琴平参宮電鉄を訪ねて 減速進行 > 琴平参宮電鉄
 地区:香川県丸亀市 区間:坂出〜琴参琴平/多度津桟橋通〜善通寺赤門前 軌間:1067mm 動力:電気

金比羅さんへの参拝客輸送を目的として、この電鉄は設立された。主要な乗客として本州からの渡航客が含まれ、各航路に接続する形で琴参、琴急、琴電、国鉄と4つの鉄道がつばを競っていた。
今でこそ本四間のメインルートである瀬戸大橋がこの地区につながっているが、大橋建設以前は宇野〜高松間が主要な航路で、大半の渡航客は県都である高松を経由していた。さらに歴史を遡れば各地に連絡航路が点在していた時期があり、坂出、丸亀もその一つだった。
晩年、本州からの太いパイプを持たない琴平参宮電鉄は軌道用の車両で細々と営業を続け、一時は休止状態の琴平急行電鉄を合併もしたが、やがて他の軌道の例に洩れず姿を消すこととなった。まさに本州との連絡路の変遷に翻弄された鉄道だった。

この鉄道は併用軌道線が多かったことから、残念ながら当時の痕跡は数少ない。


 略史

大正 11- 10/ 22 琴平参宮電鉄 丸亀通町〜善通寺赤門  開業
12- 8/ 4    〃 善通寺赤門〜琴平  開通
13- 10/ 9    〃 善通寺赤門〜多度津鶴橋  開通
14- 2/ 26    〃 多度津鶴橋〜多度津桟橋  開通
昭和 3- 1/ 22    〃 丸亀通町〜富士見町  開通
3- 3/ 20    〃 富士見町〜坂出  開通
23- 7/ 1    〃 琴平急行電鉄を合併
38- 9/ 16    〃 廃止

 路線図

琴参路線図

* 地図上にマウスポインターを置くと琴平参宮電鉄線を表示します


 廃線跡現況

廃線跡を探索していて、軌道ほど味気ないものはない。
元々道路上に施設されたものだから、廃線と同時にあっという間に元の道路に戻ってしまうからだ。ごく例外的にレールの上から応急的にアスファルトをかけただけの場合もあり、しばらくすると道路下から当時のレールが頭をのぞかせることがある。ただ、これも道路の再舗装時に必ず撤去されてしまう。ここ琴参にもかなりの併用軌道部があり、当時の面影をまったく見つけられない場所も多い。
全線は四路線に分かれていたが、実際の運用は一体だった。

−坂出線−
富士見町〜新浜間写真 A 坂出駅付近はJRの高架化工事にともなって大きく整理されまったく不明。

聞き取り調査もしたが旧版地図との不一致があり、あまり信頼できなかった。変貌が大きすぎるため地元の人の記憶もかなり曖昧になっているのだろう。

同じ場所に合併した琴平急行電鉄の坂出駅も並んでいたはずだが、こちらもまったく痕跡はない。

さて琴平参宮電鉄は旧国鉄駅前の坂出を出発すると、しばらくはこのJRに並行して西進する。次の富士見町も駅のあったことすら記憶の彼方に忘れ去られているが、このすぐ西、JRの高架脇に煉瓦造りの橋台(A参照)が今も健在だ。
95年1月
さらに新浜を過ぎ、JRと別れを告げる前の小道にもこれを越える橋台(B参照)が残る。


ここから宇多津駅前までの間は路盤が放置されていたり、また一部は自動車も通行可能な道路として転用されたりしている。
B 新浜〜宇多津新町間写真
95年1月
宇多津駅前〜宇夫階間写真 C 宇多津駅前付近は一部生活道(C参照)などに転用されるが、利用は地元の人に限られるようだ。
95年1月
また一部は宅地化され、団地の横にその過去の遺産(D参照)を今も示す。


駅の東を流れる大束川には現在遊歩道橋が架かるが、鉄道時代の橋脚の土台(E参照)が川底に眠っている。

JRの宇多津駅は瀬戸大橋建設にともなって北に移動し駅施設も大きく改良されたが、琴参の宇多津駅前跡は移動のしようがない。
D 宇多津駅前付近写真
95年1月
大束川橋脚跡 E 当り前の話だか、現在のJR宇多津駅前を探しても何も見つける事はできない。当時の地図を片手に市街地の中に踏込んでみる必要がある。


さて宇多津市街地を抜けた廃止跡はその先で県道33号線に合流し、丸亀市の中心である丸亀通町まで自動車道として再利用され、今は地元車両の通行量もかなり多い。
03年10月
米田氏提供
丸亀市街地に入る手前の土器川には上下別線となる蓬莱橋が架かるが、この真ん中付近に鉄道の橋脚(F参照)が倒壊した状態で放置されている。

ただし干潮時のみ姿を現すので、時期が悪いと発見することは困難となる。
F 土器川橋脚跡
03年10月
米田氏提供

−丸亀線−

丸亀通町を過ぎてすぐに向きを南に90度変え善通寺を目指すこととなるが、ここからが丸亀線と呼ばれていた。この先ほとんどが併用軌道で、残念ながら当時の活躍を記録するものはほとんど残されていない。一部専用軌道もあったようだが、こちらも道路に再利用されている。

この区間の駅名(停留所名)に不明なものがあるが、いまのところ正確な資料が見つかっていない。参考資料によると丸亀通町から善通寺に向って 亀山公園前 グランド前 中内本社前 番神 田村 南 原田 金蔵寺 樫藪変電所前 善通寺車庫前 善通寺赤門前 と記されている。
善通寺赤門駅跡写真 G 路線図には参考地形図などにより一部推測も交えつつ大半の名称を記入したが、中府の間、原田金蔵寺の間、および善通寺車庫前善通寺赤門前間にある駅名は記載を保留した。今後も引続き調査が必要なようだ。また、これとは別に開業時からの名称が変更になった駅もかなり多いのも一つの特徴だ。

さて金蔵寺を過ぎ土讃線をオーバークロスすると善通寺市街地に入り、この中心地の善通寺赤門前(G参照)で多度津線と合流し、後は琴平線として最終目的地琴平を目指す。

ここの駅舎が現在も健在で、民間の店舗として活躍していることは驚きに値する。この先できる限り長くがんばって頂くよう、応援したい。
95年1月

−琴平線−
電鉄は善通寺市街地を抜けると丸亀線とは異なり専用の軌道敷を進むこととなり、その跡地は現在道路として活用されている。


途中、複線の岩崎トンネル(H参照)も当時のままの姿を保ったまま再利用されている。
H 岩崎トンネル写真
95年1月
琴平駅跡写真 I 終点琴平手前から土地は区画が整理されて駐車場となり、琴平駅跡(I参照)はその名をとどめる立派な観光ホテルに生まれ変わっている。
95年1月

−多度津線−
琴平線と同様、専用軌道だった善通寺赤門前多度津桟橋通間は全線2車線道路に転用され、終点の多度津桟橋通駅跡(J参照)は現在タクシーの営業所となる。左カーブの向こうに桜山トンネルが現存する。


痕跡はこの桜山トンネルと予讃線との立体交差部のみで、転用された道路からは当時の様子をうかがい知ることは出来ない。
J 多度津桟橋駅跡写真
95年1月

 最新の情報

 2007年7月18日
北海道の藤田さんより運行当時の貴重な情報をお寄せ頂きました。全文を転載しましたのでご覧ください。

「はじめまして。
琴平参宮電鉄坂出駅はJR坂出駅の南西にありました。現在JR坂出駅南口に道路ができていますがあの西側、駅の西側を南北に走る道路に向かって出口がありました。古い坂出駅の跨線橋から直接入れるようになっていたような気がします(使ったことがないのでハッキリしませんが、ともかく跨線橋は国鉄から南に伸びていました。ひょっとすると琴平急行電車の駅に繋がっていたのかも知れません)。
次の富士見町駅も道(かつての県道坂出貞光線、現在は国道)の東側にあり西向きに出入り口がありました。ここもかなりクラシックな駅舎でしたが、道路との間の通路の南側にあった売店のショーウインドウだけは廃線の少し前に新しくなっていました。
小さな駅の割には大きな売店でショートケーキなども販売していました。廃線後も坂出貞光線のバス停がありましたので、売店は営業していました。何年か前にいった時には公衆電話ボックスと郵便局があったような気がします。(このバス停を利用していたので、40年以上前のコトですがわりと覚えています)。

あと、記憶にあるのは丸亀通町の駅で、線路を跨いで駅舎がありました。二階建ての建物の一部にアチ形の電車の出入り口が開いていたような気がします。路線は丸亀城の外堀を埋めて作られていたのではなかったでしょうか。後にバスの営業所になり、さらにダイエーの丸亀店になったような気がします。

善通寺赤門前は多度津線と丸亀線、琴平線が行き来して、一番ターミナルらしい所でした。

琴平駅は今琴参閣になってしまったようですね。

琴平急行は子供の時に既に廃線になっていましたが、それでも70年頃までは大束川をこえる橋脚とか、飯野山の北西を走った路線跡とか、土器川をわたる橋脚とかが残っていました。

琴参電車の沿線に住んでいなかったので、何かの時に通り過ぎた記憶だけですが。」

 丸亀市在住の笠井さんより、資料として鉄道ファン通巻27号を紹介され、また路線図にある丸亀線の中府が参考資料等に記載された中内本社前ではないかとの情報を頂きました。

 丸亀市在住の米田さんより、丸亀市街の東を流れる土器川と宇多津市街の東を流れる大束川に残る坂出線橋脚跡の写真を送っていただきました。
干潮時のみにしか現れないものを、わざわざ時間を割いて撮っていただいたものです。土器川は現在の県道33号蓬莱橋上下線のちょうど真ん中あたり、大束川は鉄道廃止後に出来た遊歩道橋の真下あたりにあります。
全写真はこちらからご覧下さい。 > 「土器川」 「大束川」


 参考資料

鉄道ピクトリアル通巻151号/琴参電鉄廃止・・・簡単な紹介のみ
鉄道廃線跡を歩く U/廃線私鉄の停車場一覧/宮脇俊三編著/JTB
鉄道廃線跡を歩く X/宮脇俊三編著/JTB

 参考地形図

1/50000 A 丸亀 [S32要修]    
1/25000 a 丸亀 [S7鉄補] b 善通寺 [S7鉄補]

 地図の入手先
    国土地理院 >  地形図リスト > 入手方法

 参考web

丸亀ドイツ兵俘虜研究会 > (4)香川県の近代化遺産 > 琴平参宮電鉄・・・現役時代の貴重な写真を紹介中

減速進行 > 琴平参宮電鉄 最終更新日2009-5/20    無断転載禁止