映画の師!黒澤 明 |

クロサワ、日本でいや、世界で巨匠と言われる存在ですが、そんな事はどうでも良いのです。
僕はひたすら、クロサワ世界が好きで好きで、作品を愛してきました。
それは作品の凄さ、素晴らしさに尽きますが、ただ、闇雲に素晴らしいといっても、これを読んで
いる人には伝わらないので。具体的に伝えていきたいと思います。
まず、何故、クロサワが世界中のジョージ・ルーカスやスティーブン・スプルバーグを始めとする
ほとんどの巨匠といわれる監督から尊敬されているかを考えてみると分かり易いのです。
1つに、作品のスタイルの幅広さと、どの世界でも1級品の世界を作り上げた事です。
どんな偉大な巨匠監督たちも、せいぜい1つか2つ、のスタイルが得意なもので、そのジャンル系
の作品を多く作り、更に評価されるものです。例えば、スピルバーグならSFとファンタジー、人間
ドラマといった風な。
ところがクロサワはジャンルが広いのです。例えて言えば、“赤ひげ”でヒューマニズムを描き、
“用心棒”“椿三十郎”で徹底的に娯楽作に徹し、“羅生門”で人間の心の奥をを赤裸々にえぐり、
“七人の侍”でアクションと人間の誇りを描き、“蜘蛛の巣城”“乱”でシェークスピアを描き、
“生きる”で死と生の喜びを描き、“悪い奴ほど良く眠る”で政治汚職を描き、“天国と地獄”で極上
のサスペンスを描く。
これは、ただ、器用貧乏なのではなく、どの世界も1級品である、それぞれが独特の世界観があり、
尚且つ、クロサワらしさも共通しているのです。そこが凄い!
こんな映画監督は古今東西、世界中にいないと思います。ここまでの多種多様で個々の作品を
極め、全部が名作の域まで達している人は。
2つは、脚本の素晴らしさです。クロサワは兼ねがね、脚本の書けない監督はダメと持論を言って
きた人でもあるのですが、その完成された構成やセリフには舌を巻きますね。本当に考えに考え
脚本だと実感します。脚本自体は共同執筆が多いのですが、それは1人の発想より、違う見方を
取り入れ、より完璧を目指した為だと思います。演出以外には多くの才能を用い、信用できるスタッ
フ体制を取っていたのも、ひたすら良い作品を作ろうとする一心であったと思います。
3つは、演出です。ここまで徹底した完全主義者は、スタンリーキューブリックとクロサワ以外知り
ません。1番は恐らくクロサワでしょう。自分の望むものを撮る為に、例えば、自然な天候になるま
で1ヶ月も撮影を中断する・・・・といった具合。これは一歩間違えば、監督のエゴ、わがままになっ
てしまうが、しかし、それは間違いなく作品に必要であり、グレードを上げていたとスタッフも後年、
語っている。そう、完璧なものは存在しないというクロサワの持論だが、それに一歩でも近づける
のは当然であるというのが彼の主張だ。だからこそ、これだけの名作が出来たのである。
4つは、絵と映像です。元々、画家を目指していたクロサワですから、絵的な世界の拘りは凄いし、
その美しさは、比類なき者です。絵コンテも自ら随分描いてますし、なので、その映像感は独特で
斬新で、目を見張るものが多いのです。
まだまだ、他にもクロサワの素晴らしさは、もちろんありますが、主なところは上の4つであると
思います。
僕の黒澤 明ベスト20本
| 1位 | 七人の侍人の侍 | 時代考証は正確に、しかしエンターテインメント性を忘れずに、丹念に作り上げた日本映画の
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| 2位 | 生きる | 主人公の葬式から始まる脚本の構成が凄い。ブランコのシーンは号泣。自分がなんの為に
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| 3位 | 羅生門 | この展開を誰が想像したでしょう。芸術そのもの。雨、雨、雨。
黒澤的芸術の最たるもの。
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| 4位 | 用心棒 | 最高の娯楽映画。展開の妙。何といってもミフネに尽きる。高度に完成されたスナップショット
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| 5位 | 天国と地獄 | 無駄のない台詞、高い美意識がかおる映像。長回しによるカメラワークがすごい。和製サス
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| 6位 | 赤ひげ | この映画は目が全て。赤ひげが最初に登場するシーンの目。涙とユーモアの配置のうねりが
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| 7位 | 悪い奴ほど良く眠る | かなり気持ちのいい映画ではない。だが,これほど心を揺り動かされる映画も少ない。時代
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| 8位 | 隠し砦の三悪人 | シビれるほどの興奮を感じさせる大活劇!時代劇が嫌いな人にもオススメできる一編。
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| 9位 | 生きものの記録 | 動物的カンがあるから、原爆の危機を敏感に感じる。このプロットがスゴイ。鬼気迫るラストが
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| 10位 | 乱 | 黒澤明が描く滅びの美学。美しい映像が哀しみをより深める。数ある「リア王」の中でこれが
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| 11位 | デルスウザーラ | 黒澤明がソ連に招かれて撮った超大作。20世紀初頭、地誌調査で大森林に分け入った
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| 12位 | 椿三十郎 | 三船敏郎の演技が最も充実している頃の作品で、殺陣シーンは特に凄い。何とも痛快で
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| 13位 | 影武者 | 後年の作品で十数年ぶりの本格時代劇。黒澤映画という感じがする、やはり壮大ですさまじ
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| 14位 | 蜘蛛巣城 | シェイクスピアのマクベスをベースにした作品だが、完全に黒澤世界。能を思わせる役者の
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| 15位 | 夢 | 構図だけでも映画は出来ると立証した作品。日照り雨と水車で十分と言える映画だ。映像
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| 16位 | どん底 | 江戸の場末の長屋に暮らす、様々な人々が織り成す人生模様を描いた1作。ゴーリキーの
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| 17位 | 八月の狂詩曲(ラプソディー) | ドキュメンタリーのような淡々とした流れを終わりの歌でまとめ上げたかのような世界は、はっ
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| 18位 | 酔いどれ天使 | 映像の緊迫した表情に黒澤らしさがあふれている。カッコウワルツのシーンは凄い。最後の
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| 19位 | まあだだよ | 黒澤明の遺作。名文筆家・内田百聞とその妻や弟子たちの交流を通じて、人情の機微を
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| 20位 | 醜聞(スキャンダル) | 新鋭の画家とソプラノ歌手とのスキャンダルを軸に、愚劣なマスコミに立ち向う弁護士の
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| 七人の侍に映画のすべてを見た!! 映画とは何か?そう問われたら、僕はこの作品を1も2もなくあげる。SF的で恐縮だが、もし宇宙人が 地球に来て、映画とは何ぞやと聞かれたら、クロサワの“七人の侍”こそが映画というものだと、答える という事だ。 それはどういう事かというと、映画というのはいろいろな要素が入っている芸術ですが、長い歴史の中 で、ジャンルとかテーマというものがあると思います。アクションに徹した映画もあれば、ドラマもある。 そういう意味で七人の侍という作品は、その映画の持っている要素がほとんど持っている作品だから です。それは具体的にいうと、人間ドラマであり、アクション映画であり、スペクタクル映画であり、恋愛 映画であり、家族映画であり、戦争映画であり、リアリズム映画であり、コメディ映画であり、サスペンス 映画であり、ミュージカル映画であるのである。・・・・・・あげたらキリがないくらい、映画そのもののあり とあらゆる要素が入っている。素晴らしい脚本と音楽は言うまでもなく。 だから、この1本でイコール映画なのである。そう言い切れるのである。 芸術と娯楽 |