2002年12月に観た映画 |
<ギャング・オブ・ニューヨーク>
ギャング・オブ・ニューヨーク』を観て来ました。
スコセッシらしい、乾いてるけど、ベタでスタイリッシュな映像マジックは健在でした。
父を殺された少年が成長して行う、単なる復讐劇かと思いきや、確かに表面的なテーマはそうであるにしろ、根底にはあるものは、民族闘争や移民のアメリカに対する立場の違い、新天地にいる自分の存在の意味みたいなもの、だと思う。
凡長感は確かにある。実は凄く深いテーマなのに、表面をなぞったような演出に不満がない訳ではない。が、そのCGを使わないリアルなセット、衣装、小道具、すべてにおいての見事さに、細かい不満はどうでも良いという気にさせる。逆を言えば、内容が負けていると言えなくもないが、それも役者人の巧さでカバーしてしまっている感じだ。
そう、何と言ってもダニエル・デイ・ルイスだ!素晴らしい!彼なくしてこの作品は成り立たないし、レオ様も脇に回ってしまってる感すらあるほどの存在感だ。彼の内面こそが実はこの映画の本当の意味でのテーマだと僕は思うので、その彼の持つ矛盾する思想、プライドが、悪と理想をより複雑なものにしている。これは当時の時代背景や、国際状況を相当熟知していないと、分かりにくいと思う。<スコルピオンの恋まじない>
『スコルピオンの恋まじない』を観て来ました。
いやあ、今作もウッディ節、炸裂で面白かったです。彼のペンは67歳になっても衰えないどころか、パワーアップしてるかのようです。それは製作ペースを見ても分かりますよね。もう次回作が2本控えています。
で、作品の方は、1940年代をベースに当時のやり手のキャリアウーマンと、生え抜きの調査社員の相性が全く合わない、その2人が中心に巻き起こる大騒動です。脚本・セリフの妙味は画面から一時たりとも目が話せない宝もののようですね。今までの作品もそうだけど、ウィットに富むセリフ、人生や人間皮肉るセリフ、痛いジョーク、最高ですね。
オチがまたいいですね。彼の中でも最高の部類に入るんじゃないかなあ。
本当は、当初トム・ハンクスに主役をオファーしていたけど、スケジュールがどうしても合わず断念。悔しがったそうですが、確かにトムにうってつけの役かもですね。ウッディ本人が出る作品はどれも好きだけど、結構出来が良い主人公なので、絶対ウッディじゃなくてもという感じはありますが、やはり、トム以外なら、この人しかいないというのもまた事実でしょうね。
ヘレン・ハントはもう絵に描いた様に適役。シャーリーズ・セロンが意外も意外な扮装でちょっとだけ出演。もっと見たかったな。ダン・エイクロイドもウッディ組の一員になっていましたね。
これは面白い!!<シャーロット・グレイ>
『シャーロット・グレイ』を観て来ました。
この作品、上映中もとても良かったのですが、観終わってからが更に、ジーンと心に残るような作品でした。得てして、こういう作品は、かなり良い作品で、後々自分の中で残っていく作品なんですよね。
いくつかの名シーンがあり、思わず涙してしまったし、特に後半の物語は感動的だった。ラストもいい。当たり前過ぎるラストかも知れないし、そういう意見もあるだろうセリフだけど、確かにそうではあるが、それを言わせる内容が充分なだけに説得力があるのだ。同じようなセリフ、同じようなラストでも、内容で、陳腐にも感動的にもなる、そんな差を感じました。
それから父と子の確執やぎこちなさが、この作品にも漂っていて、それが、父と他人の子の生死を選ばざるおえなくなるシーンに繋がり、僕は号泣した。彼の選択は正しいかどうかは分からない。だけど共感した。僕でもそうするであろう。自分も罪を背負い、父子の絆を取り戻したかった気持ちが痛切に分かり、泣けてきた。父子とはそういうものだ。泣ける!
シャーロットを演じた、ケイト・ブランシェットは素晴らしい。彼女の今までも1、2を争う芝居の出来ではないだろうか。正直、彼女の為の映画といってしまっても良いくらいだ。
ただ、この映画の不満点は、シャーロットが恋人を追う為にフランスの工作員にまでなる動機付けが、曖昧と言うか無理がある点だ。そこまでフランスに行きたいという思わせるものが描き切れていないのが気になった。とはいえ、ある種、この作品はヒロインの成長物語とも言える訳で、まあ、それが、この不可思議で幼稚な行動で始まるのかもしれない?・・・のだが。
心に残る名編でした。
<K−19>
『K−19』を観て来ました。
前半部はかなりダルイ作品ではありましたが、後半の緊迫感とドラマは素晴らしかったですね。潜水艦ものに駄作なし、は、この作品でも生きていました。そんな印象です。
真実をベースにした物語は、余りにリアルです。こういう事があったのかと思うと背筋が寒くなります、当時のソ連政府の、命の尊厳を無視したかのうな下級兵士に対する扱い。そして、その現実。核の恐怖をこれほどリアルに描いた作品はないかも知れない。戦争と言うより、事故の物語ではあるが、死より恐ろしい選択を迫られた人間の判断、意志というものを痛切に感じさせてくれましたね。
ただ、前半部は眠気が起きるくらい退屈(言い過ぎですが)であったので、もう少しバランスを考えた演出はして欲しかったですね。これが傑作までは僕が認識できない、という感じでもありました。
僕はハリソン・フォードは好きな俳優ではありません。はっきり言うと個人的には嫌いな俳優の部類です。正直、好きなリーアム・ニーソン目当てで観に行った感がありますが、彼の役も芝居も素晴らしいのは感動的でしたが、野心や見栄が見え隠れする、正直ヒーローでない艦長を演じやハリソン、なかなか良かったです。まるでこの人自身を見てるような役割と言ったらファンの方に怒られそうですが、こういう役をもっと演って欲しいと思いましたね。<アイリス>
風邪の中、『アイリス』観て来ました。
う〜、映画館暑過ぎて、ノドが更にやられる〜〜(><)。
という事で、90分と短い、この作品ですが、評判とおり素晴らしい作品でしたが、不満点も残りました。
素晴らしい点は、もう演出の上手さ。現在と過去のフラッシュバック的な多用の効果はこの作品そのものを司っている感じでした。
そして、俳優人達の演技の素晴らしさ。主演4人が揃って各映画賞の受賞やノミネートされたのも頷けます。特に晩年のジョンを演じたジム・ブロドベント!素晴らしい。役も献身的で素晴らしいけど、こんな優しさを表現できるなんて・・・。しかも彼は50そこそこの俳優なのに70代の老人になりきっていた、その確かな演技力。脱帽です。
そして貫禄のジュディ・デンチ。後半の役はかなり汚れ役ですが、この難しい役を見事に演じていた。更に、特筆がケイト・ウィンスレット。元々「いつか晴れた日」や「クイルズ」でも確かな演技で僕は評価していたけど見事に開花した感じだ。「タイタニック」のイメージはこれで払拭出来たと思う程の女優としての何かを感じさせてくれた。
俳優の素晴らしさが映画をより良いものにした典型な、この作品だが、不満点もある。それは、せっかく素晴らしい晩年の2人。若き日の2人を描き、その時代の結びつきも素晴らしいのに、若き日の2人の絆が深まっていく過程が曖昧なのだ。そのエピソード等をもっと見せてくれなければ、この映画は欠陥品になってしまう。実に惜しいものがある。年度を代表する傑作を逃した感じだ・・・。
<マイノリティ・リポート>
<8人の女たち>
『8人の女たち』を観て来ました。
35才の若き名匠になった感のあるフランソワ・オゾンの新作です。
前作「まぼろし」とはうってかわって、監督のやりたい放題、趣味丸出しの作品だったかな、僕のイメージだと。いや、でも、なかなか面白かったですね。
「まぼろし」は余りに1人の女性の内面に迫ったので、こういう多くの女性の群像劇をやりたかったのでしょうか?しかもライトな感覚で。
ほぼ舞台劇ともいえる作風は、余りフランス映画らしくないといえば、らしくないのですが、ミュージカルやコメディの要素もたっぷりで、手馴れていない感じはするものの、脚本の妙味で、上手く見せていたと思う。オゾン監督は、大女優たちに、レズはさせるわ、変身させるわ、対決させるわ、・・・これらをやらせたかったのでしょうね。良い食材から大胆な料理をした、と言ったら言葉が悪いでしょうか。でも、そんな感じでした。
コミカル(&ミステリーも)な群像劇といえばウッディ・アレンが第1人者であって、他の追随は許さないところですが、ウッディは男女混ぜた群像ものに基本的に成りますが(まあ普通はそうですが)、オゾン監督は、出演者が全員女性というスタイルを取りました。これが良かったのでしょうね。
ミステリーの部分はあくまで、この関係をどう見せるか、紐解いていくかの、ポイントではあるのですが、ここが重要な訳ではありませんが、僕は途中で分かってしまいました。スタイルとしてはオーソドックスで実に使い古されてて古典的なんですが、脚本(それぞれのセリフですね)と女優たちを見る作品なのでしょうね。
エマニアエル・ベアール、1番静かに自己主張してました。監督はそれぞれの女優の個性に合わせた、見事な演出もしていましたね。
<ザ・リング>