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“小さな成長”を励ましていく

 いままでの常識では、「甘えずに行動できる」ということが、成長のしるしと考えられてきました。子どもが泣き出せば、「よい子は泣かないよ」とたしなめ、ダダをこねれば、「いい加減にしなさい!」と叱り、抱っこをせがむときは、「もう赤ちゃんじゃないんだから」とがまんさせました。
 しかし子どもの発達に関する研究が進み、子どもの甘え行動は、成長に不可欠な役割を果たしていることがわかってきたのです。つまり、はじめに「お母さんにたっぷり甘える」という時期があるからこそ、自然に自立心が芽生え、やがて甘えずに行動できるようになるのです。
 もっとも、生まれながらに旺盛な自己成長力を持っている子どもは、わざわざお母さんが教えなくても、泣いたり、ダダをこねたり、甘えたりします。このような行動が、お母さんが気がつかないうちに、子どもの成長を支えているのです。

 しかし最近は、生まれつき繊細で、心の奥底に緊張を抱えた子どもが増えています。そのような子どもは、お母さんに甘えることを遠慮してしまいます。その結果、育てにくくなったり、発達につまずきが出てきたりするのです。
 こういったタイプの子どもは、抱っこをしたときの様子や、泣いたときやダダをこねたときの様子に特徴があります。ですから、こういった行動を見ると、成長の土台がしっかりとできているかどうかを、見極めることができるのです。ただ、甘え下手さんにはたくさんの変形パターンがありますから、少し慣れないと、見逃してしまうことがあるかもしれません。そこでこの章では、その点についてくわしく説明することにしましょう。

 それと同時に、「甘え上手になってきたときの微妙な変化」についてもふれてあります。「甘え上手になる」ということは、一番大切な成長の土台が育ってきた証拠ですから、見た目は“小さな成長”でも、実は“大きな成長”の前ぶれです。その後にかならず成長の節目が表れ、いま悩んでいることが、少しずつ、しかし着実によい方向に進んでいくのです(これは、小学生にも当てはまります)。
 早くなんとかしなくてはというあせりばかりだと、そんなうれしい成長の予兆を見逃してしまうことになります。そればかりか、「赤ちゃんに戻っちゃ、ダメ!」と、せっかくの成長をおさえこんでしまうことにもなりかねません。
 抱かれ方・泣き方・ダダのこね方の小さな変化は、「いいよ。その調子だよ」と励ましていく絶好のチャンスです。小さな成長を励ましつづけていくと、子どもの成長の足取りは、より確かなものになっていくはずですよ。

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