| レストア済みバイクに乗ってみる |
| 登録 陸運局でナンバーを受け取ったのが1996年6月3日。廃車済書類と自賠責保険があれば登録手続きはとても簡単だった。 TY250Jの使用目的は主に街乗り専用、近所のトライアル大会を見に行くときにも乗っている。今のところ快調。少々ギヤオイルがモレるが、これはガマンできる。燃費は1リットル30キロ程度。 TY250Jのエンジンは重いフライホイールのせいで低速が安定している。3速でもアイドリングの回転数で発進できるが、中速からのノビはあまり感じない。これはエンジン特性でしかたがない。 性能面 新車当時の性能が100%出たとして、今のトライアル車のパワーと比較して出力は60%にもおよばない。このTY250Jはシリンダーとピストンが新しいが、それでも新車時と較べて70%ぐらいの出力性能が出れば良い方か。パワーは現在の125ccにもおよばないかもしれない。 しかしトルクはそこそこあるので一般道での不便はない。5速で45〜50キロのスピードが一番静かで安定している。40キロ以上で走れば、かなりの急勾配を5速で登っていけるがそこからの加速はできない。ちなみにアプリリア・クライマー240は同じ坂道を6速でグングン加速できる。 問題点 初めてナンバーを付けた頃、2速以下のギヤーで20度くらいの少し長い坂が登れない。それはキャブレターの問題でフロントタイヤが高い位置になるとエンジンの回転が落ちてしまう。ちょうど寒い朝にエンジンをかけた直後のあの「モーッ」として回転が上がらない状況に似ている。水平に車体をもどすと元の回転にもどる。キャブレターのフロート室の容量が少ないのが原因か。車体が水平以外のとき、混合気の割合が一時的に変化するのが原因なのは確実なようだ。急な斜面には入らないようにしている。この原因は意外な部品だった。(詳しい内容はキャブレターの不調の原因発見にあります) |
| 2001/4現在の状況 |
| キャブレターに関係したエンジン出力は、不調原因の特定により改善できた。 登坂力、中高速のノビなど本来の性能になった。解ってしまえば何でも無いことも理解するまでに時間がかかった。キャブレター内の小さな部品(50円以下で入手できるOリング)でこんなにも不調になっていたことに驚いています。 電気系統 ポイントとコンデンサを交換した。エンジン1発始動ができるようになった。これで20年は大丈夫? クラッチ クラッチプレート交換により、低速の5速時でもスムーズ走行ができるようになった。また、チェンジもスムーズになった。 2台のTY250Jうち1台は1999年8月中旬までに新品パーツを組み込み大切に保存していたが2001年4月ヤマハ車マニアの方に譲りました。 |
1996年6月ナンバーを付けた直後 |
| スペアエンジンのオーバーホール |
| 1オーバーサイズ(0.25ミリオーバーサイズ)のピストンがなかなか入手できなかったので、予備エンジンのオーバーホールに手を付けなかった。1998年3月、ショップ店長が再度純正ピストンの問い合わせをしてくれたとき1オーバーサイズピストンが入手できた。 1970年代のヤマハ250cc車には内径70ミリ×ストローク64ミリ仕様エンジンが多くあったので、再生産をしたようだ。入手したピストンは製造直後の新しいものだった。 ピストン、クランクピンとビックエンドベアリング、コンロッド等2台分入手した。クランクの分解、組立はショップに依頼した。 |
| クランク室はオイルが変色して 付着していた |
ギヤの状態はまずまずで 問題なし |
| シリンダーをボーリング加工に出した |
| 0.25ミリオーバーサイズピストンが入手できたので、ボーリング加工に出した。スペア車のシリンダー内面のキズがやや深く感じられた。岡山市内のボーリング屋さんに見てもらったところ「0.25ミリあれば充分きれいになるでしょう」。ピストンクリアランスは、メーカーに問い合わせてくれたので安心でした。後でこのボーリング屋さんに詳しい人の話によると「シリンダーとピストンを持って行くだけで、注文を付けてはいけないボーリング屋さん」で、納期も聞いてはいけないそうです。それを知らなかったが、ピストンの箱にメモ書きで「TY250J」と書いておいたのが良い結果となった。 持ち込み日の夕方にまでに加工できるそうだが、次の日に受け取ることにした。 ボーリング加工 2サイクルのシリンダー内面はポート穴や吸気排気の穴のため使い込むと、真円が維持できない。複雑に摩耗している。ピストンリング交換だけでもかなり性能が改善されるが、シリンダー内面に小さな傷があるときは薄く削って真円を出す。ボーリングマシンは小型のボール盤のようなスピンドルに切削工具を付け、約0.1ミリ(直径で0.2ミリ)削る。残り0.05ミリは、ホーニングマシンで仕上げる。ボーリングマシンより少し大型のホーニングマシンのスピンドルに棒状の砥石を複数取り付ける。少し圧をかけ回転させながら上下に移動させるので、らせん状の砥石目が残る。これがオイル溜まりになる。 |
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| クランクの分解とビックエンドベアリング交換 |
| ボーリング屋さんの技はクランクの分解、組立てのスピードと正確さである。「待ってる間に終るよ」と声をかけてくれたので、見学させてもらった。あらかじめクランクの幅と、シャフトのブレを計った。100分の2ミリのフレであった。「そんなに悪くないな」。分解には5トン油圧プレス機でクランクピンを押し出す。新しいベアリングとクランクピンを入れる。 クランク幅を元の寸法にセットしながらプレス機で「グッグッグと押し込む」。専用の測定装置でクランクシャフトのフレを見る。4〜5回くりかえし、フレを見ると100分の1ミリ。最後にナマリハンマーでチョンとクランクを一撃。フレは1000分の5ミリにおさまった。この間30分位だった。「このプレス作業は一回で決めないといけない。短時間で簡単そうに見えるがとても難しい技だ。」と技術者が笑った。工作機械の会社に勤めていた私にはその気持ちが良くわかる。 近ごろ、シリンダーのボーリングやクランクピンを入れかえるような仕事は、レース関係のものが主になったそうだ。一般的に使い捨ての時代のためか、この手の仕事は減っている。おそるおそるボーリング屋さんに行く時代ではないことは確実です。彼らの持っている技術は十数年プラス30分の技であって、彼らがいなくなったらパーツを再生することができなくなり、リサイクル時代に逆行することになる。 あるバイクショップの社長が「ピストンが入手できたらすぐボーリングをしなさい。」技術者が元気なときに加工し、大切に保存すること。「技術者も高齢化している」 |
取り外したパーツと組みあがったクランク |
| クランクのゴロゴロ感解消 |
| エンジン分解前に手でクランクを回転させたときのゴロゴロ感はビッグエンドベアリングと両端ベアリングから起きていた。 取り出したクランク側ビックエンドベアリングのニードル部表面をルーペで見ると小さな腐食がポツポツと見えた。またクランク両端ボールベアリングの片方は限度を超えた摩耗があった。クランク室内部に排気ガスの一部が入ったようで、オイルが変色して付着していた。数年はエンジンをかけてない時期があったようだ。クランクの一部片側だけに少しサビがあった。 今回、オーバーホールしたスぺア用エンジンの仕上がりはとても良い。静かで力強い排気音、エンジンからの雑音も小さく、リング音も気にならない。さすがにオイルもれはない。(1998/11/5に乗せ換えた) |