コンサーティーナ・カタログの読み方
− 上級編 −


いよいよ上級編です。日本からオーダーが可能なコンサーティーナ・ビルダー (工房)に はWheatstone, Dipper, Suttner, Conorなどがあります。

どの工房もいい楽器をつくりますが、 Dipperは現在オーダーストップ、Wheatstone のwaiting list(順番待ち)は4年位とのことでなかなか手が出ません。Conorは イギリスのHobgoblin Musicに定期的に入荷するそうですが、個人がオーダーすると相当待たされるとのことです。

そこで比較的新しいブランドのため入手しやすいSuttnerのカタログを例に高級コンサーティーナ・ビルダー のカタログ内容を説明します。Suttnerの順番待ちは彼のホームページで随時表示されています。
初級編とちがって、ちゃんとリンクを確認しましたので、横にSuttner Concertinaのページを開きながら 読んで頂けるとわかり易いです

では上級編としてドイツ Jurgen Suttner Concertinaのカタログページを見てみましょう。

Suttner Concertinaのカタログには最初はAngloが4種類、Englishが1種類リストアップされて います。最初にかいてあるのは、すべての楽器に共通の特徴です。

The concertinas are designed and built according to the historical English instruments. The buttons are made of German silver. All instruments have hardened springsteel reeds. Every reed is mounted in a single brass frame and finally tuned by hand. The instruments are tuned to the Standard International Concert Pitch A = 440 Hz.

ちょっと長いですが全文を引用しました。

The buttons are made of German silver.
これはボタンが洋銀製ということです。この他に白っぽい金属のボタンの材質として クロームめっきした金属、ステンレス、アルミなどがあります。昔は金張りした銀のボタンもあった そうです。ここでは選択の余地はありませんね。

All instruments have hardened springsteel reeds.
これは大切です。強化バネ製のリードということですが、アコーディオンのリードを流用したものではないということです。

Every reed is mounted in a single brass frame.....
これも大切です。伝統的なコンサーティーナは真鍮のリードケースに1枚づつリードが収められて いて、それがリードパンという板に取り付けられています。その伝統に従っていますということです。

.....and finally tuned by hand.
最終的に手作業で調整していますということです。Suttnerクラスの楽器になると調整しないことは ないと思いますが、念のため。

それではAnglo Concertinaの最上級機 A4: Jeffries typeの 内容を見てみましょう。

Ends: Jeffries design, flat or raised ends, flat ends made from German silver, rosewood, ebony or cocobolo, raised ends made from German silver or hardwood in black

Jeffries designって何?
エンドの説明です。Jeffries(ジェフリーズ)はコンサーティナ全盛期にイギリスにあった工房で、過去現在を通して あらゆる意味で最高のAnglo Concertinaを作りました。Jeffriesに関しては様々なホームページで 書かれていますので興味があれば検索してみると面白いでしょう。ここでのJeffries designは ジェフリーズで使っていたエンドのレリーフ模様とボタンの配列(どのボタンにどの音を当てはめる ということではありません)を真似ているということです。

flat or raised endsって何?
コンサーティナ全盛期の楽器ではボタンのある部分(エンドの中上半分くらい)の木、または金属 の部分を他より盛り上げて、手のひらにより収まりやすい形にすることが、上級機の間で 流行りました。これをraised endsといいます。それに対して普通見られる平らなエンドが flat endsです。ここでは選択になっています。

このあとに書かれているのはエンドの材質の選択です。木ならこれこれ、あとは金属という具合です。

Bellows: 7-fold leather bellows, goatskin, in black or with Jeffries bellows papers, other colours on request
初級編のStagiは紙の蛇腹でしたが、Suttnerは皮の蛇腹です。
無地またはJeffries模様の装飾紙付き、色もオーダー可能のようですね。

Keyboard layout: Jeffries system, changes of tones on request
これは重要です。キーボードレイアウトは、どのキーにどの音を割り当てるかということです。 先ほどのJeffries designで配置されたキーのそれぞれに好きな音を、押し引き両方とも割り当てることが できます。
もっともJeffries工房で考えられたレイアウトが標準ですので、使う予定のないボタンの 音を別の音に変えるなどが多いようです。

Levers: riveted, for fast action
riveted actionって?
riveted action(リベッテッドアクション)はボタンからパッド(それぞれのボタンに対応した、 エンドを通してみえるふたの様なもの。フルートなどにもありますね)を結ぶメカニズムの 支持方式です。
昔は各工房でいろいろ考えられましたが、riveted actionが反応がすばやく 確実との評価があります。もちろんJeffries工房で採用されていました。

Reed pan construction: reed chambers are parallel
Reed panは先ほども出てきましたが、それぞれのリードケースを収める板です。 この収める方向をが上下に平行に並んでいると言っています。これはJeffries工房の仕様 ですので、A4: Jeffries を選んだ人は変えることはできません。

つぎにA3: Wheatstone Linota type Anglo concertinaとA4: Jeffriesとの違いを 見てみましょう。
主な相違点は

Keys: 30 keys + C drone
Keyboard layout: Wheatstone system
Reed pan construction: reed chambers are arranged in a circle


の3点です。

まずキーですが、Wheatstone LinotaにはJeffriesはついていないCのドローンがあるようですね。

それからレイアウトはもちろんWheatstone方式です。

蛇足ながら、以前出回っていた教則本は みなWheatstoneのレイアウトで書かれていました。理由は、Wheatstoneのレイアウトということ (Jeffriesは最高のAngloを作りましたが、Wheatstoneは最高のConcertinaを作っています。 またこの楽器発明者の直系の工房です)以外にも、誰もが簡単に入手できるStagi系の楽器が Wheatstoneのレイアウトを採用しているからのようです。
しかし、最近はどちらもの教則本もあるようですので、どのレイアウトを選ぶかは好みによるようです。

また、リードを入れたケースがWheatstoneの伝統にしたがって放射状に並んでいると書いてあります。

最後にE1: English concertinaを見てみましょう。

あ、これなら初級編を含めて、今までの説明だけで読めそうですね。

ということで上級編 − 高級コンサーティーナ・ビルダーのカタログ内容 −を終わります。


ところで、 Suttnerのカタログの一番したにWood or Metal Ends?というコラムがあります。

これは読んで頂ければわかりますが、エンドの材質と音の違いについて書いてありますので、 オーダーの際の参考にするとよいでしょう。

また一番下に全機種のキーボード・レイアウトが GIF、PDF 両方でダウンロードできるように なっています。
注文したい楽器の標準レイアウトを確認したいとき、ちょっと違った レイアウトにしたいときなどに重宝です。

たとえば Wheatstone Linotaの外観でJeffriesのレイアウトなどを作るときの 参考にもなります。

このsuttnerのホームページは写真も多く、 内容もよくまとまっているので帰りがけに色々見てまわったらよいと思います。


上級編を読んで、本当にオーダーしたくなった方はいませんか?
オーダーシートに記入する前に、ちょっと読んで頂くと参考になるかもしれません。


初級編を再度読む


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