過去の読書記録

2001年 ぽるこの読書ひとくち感想文

今月から、表紙を加えました。素敵なのが多くて、眺めていると楽しいんだな。

2月の読書 14冊 今月はあまり本を読まないだろうと思っていたけれど、何とか2日に1冊ペースで読み進めることが出来ました。満足!

 

東野圭吾   秘密   文芸春秋   1999

39才杉田平介は、妻 直子と小学校5年生の藻奈美を一度に失う。物語はそこから始まる。九死に一生を得、奇跡的に藻奈美は助かるが、意識は直子であった。そこから不思議な共同生活が始まる。   これだけでもミステリー好きなぽるこにはたまらない展開であるが、後半は涙がぼろぼろ出てきて、たまらなかった。いいと言われる映画で流す涙より、あとあとまで引いてしまう涙だ。自分と重ね合わせるから余計なのかもしれないけれど、こんなにも辛く決断を下さなければならない状況を作った運転手を恨んだ。どのような気持ちで直子はいたのだろうか?もう一度青春時代をやり直すことが出来、一方で年老いていく主人がいる。愛し合っていても、30年の年の差は埋まらないのだろうか?無論、一方が極端に若ければ若いほど難しい問題ではあるだろう。ぽるこにとって、東野の最高峰作品だと思う。そしてこんなにも涙できる本にはそうそう巡りあえないだろうと思う。

東野圭吾   嘘をもうひとつだけ   講談社   2000

東野本の装丁では、一番素敵なものだと思う。(よくよく見るとマンションだったのが、がっくりでしたが)そしてタイトルがいかしてる!と感じてしまった! もう東野にやられてます。短編小説集ですが、練馬警察署の加賀という刑事が一貫して登場します。読み終える頃には、加賀の人物像も固まってきて、より面白く読めました。

嘘をもうひとつだけ   嘘をつく。誰もが日常的に。確信的に、責任回避のために。嘘を嘘と思わず、口にすることも...バレリイナが付いた嘘とは人生を否定せず、嘘を真実として生きるためのものであった。

冷たい灼熱  今問題になっている事件を扱ったものだが、直接触れず、イメージを訴えかける作品だ。実際、このようなことがあるのではないかと、事件にはかならず背景があるものだと再認識させられた。タイトルも上手くはまった。

第二の希望   親子で器械体操に取り組み、いつしかずれが生じてしまった物語。どこにでも転がっていそうな話で、よりリアルな感じがする。

狂った計算   こんな狂った計算なんて、耐え切れない。でも計算違いという事は、いつわかるのだろうか?計算違いを違いと思わず、正しい道だと思って過ごす人も多いはず。何が正しくて何が間違っているのかなんて、この世の中わかるものじゃない。自分のしたいことが正しいと思うしかない。

友の助言   愛するあまり、見えない(ふり)をしなくてはならない。こんなことも、ありえるのかも知れない。愛情は、釣り合っていないと悲劇を生むのかもしれないな。

大地の子 中   山崎豊子   1991

中巻はドラマと違って、なかなか父に出会えない。ま、これが本来の道筋なのだろう。シアオリーベンクイツ(小日本鬼子)と言われた陸一心は結婚し、国家プロジェクトの臨海製鉄所チームに入る。この本について、何もいうことはない。本当によくテレビドラマ化したものだ。あの素晴らしい映像がなければ、ぽるこにはこの本は難しすぎて読めない。

篠田節子 愛逢い月   集英社   1994 

綺麗な表紙だと思った。読んでみたら、女の内面がどろどろしていて気持ち悪いと思った。事実、誰の心の中にも憎悪は潜み続けていることだろう。コンセプションは怖くて怖くて、ホラーかと思うほど恐怖を感じてしまった。ピジョンに関しては、理解できず不完全燃焼。篠節の本は介護関係のものが好みにあっているようだ。

秋草 38階の黄泉の国 コンセプション 柔らかい手 ピジョンブロッド 内助

痛快ワンマン町づくり   早瀬圭一   新潮社   1989   2001

江戸川区に住んで10年、離れて10年。そして今年また江戸川区に戻ってきた私は、内からも外からも江戸川区の特殊性を感じていました。そしてそこへ中里喜一氏の訃報の知らせ。35年も区長を務め、江戸川区をよくしてくれた区長が書かれた本はいつか読まなきゃと思っていましたが、ちょうど友人が江戸川区職員試験を受けるとの事で、読んでもいないのに「この本を読みなさい」と勧めた手前、ようやく読みました。行船公園のホタル祭りはもうなくなってしまったけど、子供の時、ホタルを見てものすごく感動しました。確かにお祭りに来ていた人は、ホタルに興奮し、舞い上がっていました。お祭りも一体化し、みんなが輪となれました。その裏で、中里喜一前区長がこう考え、どのように実行に移したのか、軌跡を追うことは楽しい作業(読書)でした。小学校の遠足で、古川親水公園を訪れ、やはり胸を躍らせた子供の一人でした。6学区である、江東区・墨田区・江戸川区・葛飾区から集まってきたの都立の高校に入学しました。他の区の友人は、区長の名前も知らない人が多かったので、驚きました。江戸川区の多いクラスだったので、中里喜一の話でよく盛り上がった記憶があります。ポニーランド、スポーツセンター、プールガーデン、臨海公園、左近川公園など、自慢の多い区です。

また江戸川区を離れていた10年間は、東京都武蔵野市に住んでおり、やはりそこも江戸川区に負けずよりよい行政が行われ住みよい町でした。2つの自慢できる町に住んでいたことは誇りでもあります。そのため、他の町には住みたくない思いが強く、引っ越さなきゃならないのが残念でたまりません。

 

東野圭吾   怪笑小説   集英社   1995

こんなに面白く笑える本だったとは!これはなかなか。くすっとさせられるものも、にやっとさせられるのも、思い出し笑いをさせられたり。気分が爽快になる本にめぐり合えた事を感謝!読み進めていって、「あと3編しかない、あと2編しかない」と読みたいのに、読むと終わってしまうという矛盾した感情が常に付きまといました。そして何よりも、東野自身によるあとがき。どのようなコンセプトでこれを書いたか。裏話や、こう書きたかったのだけれども、といった後悔の念などあり、更に楽しめる工夫あり。

鬱積電車   誰にでもある満員電車の憂鬱さ。人間観察に走る人も多い事と思います。この小説は、乗り合わせた人々が何を思い何を見ているのか、本人の気持ちを表したものなのですが、誰もが思いつく題材を落ちを付け上手く仕上げています。

おっかけバアさん   わたしも野球のおっかけを経験してますが、中年女性のおっかけ心理はわかりません。しかし、人を狂わせる何かが対象物にはあるんですよね。パワーみなぎる主人公に読みついていくにも、そうとうパワーがいる本です。

一徹おやじ   星一徹と星飛馬。誰もが知っているこの2人。笑っちゃうんだけど、スポ根ってつい惹かれるんですよね。それを少々茶化して小説化したものですが、また最後に苦笑させてくれました。

逆転同窓会   先生達の同窓会に生徒を呼ぶ。こんなことは実際あるのかわかりませんが、今生きている人間と、過去を振り返る人間の明らかな違いが、東野氏同様、先生嫌いなわたしのうさを晴らしくれてます。

超たぬき理論   世の中、何が正しく何が間違っているのか?多数が正しく、少数が間違っている。いろいろと世間でも、取りざたされる事ですが、明らかに「たぬき」を中心にもってきて、物事を片付けるのは違うでしょう?でもそれが真面目に語られてて、面白いんです。

無人島大相撲中継   わたしのおばあちゃんも、ラジオが好きでした。テレビ世代で、スポーツはテレビ中継で見るものだという頭なので、ラジオの楽しさはわかりかねますが、タイトルの通り、無人島だったら、ラジオに釘付けになるかも?

しかばね台分譲住宅   すっごいくだらないんだけど、すっごく面白い。むちゃくちゃだけど、面白い。中学生時代に遊んで、何が面白いかわからないけど面白いという感情につながって、中学時代をフラッシュバックさせました、何度も。

あるジーサンに線香を   これって、かなり酷な話だよね。読後、何度も感じました。楽しいことは知らないで死んだ方がいいのか、楽しいことをして死んだ方がいいのか?それは後者の方がいいに決まってると思うけど、この小説の件は二度と味わえないものだから...なんだか暗くなります。

動物家族   ここんとこ少年犯罪が多いけど、少年に限らず犯罪を犯す人々の多くは、周りの人間をこう思っているのじゃなかろうか?確かにいます、猫のような女性。キャンキャン吠える犬みたいな女性。しかしあまりにも殺伐とした話です。

 

花村萬月   守宮薄緑   新潮社   1999

こんなにも性表現のきっついものは、読むのが辛い。もうこの人のは読まん!(1冊は読みきったけど) ぽるこには推理小説が合ってるわ。幼くして辛い目にあった、売春、近親相姦、息子の暴力。なぜか読めません。でもなぜ読めないのかは、本を読む前に作者の顔写真を見てしまったから?!かも。

沈まぬ太陽 アフリカ編・上   山崎豊子   1999   2001

ようやく図書館に第1巻がありました。なかなか待ってても戻ってこなかったから、御巣鷹山編を読んだけどそう面白くなかったのが本音だ。しかし多少とも労働組合に接することがあり、このような会社の態度、そしてそれに流されない主人公の赤裸々な事実に基づく小説は、ぐいぐいと引きつけられ半日で読み終えてしまった。労働組合の人から、「読むべきだ」とこの本を薦めてくれてたからというのもあった。

ここまで自分の気持ちをまっすぐにしなくてもいいじゃないか!もっと楽に、妥協も必要だし、周りもやりずらいよ。そんな一般的な感情が湧いた。いろいろ思う所のある話だが、後3冊を読んでからにしよう。

 

ゴサインタン 神の座   篠田節子   1996   2001

受賞作と思いかなり楽しみに読み始めたが、神がかりな淑子の事を輝和同様理解することが出来ず、読み進めるのが辛い小説だった。以前にもネパールの近隣の架空の国を題材にした作品があり、それとダブらせながら読んでいった。(弥勒だったかな?) 最後は幸せになったのだろうが、あまりにも失うものが大きすぎたような気もしないでもない。生活する為に日本へお嫁にやってくる人も、いるのだろうが、あまりにも寂しすぎる世の中になったものだ。お嫁がいなくても、そういう人生があっても良いといえる国になるべきでしょう。40過ぎて、由緒ある家の男子として田畑を守り、歴史を刻んでいかなくてはならない身としては、逃げ道がないのかもしれないが、愛のない生活は国際結婚ならずともいつかは破綻するのでしょうな。

結木輝和 淑子

 

怪しい人びと   東野圭吾   光文社   1994   2001

またまた短編集。短編集は面白くないんだけど、この作品も篠田節子の死神も大当たりの作品でした。野球好きなぽることしては、もう一度コールしてくれなんてものは深く思うものがあります。東野入門にこれから始めてみては?

収録作   寝ていた女   もう一度コールしてくれ   死んだら働けない   甘いはずなのに   灯台にて   結婚報告   コスタリカの雨は冷たい

死神   篠田 節子   実業之日本社   1996   2001

8つの短編集。篠田節子にしか書けないであろう福祉の小説。ぽるこも少々介護の現場を覗いて見たけど、生半可なものではない。老いていく、または前進が望めない患者の現場を厳しく見つめ、周りの感情を事細かに描写している。一編一編に、人生が凝縮されていて、読んでてソラ恐ろしくなるが、短いページの中に受け取る人によって変わる様々なメッセージがある。必読、ですね。あとがきにも苦労がにじみ出ています。

収録作 しだれ梅の下   花道   七人の敵   選手交替   失われた二本の指へ   緋の襦袢   死神   ファンタジア

虹を操る少年   東野圭吾   実業之日本社   1994   2001

この本を読み終わった翌日に、瓶詰めきのこを食べて幻覚症状を起こした夢を見た。 たいへん気持ちの悪い世界だ。小説はいいのだが、こんな世界がやってきたらと思うと、悪寒が走ります。しかし上手く、光楽っつうものを考え出したね!いづれそんなものが出来たら、面白いだろうなあ。

白河光瑠(光楽家) 志野政史 小塚輝美 芹沢 木津玲子(忠弘の愛人=大津聖子・功一の恋人) 白河高行(光瑠の父) 白河優美子(光瑠の母) 志野頼江(政史の母) 相馬功一(マスクド・バンダリズム) 宇野哲也(マスクド・バンダリズムのリーダー) 清瀬由香(政史の憧れの人)  佐分利(専務・マスクの元締め) 相馬忠弘(功一の父) 鳥居(佐分利の親分)

マスクド・バンダリズム ニュータイプ 白鳥公園

オイ!ブラジル日下野 良武  毎日新聞社  1992   2001

サンパウロ新聞社常務である氏の、ブラジルを愛してやまない思いが伝わる本です。ブラジルに暮らしてしかわからない情報を、簡潔に自らの思いも込めながら書かれているところに、人の温かさを感じます。 

 

天空の蜂   東野 圭吾   講談社   1995

東海村での事故がなければ、この本を身近に感じる事は出来なかったと思う。《アマチ清掃は原発内の放射能除染作業を専門に請負う会社である。「水もれなどで汚れた床を専用雑巾で拭いたりする仕事だ》 この文章を読み、東海村の「おそまつな」仕事振りの写真が頭に浮かんだ。しかしこれが書かれたのはその前。何でそんなに詳しく描写できるのだろう...今まで読んだ作品とは、全く違う作風で、意味深なセリフもさらっと書かれていて、事件の経過をタンタンと記述しているだけなのに、読み応えがある。私たちが想像しやすい、住民のパニックやテレビ放送なども最小限に書かれていて、そんなことよりも現場ではどのような対応がされているのかだけなのだが...福井に行った事もないし、原発に触れる機会もない。車で東北旅行をしたときに、六ヶ所村を夜通りすぎ「なんだか怖い」という思いをしただけだ。それはイメージから「怖い」と思ったのだが。東野圭吾は敦賀と関係があるのか?それが読んでいてふと気になった。

湯原一彰(錦重工業航空事業本部・社員) 湯原篤子(一彰の妻) 湯原高彦(一彰の息子) 山下 山下真知子(の妻) 山下恵太(の息子) 三島 三島智弘(三島の息子・事故死) 田辺佳之(大東プラント社員・白血病死) 高坂 赤嶺淳子 雑賀勲 佐藤伸夫(錦重工業・重機事業本部本部長・常務 の愛人) 藤井道雄(アマチ清掃の現場監督) 室伏周吉・野村・関根(刑事) 

ビッグB 高速増殖原型炉「新陽」 敦賀半島・灰木村

 

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