2002年6月に観た映画


                     暗い日曜日  ノー・マンズ・ランド  ナショナル7  きれいなおかあさん 
                     
ルーブルの怪人  ワンス&フォーエバー  セッション9  ザ・プロフェッショナル
                     マジェスティック


                 

                <マジェスティック>  

『マジェスティック』を観ました。
流れはスムーズで予想より出来は良かったと思う。決して、手放しで傑作というレベルでは全然ないですが、『ショ―シャンクの空に』『グリーンマイル』で見せたフランク・ダラボン監督の手腕は、そのまま生かされて?いましたね。有り得そうな話の中に、まったく有り得ないような物語を絡ませるパターンは、今作で原作者スティーブン・キングを離れても、保っていましたね。ただ、ただ、僕はどうも彼の描く非現実感の世界が幾分、苦手で、今回は顕著に表れてしまったのが、減点対象になってしまいました。作品的にはまあまあです。ただ、脚本は上手いですね。記憶と言うテーマは、後で考えれば、重要なポイント(町の人が気が付くかどうかのでの問題で)になってますから、練りこんでる事は伺えますね。
ジム・キャリーは絶賛されてましたが、上手いとは思うけれど、特別上手いかと言われれば、そうでもないですね。個人的に彼は好きな方ではありますが、「トゥルーマンショー」の彼の方が良い気がしました。
ただ聴聞会のシーンは心打ちましたね、いい演出・芝居ですね。
1950年代前後の時代設定と言う事でのジム・キャリー抜擢は正解でしょうね。キャリーは昔風な顔立ちなんですよね。古き良きオールドアメリカンテイストな顔立ちです。その雰囲気というか、ブレンド感(顔のだけど)は感じでてましたですねえ。しかしフランク・ダラボンは、良く考えれば、「ショーシャンク〜」のティム・ロビンス、「グリーンマイル」のトム・ハンクスといい、オールドカラーの顔だちで&坊ちゃん顔の人がお好きみたい。まあ、時代設定が共通して古いというのもあるんでしょうが・・・。
僕自身はお父さん?役のマーティン・ランドーが良かったですね。味わいや、優しさに画面が溢れてきますね。さすがです。
もう1つ、抜き差しならず、あざとかろうが、そうでなかろうが、映画館再建のエピソードや、
出てくる往年の名画(全部観てました。えっへん=笑=)のシーンはいいですねえ。好きですねえ。狙われてても、素直にやられます。何故って?映画者だからですよ!(^o^)。

               <ザ・プロフェッショナル>  

『ザ・プロフェッショナル』を観ました。
うむむ、これは渋い。騙し騙される醍醐味とが満載だ。出演者が皆、ベテラン俳優で味がある芝居を見せる。しかも泥棒集団だ。そのベテラン達はお世辞にもカッコイイ俳優は誰もいない。これがいいじゃないか。ジーン・ハックマン以下が最初からラストまで、息つく暇もないくらいオンパレードな、頭脳を使った泥棒劇を繰り広げる。
派手なアクションや、大仕掛けや、CGなども、ほとんどないのだが、ここを地味と観るか、渋いと観るか、で評価は大きく変わるのだろうね。
かなり出来過ぎな展開にはやや閉口したが、騙し騙されるのが、泥棒する相手だけでなく、仲間、仕事の提供者なども巻き込んでくるから、誰が誰を騙してているのかと言った醍醐味は充分ありますね。。
地味だが、なかなかの佳作だと思う。

                  <セッション9>  

北米に実在する、巨大な廃虚となったダンバース精神病院。
ここを舞台に人間崩壊と、行き詰まる密室恐怖を描くのだから、そのディティールだけで恐そうだが、実際この映画は恐ろしく恐い。そして、質の高い恐さなのだ。よいうのは、昨今ある映画のようなこけ脅かしのショットや、不自然な演出で恐がらせる事はほとんどないのだ。それなのに恐い。だから、この恐さは映画として本物と言えるだろう。静かに、静かに、人間に内面から恐怖が進行して行くだけなのに、こんなに背筋が寒いとは・・。見事にやられやと言う感じです。
たった6人の出演者が織り成す密室劇(に近い)も恐怖を煽るが、それは、個々の役者が上手くないとこうはいかない。特にピーター・ミュランの芝居は圧巻だ。
またまた良質のスリラー映画が1本誕生したといったら言い過ぎだろうか・・・。少なくとも「ハンニバル」よりはずっと出来は良いです。


            <ワンス&フォーエバー>  

今日は試写で『ワンス&フォーエバー』観て来ました。
正直言うと、またベトナムもの?という印象だったのではありました。ですが、まあ今回どういう切り口で見せてくれるかと多少は期待していたのですが、内容的には、今までの類型作品と何ら変わらずでした。アメリカ万歳的、一方的解釈は相変わらずだし、今回は北ベトナムの将校や、兵士や家族にも一瞬だけスポットは当ててますが、余りに取ってつけたような描き方で、逆にあざとさというか、興ざめしてしまいました。戦闘シーンは「ブラックホーク・ダウウン」を観てしまった目には驚くものではなかったです。ただ、残酷なシーンや、爆撃で燃えたままの顔面を治療?するようなシーンは驚きましたが・・・。
俳優人は無難にこなしています。メル・ギブソンは可もなし不可もなしですが、こういう役は上手いと思う。奥さん役のマデリン・ストーにある重要なシーンがあるのだけど、ここにもう少し、気配りのある演出をして欲しかったと思う。凄く残念ですね。
アメリカ人が作るベトナムもの映画は今後、まったく発想を変えていかないと、完全に行き詰まってると思いました。
結論的には、凄く消化不良の残る作品でした。

                <ルーブルの怪人>  

『ルーブルの怪人』を観て来ました。
予想と違う内容&展開な分、楽しめましたが、ストーリー的には何てことない、ごく
ごく普通の作品でした。ただ、題材がルーブル美術館と言う設定はフランスならではだ
し、そこに霊や怪人を絡ませた発想はユニークです。他にはないし。で、初めて
本物のルーブル美術館を長期的に撮影に実際使ったことは画期的でしょう。美術の知
識がない僕でも、興味深いものでした。
ただ、それに物語が負けちゃってる感があるというか、作りがハリウッド映画的なん
ですね。昨今のフランス映画はその傾向が出て来ましたよね。SFXと、娯楽性を前面
に出されると、良い題材と本物のルーブル美術館が逆に安っぽく見えてしまう気がし
ました。
最近、娯楽フランス映画増えましたね。特にSFXを使ったものとか。
でも元々、フランス映画は娯楽性が強い作品は多かったはずなんですが、ここ20年
以上は、いかにもヨーロッパ的な作品が多かった(少なくても日本ではそう)。そう
いう意味では変化ではなく、復興みたいな感じはして歓迎しますが、ハリウッドとは
違うやり方をして欲しいなという気はします。

以下はまったく参考にならない感想&文章です(笑)。僕自身、ソフィ・マルソーの
デビュー以来のファンなので、それだけでそれなりに楽しめてしまいましたが
(笑)、この作品もフランスの興行ランキングで1位になってますから、フランス国
内ではヒットした作品です。ソフィーは13才で「ラブーム」でのデビュー以来、
約20年間余、それなりに一線で活躍し、大人の女優として転進にも成功しました。
しかも未だ成功してるのは素晴らしいし、ファンとしても嬉しい限りです。フランス
女優なので、アメリカのジョディ・フォスターのようにはいきませんが、頑張ってい
るなあとは思います。凄く若い頃より、何故か最近の彼女の方がより好きなんです
ね。大人の色気が出てきましたし・・・。

               <きれいなおかあさん >  

『きれいなおかあさん』観て来ました。
やはり観て良かった。題材的にも、物語的にも、切り口は類型的なんですが、演出の上手さと、話の持っていき方、そして俳優の上手さなどで、素晴らしいものに仕上がってますね。これが映画の良さなんでしょうね。感動しました。

今まで割と、壮大な歴史を舞台に翻弄されるヒロインのイメージが強かったコン・リーだけど、ここでは、生活感あふれる普通のお母さんを演じています。でも、さすがコン・リーですね。力強い役作り、見せきってますね。本当、彼女は素晴らしい。ちなみに彼女は今回、ほとんどノーメイクでの出演なのですが、監督が言う言葉も映画を観て納得というか胸を打ちました。それは「化粧もせず服装も地味な彼女が美しいのは、外見ではなく母親の子供に対する愛情の深さにあるから。子供にとって母親はいつも世界で一番美しく、輝く存在なのです」という言葉。
そして聴覚障害という難しい役をこなした子役の子がまた、いいんです。先生もいい。母親の友達もいい。でも、心無い人もたくさん出てくる。だから、本当に優しい人の心が良く見えてくるんですよね。少しずつ、少しずつ、進んで行く展開がとても好きな作品でした。

                 <ナショナル7>  

『ナショナル7』を観て来ました。
素晴らしい。面白くて、面白くて、痛くて、そして感動しました。
喜劇風に仕上がっているけれど、内容は実に真面目で難しい問題提起な作品である。
実話ベースの物語なのですが、これまで映画の中で、きちんと取り上げられた事がなかった身体障害者のセクシャリティ、つまり身障者の性について真正面から扱っているのである。一見、タブーとも言える、この手の問題を重点というか、スポットが当たっているのには、まず驚きます。
ただ、これを閉鎖的に、暗部として描くのではなく、オープンにというか、開けっぴろげに、言い過ぎれば痛快とも言うべきヒューマンコメディタッチに描いているのだ。
しかし、何とも危ないストーリーでもある。売春と身障という1つ間違えば、差別や、それこそ中傷にすらなってしまう(映画の表現として危険という意味でも)問題を1つのみならず、2つも取り上げている点が・・・。だが、それらを見事にそうはさせずに、映画自体を深い物にしています。遠慮なく介護側と身障者が本音をぶつけ合う脚本は監督の狙いだろうが見事に成功しており、とても斬新に訴えてくる。
各俳優は素晴らしい芝居を見せる。とりわけ身障者達は演技は特筆ものです(もちろんプロの俳優)
それから、数カ所かかる主題歌はとても効果を上げており、特にラスト間際にかかる場面は心底、感動しましたね。
良くメディア等で、身障者への差別や偏見をなくす為に「それはやめましょう!」などと訴えたりするけれど、そんなことを1万回訴えるより、この映画を1回観せる方が効果的だとさえ思う。映画って、こういう力もあるんだという事ですね。
唸の傑作!

                 <少林サッカー>  

『少林サッカー』観て来ました。
これは、極上のおバカコメディでしたね。良く作りましたね、ここまで。感心の一言
です。SFXもさる事ながら、ベタなギャグ満載で、上手くリミックス?してました
(笑)。このベタさは好き嫌いの分かれるところでしょうが、僕は基本が、おバカ映
画好きですからね、当然好きです。しかし、監督言うとおり、これは完成までに時間
と手間がかかったでしょうね。良く作り込んであるところがミソでしょうね。脚本も
良く練られてます。おバカ映画は、“ここまでやるか!?”まで行かない、中途半端
じゃ面白くないんで、その点は徹底していて良かったですね。後は好みだね。一般受
けするという点でも、大ヒットの可能性も充分あるんじゃないかな。最近、上映終
わってこれだけ拍手起きる映画もなかったなあ〜。驚きましたね。
余談ですが、チャウ・シンチ−は僕と誕生日が一緒です(笑)。6月22日です。

                <ノー・マンズ・ランド>  

『ノー・マンズ・ランド』観て来ました。
してやられた!という第1印象です。またも傑作!
戦争の不合理さを見事に描いていて、しかも発想がユニーク。脚本が素晴らしい出来
で(カンヌ映画祭脚本賞)、ブラックユーモアと言っても苦い笑いを塗した異色作な
のだ。(ボスニアでは、ユーモアは目の前にある悲劇から距離を置き、身を守る為の
手段、だそうだ)
戦争の愚かさをここまでシンプルに、巧みに描いた作品を僕は知らない。戦闘シーン
などほとんどなく、1つの舞台を設定している部分も実に見事に活用している。つま
り戦争映画と一口にいっても「パールハーバー」などとは180度対極にある作品
だ。昨今、リアルさが話題になった「ブラックホーク・ダウン」などとも、趣きが全
く違う。
発想も脚本も今までにない斬新さで、どんどん引き込まれていきますね。人間のユ
ニークさや愚かさや、知恵や優しさや、ずるさなどが、この小人数で限られた場所の
中で、この不条理劇というべき世界に全部入っている感じがしましたね。
そして、ラストシーン。静かに強烈です。
この舞台設定。そう正に、これは初の戦争舞台劇だ!

                  <暗い日曜日>  

『暗い日曜日』を観ました。
素晴らしい。傑作です!今年観た映画でも1、2を争う出来だと断言します。
物語は、ハンガリーのあるレストランにいるオーナーと、そこで働く恋人と、その店に
採用されたピアニストの三角関係から始まる。とはいえ、愛憎的ではなく、不思議な友
情と愛がこもったトーンがずっと続いて行くのだ。物語はフィクションながら、この
ピアニストが作曲した“暗い日曜日”を聴き、何人もの人が自殺した話は実際にあっ
たことである。
この曲が何ヴァージョン(歌入りも)も、流れ、映画を支配するが、この曲が波紋を
呼んだかの様に、次第に登場人物たちの人生を狂わす出来事が起こっていく。この流
れが絶品である。前半のけだるいムード、正にこれが映画だと唸ってしまう。そして
更に、映画そのものはミステリ−タッチにも進行して行く。この絡み具合も実に上手
い。それは特に後半に見られる。第2次大戦下のドイツなので、ナチのユダヤ人狩り
なども否応なしに物語的に重要になってくるが、そのドラマも良いが、その部分がな
いと仮にしても、酔える映画なのである。それは、映画はストーリーだけではないと
いう、お手本のようなものだから。

それから、僕は近年、画面で初めて見た女優に惚れたことはなかったが、この主演女
優エリカ・マロジャ−ンが画面に最初に登場しただけで一発で惚れました。美しい。
個人的には去年のモニカ・ベルッチを遥かに凌ぎました。

残酷で甘美さ、この泥沼のようにハマってしまう旋律と共に僕の中にいつまでも残り
そうだ。そんな映画だった・・・。もう1度言いたい。傑作だ。