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疲労


1999年6月5日

超回復の理論は間違っている

超回復の理論を信じれば・・・、

  • 「前回のトレーニングの疲労が完全に回復してから次のトレーニングをするべき」
  • 「疲労が蓄積しないように適切な間隔でトレーニングをするべき」

・・・という事になります。


しかし、それは間違った理論だと思います効果のあるトレーニングは次第に疲労が蓄積していくものなのです。ですから数週間おきに1週間程度のまとまった休養をとりましょう。


ヘビーデューティー理論はここが間違っている

「トレーニング量を減らして質を高めればオーバートレーニングにならない」


・・・という箇所は絶対に間違っています。質より量、量より質、どちらのトレーニングでもオーバートレーニングになります。


このように、ヘビーデューティー理論は根本的なところから間違っています。ヘビーデューティー理論は、単純明快で理解しやすいので今だに多くの人が信じています。しかし、それはただの根性トレーニングです。今すぐやめましょう。


中枢性の疲労も考えるべき

前回のトレーニングの疲労が完全に回復してから次のトレーニングをしているつもりなのに、何故かいつもの重量×回数が挙がらなかった経験はありませんか?


それは、きっと末梢性の疲労(筋肉疲労)が回復しただけで、中枢性の疲労(脳の疲労)は回復していなかったのです。ヘビートレーニングをする時は特に中枢性の疲労も考慮しましょう。


多少の疲労の蓄積に目をつむってトレーニングする時期もあったほうがよい

運動生理学者にとって、オーバーワークとは単に「トレーニングのやりすぎ」のことを意味します。これに対し、オーバートレーニングとは、オーバーワークを長期間続けた結果、様々な悪い症状が現れた状態を意味します。つまり、二つの言葉は正確には違う意味なのです。

オーバーワークを短期間限定で行うとパフォーマンスが向上する」という現象は、研究者の間でもはっきりと確認されています。その明確な理由はまだよくわかっていないようですが、「オーバーワークをするとテストステロンの感受性が高まり、その後オーバーワークを回避したトレーニングに切り替えても、しばらくはその高い感受性が維持するから」・・という仮説があります。

このように、オーバートレーニングは有害ですが、オーバーワークは必ずしも有害ではないのです。むしろ大きな効果を出すには、オーバーワークをうまく利用する必要があるでしょう。例えば、高地トレーニングもオーバーワークを利用したトレーニング方法だと思います。

例えば、パワーアップのサイクルの場合、サイクルの序盤から中盤では、多少の疲労に目をつむってトレーニングします。しかしサイクルの終盤では、しっかり休みながらトレーニングし、オーバーワークの反動効果によるパワーアップを期待するのです。


オーバートレーニングにもタイプがある

瞬発系競技者に多く、質の高いトレーニングで起こるものをバセドー病的オーバートレーニングと言います。

反対に、持久的競技者に多く、量の多いトレーニングで起こるものをアジソン病的オーバートレーニングと言います。

実際には、完全にいずれかの症状を示さないで、多少混合した形で現れる事も多いようです。

それそれの処置方法を以下に表にしてみます。瞬発系競技のオーバートレーニングには弱い刺激を使い、持久系競技のオーバートレーニングには強めの刺激を使うようです。


バセドー病的オーバートレーニング アジソン病的オーバートレーニング

  • トレーニングを大きく抑える。水泳、楽しいゲーム、軽い弛緩体操。
  • 軽いマッサージ
  • 中程度の温度の入浴
  • 軽い紫外線照射
  • 穏やかなサウナ
  • 場合によっては精神薬剤
  • 心理療法:リラックス


  • トレーニングの量を抑える。わずかな高強度負荷
  • 強めのマッサージ
  • 短時間の急激なサウナ。冷水浴をはさむ。
  • ジェットシャワー、炭酸ガス浴
  • 薬剤は使わない
  • 心理療法:活性化

瞬発系競技者に多いバセドー病的オーバートレーニングになると、記録にすぐ反映されるので発見しやすいようです。また、回復期間も1~2ないし数週間、・・と短い期間ですむようです。

持久系競技者に多いアジソン病的オーバートレーニングになると、なんとなくだるい等の疲労感を感じても、すぐには記録に反映されにくいので発見しにくいようです。回復期間は、軽症で2週間~1ヶ月、重症で数ヶ月、・・とかなり長くかかるようです。

参考文献
臨床スポーツ医学 1990年5月号
川原貴『オーバートレーニングの概念と臨床像』


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