研究会の進行についての要望書

 

今後の労働契約法制の在り方に関する研究会
座長  菅 野 和 夫  殿

2005年7月5日

日本労働弁護団     
会長  宮 里 邦 雄


  1. 貴研究会は、「中間とりまとめ」に基づき、第2ラウンドの審議を急ピッチで進めておられます。現在公表されている日程からは8月末乃至9月頭に「最終報告書」を提示し、9月後半には最終報告を公表するとのスケジュールを予定されているようにも思われます。

  2. しかし、短期間であったにも拘らず、「中間とりまとめ」に対して、多くのパブリックコメントが寄せられた事実からも、労働契約法制について、その直接の当事者となる労働者・労働組合、市民さらには経営者が多大な関心を有していることは明らかです。他方、パブリックコメントにも散見されるように、「民事法としての労働契約法」の意義についての基本的理解が十分に浸透しているとは言い難い状況にあり、この点はこの間の私共の学習・講師活動においても痛感されるところです。50数年にわたり、個別労働関係は、労基法そして労基署という考え方がしみ込んでいる労働者・労働組合にとって、民事法としての労働契約法の正しい意義を理解するのに困難があることは労基署等が相談行政をも行うこととなったことと相まって、理解できるところです。
    また、「中間とりまとめ」では、労働契約法の必要性は説かれているものの、その理念について十分な論議がなされたとは窺えないばかりか、まさに雇用の入り口から出口までの多数・多岐にわたる個別項目が検討されており、短い時間でこれらを全て検討することも労働者・労働組合にとって容易なことではありません。
    さらに、労使委員会決議にみられるように、その制度の枠組みを十分に検討せずに、権限付与だけを先行させたといわざるをえない提起は「中間とりまとめ」に対する理解と評価につき、大きな疑念を引き起こしていると言わざるをえません。

  3. 貴研究会は私的な研究会とはいえ、研究会の見解は今後の公式の審議会審議に影響を与えるものです。これまで労働法体系に存在しなかった労働契約法という全く新たな領域についての全般的な立法を構想するからには、その内容如何が労働契約に重大な影響を与えることに思いを致し労働契約の当事者たる労働者と使用者の理解を得つつ十分に時間をかけて研究会の論議を進めるのが適切であると思料します。この点については労使の代表的団体からも同旨のパブリックコメントが寄せられているところであり、予め設定したスケジュールに固執することなく、当事者たる者の理解と納得を得られるような進行をされんことを強く要望いたします。