともおかわりをした。久々に本物と呼ぶにふさわしいお店に出会うことが出来た。いずれまた来よう。

(西尾)

 

あきる野 「よしの」 案内の写真 お店の写真

 あきる野市西多摩霊園前の店。交通の便は、バスで西多磨霊園まで来るか(どこ駅発かは知りません)タクシーか自家用車です。店の前の空き地が駐車場(10台位)となっている。道の線形の影響か原因は不明だが、何故か駐車場に入りにくい。必ずと言っていいほど通り過ぎてしまう。2〜3回店の前を通過してしまった。何とか駐車場に車を止めて入ると店内は満員。霊園帰りの人たちであろうか、のんびりしている。待つこと30分くらい。店内は狭いが、左側には座敷もある。酒とつまみでしばし、くつろぐ。そばは十割で挽きぐるみと丸抜きの中間的な風情でなかなかのものとみた。器にもこだわっており、繊細な器で供される。ところで、この店には鄙願の大吟醸があるのだ。これを逃してはいけない。しかし、小銭をケチって三千盛の純米にしてしまった(これも悪くはないが)。嗚呼、この店も再来せねばならぬ店となってしまった。

(佐藤)

 (追記) :先日3人で例会を行った。目的は無論「鄙願」である。鄙願を3合、そばがき2と付け出しでプラス亀泉2合とし、豪勢に天せいろで締めた。そばがきに関してはまさしく絶品の美味さ。悲願の鄙願はもちろんのこと、美しき片口などの酒器類、また亀泉(純吟)のたおやかな旨味の前に参ってしまった。また新蕎麦の季節に来たい。なるほどストイックな店である。解した。   (西尾)

 

足利 「一茶庵本店」

 全国の一茶庵の総本家、総本山、本家本元が足利一茶庵である。蕎麦打ちの神様「片倉康雄」大先生のご子息「片倉敏夫」先生が取り仕切るお店である。場所は足利市の渡良瀬橋の北に位置し、一方通行の道に面しており、少々わかりにくいが、赤十字病院が目印となる。店内は大きな「街のお蕎麦屋さん」といった風情で親しみが持てる。仕事で宇都宮にいた頃(確か平成6年頃)に訪ねたため、味の記憶が定かではないが、蕎麦はせいろと田舎を食したと思う。さらに、お土産生蕎麦を買って帰り、三食分を一気に食したことだけ記憶している。今、食べたらまた感じ方も違うであろう。是非もう一度は訪れなければならない!

(佐藤)

 

高崎 「凡味そばきり」 箸袋の写真 お店の写真

 2月に酒蕎徒3人で関越方面にスキーに出かけた。泊まったのは猿ヶ京温泉。露天風呂のある良い宿だ。初日はスキーをたっぷりと楽しみ、さて、次の日は・・・。翌朝露天風呂で降り出した雪を眺めつつ麦酒を飲みながら、結局帰ることにした。勿論ソバ屋に寄りながらである。そこで、高崎「凡味そばきり」へと行った。混んではいたが飛び石を鳴らしながらの案内をされ、奥の座敷へと席が取れた。厚焼き卵と酒を少々。十分な量である。しかも旨い。座敷から外を見ると雪が舞い、願ってもないシチュエーション。解してきた。肝心の蕎麦はというと蕎麦自体の香味とワイルドな風味。旨すぎた。きっと十割であろう。鼻を突くほどの蕎麦の香りが日々のなれ合いの蕎麦行脚に活を入れてくれた。解す。目から鱗である。是非是非寒い季節にまた来たいものである。
 (追記):先日2年ぶりに訪れた。やはりワイルドな風味は残りつつ、洗練さが加わった感じであった。太切りの田舎も食したが、こちら甘み重視。私はせいろが好みである。

(西尾)

 

長坂 「翁」 お店の写真

 今日は木曜日、休日出勤が続き久々にもらった代休である。さて何をしよう。「翁」へでも行くか。一見悩んだかのように書いたが実は前から決めていた。相模湖インターから中央道へ乗る。おんぼろカリーナ1600GTR(4A-GEU)で談合坂を攻め、オービスに注意しながら笹子トンネルを抜けて、甲府盆地に突入。さすがに空いている。秋の空も快晴だ。こういう道では近田春夫の「ロックンロール・マイ・ウェイ」が良く似合う。長坂インターで降りる。田舎道をくねくね走り、11:00ジャスト「翁」に到着。ビリジアンな木々の合間からセルリアンブルーの空がのぞいていた。さすがに人は少ない。4番乗りで店に入る。酒は無論「大雪渓」を注文。蕎麦みそ焼きを肴に蕎麦を待つ。ざる2枚に田舎1枚。うん旨い。のどごしさわやか。二八なのに香りが高い。さすが、高橋邦弘氏。今や私の中では「翁の蕎麦」が安心できる標準的な味覚となってしまっていることに気付き、恐ろしくなった。

(長澤)

 

韮崎 「瓢 亭」 箸袋の写真

 数年前の夏、奥蓼科の会社の上司の別荘に行った。私と佐藤氏は早起きし、朝6時に道志街道で待ち合わせ。富士五湖経由で三珠などの美しい山村を抜け韮崎へ。私は単車で、佐藤氏はBMで、2人2台のツーリングである。第一目的地の韮崎「瓢亭」にたどり着いた。ずいぶん早くに着いたので駅前で時間をつぶし、開店時間前から並んだ。程なくのれんが掛けられ、我々は店内へと案内された。ビールと酒に合わせるのは、この店名物のモツ煮である。これがまた旨い。量も十二分だ。聞けばご主人は、かつて都の職員だったがソバ屋に転職、この地に店を構えたようである。蕎麦は素直で力強い味わいである。二八であろう。きびきびとした気持ちよいお店を後にし、増富ラジウムライン経由で蓼科へと向かった。

(西尾)

 

小淵沢 「にしむら」 箸袋の写真 

 近くの「萬吉」がお休みだったため、酒蕎徒4人衆は「にしむら」へと向かった。なかなかわかりにくいところであったがようやく発見。ログハウス風のモダンな木造のお店は内装も板張りで山間の店らしく暖炉がある。酒→つまみ→酒→肴と、いつものように移行した我々は解してきたが飲み過ぎてはイカンと自己を諭し(?!)、セイロで締めた。全てが上品。高級な喫茶店にいるような感じで一時の憩いを供してくれる。ありがとう、また会う日まで・・・アディオス。と、お店を後にし、酒蕎徒らは飯田「丸富」に行く途中の第2目的地、高遠の城下町へと向かったのであった。

(西尾)

茅野 蓼科高原 「みつ蔵」 ソバの写真 看板の写真

 信州蓼科の会社上司の別荘地に訪れた。今回はみんなで車相乗りで来た。初日の晩は酒肴酒肴で手持ちの加賀鳶&八重泉が染み渡り、翌朝はぼーっとした頭とは裏腹に爽やかな森の空気が体を癒してくれる。思わず昨晩の続きとばかり少し残り酒をあおる。一行は奥蓼科温泉で朝風呂へ。・・うーむ、のぼせてきた。絶乾状態では体に悪いらしい。早く蕎麦を我が体内に注入せねば!・・と、いうことでやって来ました「みつ蔵」。ビーナスライン沿いにあるちょいとモダンな外装のソバ屋です。石臼挽き自家製粉・手打ち。1時半だというのに人がまだ並んでいる。待つこと20分あまり。手前の座敷も気になるが、一番奥の卓に案内された。キャパは20人ほどでしょうか。メニューに目をやる。嬉しいじゃありませんかの品揃え、すぐに冷酒:みつ蔵(舞姫純吟)&焼き味噌、そばがき、鴨陶板焼きを続けざまに注文。片口にて供される。突き出しの揚げ蕎麦は塩が効いているタイプ。片口を傾けながら窓に目をやれば、高原の山々が稜線のハーモニーを奏でている。まるでオーケストラの指揮棒が振られるように。あー、すでに解してきた。体調も戻ってきた。さて、ソバであるが、丸笊に2枚出てくる。800円。やや平打ち気味で太さも多少まばらである。口にすると、この太さの違いが、口内、食道通過中に楽しいハーモニーを奏でる。それは麺のエッジがシャープで硬めのソバが刺激しているようだ。細かな挽きぐるみで、風味も僅かに入ったソバ殻の味が隠し味的に苦香ばしいアクセントとなっている。納得いった。ソバ湯も特大陶器で満足。観光地にありがちなお店ではない。今後さらに洗練されると予想される。また足を運ぼう。

(西尾)

飯田 「丸 富」 お店 (旧飯田店)の写真

 長野オリンピック開催中、我々酒蕎徒四人衆は木曽十一宿のとある温泉地を基点としスキーを楽しんでいた。明くる日、朝風呂の後、浦島太郎伝説の寝覚ノ床へ行き観光した。そして、すぐ近くの木曽の老舗「越前屋」には気づかずに、雪の中飯田へ向かった。途中通行止めの県道はあったが何とか山越えし飯田市内へとたどり着いた。お目当ての「丸富」の場所は知っている。というのも前回訪れたときは売り切れ仕舞いされてソバを頂くことが出来なかったのである。今回は盤石の構えだ。昼から座敷に上がれた。店内は古い造りで込み入っているが、憩えるような懐かしさがある。まず酒と肴だ。知らない地酒と鳥の陶板焼きなどの美味なるつまみ達との相性も抜群で何を食っても旨い。しかも余計な物は何もない。次はソバだ。しらびそ、雫など色々なタイプがお好みで楽しめる。しらびそは特に私の好みの粗挽き細切りで香ばしく量も丁度良い。蕎麦もまた何を食っても旨い。あー、解しまくってきた。四人とも至福の一時を過ごせている、良い顔をしている。一つのソバ屋の理想の形がはっきりと具現化しているのだ。近所に是非欲しい素晴らしいお店だ。暖簾前での記念撮影も行い、正式に記念すべき酒蕎徒結成式が行われ、その後の蕎麦行脚加速の記念碑的お店となった。
 (追記):その後2000年にお店は飯田駅そばから駒ヶ根へと移転した。明永・田代酒蕎徒コンビが既に新店に出向いており、相変わらずの蕎麦の旨さと、陶板焼きがキジになったこと。お店が広々として雰囲気が変わったことが報告されている。

(西尾)

 

松本 「野 麦」  箸袋の写真

 2000年3月20日戸狩スキーからの帰りに立ち寄る。松本市の市街地にある店。休日であったため、11:45着で既に5〜6人の行列である。行列は嫌いだが、今回の目当てはこの店であるから、じっと耐えるのみ。店内はこぢんまりとした造りで、4人用テーブル×3のみ。メニューも限られたもの(厳選)で、ざる(1,000円)、半ざる(600円)、かけ(冬季のみ)、酒(岩波本醸造のみ)とビールだけである。お酒を頼むと、チーズケーキのような卵焼きがお通し出てきた。ざるそばにも小さな器におかずがついてくる。酒飲みにはうれしい。そばは、超細切りの粗挽き田舎風なもので量は多く(約200gか)、なかなか技術的にもレベルが高く、好ましい。ただし、品数が少ないため、つまみと酒でじっくりと憩うことは難しいが、純粋にそばを楽しむ向きにはおすすめ店といえる。

(佐藤)

 

松本 「弁天本店」 箸袋の写真 

 ここは、まったくもって大衆食堂である。土間にスチールパイプの椅子と机。椅子などはビニール張りで所々穴が開いてたりする。都内の有名店では見られない光景である。勿論そばは安い。おやつのつもりでさっと、もりを平らげた。これがなかなか旨い。気張ったところもなく、飾りも押しつけがましい高級グルメ指向もない。ここソバ激戦区松本において、ただただ土着なのである。おばちゃんの接客も明るく好感が持てる。生活臭と伝統を感じる松本土着の名店である。

(西尾)

 

松本 「浅 田」 案内の写真 

 松本市NHKそば。新しいそのお店は、広めの採光により、広々と明るくクリーンである。酒を頼む。角盆に焼き味噌付きグラスの猪口&徳利。ここもまた長坂の名店「翁」系である。限定の十割は売り切れなのでもりを食す。かなり翁に近い。上品な香りと喉越しの良さが、「今自分が蕎麦を食っているんだ」という実感を味合わせてくれる。ここは、たしかに翁直系の真面目なソバ屋である。松本中心部から少し外れにあるが皆さんも訪れてはどうだろう。安心感は非常に高いのである。

(西尾)

 

松本 「もとき」

 信州蕎麦の本拠地松本にある蕎麦屋。松本城から女鳥羽川へ向かい、川の手前の出店風の商店街を10分ほど歩くと左側にある。途中には「弁天本店」もあるが先を急ぐ。思えば「もとき」は、私が長澤氏に蕎麦道に引きずり込まれたときに、長坂の「翁」に詣でた後、その足で訪れた2軒目の蕎麦屋である。店内は、普通で特に特徴はなく、手前がテーブル席、奥に座敷となっていた。座敷でせいろを頼む。二枚重ねで出てきた。蕎麦は透明感があるが短い。もう少し長さがないとうまく啜れない。翁の蕎麦と違って、もちもち感など全くないが、上品な風味の蕎麦だ。ここの蕎麦はすべて「吟醸蕎麦」だそうだ。酒と同様に蕎麦の実の外側を削って雑味を除去しているということであろうか。最近、松本城の近辺に移転したと聞く。もう一度、「吟醸蕎麦」の味を確かめるため訪れたいものだ。

(佐藤)

名古屋鶴舞 「春風荘」

 尾張の国、名古屋へ来た。思えば社会人一年生の時、一人出張仕事でよく訪れていた。夜遅い仕事の帰りに一人で宿の近くの飲み屋で一人御苦労様会をしていたものだ。そう、地下鉄鶴舞線沿いといえば、寂寥感漂う想い出が頭をよぎる。今回は違う。段取り良く仕事を片づけ、午後2時の昼下がりに春風荘を訪ねた。客は数人いる。こんな昼に派手目の男女連れでやってる客が気になるが、ちょいと外れた奥のテーブル席に案内された。ひとまず、卵焼き&鴨焼きで様子を見る。酒は鄙願(メニューでは、ひら仮名書き)、〆張があるが、お高いし、普通酒(尋ねたら、一の蔵)にした。邪魔をしない薄キャラの酒で、蕎麦を邪魔しない酒を揃えていることが容易に想像できる。卵焼きは大きめの皿におろし大根の海に2本羊羹型のモノが突き刺さっている状態でユニークだが、旨かった。鴨焼きは、私にとっては味が濃かったが葱とともに口に含むと納得できる。さて、お目当ての魯山人の十割石臼手挽き蕎麦だ。相当な細切りで最後の一枚だったらしく。ちょいと柔目の出来でパワーはなかった。風味も本来ではないのだろう。食ってる最中にすかさず、せいろを注文。こちらは洗練された元気さがあり、喉越しも解した。手挽きの半値(500円)であることを考えるとお得なせいろだ。とりあえず、良かった良かった。次回はまた違った角度でトライしなくてはいかんでしょう。しかし、修行中か手伝いしている若い男の子がとても良い味を出していて、ほのぼのと過ごす事ができました。

(西尾)

岐阜忠節 「胡蝶庵」


 岐阜は解す街である。JR岐阜駅に降り立ち、ぶらりと市内を散策する。初春なのに陽気がいい。稲葉山城が市内のどこからでも望め、町割り、たたずまいが平城の城下町とは一線を画す。古い商家が多いのも町並みを引き立たたせる要因となっている。これも斎藤道三の重商主義政策の名残であろうか?
 目的の蕎麦屋は忠節橋を渡ったところにあった。店に一歩入ると凛とした空気が流れているのが感じとれた。まず、酒のメニューに目をやる。独特なこだわりが伝わってくる銘柄が並んでいる。これは期待できそうである。鳥わさと玉子焼きを注文する。絶品である。ほろ酔い気分になってきた。さて、蕎麦は・・・。せいろは香りがよく、独特のこしがあり、のどに小気味よい。これだけ蕎麦を岐阜で食べられるとは驚愕の思いである。思わず、鴨南までたのんでしまう。出汁の風味が良く江戸風っぽいが関西風である。やはり鴨南は関西がいい。胡蝶庵の蕎麦は私の蕎麦行脚のなかでも3本の指にはいるであろう。う〜ん「美濃そば」侮りがたし・・・

(長澤)

岐阜 「吉照庵」 

 金華山は稲葉山城の直下、米屋町や紺屋町、いかにも城下町でありますと主張している町並みの中に吉照庵がある。美濃そばを侮ってはいけないことは胡蝶庵で勉強済みである。期待に胸をふくらませ店に入る。旧商家の佇まいの店内はテーブル席のほかに立派な座敷があり、薄暗いが何となく威厳を感じさせる。勿論、座敷に陣取って出し巻と鴨焼きを肴に冷酒で一献傾ける。憩い度は満点である。ほろ酔い気分で、蕎麦に向かう。「うっ、旨い!!」やはり、美濃そば侮り難しであった。

(長澤)

神戸三宮 「堂賀」

 三宮で阪急を降り、東門通りを北上する。宵であれば、すぐどこかの店にひっかかってしまいそうな雰囲気の路地ではあるが、いかんせん日曜日の午前中である。目的の堂賀まであっさりたどり着いてしまった。11時ジャスト、開店と同時に店に入るが、次々と客が入ってくる。卵焼きとにしん棒で冷酒をちびちびやりながら、ひととき至福のときを過ごす。夏はやはり冷酒に限る。さて、締めは・・・。変わり蕎麦3品盛りも気になるが、やはり初めて来た店では「もり」である。ずずっ〜と一気にたぐりこむ。落ち着いた味の蕎麦である。食べ飽きない味とはこういうものであろう。ご近所さんがうらやましい。

(長澤)
 

芦屋 「土山人」 ソバの写真 お店の写真


 午前中、新幹線で新大阪に着いた。酒蕎徒4人衆は阪神電車で高級住宅街芦屋へ向かった。目的地は「土山人」。新進気鋭のソバ屋と聞く。既に訪れたことのある長澤氏に案内され、お店へ。ラッキーなことに昼時前に6人席に座れた。ここでは、人数・シチュエーションに関わらず、大テーブルに回されることが多いらしいので本当にタイミングが良かった。ジャジーなBGM。モダンな内外装。「東の織田、西の土山人」とは言い得て妙である。地酒も豊富、肴も豊富である。ビールの後は地酒と肴一通り。なかなか旨い。そばは細挽きと粗挽き(田舎風)がメインである。細挽きは確かに細打ちでのどごしもよろしい。つゆもマッチして濃からず薄からず。粗挽きも蕎麦自体の風味が生きているようである。そば湯はポタージュ系。とろっとしていて美味。無機的な形式張ったバイトさんらの接客が憩い度で損をさせているのが残念。まだ新しい店なので伝統と人徳で後押しされるソバ屋としてのオーラはないが、これからだと思う。ロングスパンをあけて又訪れたい。と、思いながら混み始めた店を後にし、4人衆は京都へと向かった。

(西尾)

西宮夙川 「八 雲」

 震災の傷跡もやっと癒えてきたようだ。阪急夙川駅を降りて、品の良い街並みを暫く歩くと小綺麗なビルの8Fに八雲がある。店に入ると快晴の秋空と六甲の緑の稜線が大きな窓越しに目に飛び込んできた。洒落た有閑マダムや華やかなお嬢さんが多い。ちょっと自分には似つかわしくない雰囲気ではあるが、にしん棒でまず一杯、関西そば屋での定番である。蕎麦は少々上品であるが、いける味である。休日の昼下がりにはちょっと洒落た八雲がいいかもしれない。

(長澤)

宝塚 「植 田」 賛 お店の写真 裏の打ち場

 宝塚大劇場を右手に見ながら武庫川を渡る。とあるマンションの1Fに植田がある。和風のさりげない調度品とこざっぱりした店内が気分がよい。酒は何にしようか、迷っているとカウンターの壁の鄙願という貼紙に目を奪われる。しかし、1合1,500円ということで断念、春鹿にする。植田で特筆すべきはそのつまみの旨さである。特に小海老のかき揚げが絶品で、これだけで軽く3合はいけそうである。蕎麦は柔らかめでやさしい味だが、なかなかいける。食事時は人が多いが時間を外せば、ゆっくり憩える店であった。箕面在住時には何度か通ったが、暫く大阪を離れていて最近訪れてみると、なんと閉店しているではないか。ショックであった。また、どこかで復活して欲しいものである。

(長澤)

大阪寺田町 「月花水」 ソバの写真 おろし蕎麦&玄米の写真 お店の写真

 酒蕎徒4人衆の関西例会の2日目は、寺田町の生野商店街の探索から始まった。ここの通りの誘惑に打ち勝つには強い目的意識が必要だ。古き良き下町風情に身を委ねてしまうといくら胃袋があっても足りない。一通り探索後11時半の開店にあわせ路地裏の月花水へ。既に先客ありである。しかしここはお店と言うより月花水さんのお宅である。パーフェクトな普通のおうちである。暖簾も看板もなかなか発見できない。目黒一茶庵よりも、伊賀上野まつおよりも今はなき松江の松本蕎麦店よりも圧倒的に普通の家だ。普通の玄関に靴を置き附室のDKである板の間でしばし待つ。メインの座敷は8畳ほどで頑張れば8人座れるが、接客が困難であろう。なにしろご主人と奥さん2人で全てやっていた。手伝いの子もいるようではある。DKで待たせてもらっている間、ビールと酒で一献。30分後座敷へ。蕎麦と玄米ご飯を頼んだ(関西ではポピュラーな取り合わせ!?)。濃いめの色で素朴で野趣あふれる細切りの蕎麦である。玄米の旨さも忘れじの味だ。さすが月火水以外の平日は農業をやっているだけのことはある。控えめで素朴だが本物を供する他に例を見ないお宅、いやお店である。また次の機会にお邪魔したくなった。

(西尾)

大阪梅田 「竹生庵」

 今日は早く帰ろうと会社を出たまではよかったのだが、本町から千里中央まで素直に帰路につけるはずもなく、ついつい梅田で降りてしまった。どこの立ち呑み屋へはいろうか、地下街をふらふらしていると、「おおっ!!手打ち蕎麦の看板を発見せり。」つい顔がにんまりする。東京から大阪に転勤して間もない頃、蕎麦難民になってしまったと思い込んでいた私にとって、それは、タクラマカン砂漠で楼蘭を、いや、サハラ砂漠で黄金の都トンブクツーを発見したようなものだった。大阪駅前第2ビルの地下2F、カウンター8席のみの竹生庵は、ことのほか、つまみが充実している。丹波の黒枝豆、唐津のザル豆腐など、地名を絡めたメニューについ心がうきうきする。一頻り、酒とつまみを堪能したあと、十割り蕎麦を注文する。粗めの粉で打った蕎麦は香りもよく、すこぶる旨い。大阪でもこのような蕎麦屋が増えて欲しいものである。 (長澤)

(追記):大阪出張で夜入りである。まず、なにわ翁を目指したが、閉店20分前でなおも行列であったため、他を探す。大阪駅付近では大阪梅田「竹生庵」があるはず。会長長澤氏の解説文を頼りに探すが、大阪駅前第2ビル地下2階にはありません! 閉店・廃業かと一瞬思ったが、アバウトな会長のこと・・・・・・やはり、隣の駅前第3ビル地下2階にありました。カウンター席は8席から10席に変更、つまみの種類も多く、1人前の量で良心的な価格設定である。お酒は太平山(500円)、これで十分憩う。蕎麦は玄蕎麦挽きぐるみ(この時は細粒挽きか)でたっぷりの量でした。仕事帰りにまず寄ってしまいそうな店ですなあ。 (佐藤)

 

大阪 「なにわ翁」

 大阪での仕事を終えた。地下鉄御堂筋線に乗って、新大阪から新幹線に乗らねばならぬ。しかし2時間弱の余裕を設け、淀屋橋で途中下車した。官庁街を見ながら御堂筋を北へ。アメリカ総領事館の前には先頃の忌まわしい事件のせいで物々しい警備と添えられた花束が・・・。解らない事件が多い。ここで気を取り直し、領事館の角を右へ向かう。西天満四丁目。脇道の角に藍染めの屋号ですぐわかる。クリーンでこざっぱりした店内は、翁系の伝統か。町のソバ屋の雰囲気も持ち合わせており、落ち着ける。広いテーブルに案内され、ひとまず焼き味噌、板わさ&豊の秋で様子を見る。酒はグラスの猪口・徳利で来たが、角盆にのっては来ない。翁完全崇拝の作法とは少し違い、逆に安心感が増す。みんな同じじゃつまんないですからね。第一、つまみが充実している。そこで、蕎麦豆腐、鴨うま煮、汲み上げ湯葉を追加し、四季桜も追加。うむ、解してきた。急かされることもない。憩える。締めはもりそば。量が若干多めで、ほのかな甘さと程良い喉越し。僅かにもちっとした柔さだ。と、翁や他の翁系と比較してしまっている自分が情けない。ここは大阪の「なにわ翁」なのです。ソバをもう一枚追加。リラックスでき、お腹一杯に食べ、納得して店を出た。ここは、構えない誠実な店柄である。「翁」のそばがしっかり継承されているが、ちゃんと「なにわ翁」である。少し嬉しくなった。

(西尾)

大阪心斎橋 「かしわぎ」

 「どこか、いい居酒屋はないかな。」夕暮れの「みなみ」を彷徨する。正弁丹吾を気にしながら解す雰囲気の法善寺横町を過ぎる。戎橋も過ぎ堺筋方向へ・・・。渋い提灯が目に飛び込んできた。ぬぬっ、こんなところに蕎麦屋が・・・。カウンターのみの狭い店だが、
憩えそうである。まず、酒の品書きに目をやる。地元大阪の酒がずらーっと並んでいる。
全銘柄、制覇したいところだが、迷ったあげく、摂津、河内、和泉の地酒から1種づつ、3銘柄を注文する。おでんは十分に炊き込まれており、酒がさらにすすむ。さて、仕上げの蕎麦は・・・。ほどよい堅さでほんのり良い香りがするその蕎麦は、狭い止まり木で食すには旨すぎる一品だ。また、よい店を見つけてしまった。ほろ酔い気分、良い心持ちで店を後にした。

(長澤)

大阪 「蕎麦 たかま」 お店の写真

 大阪天神橋筋の商店街を抜け、7丁目方面へ歩くと、とあるビルの1階にふと、引き戸だけのお店がある。割烹か小料理屋か・・。いいえ、ソバ屋なのです。良くできた真新しい引き戸をおそるおそる開けると、狭いけど天井の高い異空間が現れる。分厚い杉の十人がけの大卓と四人がけ小卓のみ。ひとまず梅の宿&出汁巻きを注文。きれいな盆に大型のグラス猪口と徳利。ちゃんと正味一合あって、もうこれだけですごく嬉しい。八百円也。出汁巻きは、薄目の上品な出汁が利いており、卵の味をちゃんと出してくるタイプで、関東にはない、上品なもので生姜・辛み大根が添えられている。量も十分で丁寧な仕事ぶりの分かる逸品である。土塗り鏝仕上げの壁と杉の板壁。窓の取り方、生花の飾り。広くはない空間を非常にうまく、見せていて落ち着いて憩える。徳利が猪口とぶつかる音色がしんみりと心に響く。解してきた。さて、そばです。十割の盛りと田舎を頼む。かわいらしく丸く盛られた、かなりの細切りだが、まとわりつくこともなく水が切られ、喉越しにも楽しい。福井や黒姫等の玄蕎麦で打つらしいが、おそらく黒姫の新蕎麦か、さっぱりとした香りを楽しませ、胃の中へ。田舎は細切りで、殻のスパイス風味を楽しめます。各八百円也。勘定の時、馳走の旨に「いいおみせですね」と付け加えると、接客の奥さんが「ありがとうございます」と、本当に嬉しそうな明るい笑顔。印象的でした。老舗しがらみの無い関西にあって、若いこのお店の未来はこれからもきっと明るい。また訪れよう。

(西尾)

大阪天満 「大喜」 

 天神橋筋商店街は長い長い商店街である。大阪では千林商店街、針中野商店街とともに3大商店街に数えられているが、私の見たところ、東京の戸越銀座から武蔵小山に至る商店街の長さを上回り、おそらく日本一であろう。環状線を天満駅で降り、アーケードから狭い路地を入ったところに大喜はある。庶民向きの蕎麦屋という点では「東の翁庵、西の大喜」とでも言うべきであろうか。その共通項は昼間から酒がためらいなく呑めて、普通の蕎麦ではあるが、みょーに旨いということである。くつろげる店内もさることながら、周りの商店街の雑踏とマッチしたシチュエーションが良い。大阪は月花水のある生野本通商店街といい、庶民文化がまだまだ息づいており、ほろよい気分がよく似合う町である。

(長澤)

京都北山 「じん六」  お店の写真

 京都北山通。府立植物園、あるいは賀茂川を散策してこの通りに出ると気持ちいい。ごちゃごちゃせず色々なお店が点在している。そんな中、少しだけ奥まったところにお目当ての「じん六」はある。あるお方から、「京都に行ったらじん六へ行ってみて下さい・・・」との情報があり、何とか都合をつけて訪れる事が出来た。営業時間は11:45〜15:00。ぎりぎり3時前に入れた。仕事帰り会社の上司を含め4人で行ったのだが、ご主人が出てきて、「並もりでなんとか2人前しか蕎麦がありません、すいません・・・」とのことで丁重なる挨拶があった。まぁ、閉店間際に来たのだからしょうがないと、皆が気を遣ってくれて、蕎麦が少ないなら私が食べるようにと言ってくれた。感激である。しかし、せっかくなのでひとまず、酒と肴。この日の酒は、お馴染み「磯自慢」と知らないお酒で高知「あかの」純米。片口で供される。肴はそばがきとにしん煮。風味の出たそばがきも良いし、自家製にしんは酒との相性も素晴らしい。酒がすすまざるを得ない。ひとしきり憩った後にソバを頼んだ。なんと4枚出てきた。粗挽き2枚と殻なしのもり2枚。急遽粗挽きを用意してくれたのだろうか。またまた感激である。感激はこれで終わらない。ソバが蕎麦そのものである。細切りで量も十分のもりをつまみ上げた瞬間からただならぬ蕎麦の香りが鼻を突いてくる。味もまさしく本物の蕎麦だ。十割でもこんなに蕎麦自身の風味を大事に活かしきっている例は少ない。香りと旨味の深みが良くバランスしている。あー、解す。私の好みに合いすぎている。目が覚めた感じだ。つゆは控えめで蕎麦の味を浮き出させようとしているタイプ。また、粗挽きの方も十分なお味で、その日使用の玄蕎麦の産地の違いを、ご主人が教えてくれるがソバ自身も教えてくれる。さらにとどめはそば湯である。ポタージュ系で別製であろう。とろりと甘さとコクがありこれも蕎麦そのものが主役だ。満足した。これほど蕎麦自身の味を堪能したのは久しぶりだ。このお店はご主人の人柄か、真っ正直に蕎麦そのものの味を大事にしている真摯な姿勢が素晴らしい。私にとって、今後も京都に行ったら絶対にはずせないお店が新たに増えたのである。もっともっと期待できる。
 京都のソバ好き人は幸せだ。東京の名店などに行く必要があまりない。本物の蕎麦はじん六にあるのだから。

(西尾)

 

京都 「河道屋 晦庵」 凍結酒&つまみの写真 お店の写真

 ご存じの方も多いでしょう、京都の夏は非常に暑い。今年、盛夏の京都にまた来てしまった。何度来ても飽きない町である。さすが本物の都(みやこ)である。こんなに暑いと、自然と足は新京極の裏路地に向かう。目的地は無論、晦庵である。店のたたずまい・風情たるやそんじょそこらの造られた民芸風のお店とはずいぶん違う。これまたホンモノだ。間口の小さい入り口の暖簾をくぐると敷居の向こうに土間があり、その奥に坪庭的中庭、さらに奥には座敷のある棟がある。まさに鰻の寝床的空間に複雑な部屋割りと演出がなされている。奥の座敷からは獅子脅しのある池を眺められたりする。ここを訪れるのは2回目だが、今回4人衆で中庭の脇のこぢんまりとしたスペースに席を構えることが出来た。さて注文、ここでは暑い日=凍結酒である。つまみは地鶏の山椒焼き、にしん等。一人一本ずつの注文におばさんはびっくりしていたがこれが程良い量だ。酒が夏の暑さで解けるのを待ちながら山椒焼きをつまみつつ、ちびちびやる(あわててガブ飲みすると頭がキーンとしちゃう)。解しまくってきた。この山椒焼きに至っては初めてきた時感銘を受け、いまや我が家でもよくやる定番メニューとなったほどである。とにかく静かで趣があり、憩える素晴らしい空間である。追加を重ねひとしきり呑んだ。さて、蕎麦であるが今回は「鴨なんば」で締めた。やはりここでは種物が美味い。つゆが利いている。4人衆は満足し、外の厠で用を足し、鴨川ほとりの散策としゃれ込んだ。

(西尾)

 

京都東山 「虚無蕎望なかじん」 お店の写真

 京都での仕事を終え、東山三条の古川町商店街へと訪れた。この商店街がいい味をだしている。狭い路地にタイトな店が軒を連ね、京商人の柔らかな活気に満ちている。ここから商店街を下ると、100mほどでちょいと場違いな暖簾がある。そここそが「虚無蕎望なかじん」であった。店内はオープンキッチンのカウンターバーの様な感じでかなりモダンである。松扇とも土山人とも違う。独自性を目指した雰囲気だ。ひとまず冷酒を頼む。「往馬」大吟と「久寿玉」純米。それぞれ粋な片口にて供される。「蕎麦三昧」なるコースをお願いした。まず蕎麦粥。梅が一粒入っており、滋味である。胃腸の疲れを癒してくれる一品だ。2品目は粗挽き蕎麦。細く短くコマ切れた挽きぐるみに水切りを敢えて緩くしたモノで、塩をかけて食べて下さいとの解説が入る。そのままでも塩でも、石臼挽きの蕎麦の香りとストレートな風味が楽しめる。解す、旨い。3品目は、ふわふわのそばがきで酒がすすみ、これまたレベル高いお味で美味い。思わず酒を追加してしまう。締めはせいろであった。塩でとも言われたが、つゆにて啜った。殻は取ってあり、フィールドグレイのかなりの細切りで「よしの」のそれを連想させた。満足した。単品での蕎麦は1200円ほどで高価なので蕎麦三昧コースがやはりお得であった。京都の上品な新進気鋭の店。蕎麦の風味も大事にしており、気合いの入った野望と真面目さを感じたお店である。

(西尾)

 

伊賀上野 「まつお」

 初めて伊賀上野を訪れたときは、どこからか忍者が出てきやしないかと何となく緊張感がみなぎった。名所旧跡にも荒木又右衛門の36人斬りで有名な「鍵屋の辻」などスパルタンなものが多い。松尾芭蕉の生家のほど近くにある「まつお」はその町のイメージどおりストイックなお店である。なにしろメニューには「ざるそば」、「おろしそば」としか書いていない。酒はないのかと左党の私は店内をきょろきょろ見回した。戸棚の横にビールの空き瓶が置いてあったので、恐る恐るビールを注文する。ちゃんと持ってきてくれたのでひと安心。カウンターとテーブルで10人も入ればいっぱいとなる店内なのに、小さな座敷は一畳分はあろうかと思われる延し板で占領されていた。畳の上で蕎麦を打つ光景もなかなか良いものである。
 蕎麦もやはりストイックで良い香りと強いコシがある。量が多かったのでお代わりはしなかったが、店を出るとまた食べたくなってきた。全国どこにでも旨い蕎麦屋はあるものだと実感するとともに、そういう店をもっと探したいという衝動にかられてしまった。

(長澤)

広島竹原 「かんの」

 穏やかな瀬戸内海沿いを赤いホンダS2000で走る。適度なアップダウンのワインディングロードに思わずアクセルを踏んでしまう。助手席でオーナーの大坪氏が「おいおい、あまり疾ばすなよ」と言いたげな表情をしている。そんなことにはお構いなく、さらに、アクセルを踏み込む。心地よい瀬戸の風に吹かれながら、竹原の町に突入する。古い街並みを散策して、丁度、小腹すいてきたところに蕎麦屋を発見。まあ、観光地のことだからと期待もせずに店に入る。しかし、それは思い違いであった。蕎麦はすこぶる美味で、喉越しもよい。あっという間にたいらげて、満足感にひたることができた。そういえば、ここは広島県、蕎麦どころである。探せば、侮れない蕎麦屋が沢山あるかもしれない。暇があれば、そういう蕎麦屋発見の旅に出たいものである。

(長澤)

 

松江 「中国山地蕎麦工房ふなつ」  お店の写真

 島根県松江市郊外に2週間出張である。当然、出雲蕎麦を食しなければならない。仕事が早い時間になかなか終わらないため、田代氏推薦の一色庵ではなく、松江における蕎麦第1食目は此処となった。ところでこの店は島根県産の蕎麦粉を使うことで知られている名店である。まず、松江の地酒と卵焼きなどのつまみで様子をみる。店の雰囲気は老舗風で憩える(但し、座敷はない)が、お品書きや蕎麦メモ(産地、生産者)はポップな造りで少々妙な感じだ。蕎麦は、出雲蕎麦特有の割子蕎麦を食する。玄蕎麦からの挽きぐるみで角がしっかりとしたやや太めの、荒々しい田舎蕎麦である。そばつゆを薬味の上からかけて食べる。旨い。日頃、笊盛り蕎麦に慣れているせいか、割子蕎麦は新鮮である。つゆ自体は、付け汁よりは濃い味だが、割子蕎麦には丁度いい加減である。通常、割子は3段であるが、量的には十分である。ほかの蕎麦やつまみの品数も豊富なため、もう一度、時間があるときにじっくり堪能してみたいものだ。帰りに店内でA4版150頁ほどの「おいしい出雲そばの本」をお土産に購入する。

(追記): 2001年11月20日夕方に再度訪れる。松江駅からは近くないのでバスが便利。周遊バスでぐるりと松江市内を廻った後、たどり着く。酒は地酒の王禄の無濾過生純米を頼む。これは、最近、日本酒通には知る人ぞ知る酒である。他にも定番の「豊の秋」や珍しい「都の花」などがある。酒のあては、いろいろ用意されているが、「玉子焼き(出汁巻きではなく正に玉子焼きである:二人前300円とは泣かせる!)」と「あたたかとうふ:300円」とする。もうこれだけでかなり解してくる。出雲蕎麦屋は概ねストイック(純蕎麦屋)で酒のつまみが少ない店が多い様だが、ここは酒飲みに優しく酒のつまみも充実している。割子蕎麦は挽きぐるみで角のしっかりした普通打ち。汁をかけて頂くと、薬味不要のベストバランス!今のところ、出雲蕎麦はここの蕎麦が一番好きだ。
ところで、この店には、出雲蕎麦の他に普通の「ざる」もある。これは丸抜きを粗挽きの挽きぐるみ細切りしたものといった風情のもの。不思議な粘りのある味を感じる。これも是非試してほしい。松江の銘店である。

(佐藤)

 

松江 「神代そば」

 出張の間、土日も仕事であったため、最後の日の午前中をそばと観光とし、まず、朝食は「神代そば」のそばとした。JR松江駅から北へ20分ほど歩き、豊の秋の酒造元である米田酒造(工場)の前を通って10:00に入店する。お品書きには酒と蕎麦しかない!ストイックである。そこでまず酒(豊の秋)を所望すると、蕎麦猪口(に似た器?)で供され、蕎麦味噌が付いてきた。これで暫く様子を見る。店の雰囲気は老舗の街の蕎麦屋といった風情である。まだ時間が早いため、店内には他に客はいない。店内はテーブル席が24〜28席程度と左奥に小上がりがあり、2卓8席程度である。蕎麦はまたも割子を食す。やや太めの生粉打ちで、つるつるとはいかず、もぐもぐと食す。割子は通常薬味をかけて、その上から濃いめのつゆをかけるため、蕎麦自体の風味が弱いと蕎麦が負けてしまうが、此処の蕎麦はそんなことない。酒のつまみなどないため、長居はしづらいが、出雲蕎麦をじっくり味わってほしい店である。

(佐藤)

 

松江 「一色庵」

 島根県民会館の前にあり、古い町家をそのまま使っており土間と坪庭がある店です。松江には出雲そばの店がたくさんありますが、私はここが店の雰囲気も含めて一番好きです。もちろん、そばは出雲そば独特の割りごがおすすめです。

(田代)

松江 「献上そば」

 天神さんの近くにある店。私の実家は松江です。毎年、大晦日には年越しそばをとるのですが、この店に頼むことが多いのです。というのも、祖母がここのそばの触感とつゆのあじが好みだからなのです。祖母は80をこえていますが、ここの年越しそばは割りごで4〜5枚は軽くいけます。大晦日の夕方に車でそばを取りに行くと、バイトの学生らしき人たちが忙しく働いていて、大晦日の雰囲気を盛り上げてくれます。持ち帰りでもちゃんと割りごの器に入れてくれます。ちなみに、祖母は市内でも有名な蕎麦屋のそばはかたくてすかんといい、献上蕎麦のちょっと軟らかめのが好きだと言っています。

(田代)

松江 「上田そば店」 

 松江市内のまさに街の蕎麦屋である。高級感は全然ない。憩えるかといえば、酒に酔えば憩えるかなといったところである。店内は狭いが、入ってすぐ左に小上がり(4人分)がある。他にテーブル席が16人分で計20人で満席。まず小上がりに陣取る。お品書きを見ると蕎麦とうどんがメインで残念ながらつまみはない。酒は国暉の普通酒を頼むと、コップで一升瓶から注いでくれた(¥400)。天ざる用の天麩羅を酒のあてとする。普通ならこれだけで解してくるが、あまりにも街の蕎麦屋なのでやはり憩えるところまで達しない。蕎麦は太さがかなり不揃いだが細めの挽きぐるみ系の出雲蕎麦といったもので、冷水でしっかり締めている印象だ。結論、ここは、松江市民のまさに「街のお蕎麦屋さん」であって、蕎麦食べ歩き人はよそ者である。

(佐藤)

松江 「松本蕎麦店」 賛

 もう何年経つのだろう。10年ほどか。これが最初で最後の出雲蕎麦ショックでした。地元の田代氏に連れられ、訪れた。街に馴染んだ店の引き戸をあけて店内へはいると片側に座敷があり、年季の入った店内の様子は出雲蕎麦の、またこのお店の気の遠くなるような歴史を物語っていた。いきなりそば湯が急須で出てくる。旨い。割り子は5段で食べたのだが、黒々としっかり打ってある蕎麦は蕎麦の野趣ある風味とコシでカルチャーショックそのものでした。汁を好きなだけかけて無心にガツガツ喰らった。これで、出雲蕎麦=松本蕎麦店という式が私の頭にインプットされた・・・。
 「出雲蕎麦」そのものに触れることが出来る貴重なお店だったが、今はもう何年か前に店じまいをされ、その歴史に幕引きをしたようだ。寂しいが、一色庵などの直系のお店が伝えてくれるのだろうと信じています。

(西尾)

大社町 「平和そば」 お店の写真 店 内 そば

 出雲そばの本拠地大社町にはあちこちに蕎麦屋が点在する。普通ならどこへ入ろうか、大いに迷うところだが、今回は地元出身の新宮氏という心強いナビゲーターがいる。平和そばも地元のとある方のご推薦とのことである。店に入るとそんじゅそこらの料亭ではとても太刀打ちできないであろう広い座敷に案内された。あまりのゆったりとした空間にくつろぎ度は最高潮に達する。酒と冷や奴、出し巻、その他諸々の大量のつまみを注文して、至福のひとときを過ごす。出雲地方は「溜まり醤油」が定番らしく、冷や奴ひとつとっても味わいが深い。ああ、蕎麦に行き着くまえにお腹一杯である。それは、あまりにも安い価格のせいである。最後のちからを振り絞って蕎麦をすする。だがしかし、しっかりした香りの蕎麦は、なぜか、すいすい喉をとおっていった。「ああっ〜満足じゃ。」二人は、今にも寝転がってしまいそうな居心地のよい座敷の誘惑を振り切りながら、帰路についた。

(長澤)

高松 「丸ふく」

 四国の玄関口高松は讃岐うどんのメッカでもある。讃岐うどんも好きなので、まずうどん専門店で笊うどんを食す。水沢、稲庭等うどんにもいろいろあるが、うどんは讃岐がやはり旨い。さて、讃岐うどんの本拠地高松であえて蕎麦屋を開いている店とはどのような蕎麦を食べさせる店であろうか。笊蕎麦はごく普通の手打ち風、江戸風の蕎麦である。さすがにうどんを食した後ではつまみなどいろいろ堪能するわけにいかなかったが、関東人がうどんに飽きたとき立ち寄ると良い蕎麦屋である。

(佐藤)

山形次年子 「七兵衛そば」 お店の写真 ソバの写真


 山形は蕎麦街道にある七兵衛そばは町営の蕎麦屋さんである。その証拠に店休日は村の行事がある日と書いてある。この店がある次年子という妙な地名は、冬に子供が生まれても雪が深いため、次の年までお上(役所)へ出生手続きに行けなかったことから付いたものだそうだ。昔の生活の不自由さとともにおおらかさが伝わってくる。
 公民館のような店内で長テーブルに腰掛けると、きのこあえや山菜の漬物のようなものなど3品のつまみが付いた蕎麦セットが運ばれてくる。このつまみがなかなかいけるので、ついつい酒をおかわりしてしまう。蕎麦は素朴そのもので江戸蕎麦のような洗練さはないが、その香りと口に頬張ったときの充実感がたまらない。蕎麦を何回おかわりしても均一料金1,000円なのが、また嬉しい。訪れた日は客が少なく、寝こんでしまえるほどくつろげる座敷(居間と言ったほうがよいかもしれない)が広がっていて、ここでもまた解してしまった。

(長澤)

遠刈田温泉 「新楽食堂」

 ある冬の日、私は、遠刈田温泉にいた。目的は「そば」・・・・ではない。「湯治」・・・・でもない。ある調査の仕事で派遣されたのである。今回の調査団には、現地に詳しい人物も同行しており、調査地にほど近い場所に「鴨そばの旨い店」が在るとの同人物の言により、「新楽食堂」なる店に昼食を所望しに向かった。店の構えは、田舎駅の近隣に在るような大衆食堂を思わせるたたずまいである。店内は骨董品と壁に貼られたサイン色紙によりさらに田舎駅の大衆食堂ぽさをかもしだしている。冬の寒さで冷えた体ゆえ、調査団の団員はみな一様に鴨そば(温)を注文した。出て来た鴨そば(温)は、そばの太さが5〜7mm、鴨肉とハクサイが入っていた。そばは、その太さゆえか歯ごたえが良く、また香り味とも良いものであった。鴨肉もジューシーでうまい。そしてハクサイ。鴨の出汁を十分に吸い込み何とも言えない旨味を醸し出している。後日、鴨そば(冷)も食したがこちらも良い味であったことを付け加えておく。

(久保倉氏寄稿)

仙台 「八重車」

 仙台にはうまい蕎麦屋が無いとよく聞く。隣国の蕎麦街道の山形、わんこ蕎麦の岩手、会津蕎麦の福島と比べて宮城はやはり東北における蕎麦の空白地といった所であろうか。そんななか仙台市街地にも希少な本格的手打ち蕎麦屋はある。それが八重車だ。最寄り駅は仙台地下鉄北四番町駅で、歩いて5分ほどのメインストリート(48号線)の裏にある(少々わかりにくい)。店内は中央がテーブル席、左手が座敷、右側が厨房となっている。つまみにそばがき、板わさなどを食しつつビールで様子を見た。なぜ酒ではないのか。お品書きには単に「お酒」としかなく、安価であったためである。ところで、肝心の蕎麦は、粗挽きもりそばを注文する。量が多すぎると一瞬思ったが、これは並木藪と同様に笊が裏返しになっていたのである。それでも量は十分多く、うれしい。味もなかなか気合いが入っており風味豊かなものだ。値段もリーズナブルだと記憶している。気になったのは、これだけの蕎麦を出す店にしては客が少ないことだ。仙台には蕎麦喰いが少ないのだろうか。是非ともがんばって欲しいものだ。

(佐藤)

 

博多 「信州蕎麦 むらた」 新店の写真  旧店の写真 写真2(憩うA氏)

 九州博多。櫛田神社に一参りし、飾り山笠の勇姿を拝む。この近辺に「やまのぼせ」は一体どれ位いるのだろうか。7月の山笠期間中は仕事にならんだろう。ということで、参拝後やって来ました移転新装開店になった「むらた」へと。随分きれいにクリーンな店内となりました。ホール、厨房ともスタッフも多い。若い女性らを女将さんが操り、昼前にしてみるみる混み始めた店内をさばいています。座敷も広くなった。とりあえずカウンターに陣取り、鳥わさ&嘉美心で様子を見る(西の関がラインナップからはずれており、ちょっと残念)。ここは、ソバ屋定番つまみも充実しているのだ。ぬきもメニュー化されているのに驚く。外を見れば、あっという間に待ち客の列が・・・。やはり昼憩うのは困難である。中休みなしであるので夕方早く来た方が良いだろう(夕方酒蕎徒で3時間居たこともあります・・長っ尻し過ぎか)。急かされるように今回は蕎麦を頼む。せいろで十分。細身の粗挽きだがあっさりとしている味わい。量も多めで2枚で満足。つゆも美味い。博多に来る際は必ず寄るが、川っぺりの旧店舗が好きだった。ちょっと商売繁盛過ぎかもしれませんね?店内動線もちょっと後付けっぽい。しかしながら九州にて一杯やりながら本格蕎麦を供してくれる有り難きお店なのです。櫛田神社の後にちょいと寄るには、まさしく「渡りに舟」です。

(西尾)

 

福岡 「はたえ」

 親不孝通りから西に折れると、とあるマンションの1階には数軒の解しそうな店が並んでいた。2軒手前の地鶏の炭火焼き屋に目を奪われながらも一番奥の目的の「はたえ」へはいる。蕎麦屋なのに曲線を描いたカウンターの中にはなぜか天麩羅鍋が置いてあった。客が皆、天麩羅で一献やっていることで納得する。
 まずは酒の種類に目をやる。種々の純米大吟醸銘柄が並ぶ中に普通の立山があったので注文。次に肴のメニューに目をやる。「鰹のたたき」の文字が飛び込んできた。「今日は鰹からか〜。『ふんどしを質においても初鰹』いいねえ、日本人ってのは。ふふ〜ん。」という乗りで注文。これが、ひのきの葉で燻したという絶品で得も言ず良い香りがした。続いて鳥わさを注文。温かいダシに浸された鳥わさには小ネギが山のようにのっていて、酒がすすむ一品である。最後にせいろを注文。蕎麦は手挽きの手打ちで香りが高く、なかなかいける。少々値は張るが、蕎麦も肴も質が高い解す店であった。今度は天麩羅を食べに来ようと心に誓い、帰路に着いた。

(長澤)

 

福岡県遠賀郡 「村の下」 お店の写真

 久しぶりに長澤氏が我が家を訪ねてきたので妻と三人で蕎麦を食しに車を走らせた。冬の日の昼下がり、車窓に降り注ぐ陽の光が柔らかくわれわれを包む。折角だから郊外の落ち着いた店が良い。北九州を離れ、水巻町に入る。この辺だったろうかと心細くなった頃、田んぼの向こうに鎮守の杜があらわれる。神社の横に目指す蕎麦屋があった。車を降りると烏骨鶏の親子がわれわれを迎える。こころが穏やかになる。店は古い民家をそのまま使っている。玄関から広い土間を通り座敷に案内された。まずは冷酒と鴨の燻製、冷奴をたのむ。雪見障子越しに庭を見ながらの一杯に時がゆっくりと流れていく。解してきた。次に長澤氏は盛りを、妻はざるを自分は鴨南そばを頼んだ。程なく長澤氏のもとには鈍く黒く光る太麺が妻のもとにはつややかに白く光る細めんが運ばれてきた。そのコントラストが何とも美しかった。三人は笑みを浮かべながら黙々とそれらを食した。店を出るとまた烏骨鶏の親子がわれわれを見送ってくれた。解した冬の日のひとときだった。

(石川氏寄稿)

 

佐賀県富士町三瀬峠 「風羅坊」 お店の写真

 福岡は早良の里から山を登る。三瀬トンネルを過ぎるとすぐ右手に風羅坊がある。行列を辛抱して店に入る。ひとりのため、相席となり、お向かえさんには若い女性の二人連れが座った。メニューは3品の蕎麦料理からなるコースのみである。まずは、どぶろくを注文し、蕎麦を待つ。「んっ!この酒は・・・。来ましたね、いきなり・・・。」爽やかな甘さと酸味が口一杯にひろがる。酒が旨いとつい蕎麦を期待してしまうのは私だけではあるまい。向かえのお二人さんも私の様子に看過されたのか、どぶろくを注文していた。「蕎麦屋はよく行かれるんですか?」一方の女性が話かけてきて、軽い蕎麦談義となった。1品目は季節の変わり蕎麦、冷たい出汁がかかっており、すこぶる旨い。2品目はせいろである。香りとコシの強い蕎麦はなかなかいける。3品目の蕎麦がきもかなりレベルが高かった。
 最後に「ここ以外においしい蕎麦屋さん、教えてくださいよ。」との彼女たちのリクエストに応えて、当ホームページのURLを教えて店を出た。

(長澤)

佐賀 「なか原」

 国道34号線嘉瀬川の手前にその店はあった。佐賀平野のど真ん中、周りは一面「田んなか」である。和風ではあるがアバンギャルドな色調の店だ。今回はちょっと車で寄っただけなので、酒は呑まずに「さるそば」だけにしたが、「窓の梅香梅」等、地元の解す酒が並んでいた。蕎麦は細めでコシがあり、佐賀にもこんな旨い蕎麦があったのかとカルチャーショックを受ける。変わり蕎麦も充実している模様。次回は憩えそうな奥の座敷で一献かたむけようと再来を誓った。

(長澤)

 

佐賀鹿島 「西乃蔵」 つまみの写真 店内の写真 お店の写真

 その店は文字とおり蔵であった。佐賀県鹿島市浜町は蔵の多い町である。情緒のある裏路地には2、3軒造り酒屋が軒を並べ、ますます解してしまう。ゆっくりと散策したいところだが「西乃蔵」に入る。天井が高く薄暗い店内は蔵独特の雰囲気だ。お酒を頼むと付け出しに蕎麦の刺身が付いてくる。山葵醤油つけて口に運ぶと、これがまた「もっちり」とした舌ざわりで旨い。他にはつまみがないので、さっそくざるそばを注文する。蕎麦は香りが高くしっかりとした歯ごたえがあり、すこぶる快感である。その勢いにまかせて地鳥南蛮まで頼んでしまった。たね物もなかなかおつな味がする。夜には蕎麦懐石もあるようなので、また訪れねばなるまい。

(長澤)

 

大分都町 「出雲そば」 

 大分市都町。そこは酒飲みの街。市の規模から考えると随分広い歓楽街である。いかに大分市民が夜の宴会が好きかが伺い知れる。私もこの街で幾度となく蝉になったり旗振り隊の酒徒と化したものである。そんな晩の締めは、茶漬けかラーメンか蕎麦かである。午前1時を回っても開いている、ありがたーいソバ屋が「本場手打 出雲そば」である。久しぶり(8年ぶり位)に店内へはいると、やはり歓楽街の長丁場を戦い抜いた強者どもでお店は一杯である。みんな安堵の表情で蕎麦をかっ喰らっている。私は直前のバーでやった75度のラム酒カクテルが効いていたので軽く3段割り子にした(1段170円)。ここでは酒のメニューはないのだ。機械切りと思わせる細身の黒々とした蕎麦と薄目のそば湯が胃の腑の疲れを癒してくれる。大分一の夜の街に居着く、気が利く優しいソバ屋。この街にずっと居着いていて欲しい。

(西尾)

熊本 「大石本店」

 店は白川のほとり、熊本市電河原町停留所から歩いて数分にある。熊本の老舗である。肥後蕎麦の本家だそうだ。外観は小さいながらも老舗の雰囲気は十分だ。店内は、右手前に座敷、左にテーブル席があり、雰囲気は街の蕎麦屋風である。座敷に上がり、時期が夏であったため、まずビールと板わさで様子を見る。蕎麦はざるを食す。この蕎麦は肥後蕎麦と呼ばれるものであるが、蕎麦自体は特に特徴はない普通の手打ち蕎麦で、つゆに特徴がある。赤酒と呼ばれるものが入っており独特の風味である。特別旨いとも感じなかったが、好きな人にはたまらない味なのであろう。

(佐藤)

 

宮崎 「哲 心」 お店の写真


 数年前。帰省の折、客人を伴って哲心へと行った。元来このお店は天ぷら屋でソバ屋であることをあまり知らなかった。この店よりも路地の対面にある、チキン南蛮発祥の洋食屋「おぐら」についつい行ってしまってたのでした。哲心に入れば、左にカウンターと揚場があり、客は一杯。蕎麦コーナーはずっと奥を右に入った土間である。全席禁煙。今日はリッチに海老天麩羅蕎麦を食す。解す。エビ天が旨い。さらに主役のそば。香りが大変よろしい。11月という新蕎麦の季節をいやでも教えてくれる香りだ。何ら関東の蕎麦との遜色はなく、むしろ上回っていると感じる。うーん、なぜに自分の生まれた南九州のこの地にこのような旨い蕎麦があるのか。うどん&ラーメン類のはずだと思っていたが。帰省の度に訪れねばならない店がまた一つ増えてしまった。

(西尾)



宮崎 「しみず」 お店の写真

 数年前、帰省の際、東京行きの便まで時間があったので、評判のこの店に兄貴に連れられ昼イチで訪れた。コンクリート打ち放しにドア一つというシンプルな外観だが洒落た感じもする。中にはいると整然としたソバ屋。広くはないがゆとりは感じる。早速浦霞を一本。板わさ等とムカゴ天を楽しみ、せいろを。既に限定の十割生粉打ちは売り切れだったので通常のものを頼んだ。見るからに一茶庵風と分かる色と盛りつけ具合。関東の御仁も落涙を禁じ得ないとの意味が分かる。とても南の果てに今自分が居るとは信じがたい。九州宮崎侮り難し。次回は良い季節に来たいものだ。

(追記):2000年晩秋、家族3人で行った。2階の座敷で突き出しの山葵茎漬けに三千盛。さらには焼き味噌、天ぷら盛りといき、最後に生粉打ち(800円)2枚で締めた。昼から酔うには丁度いい塩梅で、北海道・茨城・地元えびの高原産の玄そばを使い分けた生粉打ちは、蕎麦の香りを初冬の息吹とともに体内へ吸い込ませ、私のような蕎麦好きを「解すワールド」にいざなった。

(西尾)

 

・その他

 

 

 

 

カレーなる酒蕎徒四人衆メンバープロフィール