Hold'em Poker Drawing Oddsの分析

以下では、Hold'em PokerにおけるDrawing Odds(手役完成確率)について、さまざまな角度から分析してみることにします。

[手役の意味]

以下で説明するDrawing Odds表を理解するために必要な手役の名前と、さらにもう1枚手役を改善してくれるカードを引くことによってそれぞれの手役から改善可能な手役についてまとめて説明します。

手役意味改善可能な手役
Open Straight Flush Draw2種類のランクのどちらが来てもStraight Flushになる手Straight, Flush, Straight Flush
Inside Straight Flush Drawただ1種類のランクのカードが来ないとStraight Flushにならない手Straight, Flush, Straight Flush
Flush Draw同じスートのカードが4枚Flush
Open Straight Draw2種類のランクのどちらが来てもStraightになる手(3,4,5,6ならば2か7が来ればよい)Straight
Gut Shot Straightただ1種類のランクのカードが来ないとStraightにならない手(9,T,J,KならばQしかだめ)Straight
Two Pair2枚の同じランクのカードが2組Full House
One Pair2枚の同じランクのカードが1組Three of a kind
Three of a Kind同じランクのカードが3枚Four of a kind

[Draw Odds早見表(確率編)]

以下の表は、Hold'em Poker for Advanced Players by David Sklansky and Mason Malmuthをはじめ様々なところで掲載されているDrawing Odds早見表を拡張したものです。この表では、Flop, Turn, Riverそれぞれの段階までのカードを見た上で、その段階から考えて、showdownまでプレイしたときに手役が改善される確率を示しています。一方、Poker Frequently Asked QuestionsのP16にあるDrawing Oddsの表は、TurnおよびRiverが出た段階で手役が改善される確率を示していますので、数値も見方も意味も全く異なります。ご注意ください。

Outs欄は、手札改善に貢献するカードの枚数を示しています。例えば、Flop段階で手札とボードで合計3枚同じスートのカードがあるとすると、13-3=10枚のカードがFlushの完成に貢献することになるので、Outs欄の10の行とFlop欄が交差するところを見ることになります。結果は38.4%です。すなわち、Flopで3 Flushの場合、showdownでFlushになる確率は38.4%になるということです。

OUTSFlopTurnRiver手役
2067.5%43.5%69.7%
1965.0%41.3%67.2%
1862.4%39.1%64.5%
1759.8%37.0%61.8%
1657.0%34.8%59.0%
1554.1%32.6%56.1%Open Straight Flush Draw
1451.2%30.4%53.0%
1348.1%28.3%49.9%
1245.0%26.1%46.7%Inside Straight Flush Draw
1141.7%23.9%43.3%
1038.4%21.7%39.9%
935.0%19.6%36.4%Flush Draw
831.5%17.4%32.7%Open Straight Draw
727.8%15.2%29.0%
624.1%13.0%25.2%
520.4%10.9%21.2%
416.5%8.7%17.2%Two Pair, Gut Shot Straight
312.5%6.5%13.0%
28.4%4.3%8.8%One Pair
14.3%2.2%4.4%Three of a Kind

[Drawing Odds早見表(確率編)の使い方]

Drawing Odds早見表において、FlopおよびTurn欄とRiver欄とでは使い方が違います。FlopおよびTurn欄は、自分の手札が改善される確率を示していますが、River欄は自分以外の相手に手役ができている確率を示してます。以下の例でそれぞれの使い方がわかると思います。 なお、以下の説明では、A,K,Q,J,TはそれぞれAce, King, Queen, Jack, Tenを意味します。各カードの後につけたs,h,d,cはそれぞれspade, heart, diamond, clubを意味します。

[Drawing Odds早見表(確率編)の計算の仕方]

Drawing Odds早見表にある確率は、関数電卓または表計算ソフトなどを使うと簡単に計算できます。もちろん、普通の電卓のメモリ機能を使っても計算できますし、原始的な紙と鉛筆の計算でも可能です。

1. 公式

以下でまず公式を示します。ただし、ここでWは、あなたの手札を改善してくれるカードの枚数(FlopおよびTurn)あるいは相手の手札を改善するカードの枚数(River)とします。

Flop欄(W÷47)+(W÷46)×[(47−W)÷47]
Turn欄(W÷46)
River欄(W÷45)+(W÷44)×[(45−W)÷45]

FlopおよびRiver欄とTurn欄とでは計算の仕方が違います。まず簡単なTurn欄の計算法を説明します。

2. Turn欄の計算

Turnまでボードに出たとき、すでにあなたが目にしたカードの枚数は、あなたの手札が2枚にボード上の4枚の合計6枚です。したがって、あなたが待ち望んでいるカードは52-6=46枚のカードの中にあるわけです。この46枚のうち1枚がつぎのRiverで現れるわけです。したがって、あなたの手札を改善してくれるカードの枚数をWとすると、(W÷46)があなたの手札の改善確率、すなわちDrawing Oddsとなるわけです。例えば、Open Straight Drawのとき8 Outsですから、あなたの手札の改善確率は(8÷46) = 0.174、すなわち17.4%となります。

3. 質疑応答

実際には、(Turnの場合)46枚のカードのうちの何枚かはすでに他のプレイヤーに配られているし、ボードにカードをオープンするときに1枚づつカードをバーンするので、厳密には(客観的な確率で考えると)あなたの手札の改善確率は(W÷46)にはなりません。しかし、showdownまでには(あるいはshowdown後も)すべての相手のカードを見ることはできませんから、すでにあなたが目にしたカードに関する情報のみにもとづいて確率を計算することがもっとも現実的な考え方ですし、これは意思決定論などと深い関係があるBayesian統計学の考え方でもあります。ですから、心配性の方は、ここで求められた確率を1割程度割り引いて考えてみてはいかがでしょうか?

4. Flop欄の計算

Flopまでボードに出たとき、すでにあなたが目にしたカードの枚数は、あなたの手札が2枚にボード上の3枚の合計5枚です。したがって、あなたが待ち望んでいるカードは52-5=47枚のカードの中にあるわけです。この47枚のうち1枚がつぎのTurnで現れ、さらに残り46枚から1枚がRiverで現れるわけです。ですから、あなたの待ち望んでいるカードがTurnまたはRiverで現れる確率を求める必要があるわけですが、ここであなたの手札を改善してくれるカードの枚数をWとして、(W÷47)+(W÷46)がFlopから考えてあなたの手札が改善される確率考えてはいけません

正しくは、(W÷47)+(W÷46)×[(47−W)÷47]です。なぜなら、あなたが待ち望んでいるカードがTurnまたはRiverで現れる確率は、そのカードがTurnで現れるか、またはTurnで現れないでRiverで現れるという条件付き確率を考える必要があるからです。いまあなたが待ち望んでいるカードがTurnで現れるという事象をA、Riverで現れるという事象をBとします。さらに、あなたが待ち望んでいるカードがTurnとRiverの両方で現れるという事象をC、全体事象をDとします。これらの関係を集合論でもちいるベン図で表すと以下のようになります。黄色いAという円と赤いBという円との共通部分が緑色のCです。

Flopから考えてあなたの手札がshowdownまでに改善されるという事象は、あなたが待ち望んでいるカードがTurnで現れるか、またはRiverで現れるという事象を考えることと同じです。すなわち、A ∪ Bです。よって、Dの大きさに対するA ∪ Bの大きさの比をもとめればよいわけです。この計算をするにはA ∪ Bの大きさを知る必要があります。ABの和から重複しているCの部分を除くことでこれを求めることができます。ここで集合Sの大きさを#Sと表すとすると、それは#A + #B - #Cとなります。これを#Dで割ればよいわけです。あとは、これを実際に計算すれば正解の通りになります。

例えば、Open Straight Drawのとき8 Outsですから、あなたの手札の改善確率は(8÷47)+(8÷46)×[(47−8)÷47] = 0.315、すなわち31.5%となります。

5. River欄の計算

River欄の計算は、Flop欄の計算とまったく同じ考えでできます。Riverまでボードに出たとき、すでにあなたが目にしたカードの枚数は、あなたの手札が2枚にボード上の5枚の合計7枚です。したがって、自分以外の相手1人の手札2枚は52-7=45枚のカードの中から選ばれると考えることができます。ここで、相手の手札を改善するカードの枚数をWとすると、相手の手札が改善されている確率は(W÷45)+(W÷44)×[(45−W)÷45]になります。

例えば、ボード上の5枚でOpen Straight Drawになっており、自分の手札にはこのStraightに貢献するカードがないとすると8 Outsですから、相手がStraightを完成している確率は(8÷45)+(8÷44)×[(45−8)÷45] = 0.327、すなわち32.7%となります。

[Drawing Odds早見表(Odds編)]

Pokerの実際では確率よりOddsの方が便利な場合があります。Drawing Oddsを考える場合、簡単に言うと、Oddsとは自分の望んでいるカードを引ける確率と引けない確率の比のことです。例えば、40%の確率で自分の望んでいるカードを引けるとすれば、そのカードを引けない確率は60%で、その比は0.6:0.4 = 3:2 = 1.5:1で、1.5:1のodds(あるいは1.5:1のunderdog)であると言われます。通常、自分の望んでいるカードを引ける場合の比率を1に固定して考えます。一般にY:1のOddsの場合、1回自分の望んでいるカードを引けるまでにY回は引けない可能性があることを意味します。したがって、1.5:1のoddsの場合、1回自分の望んでいるカードを引けるまでに1.5回引けない可能性があることを意味するわけです。

確率をOddsに変換するには、つぎの公式を使います。

確率Odds
P%[(100 - P)÷P]:1

以下の表は、Drawing Odds早見表の確率をOddsに直したものです。自分の望んでいるカードを引ける場合の比率を1としたときにそのカードを引けない場合の比を示しました。したがって、以下に示す数値が低いほど自分の望んでいるカードを引ける可能性が高いわけです。

OUTSFlopTurnRiver備考
200.481.300.43
190.541.420.49
180.601.560.55
170.671.710.62
160.751.880.70
150.852.070.78Open Straight Flush Draw
140.952.290.89
131.082.541.00
121.222.831.14Inside Straight Flush Draw
111.403.181.31
101.603.601.51
91.864.111.75Flush Draw
82.184.752.06Open Straight Draw
72.595.572.45
63.146.672.98
53.918.203.71
45.0710.504.82Two Pair, Gut Shot Straight
37.0114.336.67
210.8822.0010.38One Pair
122.5045.0021.50Three of a Kind