コンサーティーナ・カタログの読み方
− 初級編 −


入手しやすいコンサーティーナのブランドには、谷口楽器店のBastari、 ドイツのHonor、イタリアのStagi、イギリス − ホブゴブリンミュージックの ハウスブランドGremlinなどがあります。
このうち国内で見掛けるのはBastariとHonorです。

実はこれらの入門用の楽器は全てStagi社のOEM(ソニーブランドでアイワ製のビデオを売るような)です。

では初級編としてアメリカ Elderly Inst.のEnglish & Anglo Concertinaのページを見てみましょう。

最初はAnglo Concertinaです。初めてConcertinaを買おうと思う人がまず戸惑うのが、

Our Anglo Concertina are abailable in the key combination of C/G, D/G and A/D.

という所です。 C/G, D/G and A/Dって何?

Anglo Concertinaは片側2列又は3列ですが、C/GというのはC調、G調以外は 弾けない(F#以外の半音のボタンがない)か又はC調、G調が簡単に弾ける という意味です。

それではどれを選んだら良いのでしょうか。アイリッシュ音楽が目的ならば、 最初はC/G選んだ方がよいでしょう。
理由は簡単、周りのAnglo Concertina弾きがみんな C/Gを持っているからです。

一方イングリッシュ音楽ではC/G,D/G(好きなものでいいのです)です。 同じイングランドでもシャンティーなどの歌手の人は特注のBf/Fという人もいます。歌の伴奏では コード奏法主体になるので声の高さにあわせたのでしょう。またA/Dは中南米で好まれていてラテン音楽 に使われています。

というように一番使いたい目的は何かということで選んでください。

次に We Stock 20-, 30- and 40- button model...というのがでてきます。

20、30、40ボタンでどう違うの?

上で書いたものの繰り返しになりますが、20ボタンの楽器は片側 2列、30ボタンは片側3列のボタンがあります。
20ボタンのC/Gの楽器ではC調、G調以外 のスケールは弾けないが、30ボタンのC/Gの楽器ではある程度の範囲(3オクターブ 位)でクロマチックが弾けます。そのため30 - 20 = 10 のボタンに半音が割り当てられているのです。
それでは40ボタンはというと、通常の3列の横と下などに余分のボタンが付いています。
これは30ボタンの楽器より音域を広げたり、30ボタンでは物理的に不可能なスラーや レガートをできるようにしたものです。

結局、どれを買ったら良いかのでしょうか。ボタンが多くなると相対的に楽器は重く、お値段は高くなります。
そこでできれば楽器を持ってみて、重さと予算の許す限り大きいものを買った方良いでしょう。

Diatonic with a full three-octave range, 9-fold bellows with lether corners, 40 reeds, wooden ends......

これは20キーのシングルリード(あとで説明します)の楽器の説明です。

Diatonicって?
コンサーティーナのカタログに書いてあるDiatonic(ダィアトニック)とは、クロマチックの反対語 として全音階という意味のほかに、押し引き異音という意味もあります。つまり決められたスケール以外の音はでない、押し引き 異音の楽器ということです。

9-fold bellowsって?
文字通り、9枚の蛇腹ということです。もちろん多ければ多いほどよいのです。 しかし一番大切な事は蛇腹の出来で、丈夫で、柔らかく、空気もれのしない物 が良いものです。昔は普通のいい楽器でも5枚の蛇腹の楽器はたくさんありましたし、 できがよければ5枚で十分です。

lether cornersって?
特に書いては有りませんが、あえてlether cornersというところを見ると、蛇腹はボール紙製 のようですね。それで角角を皮で補強してあるということです。高級機の蛇腹は皮なのですが、 それでも内側はボール紙でできています。
100年ほど前には結構高級機でも紙でした。洋風の千代紙のようで奇麗ですし、 強度的にも問題ないようです。

40 reedsって?
これが一番解りにくいです。まずこの説明書きは20キーの楽器の物ということを頭に入れてください。 一つのキーについて、蛇腹を押した時と引いた時には別のreed(リード、音のでる板です) が鳴りますから、20×2=40というわけです。

この他に、20キーの楽器でよく見かけるものに、80 reeds の楽器があります。 20キーの楽器なのに、 80 ÷ (押し引きの2) = 40で、40キーになってしまい 計算が合いません。
実は80 reeds の20キーコンサーティーナとは、1つのキーに押し引き2枚づつのオクターブ離れたリードが対応しているもので、1つのボタンを押すと 2音が同時になる仕組みになっています。このような仕組みをダブルリードといいます。
ダブルリードの楽器の音色は、普通のアコーディオンまたは調整の悪いバンドネオンに似ています。
この手の楽器は小回りは利かないかわりに、伴奏などゆっくりしたものに威力があります。

先ほど”20キーのシングルリード”の楽器の説明です、と断ったのは ボタンを一つ押した時には1枚しかリードが鳴らない楽器ですよ、という意味です。


wooden endsって?
end(エンド)は名詞ですが、辞書にはもちろんでていません。コンサーティーナの 両端にあるボタンの付いている6角の部分をエンドと言います。これが木でできて いるということです。金属のものはMetal End といいます。

次にEnglish Concertinaを見てみましょう。 こちらはAnglo Concertinaに比べて特殊な用語は少ないので簡単です。

English Concertina produce the same note on the push and the pull of the same button. Fully chromatic......
そのとおりですね。イングリッシュコンサーティーナは押し引き同音で、クロマチックの 楽器ですよね。

Swedish steel reed.....
というのが出てきました。これについてはとりあえず選択の余地はありません。 ここで売られているクラスの楽器の殆どが、コンサーティーナ専用のリードではなく 、スエーデン製のアコーディオンのリードで代用しています。
アコーディオンのリードを使った楽器では、Noel Hill, John KirkpatrickなどのCD で聞かれるような音は絶対でません、が暖かみのあるそれなりに良い音がします。

あと1行です。
Three models; TREBLE, TENOR, BARITON. All have 48 buttons and 3 1/2 octave chromatic range.... TREBLE starts on G below middle C, TENOR on C below middle C....

と、これもそのとおりですね。TREBLE, TENOR, BARITONの3モデルがあって、 ボタンの数は48、音域は3.5オクターブでTREBLEモデルは中央のCの下の Gからですよと、なっています。

48キーはEnglish Concertinaの標準です。TREBLE, TENOR, BARITONの3モデル の好きなものを、とカタログには書いてありますが、特にこだわりが無いのでしたら TREBLEのキー配列がよいと思います。 標準のTREBLEとBARITONはキー配列が一緒なので持ち替えが簡単ですが、TENORは 逆になっています。

以上アメリカElderly Inst. のカタログに見る楽器の選び方でした。

なおConcertina Hard Shell Caseというのがカタログにでています。 日本では コンサーティーナ用のハードケース(といってもたいしたことないです)は 売られていませんので、必要なら一緒に買っておくとよいでしょう。 ソフトケースは谷口楽器などで売っています。


と、こんなのを書いたら見本にしていたエルダリーの記述が変わってました。
ま、一般論ということで大目に見てください。

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高級機を作っている工房の例としてSuttnerを取り上げ、カタログの解説をします。



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