2日目:4月29日(日) 曇りのち雨


菰釣避難小屋5:20…菰釣山5:45/6:10…大栂6:45/7:00…
織戸峠7:50/8:00…椿丸8:35/8:55…山神峠9:40/9:50…
林道10:10…水ノ木橋10:25…大棚橋10:40/11:20(周辺探索)…
切通橋11:50/12:00…切通峠12:05/12:20…平野13:55




 寝ては覚め、寝ては覚めの繰り返し。小鳥の声ですっかり目が覚めたのは4時30分頃。チチィー、キュルルル、ポポー、・・・小鳥の声がうるさいほどだ。外は薄明るくなっているが、白いモヤにおおわれている。


 支度を整え小屋を出たのは5時20分。菰釣山の山頂でお湯を沸かし、しょうが湯とドーナッツの朝食。

 昨夜の調理で余った生キャベツをかじっていたら、大室山からの登山者が上がってきた。山伏峠から御正体山に向かうという。「標高がある分、登り返しが楽だろう。ここら辺のバスは当てにならないから・・・」と言って、ブナノ丸方面に向かっていった。
早朝の菰釣山は薄いガスに包まれていた


 食事の終えたボクも6時10分には出発だ。

 背の高い笹ヤブも昨日通ったばかりで慣れている。ザックが大きい分一汗かいたが、6時45分には大栂に到着。

 薄いガスにおおわれたピークにブナが幻想的に佇んでいる。辺りに小鳥の声が充満しているにもかかわらず、とーっても静かな印象だ。

 苔むした倒木にザックをおろし、ボケーッと15分近くも過ごしてしまった。
小鳥の声が充満しているのに、静かな印象


 出発は7時ちょうど。

 植林帯をゆるく下り7時4分には分岐に着く。今日は右手の植林帯の中、織戸峠方面を目ざす。

 急な尾根道をザクザクと下る。土の感触がやわらかく踏み跡もはっきりしている。
右手の尾根に織戸峠方向を示す青テープあり


 7〜8分ほど下ったところで尾根の分岐に出た。右方向は太い尾根、左方向は植林帯の真ん中。踏み跡は何となく左方向の方が濃いようだ。地図を出して確認。左方向に進む。斜面を2〜3分で尾根に乗ることができた。笹がうるさく茂っているが踏み跡はしっかりしている。


 左手に富士見峠に続く尾根、右手に先ほど分岐した尾根を見ながら、笹と植林の尾根道を下る。

 何回か尾根の分岐に出るがそのたびに周りの地形と磁石、そして何より踏み跡の濃い方で判断しながら進む。
笹の茂る植林帯を下る


 下るに連れ、緑がだんだん濃くなってきた。

 ここら辺りのブナは勢いが良い。空に向かってスックラと枝を伸ばしている。その姿は「生きる喜び」を全身で表しているようだ。
スックラ伸びるブナが多い


 7時40分、小さなピークに出た。大きなモミが3本ほどたつピークの右方向に赤テープのマーキングがある。今までは原則的に左へ左へと歩を進めてきたが、ここで右方向に進路を変える。


 狭い尾根を下って落ち葉と笹におおわれた十字路に出た。朽ちたベンチと朽ちた標識。十字路の向こうに比較的新しい「織戸峠」の標識がぶら下がっている。

 7時50分織戸峠に到着。茂り始めた葉が椿丸方面の眺望を隠していたのが不安であったが、ここまでは無事に到着。
くっきりと「織戸峠」の文字


 地図を見ると、織戸沢からの林道と富士見峠からの林道がこの近くまで上がってきている。これらの林道はいつかこの峠でつながるのだろうか。

 今は道標も朽ちて破片しか残っていないが、かつてはこの峠もきっとよいハイキングコースだったに違いない。(昭和40年代のハイキング地図にははっきりしたルートが載せられている)。

 今は困難だと言われている地蔵平−富士見峠−織戸峠−馬印(水ノ木橋)のルートも、いつか機会があれば歩いてみたいものだ。
ヤブにおおわれてはいるが、十字路になっている


 8時出発。正面の尾根に取り付く。辺りが明るい自然林に変わる頃、正面に鹿ネットがあらわれ、その向こうに権現山のどっしりとした山容が見えてきた。

 左手ネット越しに屏風岩山から権現山に続く尾根を見ながら100mほど進むと尾根は右に分岐し、ネットから離れてヒノキの植林帯に入る。左はヒノキの植林帯、右は新緑のまぶしい自然林。

 植林帯を抜けると左斜面が伐採された尾根に出る。法行沢の深い谷間の向こうに権現山が高い。正面の椿丸を目ざし一歩また一歩。


 8時35分椿丸北尾根分岐。

 ここにザックを下ろし100mほど東よりにある椿丸山頂を往復。

 山頂そのものは立木にショッキングピンクのテープが巻き付けられただけの平凡なピークだが、北尾根分岐と結ぶ尾根の北側は木々が刈り払われて素晴らしい眺めだ。
椿丸・北尾根分岐にザックをおろし…


大栂方面を見る。これは今日辿った道 富士見峠方面を見る。これは昨日辿った道


 大栂から織戸峠を結ぶ稜線、昨日辿った大栂から富士見峠に至る稜線、そして権現山から屏風岩山に続く稜線が手に取るように眺められる。畦ケ丸や菰釣山が雲に隠れているのが惜しい。

 椿丸山頂から更に東に伸びる尾根に踏み跡がある。838mから南に折れ780mを経て更に南東に向かい、浅瀬に降りることができるのだろうか? ここも機会があれば訪ねてみたいルートだ。

 北尾根分岐で大休止する間にも、地図と磁石を使っての山座同定に忙しい。


 8時55分出発。方向を西に変え、上り下りの少ない尾根道を進む。右手に植林左手に自然林のプロムナードコース。

 尾根はゆるく左にカーブし、更に坦々と続く。

 辺りが明るい自然林に変わる準平原的な台地は、時間があればいつまでも寝ころんでいたいような気持ちよい所だ。
緑あふれる気持ちよい尾根道を行く


 9時25分尾根の末端に出た。踏み跡は尾根から離れ急な斜面を南方向に下っている。

 急坂を一気に下ると、下方にオレンジ色の屋根が見えた。山神峠だ。立派な社(やしろ)の中に石で作られた山の神が祀られている。

 9時40分に到着。
人も入らない山奥に立派な社がある


 社の右側に尾根に続く踏み跡がある。ここを辿れば尾根道を通って山神悪沢取水口に至るはず。社の正面(東側)杉木立の中に薄い踏み跡らしいものがある。そして西側は荒れた感じの沢の源頭部になっている。

 さて、まだ時間は早い。地図を取り出して考えた。尾根道を通って浅瀬までは2時間から3時間程度だろう。もう少し西丹沢を知っておきたい。出来たら切通峠まで歩いてみたい。・・・この誘惑に負け、荒れた沢を下って大棚林道に降りることにした。もちろん林道までの最短距離であることと、大きな滝はないとのヨミもある。


 腹が決まれば実行だ。9時50分に出発。

 ザレた斜面をザザッと下ると2〜3分で固い川床に出た。V字谷の荒れた沢を更に3〜4分下ると、右手からの沢と合流し、少しずつ流れも出てきた。

 流れを飛び石伝いに下ると小さな堰堤の上部に出た。右岸に踏み跡がある。「ほう、この沢を歩く人もやはりいるのだ」。難無く越えるとすぐ下に白く光る林道が見えた。

 10時10分、以外にあっさりという感じで林道に降り立つ。
V字状の谷を下る


 ここから延々と林道歩きが続く。荒れているかと思ったら意外なほど立派な林道だ。この付近の林業経営に盛んに使われている感じだ。

 10時25分水ノ木橋。右手に水ノ木林道が伸びている。この林道は菰釣橋で分岐し一方は水ノ木沢の上流へ、もう一方は金山沢の上流に向かっている。

 許可された車しか入れないことがちょっぴり残念。
立派な林道をたどって水ノ木橋へ


 水ノ木橋から10分ほどで「大棚の滝」の看板があった。「落差30m 左7分」との表示もあったが、一般観光客のほとんど訪れないこの山域に、この看板は何の意味があるのだろう?


 10時40分大棚橋。地図を見て、ここから丸尾山に登る取付きの見当をつけておこうと考えた。

 橋を渡って大棚沢右岸に降りる。エアリアで言えば「大棚橋」と黒字で書かれた「大」あたりの尾根はどうだろう?
大棚橋から大棚沢を見る。この右岸を偵察


 橋から100mほど上流に向かい、左手の尾根に取り付いてみる。

 ヤブの中すぐに鹿ネットがあらわれた。支柱がこちら側を向いているのでネットに沿って歩くこともできない。いったん河原に降り、更に上流に向かう。左にカーブした岩をヘツるように越え、岩の突き出た尾根の突端から取り付いてみた。やはり鹿ネットに阻まれ越えることが出来ない。

 こんな感じで30〜40分もねばったが、ついに取付き点を見つけることができなかった。

 靴を脱ぎ大棚沢を渡渉して対岸の林道に這い上がる。ちょっと時間を取りすぎてしまった。切通沢橋に11時50分。取付き点を見つけられなかったことと、長い林道歩きに疲れを感じ、ザックを投げ出すようにして小休止。それでもリンゴをかじり、チョコを口にしたら少し元気が出てきた。12時、再び歩き始める。


 左手に1007mから丸尾山に至る稜線を見ながら林道を登り続ける。

 普通の道だった林道がアスファルト舗装の林道に変わった。山深く入ったのになぜ?

 12時30分、送電線の真下で林道と別れる。正面の立木に巻かれた赤テープのマーキングに従い、細い道を進む。
林道と別れマーキングのある正面の道を進む


 道はすぐに左に折れ、今は細い流れと変わった切通沢を越えて普通の登山道に入る。林道歩きより登山道の方がよっぽど歩き応えがある。足に優しいし、何よりも標高を稼いでいることが実感できるからだ。身近に感じる緑も嬉しいし・・・。

 2番目の送電線の下を抜けると峠は近い。自然林が植林帯に変わり正面にあらわれたT字路を右に向かう。


 12時5分切通峠に到着。コブシ(モクレンかも?)の花が満開だった。

 鉄砲木ノ頭方向に少し登ってザックを下ろす。木々の間から見えるのは西丸〜東丸だろうか。すぐ間近に丸尾山から続く1068mも見えている。これらの峰もいつか訪れたいものだ。

 残ったリンゴをかじりながら、地図を眺めてあれこれのコースを思い浮かべる。晩秋か初冬の頃、いつかきっと訪れよう・・・と。
切通峠の道標は四方を指して賑やかだ


 12時20分だいぶ軽くなったザックを背負い、平野に向かう。V字型の道を5分も下ればブナやカラマツの広がる気持ちよい平原になる。すぐにグランドの脇に出た。左手は鉄砲木ノ頭に続くなだらかな丘陵地。

 テニス場があちこちに点在している。若い人や白髪の人が楽しそうにプレーしている。静かな、本当に静かな山旅を続けてきたボクにとって、これらの歓声がすごく懐かしい。

 13時55分平野。さてバスの時刻は? と時刻表を見ようとしたら富士吉田行きのバスが入ってきた。乗り込んだ途端に発車。あれあれ、冷たいビールで乾杯と思っていたのに・・・。バスの外はいつの間にか雨。


 14時10分、旭ケ丘で乗り換え。バスの時刻を見たら今度こそビールで乾杯だ。と思ったら、バス停に着くと同時に御殿場行きのバスが入ってきた。

 待たせていたタクシーに乗るようにバスの乗客となる。
あわててバスの乗客となる。旭ケ丘で…


「申しわけありません。大渋滞のため、このバスは大幅に遅れています。○時○分発三島行きの電車に間に合いませんので、ご了承願います。」

 車内アナウンスがあった。大幅に遅れたために、ボクは待ち時間もなくバスに乗れたわけだ。少々の待ち時間はあってもビールを飲みたかったのだが。

 バスの中で少し眠ったようだ。目を覚ましたらいつのまにか御殿場駅に着いていて、大半の乗客が降りているところだった。寝ぼけ眼で一番最後に下車。「忘れ物はありませんか?」運転手に声をかけられてしまった。

 駅舎に上がり切符を買う。次の発車は・・・? おや15時15分だ。あと10分後、本数の少ない御殿場線だ。乗ってしまおう。

 松田駅で降りる。小田急線は本数が多い。やっとビールにありつける。駅前の食堂に入ったら、登山者でいっぱいだった。空いている席を見つけてギョウザと野菜炒めにラーメン、もちろんビールも・・・。

 プハーッ! 待ちに待ったビールが旨い。





この山域は、webhikerさんに紹介されて以来、ずっとあこがれの場所でした。そして期待通りの素晴らしい山々でした。ただしヤブや木々の葉が茂り始め、時期的には遅かったように思います。11月後半からから4月前半頃の雪の無い時期だったら最高の山旅を味わうことができるように思えました。


今回もwebhikerさんの山行記録に大変助けられました。また山頭火さんのレポもとても参考になりました。家に帰ってから雨畑さんのHPも読み返し、大栂や椿丸の記録に納得したり、丸尾山の取付きのボクの間違いにも気づくことができました。先輩の皆さん方に深く感謝しています。


今回の山行で、西丹沢の歩きたいコースをまたいくつも見つけることができました。そのいくつかは晩秋から初冬にかけて実現させたいと思っています。これからも s−ok のホームページをよろしくお願い致します。


一部改定:2001.10.22




1日目 2日目



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