朝鮮民主主義人民共和国刑法

      主体七九(一九九〇)年十二月十五日最高人民会議常設会議決定第六号として採択。
      主体九三(二〇〇四)年四月二十九日最高人民会議常任委員会政令四三二号として修正補充。

第一章 刑法の基本

第一条(刑法の使命) 朝鮮民主主義人民共和国刑法は犯罪に対する刑事責任と刑罰制度を正しくたて、国家主権と社会主義制度を守り、人民の自主的で創造的な生活を保障するのに貢献する。
第二条(犯罪者の処理原則) 国家は犯罪者の処理において労働者階級の原則を確固として堅持し、社会的教育を主としつつ、これに法的制裁を配合するようにする。
第三条(犯罪未然防止の原則) 国家はすべての公民が法を尊び、厳格に守り、犯罪との闘争に積極的に対処するようにし、犯罪を未然に防ぐようにする。
第四条(祖国と民族に反逆した行為を悔いた者の処理原則)  国家は祖国と民族に反逆した行為を働いた者であっても、祖国統一の為に積極的に立ち上がる場合には、過去を問わず刑事責任を問わない。
第五条(自首した者の処理原則)  国家は犯罪を犯した者であっても、自らの過ちを心から反省し、自首した者には寛大に処理する。
第六条(刑法に規定されている行為にのみ刑事責任を負わせる原則)  国家は刑法において犯罪と規定している行為にのみ刑事責任を負わせるようにする。
第七条(刑罰適用の原則)  国家は犯罪の重要性の度合いと犯罪者の改悛の度合いを考慮し、それに該当する刑罰を適用するようにする。
第八条(刑法の対人的及び空間的効力原則)  本法は、犯罪を犯した共和国公民に適用する。共和国領域の外で犯罪を犯した共和国公民にも、本法を適用する。
 共和国領域の内側で犯罪を犯した外国人にも、本法を適用する。しかし、外交特権を持った外国人には、その都度外交的手続きによって解決する。外国において共和国に反対したとか、共和国公民を侵害した外国人にも、本法を適用する。
第九条(時間的効力での不遡及及び遡及原則)  犯罪を犯した者には、その犯罪を引き起した当時の刑法を適用する。しかし従前の刑法で犯罪と見なしていたものを、本法で犯罪と見做さなかったとか、刑罰を下げた場合は、本法を適用する。

第二章 一般規定
第一節 犯罪
第一〇条(犯罪の概念)  犯罪は、国家主権と社会主義制度と法秩序を故意に又は過失で侵害した、刑罰を科するにたる危険な行為である。
第一一条(刑事責任の年令)  犯罪を犯した当時一四才以上の者だけに刑事責任を負わせる。 第一二条(刑事責任無能力状態で社会的危険行為を働いた者の処理)
 慢性精神病、一時的な精神異常の為に、自らの行為を分別できなかったり自制することのできない状態で、社会的に危険な行為を犯した者には、刑事責任を科せず、医療処分を適用することができる。  酒に酔って犯罪を犯した者には前項を適用しない。
第一三条(精神病状態にある犯罪者の処理)  正常な精神状態で犯罪を犯した者が、捜査、予審、裁判当時精神病状態にある時には、医療処分を適用し、回復した時には、刑事責任を負わせる。
第一四条(刑事責任を科さない一般条件)  本法で犯罪と規定した行為を働いた場合でも、社会的危険性が無いか小さくて加罰性がない場合には、刑事責任を負わさない。
第一五条(正当防衛)  本法で犯罪と規定した行為を働いた場合でも、国家及び社会的利益とか他人又は自分自身の適法的利益を侵害する危急な犯罪を防ぐためのもので、それが、防衛の程度を過度に越さなかった場合は、刑事責任を負わさない。
第一六条(緊急避難)  本法で犯罪と規定された行為を働いた場合でも、危急な事態を避けるのにその方法しかなく、その結果こうむった損失が保護した利益より小さい場合は、刑事責任を負わさない。
第一七条(被害者の事前要求に基づく加害者の刑事責任)  被害者の要求に基づきその人身あるいは財産を侵害した者には、社会的危険性がある場合にだけ刑事責任を負わせる。
第一八条(家族、親族を相手に引き起した犯罪についての刑事責任)  家族、親族を相手に引き起した犯罪に対しては、許そうという被害者又は被害者側の要求がある場合には、刑事責任を負わさない。
 故意の重殺人罪、強盗罪、強姦罪に対しては前項を適用しない。
第一九条(犯罪の準備と未遂についての刑事責任)  犯罪の準備と未遂についての刑事責任は、犯罪の危険性の程度、犯罪の実行程度、既遂に至らなかった原因を参考にして決める。犯罪の準備と未遂については、既遂と同じ条項を適用する。犯罪の準備は未遂、犯罪の未遂は既遂より軽く処罰する。
第二〇条(自発的に中止した犯罪についての刑事責任)  犯罪を準備するとか、引き起していて、途中で自ら完全に中止した場合は、中止した犯罪に対して刑事責任を負わさない。
 しかし、実際に犯した行為が、他の重い犯罪の表徴(しるし)をもつ場合は、該当する刑事責任を負わせる事ができる。
第二一条(共犯事件において、主謀者と追従者に対する刑事責任)  犯罪組織体の主謀者と追従者については、その組織体がもくろんだ犯罪に該当する条項にしたがって刑事責任を負わせ、主謀者は重く処罰する。
第二二条(共犯事件で煽動者、幇助者に対する刑事責任)  犯罪組織体でない共犯事件において、煽った者、幇助した者に対しては、実行者に適用する条項にしたがって刑事責任を負わせる。
 煽動者は実行者と同じように又は重く、幇助者は実行者と同じように又は軽く処罰する。
第二三条(特殊な表徴を持つ犯罪を起した共犯者に対する刑事責任)  特殊な表徴を持つ犯罪の実行者が、該当する表徴を備えることのできない者と共謀して犯罪を引き起した場合には、そうした表徴を備えることのできなかった犯罪実行者、煽動者、幇助者も共同犯罪実行者、煽動者、幇助者として刑事責任を負わせる。
第二四条(隠匿罪に対する刑事責任)  犯罪を引き起す当時には関与しないで、犯罪を引き起した後に犯罪者又は犯罪の痕跡を隠した者に対しては、本法に規定された場合にのみ刑事責任を負わせる。
第二五条(不申告罪についての刑事責任)  犯罪を準備しているとか、犯したことを知りながら、それを該当機関に知らさなかった者に対しては、本法に規定された場合にのみ刑事責任を負わせる。
第二六条(放任罪に対する刑事責任)  害のある緊急な事態を十分防げるか、防ぐ対策を立てることが出来たにも拘らず、放置して厳重な結果を引き起した者に対しては、本法に規定されている場合にだけ刑事責任を負わせる。

第二節 刑罰
第二七条(刑罰の種類)  刑罰の種類は次の通りである。
 一、死刑  二、無期労働教化刑  三、有期労働教化刑  四、労働鍛練刑  五、選挙権剥奪刑  六、財産没収刑  七、資格剥奪刑  八、資格停止刑
第二八条(基本刑罰と附加刑罰)  死刑、無期労働教化刑、有期労働教化刑、労働鍛練刑は基本刑罰である。
 選挙権剥奪刑、財産没収刑、資格剥奪刑、資格停止刑は附加刑罰である。
第二九条(死刑)  死刑は犯罪者の肉体的生命を剥奪する方法で執行する。
 犯罪を引き起こした当時八才に至らなかった者については、死刑を与えることはできず、妊娠女性に対しては、死刑を執行することはできない。
第三〇条(無期労働教化刑、有期労働教化刑)  無期労働教化刑、有期労働教化刑は犯罪者を教化所(刑務所)に入れ、労働をさせる方法で執行する。  無期労働教化刑、有期労働教化刑執行期間は、公民の基本権利が停止される。
 有期労働教化刑期間は一年から一五年までとする。犯罪を併合したとか、合算する場合でも、有期労働教化刑期間は一五年を越えることはできない。
 犯罪者が拘束されている期間一日を、有期労働教化刑期間一日と計算する。
第三一条(労働鍛練刑)  労働鍛練刑は犯罪者を一定の場所に送り、労働をさせる方法で執行する。
 労働鍛練刑執行期間は、公民の基本権利が保障される。
 労働鍛練刑期間は六ヵ月から二年までとする。犯罪を併合したとか、合算する場合でも、労働鍛練刑期間は二年を越えることはできない。
 犯罪者が拘束されている期間一日を、労働鍛練刑期間二日に計算する。
第三二条(選挙権剥奪刑)  選挙権剥奪刑は、反国家犯罪と反民族犯罪を引き起した者から一定の期間、選挙する権利を奪う方法で執行する。
 裁判所は反国家犯罪と反民族犯罪事件を審理する場合、選挙権剥奪問題を同時に審理しなければならない。
 選挙権剥奪刑期間は三年を越えることはできず、有期労働教化刑執行が終った日から計算する。
第三三条(財産没収刑)  財産没収刑は、有罪判決を受けた者の財産を国家に引き渡す方法で執行する。
 この場合有罪判決を受けた者の家族が最低生活を営むのに必要な食糧と日用必需品、現金を残して置く。
第三四条(財産没収刑取消し及び事件棄却時財産保障)  財産没収刑が取り消されるとか、事件が棄却されたときには、没収されていた財産を返却する。
 現物で返却できない場合は、その品物に該当する代金を返す。
第三五条(財産を没収された者の負債処理)  財産を没収された者が、財産担保処分がなされる前に負った借金については、没収した財産で法の定める順位にしたがって返済できる。しかし、財産担保処分がなされた後に負った借金については、没収した財産で返済しない。
第三六条(資格剥奪刑)  資格剥奪刑は、有罪判決をうけた者が所持していた一定の資格を完全に没収する方法で執行する。  裁判所は、一定の資格を犯罪を引き起すのに利用した事件を審理する場合、資格剥奪問題を同時に審理しなければならない。
第三七条(資格停止刑)  資格停止刑は、有罪判決を受けた者が持っていた一定の資格を一時的に奪う方法で執行する。
 裁判所は、一定の資格を犯罪を犯すのに利用した事件を審理する場合、資格停止問題を同時に審理しなければならない。資格停止期間は、三年を越えることはできず、有期労働教化刑、労働鍛練刑の執行が終った日から計算する。
第三八条(刑罰の量定)  刑罰量定は、犯罪の性格、目的と動機、手段と方法、実行程度、共謀関係、犯罪者の改悛性の程度を参酌しなければならない。
 この場合、条項に規定された刑罰の限度を基準とする。
第三九条(刑罰量定において重く見る件)  刑罰量定で重く見る条件は、次の通りである。
 一、犯罪の主動者である場合  二、数度又は共謀して犯罪を引き起したとき  三、残虐な手段と方法で犯罪を犯したとき  四、自己の保護下にあるか、職務上、服従関係にある者に対して犯罪を犯したとき  五、戦時又は災害状態を利用して犯罪を犯したとき
第四〇条(刑罰量定において軽く見る条件)  刑罰量定で軽くみる条件は、次の通りである。
 一、犯罪の追従者である場合  二、初めて犯罪を引き起したとき  三、強い精神的刺激で犯罪を犯したとき  四、未成年者が罪を犯したとき  五、正当防衛、緊急避難の程度を越えたとき  六、自白したとき  七、多くの功労を立てた者が犯罪を犯したとき  八、略取したとか、破損した財産を自ら補償したとか、原状回復した場合  九、被害者に誤ちがあった場合
第四一条(刑罰の加重、軽減範囲)  刑罰量定で重く又は軽く見る条件のあるときは、該当刑罰の半分までの範囲内で、重く又は軽く与えることができる。この場合、該当条項に規定された刑罰の最高又は最低限度より、高く又は低く下すことはできない。
第四二条(法廷刑の最低限度より低く定める場合)  裁判所は、該当条項に規定されている刑罰の最低限度よりさらに低く刑罰を下さねばならない特別な事情のある場合、該当条項に規定されている刑罰より低く与えることができる。
第四三条(犯罪の併合条件)  一人の犯罪者が引き起したあらゆる形態の犯罪が、それぞれ独立に刑事責任を追求することができる場合は、併合することができる。しかし、あらゆる形態の犯罪が結合し、一つの犯罪になったとか、ある一つの形態の犯罪が違った形態の犯罪を引き起すのに必須の前提となった場合は、併合することができない。
第四四条(犯罪併合のときの刑罰量定)  ある犯罪者が引き起した各種形態の犯罪を同時に裁判する場合は、各犯罪別に刑罰を量定したのちに、最も重く量定した条項の刑罰に、残りの条項の刑罰の半分程度を重ねる。この場合併合した犯罪に該当する付加刑罰は、基本刑罰と同時に適用する。判決の宣告はこの条で行なう。
第四五条(互いに異なる種類の刑罰期間計算)  互いに異なる種類の刑罰期間を一つの刑罰期間に量定する場合には、制裁度数の高い種類の刑罰にし、労働鍛練刑期間二日を有期労働教化刑期間一日に計算する。
第四六条(刑罰執行が終る前に引き起した犯罪と、隠した犯罪についての刑罰期間)  有罪判決を受けた者が、判決が確定し、刑罰の執行が終らないうちに、新しい犯罪を起したとか、隠した犯罪については刑罰を量定し、残りの刑期に加える。
第四七条(以上、以下についての解釈)  本法で刑罰期間を指摘した以上、以下は、該当数を包含する。
 刑罰期間は、犯罪の危険性の程度によって、年だけでなく月まで決めることができる。
第四八条(刑罰執行期間の計算)  刑罰執行期間の計算は、犯罪者が拘束された日から刑罰期間が終了する日まで、とする。
 拘束されている期間の刑罰執行期日計算は、本法第三〇条と第三一条に従う。
第四九条(社会的教育処分)  未成年者が犯罪を引き起したとか、成人が犯罪を犯したとしても、当事者の改悛程度、犯罪の危険性程度に照らし、社会的教育の方法で正すことができる場合には、社会的教育処分をすることができる。
第五〇条(社会的教育処分を受けた者が、犯罪を犯した場合の刑罰量定)  社会的教育処分を受けた者が、すでに犯した犯罪の刑事訴追時効期間に新しい犯罪を引き起した場合には、社会的教育処分を受けた犯罪について刑罰を量定し、その全部又は新しく犯した犯罪に対して量定した刑罰を加える。
第五一条(執行猶予適用条件と期間)  五年までの労働教化刑を受けた者の改悛程度、犯罪の危険性程度に照らし、当事者を教化所に送り労働教化刑を執行する必要がないと認められる場合には、次のように執行を猶予する判決を下すことができる。
 一、三年までの労働教化刑の猶予期間は、三年から五年まで  二、三年以上五年までの労働教化刑の猶予期間は、五年から七年まで
第五二条(執行猶予の法律的効果)  執行猶予を受けた者が猶予期間に新たな犯罪を犯していない場合は、当事者に下されていた判決の執行を終ったものと認定する。しかし、執行猶予を受けている者が新しく犯罪を引き起した場合は、猶予した刑罰の全て又は一部を、新しく引き起した犯罪に対して量定した刑罰に加える。加えた刑罰の有期労働教化刑期間は、一五年を越えることはできない。
第五三条(特赦、大赦)  有罪判決を受けた者の刑罰免除は、特赦又は大赦とする。
 特赦、大赦の実施は、最高人民会議常任委員会が行なう。
第五四条(満期以前の釈放)  無期労働教化刑、有期労働教化刑、労働鍛練刑を受けた者が、犯罪を真心から反省し、改悛するために積極的に努力し、教育改造の目的が達成したと認められる場合は、有期労働教化刑、労働鍛練刑は、受けた刑期の半分が過ぎた場合刑罰執行を免除することができ、無期労働教化刑は一五年が過ぎたのち刑罰執行を免除するとか、有期労働教化刑に変更することができる。刑罰執行の免除又は変更と関連した提起は、刑罰執行機関が行ない、この提起は該当裁判所で審理、判定する。
第五五条(刑罰執行が終った者の法的地位)  特赦、大赦を受けた者、又は刑罰執行の終った者については、特赦、大赦を受けた日、又は刑罰執行の終った日から犯罪を犯さなかった者と同じように認定し、法的に差別しない。
第五六条(刑事訴追時効期間)  犯罪を引き起した時から次の期間が過ぎると刑事責任を負わせない。
 一、二年までの労働鍛練刑を下すことのできる犯罪については五年  二、五年までの労働教化刑を下すことのできる犯罪については八年  三、五年以上一〇年までの労働教化刑を下すことのできる犯罪については一二年  四、一〇年以上の労働教化刑を下すことのできる犯罪については一五年  五、無期労働教化刑を下すことのできる犯罪については二〇年
第五七条(刑事訴追時効を適用しない犯罪)  反国家及び反民族犯罪と故意の重殺人犯罪については、刑事訴追時効期間に関係なく刑事責任を負わせる。
第五八条(刑事訴追時効期間が新しく計算される事由)  本法第五六条に規定された期間が過ぎる前に犯罪者が新しい犯罪を犯したとか、予審又は裁判を回避したとか捜査開始決定を下した場合は、その日から刑事責任を追及できる期間が新しく計算される。

第三章 反国家及び反民族犯罪
第一節 反国家犯罪
第五九条(国家転覆陰謀罪)  反国家的目的で政変、暴動、示威、襲撃に参加したか、陰謀に加担した者は、五年以上の労働教化刑に処する。
 情状が重い場合は、無期労働教化刑又は死刑及び財産没収刑に処する。
第六〇条(テロ罪)  反国家目的で幹部と人民を殺人、拉致したとか、彼らに傷害を加えるテロ行為を働いた者は、五年以上の労働教化刑に処する。情状が特に重い場合は、無期労働教化刑又は死刑及び財産没収刑に処する。
第六一条(反国家宣伝、煽動罪)  反国家的目的で宣伝、煽動行為をした者は、五年以下の労働教化刑に処する。
 情状の重い場合は、五年以上一〇年以下の労働教化刑に処する。
第六二条(祖国反逆罪)  公民が祖国を裏切り、他国に逃亡したとか投降、変節したとか、秘密を漏らすなどした祖国反逆行為を働いた場合は、五年以上の労働教化刑に処する。情状の特に重い場合は、無期労働教化刑又は死刑及び財産没収刑に処する。
第六三条(間諜罪)  共和国公民が我が国に対するスパイを目的に秘密を探知、蒐集、提供した場合は、五年以上一〇年以下の労働教化刑に処する。情状が重い場合は、一〇年以上の労働教化刑に処する。
第六四条(破壊行為罪)  反国家目的で破壊活動を働いた者は、五年以上一〇年以下の労働教化刑に処する。前項の行為を数回又は共謀して働いた場合は、一〇年以上の労働教化刑に処する。情状の特に重い場合は、無期労働教化刑に処する。
第六五条(武装干渉対外関係断絶使嗾罪)  外国人が他国又は他国にいる集団をそそのかして資金を提供して共和国に対する武装干渉をしたとか、外交関係を断絶するようにしたとか、共和国と締結した条約を破壊するようにした場合は、一〇年以上の労働教化刑に処する。
第六六条(外国人に対する敵対行為罪)  共和国と他国との関係を悪化させる目的で、共和国に滞留する外国人の人身、財産を侵害した者は、五年以上一〇年以下の労働教化刑に処する。情状が重い場合は、一〇年以上の労働教化刑に処する。

第二節 反民族罪
第六七条(民族反逆罪)  朝鮮民族として帝国主義の支配のもとで我が人民の民族解放運動と祖国統一のための闘争を弾圧したとか、帝国主義者たちに朝鮮民族の利益を売り飛ばすなどの民族反逆行為をした者は、一〇年以上の労働教化刑に処する。
 情状が特に重い場合は、無期労働教化刑又は死刑及び財産没収刑に処する。
第六八条(朝鮮民族解放運動弾圧罪)  外国人が朝鮮人民の民族解放運動と祖国統一のための闘争を弾圧した場合は、五年以上一〇年以下の労働教化刑に処する。
 情状が重い場合は、一〇年以上の労働教化刑に処する。
第六九条(朝鮮民族敵対罪)  外国人が朝鮮民族を敵対視する目的で海外に常住するとか、滞留する朝鮮人の人身、財産を侵害したとか、民族的不和をもたらした場合は、五年以上一〇年以下の労働教化刑に処する。
 情状の重い場合は、一〇年以上の労働教化刑に処する。

第三節 反国家及び反民族犯罪に対する隠匿罪、不申告罪、放任罪
第七〇条(反国家及び反民族犯罪に対する隠匿罪)  反国家及び反民族犯罪を引き起した者、又は犯罪の痕跡を隠してやった者は、四年以下の労働教化刑に処する。
第七一条(反国家犯罪の不申告)  反国家犯罪を準備しているとか、引き起していることを知りながら、それを該当機関に通知しなかった者は、三年以下の労働教化刑に処する。
第七二条(反国家犯罪に対する放任罪)  反国家犯罪を引き起していることを知りながら、それを緊急に防止するのに必要な対策を十分建てることができたにも拘らず、放置した者は、三年以下の労働教化刑に処する。

第四章 国防管理秩序を侵害した犯罪
第七三条(決定、命令、指示、執行怠慢罪)  国防委員会決定、命令、指示を適時に、正確に執行しなかったとか、形式的に執行した者は、二年以下の労働鍛練刑に処する。
 前項の行為を数回した場合は、五年以下の労働教化刑に処する。情状の重い場合は、五年以上八年以下の労働教化刑に処する。
第七四条(戦時生産準備をしなかった罪)  機関、企業所、団体の責任者が戦略予備物資の造成、戦時生産準備をしなかった場合は、二年以下の労働鍛練刑に処する。情状の重い場合は、三年以下の労働教化刑に処する。
第七五条(戦闘技術機材、軍事施設の故意的破損罪)  戦闘技術機材と軍事施設を故意に破損した者は、五年以下の労働教化刑に処する。多数の戦闘技術機材、又は重要な軍事施設を破損させた場合は、五年以上一〇年以下の労働教化刑に処する。
 情状が特に重い場合は、一〇年以上の労働教化刑又は無期労働教化刑に処する。
第七六条(戦闘技術機材、軍事施設の過失的破損罪)  戦闘技術機材、軍事施設を過失で破損させた者は、二年以下の労働教化刑に処する。
 多くの戦闘技術機材、又は重要な軍事施設を破損させた場合は、五年以下の労働教化刑に処する。
 情状の重い場合は、五年以上一〇年以下の労働教化刑に処する。
第七七条(軍事警備勤務秩序違反罪)  民間軍事訓練に動員された者が、警備勤務秩序に違反し、警備対象物に被害を与えた場合は、二年以下の労働教化刑に処する。
 情状の重い場合は、二年以上七年以下の労働教化刑に処する。
第七八条(武器、弾薬秘密携帯、譲渡罪)  武器、弾薬を不法に所持するとか、他人に譲渡した者は、三年以下の労働教化刑に処する。
第七九条(軍需品紛失の罪)  軍需品を紛失した者は、二年以下の労働鍛練刑に処する。
 大量の軍需品を紛失した場合は、五年以下の労働教化刑に処する。
第八〇条(軍需品生産に支障をもたらした罪)  軍需品生産に必要な設備、原料、資材を適時に生産保障しなかったか、その質を保障できず軍需生産に支障をきたした者は、二年以下の労働鍛練刑に処する。
 情状の重い場合は、三年以下の労働教化刑に処する。
第八一条(軍需品生産での不良品、不合格品生産罪)  軍需品生産部門の働き手が、技術規定、標準操作法、製品規格、製品検査に関する秩序に違反し、不良品、不合格品を生産した場合は、四年以下の労働教化刑に処する。
第八二条(軍需品生産用資材、軍需品流用罪)  軍需品生産部門責任者が軍需品生産用資材と軍需品を他の目的に使った場合は、四年以下の労働教化刑に処する。
第八三条(軍事服務動員忌避罪)  軍事服務動員を忌避した者は、二年以下の労働鍛練刑に処する。
 前項の行為を戦時又は準戦時にした場合は、五年以下の労働教化刑に処する。
第八四条(忌避者、脱営者隠匿罪)  軍事服務動員忌避者、脱営者と知りながら隠した者は、二年以下の労働鍛練刑に処する。
 情状の重い場合は、三年以下の労働教化刑に処する。
第八五条(軍事任務遂行妨害罪)  警備勤務、遮断勤務、取締り勤務、機動任務のような軍事任務遂行を妨害した者は、二年以下の労働鍛練刑に処する。
 情状が重い場合は、五年以下の労働教化刑に処する。
第八六条(軍人に仮装した罪)  軍人に仮装して人民軍隊の威信を毀損させたとか、社会的に危険な行為を働いた者は、二年以下の労働鍛練刑に処する。
第八七条(軍需品を売り買いした罪)  軍需品であることを知りながら売ったとか、買った者は、二年以下の労働鍛練刑に処する。
 情状の重い場合は、二年以下の労働教化刑に処する。
第八八条(国防秘密漏洩罪)  国防秘密を漏洩したとか、国防秘密文書を紛失した者は、五年以下の労働教化刑に処する。
 重要な国防秘密を漏洩したとか、国防秘密漏洩で重要な結果を起した場合は、五年以上一〇年以下の労働教化刑に処する。
 情状が重い場合は、一〇年以上の労働教化刑に処する。

第五章 社会主義経済を侵害した犯罪

第一節 国家及び社会協同団体所有を侵害した犯罪
第八九条(国家財産を盗んだ罪)  国家及び社会協同団体の財産を盗んだ者は、二年以下の労働鍛練刑に処する。
 情状の重い場合は、二年以下の労働教化刑に処する。
 共謀又は大量の国家及び社会協同団体財産を盗んだ場合は、二年以上九年以下の労働教化刑に処する。  特に大量の国家及び社会協同団体財産を盗んだ場合は、九年以上の労働教化刑に処する。
第九〇条(国家財産を奪った罪)  国家及び社会協同団体の財産を奪った者は、二年以下の労働鍛練刑に処する。
 情状が重い場合は、三年以下の労働教化刑に処する。数回又は共謀して、或いは大量の国家及び社会協同団体財産を奪った場合は、三年以上一〇年以下の労働教化刑に処する。
 特に大量の国家及び社会協同団体財産を奪った場合は、一〇年以上の労働教化刑に処する。
第九一条(国家財産恐喝罪)  国家及び社会協同団体の財産を恐喝して奪った者は、二年以下の労働教化刑に処する。情状の重い場合は、三年以下の労働教化刑に処する。
 数回又は共謀して、或いは大量の国家及び社会協同団体財産を恐喝して奪った場合は、三年以上一〇年以下の労働教化刑に処する。
 特に大量の国家及び社会協同団体財産を恐喝して奪った場合は、一〇年以上の労働教化刑に処する。
第九二条(国家財産を騙して所持した罪)  国家及び社会協同団体の財産を騙して所持した者は、二年以下の労働鍛練刑に処する。情状が重い場合は、二年以下の労働教化刑に処する。
 大量の国家及び社会協同団体財産を騙し所持した場合は、二年以上八年以下の労働教化刑に処する。
 特に大量の国家及び社会協同団体財産を騙し所持した場合は、八年以上の労働教化刑に処する。
第九三条(国家財産横領罪)  機関、企業所、団体の委任によって一定の義務を実行する者又は管理者が、職務上又は義務実行上保管、管理している国家及び社会協同団体の財産を横領した場合は、二年以下の労働鍛練刑に処する。
 情状の重い場合は、三年以下の労働教化刑に処する。
 共謀して又は大量の国家及び社会協同団体財産を横領した場合は、三年以上九年以下の労働教化刑に処する。
 特に大量の国家及び社会協同団体財産を横領した場合は、九年以上の労働教化刑に処する。
第九四条(特に重い形態の国家財産略取罪)  国家及び社会協同団体財産略取行為の情状が特に重い場合は、無期労働教化刑に処する。
第九五条(国家財産強盗罪)  人間の生命、健康に危険を与える暴行、脅迫を働き、国家及び社会協同団体の財産を強盗した者は、三年以上八年以下の労働教化刑に処する。
 数回又は共謀して、或いは大量の国家及び社会協同団体財産を強盗したとか、武器、兇器を利用して強盗した場合は、八年以上一二年以下の労働教化刑に処する。
 特に大量の国家及び社会協同団体財産を強盗したとか、強盗行為で人間を死なしめたとか、重傷を負わせた場合は、一二年以上の労働教化刑又は無期労働教化刑に処する。
第九六条(国家財産共同貪汚罪)  不法に賞金、生活費を適用したとか、各種後方事業(各部処の任務遂行上の物的支援事業)の名目で国家及び社会協同団体財産の共同貪汚を指示したとか、組織した者は、二年以下の労働鍛練刑に処する。
 情状の重い場合は、二年以下の労働教化刑に処する。
第九七条(国家財産の故意的破損罪)  国家及び社会協同団体の財産を故意に破損した者は、五年以下の労働教化刑に処する。
 特に重要な生産手段、又は施設物を破損させたとか、放火、爆破の方法で破損させた場合は、五年以上一〇年以下の労働教化刑又は無期労働教化刑に処する。
第九八条(国家財産の過失的破損罪)  国家及び社会協同団体の財産を過失で破損させた者は、二年以下の労働鍛練刑に処する。
 情状の重い場合は、三年以下の労働教化刑に処する。
第二節 経済管理秩序を侵害した犯罪
第九九条(貨幣偽造罪)  共和国貨幣を共和国銀行において交換することの出来る外国貨幣を偽造した者は、五年以上一〇年以下の労働教化刑に処する。情状が特に重い場合は、一〇年以上の労働教化刑、又は無期労働教化刑に処する。
第一〇〇条(偽造貨幣使用罪)  偽造された貨幣と知りながら使用した者は、二年以下の労働鍛練刑に処する。情状が重い場合は、五年以下の労働教化刑に処する。


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