・・・野草を育てるには実生を原則に・・・

・山草会に限らず最近は野草を育てて楽しむ人が多くなって来ています。野山で可憐な草花を目にした 時など、もう一度見たい、身近な所で育てて見たいと言う気持が湧いてくるのはごく自然の事かも知れ ません。しかし、そうした気持だけで野の草花を庭や鉢で育て様とするのは、無謀ではないでしょうか。

・何気なく咲いている野草でも、いろいろと調べて見ると実生してから花が咲くまでの株に成長するまで 長い年月にわたり環境との競り合いがあり、適応できた結果なのです。殆どのものは成長の過程で戦 いにやぶれ姿を消してしまいます。ですから、例えば1000粒の種子の中の1個しか親株に成長出来 ない、と言うような見方が出来るのです。

・しかもその野草が希少種であったり絶滅が心配されているとなると事は深刻です。現在まで多くの貴 重な草花が心無い採集によって身近な所から姿を消してしまいました。従って、植生への影響を最小 限にと考えると野草を育てるには実生を原則に考えるべきです。自生地とは異なった環境に適応した 丈夫な苗を育てるには実生でしか適わない事だと思います。

・管内的にも希少で滅多に見られませんが、町内でもわずかに自生しています。  貴重な野草ですので決して採取してはいけません。
・しかし、実生は容易で採集した種子を秋の内にピートバンや鹿沼土にまき乾か  さないように冬季間氷漬けにしておくとほぼ100%発芽します。
・実生苗は後にポットに移植し充分光に当てて育てると丈夫な苗に育ち、庭でも  可憐な花を見る事が出来ます。
・・エンビセンノウ・・ 日高レッドリスト・・絶滅危機種
・かっては日高南部の海岸の岩場に普通に見られましたが、最近は目にふれる  事も少なくなりました。自生地よりも民家の花壇などで目にする機会が多い。
・最近気付いたのですが庭にあった一株の根元に実生の苗がびっしり発芽して  いました。秋に落ちた種子が越冬して芽を出したものです。
・実生のテストはしてませんが、この分だと発芽も容易なのではと思います。  また、この植物は葉挿し芽挿しも容易で非常に育てやすい植物です。  
・・ヒダカミセバヤ・・ 日高レッドリスト・・絶滅危急種
・利尻島の岩礫地でコマクサと同じような地形に自生する草で、自生地では多年  草ですが平地では秋に枯れるので栽培は実生で育てます。
・発芽は容易ですが植え替えを非常に嫌いますので、芽が成長の過程で間引い  て苗を仕立てます。
・画像は春に花壇の隅に蒔いた種子が発芽して成長したものです。現在試験栽  培中ですが、予想通りポットに移したものはほぼ全滅状態です。
・・リシリヒナゲシ・・ ― 
・別の名を名月カエデとも言い秋の紅葉が一際素晴らしい所から、庭木として  も良く利用されています。
・9月頃良く充実した種子を採取し冬期間地中に保存したものを春に蒔くと発芽  率は良く60~70%程で可愛らしい幼苗を育てる事が出来ます。
・秋の取り蒔きも可能で冬期間凍結していたものも同程度の発芽率でした。 ・しかし、この種子は乾燥させてしまうと発芽しないそうです。
・・ハウチハカエデ・・ ― 
・海岸の自然環境が荒れ果てて最近は殆んど姿を見る機会の少なくなった海浜  植物の一つです。一昨年十数年ぶりにこの草とであい実生に挑戦しました。
・秋に採取した種子をポットに蒔きつけそのまま雪の下にしていたら、春四月に  見事に発芽、ほぼ100パーセントの発芽率です。
・地温や培養土の関係なのか、成長は思わしくなく花を付ける迄にはどの位の  期間が必要かはまだ不明(試験栽培中)です。
・・ハマベンケイソウ・・ ― 
・最近は様々な園芸種のサクラが植えられて見事な花を咲かせていますが  北海道の自然環境に適応して一番丈夫に育つのが、エゾヤマザクラです。
・注意するとサクラの木下で幼苗が育っているのを目にする事がありますが  小さな黒っぽい実を採取し冬期間地中で保存し春に蒔いて見ました。
・発芽率は50%程でしたが、小さな芽をだしすくすくと成長しています。  花を咲かせるまでには何年かかるでしょうね。
・・エゾヤマザクラ・・ ― 
・固体数が少なく滅多に目にする事は有りませんが草深い雑木林の中での  ベニバナヤマシャクヤクは繊細で不思議な魅力を感じます。
・一昨年前から、このベニバナヤマシャクヤクの実生に挑戦して見ました。  この種子は発芽に二年かかるとか、秋に種子を採取し植木鉢に植え込み
・二回目のこの春に見事に発芽。ほぼ100%の発芽率で一斉に可憐な子葉を。  この先、花を咲かせるまでには何年かかるでしょうね。
・・ヤマシャクヤク・・> 日高レッドリスト・・絶滅危惧種
日高レッドリスト ・絶滅危機種 絶滅の危機に直面している植物        12種
          ・絶滅危惧種 絶滅の危機に瀕している植物         13種
          ・絶滅危急種 絶滅の危機が増大している植物        41種
          ・希少種    個体数が非常に少ない植物           85種
    152種  ・留意種    植生の推移に留意が必要な植物        1種

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