2003年2月に観た映画


                     1票のラブレター  ウェルカム!へヴン  裸足の1500マイル  小さな中国のお針子 
                     レッドドラゴン  アレックス  ふたりのトスカーナ  猟奇的な彼女  ロード・オブ・ザ・リング
                     呪怨  


                    <呪怨>

                <ロード・オブ・ザ・リング>

                  <猟奇的な彼女>

『猟奇的な彼女』を観て来ました。
そこそこの良質のラブコメディであるのは間違いないと思う。だが、どうにもこの女優がとても猟奇的はおろか、キツイ女には見えないのだ。男の子が引いてるだけで成り立ってはいるけれど、見ていて面白みはあるものの、可愛さとキツイ面の2面しか印象が残らない。僕には無理ばかりが目に付いちゃって・・・。良質ではあるけれど、引き込まれる事はなかったなあ。彼女の外見に魅力をまるで感じないのもそうさせているかも。皆、可愛いって言うけど本当かなあ??脚本の役柄はGOODなのだけどね(^^)。
むしろ彼が振り回されながら、彼女を深く受けとめ、更に、問題を修復しようと試みる姿はとても良いし、おまけに笑いまで取っているのだから良く考えられた演出だ。
「前半」が面白いという評価が多いが、僕は、そのお陰で「後半」が面白くなってると思い、「後半」が結構良いと思ったし、ベタではあるけれど、「延長戦」もああいう終り方は好きだな。

                  <ふたりのトスカーナ>

『ふたりのトスカーナ』を観て来ました。
両親を事故で亡くした幼い姉妹が、裕福な伯母夫婦に引き取られるところから物語は始まる。
これぞイタリア映画!つづれおる真実の悲しみが伝わる秀作だと思う。前半と後半の対比は非常に面白く、見事だ。あの「蝶の舌」を思わせる流れと言ったところか。ただ、この映画の方が流れはスムーズだ、問題である、ユダヤ人の事は実は本編後半まで出てこない。ここがミソだ。
情報も少ないこの時代や、先が見えない戦時である、主人の自尊心と、町の人から慕われる事が悲劇に向かわせるが、決して愚かではなかったと思う。良く考えると愚か者なのかもという指摘もあるだろうが、それは余りに単純なものの見方であろう。
しかし、物語の基本は、この美しい風景と、そこで無邪気に遊ぶ子供達で、ユーモア溢れるエピソードも多い。
主人、イザベラ・ロッセリーニ扮する伯母さん(奥様)との新しい家族として過ごす毎日、交流、優しさ溢れた物語がずっと続く。このまま、このまま終っても充分、秀作なくらいの出来である。だからこそ、ラストに向かう悲劇が強烈な印象を残すのだ。

                    <アレックス>

『アレックス』を観て来ました。
素晴らしい!こういう風ま言い方をすると陳腐に聞こえるかもしれないけれど、彼女がレイプされ復讐をするという、この1つの出来事(大変な事実ではあるけれど)だけで、ここまで強烈な1つの映画になってしまう事がまず凄いのだ。
確かに観る側に嫌悪感はあるだろう。しかし、これだって間違ってるけれど、間違いなく人間の行為の1つなのであり、ましてや人間しか行わない行為なのである。
現実が厳しいものなので、人々は映画というものにハッピーな安心感や安らぎを求めるというのも分かる。もちろん僕もその1人だ。しかしながら、辛い嫌悪感を感じてしまうものを否定する権利はない。嫌悪感だから評価しないというのは間違いである。好き嫌いの嫌いでいい。だが、このリアル感は映画芸術の賜物なのである。
映画について語りたい。
時間軸が逆行している作品であるが、この主人公たちが近い未来に悲劇が起こる事を知らない皮肉さと、未来は決まっていると口にする皮肉さに集約されている。当然、時間軸が逆なので痛いシーンから、元の愛のシーンに変わって行くのだが、その移行が映画的に美しいとまで僕は感じてしまった。グロさや異常さをメインに出し、またそれが得意なギャスパー・ノエ監督であるが、元に遡る事によって、昇華され、愛し合う2人が裸で求め合うシーンが、本当に美しく感じた。普通なら単なるセックスシーンがである。この監督は只者ではない。ちゃんと愛を知っている監督である。

監督、脚本、撮影、編集、音楽、キャスティング、とギャスパー・ノエは拘りに拘っている。冒頭の映像には酔いが回りそうだし、いきなりタイトルバックでやられるし、あの肉屋の親父が何故か出てくるし、唖然として言葉も出ないくらい。極め付けがクライマックスシーンがくる!ヴァンサン・カッセルの切れっぷりは凄まじいし、モニカ・ベルッチは余りに体当たり演技だ。単なるレイプじゃない卑劣さに輪をかけた犯し方に、嫌悪感を通り越し、観てる側は哀れさを感じるのだ。モニカ良くやった!しかしマレーナといい、この作品といい、何故、彼女はいたぶられ役ばかりなのだろう?美と醜の女優なのか?
そして、このモニカ扮する役名がタイトルでもある「アレックス」。そう、あのキューブリックの「時計じかけのオレンジ」の主人公と同じ名前だ。ネーミングは間違いまく意識したものだろう。(そういえば「2001宇宙の旅」のポスターも登場する)
異常性や、変態性の強い映画でも傑作はある。過去に名作はいくつかある。間違いなく、この「アレックス」はそのうちの傑作と同列に語って良い作品である。傑作だ。

                   <レッドドラゴン>

『レッドドラゴン』を観て来ました。
「羊たちの沈黙」のようは知的な会話の応酬も、「ハンニバル」のようなグロさも、希薄で、結構、物足りないのですが、全体的には、まあ楽しめました。サスペンスフルな要素が増えてましたね。
まあ、主役がエドワード・ノートンという感じで、それが前作以上にそうさせているのかもしれませんね。
ただ、頭のいい人が3人出てきて、それぞれが絡む訳なので、それは楽しめたですね。レクター氏(A.ホプキンス)は、活躍度が低いせいか、静かで不気味な感じが1作目のように感じられました。レイフ・ファインズは、あの“目”で異様さも見事に体現して成り切ってましたね。E.ノートンも上手い。
こうなると、続編はあるかどうかは??ですが、自由になったレクター博士の大きな仕掛けも、見てみたい気もします。

                 <小さな中国のお針子>

『小さな中国のお針子』を観て来ました。
素敵な映画でしたねえ。これは、しみじみ心に残る映画という感じです。
文化大革命の嵐吹き荒れる70年代初期の中国の、片田舎(というより山)が舞台だけど、しかし、いくら田舎で、&西洋技術の発達が遅れてたとはいえ、今から30年ほど前の近年で、目ざまし時計を知らない民族と言うのは驚きだった。凄い後進国ならともかく、お隣の中国で・・・。その中での、都会から来た若い男2人と、地元のお針子の、友情と愛と“新しい文化”の物語だ。
元々、原作がフランス語で書かれていて「バルザックと小さな中国のお針子」なので、このバルザックを始めとする文学が1つのキーポイントとなる映画でもある。
秀逸なのは、男2人と女1人の描き方だ。友情と愛情の境目の巧みなニュアンスが巧い。こういう映画は観ていて感情移入できるし、自然だ。淡々とした前半から、変化して行く後半、ノスタルジックなラストに持っていく演出は、見事だ。「ニューシネマパラダイス」の流れも感じる事が出来るのだが、監督は意識したのじゃないだろうか(もしくは好きか)。自然や景色や、人物や、内容もすべて、どこを切っても中国なのだが、どこかヨーロッパ的な香りを感じるのは何故だろう。ヨーロッパ文学や、文化、ドラマの作り方、だけのせいではないような気がする。ヨーロッパの自然を取りあげた田舎がメインの作品群に何か似ている雰囲気がある。監督はヨーロッパ映画が好きなのではないかと勝手に推測する。
そして、中国映画独特のユーモア感も、この映画でもとても良い。
文学に影響されたお針子はどこへ・・・・。
何とも言えない、終り方も素敵だ。

                 <裸足の1500マイル>

『裸足の1500マイル』を観て来ました。
いい映画でした。実話の物語だけにとてもリアルだし、痛く悲しく、そして力強く、本当に応援したくなった。
しかし近年まで、オーストラリアでこういう政策が行われていたとは勉強不足とはいえ全然知らなかった。少女達の追い詰めるケネス・ブラナー扮する保護官も決して悪者という訳ではなく、自らは善意と思い、やってはいるのだが、立場の違いは余りに大きい。そして悲劇につながって行く。物語は一応の結末を見せるが、考えさせられるのは、大人になった主人公の少女が、再び、もっと辛い目にあったという事実だ。現実はドラマのようにはいかない。2時間では語れない、長い長い人生の道のりがあったのだ。
ナチスのように殺したりはしないだけ、ましではあるのだが、人種という差別を、これでもかと見せつける。白人の目から見た劣等人種を地上から抹殺しようとする、スライドでの説明シーンには、嫌悪感を持った。
しかし、痛いだけでない、少女のひたむきな強さ、母に会いたいという気持ちには、素直に感動させられる、何より無学なのに、知恵が働くシーンには、思わず微笑んでしまうし、応援してしまうのです。

                 <ウェルカム!へヴン>

ウェルカム!へヴン」観て来ました。
う〜ん、ちょいとハズレでしたぁ。
発想も、着眼も、題材のいいのに、脚本の間の悪さと、映画のテンポの悪さで、相当マイナスなものになってしまっていたなあ。
天国の使者と地獄の使者の絡みは面白いけど、最初だけで、あとは客本状とはいえ、差がなくなって、単なる地上の下世話な話に留まったのが痛い。主人公の魅力のなさというより、人物像が良くないなあ。主演の2人は頑張っているのだけど・・・。むしろ、脇で絡んでくる、ファニー・アルダンやガエル・ガルシア・ベルナルの2人が印象が強かったりするのです。
見せ場は後半〜ラストだけだけど、ここは面白い。題材が題材だけにどうなっちゃうんだろうみたいなね。ペネロペはカッコイイです。今までの役柄とは全く違う。そのオチも明かにされるけど、小粋かな。
惜しい映画なんですよ。

                  <1票のラブレター>

『1票のラブレター』を観て来ました。
いい映画でしたね。キシュ島という以前にも映画の題材にもなったイランの島でのエピソードものだが、この限定されたキシュ島の中で、選挙の投票してもらう為に派遣された女性の奮闘と、島の人達の「投票」というものの微妙なずれがとても上手く描かれていて、とても面白い。一種のロードムービーっぽい要素もあって、更に展開が、場所場所のエピソードに綴られていて、先の読めない感じもいい。何とのどかな投票だろうと驚かされるが、この、のどかさや、島の人達の生活ぶりのペースが、更に映画をのんびりしたものにさせているが、何とも心地良い。まあ、このスローさが退屈と思う人には余りオススメは出来ないけれど・・・。
付き添いの兵士が、ひょうひょうとしてて、いいんだなこれが。彼の投票・・・泣けますね。