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「心の抱っこ」で、子どもは伸びる

 子どもがみずから育っていこうとする力、自己成長力のエネルギーはいったいどこからもたらされるのでしょうか。実は子どもは、自分に成長のエネルギーを注いでくれる存在をちゃんと知っています。その「大好きで頼りになる存在」にほほえみかけ、自分から近づいていきます。そう、もちろんその相手は、ほかならぬママやパパです。
 子どもはママに向かって「大好き!」を送り、ママも子どもに向かって「大好き!」を返す。こうした「楽しい気持ちのやりとり」は、子どもの成長の大きなエネルギー源です。

子ども「あー、たのしい!」・・・ママ「ほんと、楽しいね!」
子ども「きゃー、おもしろい!」・・・ママ「おもしろいねえ!」
子ども「あっ! こんなところにカタツムリがいる!」・・・ママ「えっ? あっ、ほんとだ! すごい、すごい!」

 こんななにげない親子の気持ちのやりとりが、子どもの心の成長を深いところで励まします。この世界は喜びと驚きに満ちたところ。そしてその喜びや驚きの気持ちを大好きな人と共有できることの楽しさ。その実感が、子どもを未知の世界や人とのかかわりの世界に誘い込むのです。
 だからといって、「喜びや驚きを見つけてきてあげなくっちゃ」とあせる必要はないのですよ。見つけるのは、子どもの方がうんとじょうずなのですから。また「どんなものに興味をもたせようかしら」と頭をひねる必要だってありません。この時期の子どもにとって必要なのは、知識ではなく、楽しい気持ちのやりとりそのものなのですから。
 子どもの楽しい気持ちに、ただ巻き込まれていればよいのです。「なんのために?」なんてあんまり考えずに、子どもと同じような気持ちになって楽しむこと。これが「心の抱っこ」です。こんななんでもないことが、実は子どもの心の成長には欠かせないことなのですね。

 もうひとつ、子どもの心の成長にとって大切なエネルギー源があります。意外なことにそれは、「泣きたい気持ちを抱きしめてもらう」ということなのです。子どもの自己成長をじゃまするものの、それは子どもの心のなかにたまった苦しい気持ちです。不安・恐怖・寂しさ・悔しさ・怒り…。こんな気持ちでいっぱいになったとき、どうすればよいのか、子どもはちゃんと知っています。ママの胸の中に飛び込んで来て泣くのです。
 「なるべく早く泣きやませる」というのが、今までの子育ての常識でした。しかしそれは間違いです。泣くことは、生まれながらに備わっている自己治癒力。泣くことによって、心の痛手やストレスが癒されるのです。ママに、泣きたい気持ちを受けとめてもらうということによって、子どもは立ち直っていくのです。

子ども「こわいよ〜!」・・・ママ「うん、うん、こわいね〜!」
子ども「さびしいよ〜!」・・・ママ「そうね、寂しくなっちゃうね」
子ども「くやしい〜!」・・・ママ「ほんとだ、くやしい、くやしい!」

 こんなふうに、苦しい気持ちをまるごとママに受けとめもらったあとは、もうスッキリ。再び自己成長力が発揮され始めます。恐怖に立ち向かう勇気。寂しさに耐える自立心。くやしさ・怒りといった気持ちを自己コントロールしていく力。そういった力は、その子なりのペースで自然に育っていくのです。そのためにママがしてあげられる最大の援助は、泣きたい気持ちをそのまま抱きしめてあげることなのです。
 子どもが苦しい気持ちを訴えてくるとき。それは子育ての失敗というよりも、子育てのチャンスです。泣きたい気持ちを抱きしめてあげると、親子の距離はグッと近づくものですから。また、そういったひとときのあとには、意外に大きな成長が見られたりするものです。
 大人だってそうですね。「子育てのグチなんか聞きたくない。いつもニコニコしてろ!」なんて言われたら、かえって苦しくなってしまいます。
 グチや泣き言をたっぷり聞いてもらったあとのほうが、元気をとり戻せるし、心からの笑顔も出るというものでしょう?

 子どもの性格・行動・友だち関係・情緒の安定・言葉の発達などの面で、なかなかその子なりのペースでさえも成長していかない、かえって悪循環になってきているといったときも同じ。人知れず苦しい気持ちを抱え込んでしまっていて、そのことが本来の自己成長力をおさえてしまっているのです。そういった子どもが、うまく泣きたい気持ちを訴えられるようになると、トンネルを抜け出ることができるのです。

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