日の名残り 1994年 英 監督 ジェームス・アイボリー 出演 アンソニー・ホプキンス エマ・トンプソン
アンソニー・ホプキンスは間違いなく、この作品が最高傑作でしょう。そして最高の演技が見られます。この執事の
自分に課せたストイックさと、そういうセリフが後半まで出てこないのに、彼の本音や弱さが一瞬、見え隠れする芝居
は圧巻。これは彼にしか出せない演技でしょう。しかしイギリスの俳優は厳格な役をやると上手い役者が多いのに驚
く。映像の色彩感も素晴らしく、イギリス映画の底力を感じずにはいられない。
★★★★☆☆
IP5 1993年 仏 監督 ジャン=ジャック・ベネックス 出演 イブ・モンタン オリヴィエ・マルティネス
白人青年と黒人の少年が旅の途中に、レオンというまるで神の使い手のような不思議な老人と知り合うのですが、
青年は好きになって間もない女性に会いに行く旅をしており、老人は、昔の恋人の幻影求める旅をしている。この
奇妙ともいえるまるで世代の違う3人の旅は、森の荘厳さと相まって、ゆっくりと且つ不思議な感覚で展開していく。
る 森のシーンがいい。静かな感動を呼んでくれる名作。尚、イブ・モンタンはこれが遺作となった。
★★★★☆☆
二十日鼠と人間 1992年 米 監督 ゲイリー・シニーズ 出演 ジョン・マルコビッチ ゲイリー・シニーズ
20世紀初頭。農業しか知らず農業でしか生きていけなかった青年2人の悲劇を描くエリア・カザン原作の映画化。
鼠をいつも片手に持つ知恵遅れの青年の面倒を見ながら、共に生きていく生活を心無い人や運命が彼らを襲っ
ていく。ラストが余りに哀しい。ジョン・マルコビッチの演技には釘づけ。監督したG.シニーズの手腕にも驚かされる。−
★★★★☆
運動靴と赤い金魚 1999年 イラン 監督 マジッド・マジディ 出演ミル=ファロク・ハシェミアン バハレ・セッデキキ
1999年度のアカデミー賞で「セントラルステーション」や「ライフイズビューティフル」と並んで外国語映画賞にノミネ
ートされたイラン映画。上2作も感動の傑作だが、それより感動した映画がこの作品。不注意で妹の唯一の靴を
なくしてしまった兄。新しい靴を買ってもらいたくても、そんな余裕は家にはないのだ。1足の靴を交代で履く兄妹。
そんな時、兄は学校のマラソン大会で3位になると運動靴がもらえる事を知る。。こんなに優しく、切なく、そして、
はらはらする映画は本当に久しぶりです。素晴らしい作品です。心洗われるとは、この作品です。
★★★★☆
エーゲ海の天使 1993年 伊 監督 ガブリエーレ・サルヴァトレス 出演 ヴァンナ・バルバ ディエゴ・アバタントォーノ
第2次大戦中、ギリシャの小さな島に流れ着いたイタリア兵士達。世間の情報の途絶え、人間らしさ生活の中に埋も
れていく彼ら。激動の時代のはずなのに、まるで切り離されたように平和に過ごす彼らのエピソードを明るく描いてい
く。風景、映像、音楽、と全てが素晴らしい名作。
★★★★☆☆
テルマ&ルイーズ 1991年 米 監督 リドリー・スコット 出演 スーザン・サランドン ジーナ・デイビス
ロードムービーといえば、それまでは男同士。または男女ものと相場は決まっていたが、それを打ち破るかのような
女性同志のロードムービー。得てして失敗作に成り得そうな設定を覆した快作だろう。スーザン・サランドンの存在感
はもちろん素晴らしいが、徐々に変化していくウェイトレス役のジーナ・デイビスの変化が心地いい。しかし、人間とい
うものは心を開放した時は犯罪に走るものなのか?ただ落ちていくだけじゃない設定は、男同士、男女間よりは女性
間の方が説得力があるという点では成功している作品だと思う。
★★★★
サイダーハウスルール 2000年 監督 ラッセ・ハレストレム 出演 トビー・マクガイヤ マイケル・ケイン
人間の人生の選択と経過していく人生を優しく描いたハレストレム監督らしい秀作。名作マイライフ・アズ・ア・ドッグか
ら続く人生を現実のはかなさを淡々と優しく描く事で定評のあるハレストレム監督らしい名作。僕は90年代では、ギル
バートグレイプが良い作品でありながら、今1つ思い入れがなかったが、これはいい。ラストシーンが優しく心に響きま
す。
★★★★
バタフライキス 1998年 英 監督 マイケル・ウインターボトム 主演:アマンダ・プラマー/サスキア・リーブス
神に殺される事を願った女と、その女を愛した女のロードムービー。シリアルキラー、ラブストーリー、ブラックコメディ、
そのいろいろな要素が巧みにブレンドされた傑作!心に残る印象的なセリフが実に多く、息を呑むほどに素晴らしい。
特に、アマンダ・プラマーの存在感が凄く、切れていて、冷静、自分の事は分かっていながら、その奇行のの意味さえ
分からない哀れさを巧みに演じている。フィッシャーキングなどでは分からなかった彼女の魅力満載だ。
★★★★☆☆
記憶の扉 1996年 監督 ジュゼッペ・トルナトーレ 出演 ジェラール・ドパルデュー ロマン・ポランスキー
ニューシネマパラダイス等の一連の作風で知られる同監督だが、この1作だけは全く色合いが違う作風だ。始めの
30分位は薄汚れた建物でだけの設定の舞台劇の様で、面食らうが、それが何故なのか、その真意が分かった時、
愕然とする。ラストは僕の様に読めるかも知れないが、それは問題ではない。そのテーマが何だったかを考えれば
それまでのオノフと警察署長のやりとりが実に計算されつくされたセリフの応酬であった事に驚嘆するからだ。
★★★★★
不滅の恋ベートーベン 1995年 監督 バーナード・ローズ 出演 ゲイリー・オールドマン イザベラ・ロッセリーニ
人生涯独身だった偉大なる作曲家ベートーベン。その彼が愛した女性とは?単なる伝記ものに終始せず、3人の
女性を巡るストーリーにした事がこの作品を傑作にした所以であろう。巧みにベートーベンを演じるゲイリー・オール
ドマンが素晴らしく、演奏シーンのみならず、仕草1つにも鬼気迫るものがある。音楽が素晴らしいのは言うまでも
ない。サントラがまたいいんだ、これが。
★★★★☆
スモーク 1995年 米 監督 ウェイン・ワン 出演 ハーベイ・カイテル ウィリアム・ハート
ハーベイ・カイテル扮するタバコ屋のマスターは1人を気楽に生きている。そこに現われる人々の珠玉じゃない?
エピソードがいい。人生は、ウソがあるから面白い。登場人物がすべて胡散臭く、でも誰1人、実は憎めない。人な
んてそんなものだよと、教えてくれるかのような作風が面白い。僕はこの映画を見て禁煙してた煙草を再び吸うよう
になりました。味わいのある映画とは正にこの映画の事。−
★★★★☆
桜桃の味 1998年 イラン 監督 アッバス・キアロスタミ 出演 ホユマン・エルシャディ
何処からともなく来た中年男が自分の自殺の手助けをしてくれる人を探す奇妙な展開が観るものを釘づけにするが、
誰もそんな頼みは人間として受け入れるはずがない。しかも自分が土の穴の中にいるから翌朝、土をかけてくれさ
えすればそれでいいというのだから、尚更の事だ。このお互いの人間模様が心理を垣間見える様で考えさせられる。
この発想と視点は特筆ものだ。
★★★★☆l
世界中がアイラブユー 1997年 米 監督 ウッディ・アレン 出演 ゴールディ・ホーン ウッディ・アレン
ウッディ・アレンがミュージカルに挑戦した実に小粋な作品。実に楽しく、やはりウッディ作品は粋なコメディがベース
にあってこそ脚本が生きると痛感。コメディの中にほろ苦さを提供してきたアレンだが、今作は徹底してハッピー。
すべてが楽しい。90年代の、アレンの間違いなく最高傑作でしょう!映画手法とはいろいろなものがるが、心を豊か
にしてくれる栄養剤、正にそんな代名詞のような痛快作だ。正に映画!ウッディに酔い給え!
★★★★☆
レッドバイオリン 1999年 加・伊 監督 フランソワ・ジアール 出演 サミエル・L・ジャクソン カルロ・チェッキ
僕の大切な1本となった作品。5つ国にまたがる人々に“レッドバイオリン”と呼ばれた名器の数奇な運命と謎を描く。
ある国では神童の体を貪るバイオリンとして、ある国では天才バイオリニストの人生を狂わす存在として、持ち主を
破滅に導き、次々に持ち主を代えて行く。しかしバイオリンはあくまでモノでしかなく、それを手にした人間が変貌して
いくというストーリー。音楽は美しさと残酷さを描き出している。
★★★★☆☆
CUBE 1997年 加 監督 ヴィンチェンゾ・ナタリ 出演モーリス・ディーン・ウィント
本当に久々に刺激を受けたというのはこの映画の事だ。発想や展開が斬新で、映画手法にもまだこういう手があっ
たかと感嘆させられる。 全く知らないお互い同志6人が密室に閉じ込められたところから物語は始まる。その閉じ
込められた部屋は一辺が5メートルほどの立方体であるが、しばらくすると彼らはその立方体の部屋がまるでルー
ビックキューブのように、しかも膨大な数の部屋が連続してつながっていることに気付く。そこにはある法則があった
・・・・。出口はあるのか。。
★★★★
愛と哀しみの旅路 1991年 米 監督 アラン・パーカー 出演 デニス・クエイド
第2次世界大戦下、日系2世の女性とアイルランド移民のアメリカ人の恋物語を軸に、その家族を丁重に描いた
優しさと残酷さ、民族の違い、労働階級者、戦争に翻弄された運命、それらを甘くなく正面から描いている傑作。
特に、半分近くは日本語のセリフで、得てして陳腐になりがちな日本人やそのライフスタイルを見事に描いている。
アラン・パーカーはさすがだ。切なさを呼び起こす映像も作品をより良いものにしている。
★★★★
ジェイコブスラダー 1991年 米 監督 エイドリアン・ライン 出演 ティム・ロビンス エリザベス・べーニャ
ベトナム戦争帰りのジェイコブは日常的な幻覚に悩まされている。現実なのか。夢なのか、全く区別がつかなくなっ
ていた。サイコスリラー仕立てであるが、それが違う事を知らされる。この手の映画に全くもって弱い僕は結末が
読めても引き込まれていった。今「自分」の現在位置に危うさを感じている人は注意。足元が揺れてきます。そうい
う作品です。この監督の最高傑作ではないでしょうか。
★★★★☆
スリングブレイド 1997年 監督 出演 ビリー・ボブ・ソーントン
カールは幼い頃ある理由で母親を殺してしまった。精神的障害のあるカールは州病院に入れられる。そして、25年
経った今、カールは病院を退院することになり、普通の生活に戻ることになった。そしてまじめに働き、ある少年と
親友になる。しかし少年の母に対する恋人の仕打ちは酷いものだった・・・・。そして、その男に対して殺した自分の
母親の不倫相手を重ね合わせ苦悩する。後半カールが覚悟していくシーンに胸が詰まる。ラストというよりラスト前
のいかに少年を大事に思っているかを語るシーンに号泣した。ヒューマニズム溢れる名作。−
★★★★☆
リトルヴォイス 1999年 英 監督 マーク・ハーマン 出演 ジェーン・ホロックス マイケル・ケイン
ブラス!に次ぐ新作。今1つ好きになれなかった前作と比べ、今作は人物描写が見事だ。マイケル・ケインが秀悦で
アカデミー賞受賞したサウダーハウスルールより断然いい。ブレンダ・ブレッシンも素晴らしい。だが、何といっても
主演のジェーン・ホロックスなくして、この成功は有り得ないだろう。何て魅力的なんだ。僕はすっかり魅了されちゃい
ました。ほろ苦さも忘れないラストの演出もいい。大好きな作品です。
★★★★
八日目 1997年 ベルギー・仏 監督 ジャコ・ヴァン・ドルマル 出演 ダニエル・オートゥイユ パスカル・デュケンヌ
ダウン症の青年と仕事中毒の会社員との交流を通して、障害を越えた人間のすばらしさを表現する感動の1作。
決して、ファンタジーの領域に逃げ込まず、ジョルジュを現実に直面させた上で救済して様は切なさと同じに温かい
感動も呼ぶ。実際ダウン症のパスカル・デュケンヌの演技は釘付けにさせられる。アリーの娘の誕生祝いと、恐らく
は自分たちの顧みられない可能性の為に、即席のお祭り騒ぎを引き起こす場面は、可笑しくも美しい、映画史上
屈指の名場面です。あの乱れ飛ぶ花火の美しさ、その下で花火の照り返しを受けて見つめあうアリーと娘達の姿に
は、涙を禁じ得ませんでした。また、それを許してくれる映画でもありました。
★★★★
愛が微笑む時 1994年 米 監督 ロン・アンダーウッド 出演 ロバート・ダウニー・ジュニア エリザベス・シュー
タイトルからすると恋愛ものと勘違いされてしまいそうで、観ていない人も多いのではないかと思う作品ですが、この
世に想いを残したまま死んでいった4人のゴースト達が自分たちと入れ替わる様に生を受けた子にだけ見える天国
にも召されていない中途半端な場にいた。20数年後、思いを果たす為の20数年間だった事を彼らは知り、その期
限が後少しな事も知る。彼らは限られた時間の中で思いを遂げられるのか。。これぞファンタジー映画の教科書。
とにかく涙なしでは見れません。しかしロバート・ダウニー・Jrは上手い。チャーリーでもそれは実証済み。
★★★★
セントラルステーション 1999年 仏・ブラジル 監督 ヴァルテル・サルス 出演 フェルナンダ・モンテネグロ マリリア・べーラ
定年後、代筆屋で生計を立てる主人公。やっている事は哀れな行為で本人も哀しい中年女だ。この女が、決心をし、
生まれてから1度も会った事がないという少年の手紙から父を探して少年と旅に出るロードムービー。当初、イヤな女
で共感を持てないのだ。哀しいしい女である事が分かってくるが、その描き方があるから、愛と優しさに目覚めていく女
にラスト引き込まれていくのだ。“秘密と嘘“とか、この手の主人公には弱い。文句なしの名作だと思う。
★★★★
| 難しいが敢えて付けるランキング 1990年代BEST 作品 1位 記憶の扉
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