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「育てにくさ」は「ガマン」のせい

 お母さんは、大輝くんのかんしゃくのひどさに、毎日イライラさせられっぱなし。たとえば公園で、機嫌のよい時などは、楽しそうに一人で遊んでいます。ところが夕方になり、「おうちに帰る時間だよ」と声をかけたとたん大暴れ。30分ぐらいは収まりません。仕方なく、暴れる大輝くんを無理やり抱えて、ヘトヘトになりながら家へ連れ帰ります。こんなかんしゃくの大爆発を、1日に何回も起こすのです。
 実家の母親には、「あんまり口やかましく言わないで、たっぷり甘えさせてあげなさい」と言われます。反対に夫には、「おまえが甘やかしすぎるからだ。もっとビシッと叱らないとダメだ」と言われます。私だって、一生懸命やっているのに…。
 新聞に、ADHDなどの発達障害についての記事が載っていました。そこに書いてあった「パニック」や「多動」という説明が、わが子の行動と似ているようで、それも心配。ちょっとしたことで、急にキレて暴れ出す大輝くんを見ていると、「将来、どんな大人になってしまうのだろう…」と不安になり、相談にみえました。

 大輝くんは、はじめて会う私にも、ニコニコと愛想を振りまきます。そしてお母さんを置いてさっさと部屋に入り、おもちゃで遊び始めました。そのままおとなしく遊んでくれていたので、1時間以上、たっぷりとお母さんの話を聞くことができたのですが…。
 終わりの時間が近づいたころのこと、大輝くんがバッグのなかのお菓子をいじろうとしたので、「あとにしようね」とお母さんが声をかけました。そのとたん、大輝くんがギャーッと大暴れを始めたのです。「お話ししているときは、お菓子は食べないってお約束したでしょ」と言ってもだめ。「もうすぐ、お話は終わるから」と言ってもだめ。しかたがないので、お菓子を渡すと、今度はそれをまきちらして暴れつづけます。「こうなったら、何をやってもだめで、落ち着くのを待つしかないんです」と、うんざり顔のお母さん。

 大輝くんの様子を見て、私は、「けっこう“がまんの子”だな」と思いました。はじめての家に行って、知らないおじちゃんに会うなんて、本当はとても不安なはずです。お母さんと話しているとき、一人でおとなしく遊び続けているのも、気になりました。本当はお母さんにかまってほしいのに、がんばってがまんしつづけているようでした。
 急にキレるタイプの子どもは、親が気がつかないうちに、「ボク、一人でもだいじょうぶ!」と無理にがまんしてしまい、よけいなストレスをためこんでしまうのです。そして、「満杯になったコップは、一滴の水であふれてしまう」のと同じで、最後は、ちょっとしたきっかけで大爆発になるのです。

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