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(7) 言葉の遅れ

子育て相談の中で一番多いのは、「言葉の遅れ」の相談です。言葉の遅れが気になる2、3才という時期は、とても個人差が多いのです。極端なケースでは、「3才までほとんどおしゃべりがなかったけれど、3歳半になって、急にしゃべり出し、今では、家中で一番のおしゃべり」という場合も珍しくありません。判断が難しいケースが多く、こちらも迷うところ。
ただ、言葉の遅れだけではなく、「ママやパパとの気持ちのキャッチボールができな」「表情が硬い」「ひとり遊びが多い」「極端に落ち着きがなかったり、聞き分けが悪い」「お友だちに関心を示さない」などの心配をあわせ持っている時、抱っこ法の援助者は「その子の抱えている苦しい気持」を考えていきます。言葉の遅れと他の心配な様子は、共通の根っこを持っていることが多いからです。
2歳6ヶ月の健ちゃん。言葉が遅いだけでなく、ママとなかなか目を合わせてくれなかったり、ママがいなくても平気で勝手にどんどん歩いていったり、極端な聞き分けのなさやひとり遊びがあり、ママはとても心配でした。
ママの心配には、心当たりがあるのです。健ちゃんがおなかの中にいるとき、ツワリがひどく、とうとうママは入院しなければなりませんでした。病院のベットで苦しんでいるママをお見舞いに来た人は、みんな、「赤ちゃん大丈夫?」と心配してくれました。でも、苦しくて仕方がなかったママは、「誰も私の事を心配してくれない!」と、悲しくなったそうです。
「赤ちゃんに嫉妬するなんて、母親失格ですよね。きっと、この子は、おなかの中から寂しい思いをしたせいで、私の事を嫌っているみたいなんです」とママが涙ながらに語り始めたとき、ママに抱っこされていた健ちゃんが泣き始めました。「ああ、やっぱり…」とママは納得したみたいですが、なにか、スッキリしない泣き方。「ちょっと違うみたいだよ。健ちゃんは、自分のせいで、ママにつらい思いをさせてしまったことが、申し訳ないと思っているんじゃないかな」と言ったとたん、健ちゃんの泣き方は、「そうそう、そうなんだよう!」と、心の底からこみ上げるような大きな泣き声に変わりました。それを聞いて、ママもまた涙…。
数週間経って出会った健ちゃん親子は、今までとまったく違うウキウキした感じ。「あれから、何だか急に甘えてきてくれるようになったんです。おまけに、ママって言ってくれるようになったんですよ!」と、ニコニコ顔でお話ししてくれるママでした。
知的にも遅れているような感じのお子さんが、意外な気持ちを抱えているということは、それ程珍しいことではありません。妊娠期・出産期にトラブルがあったお子さんなどは、「そのせいで、知的な発達が遅れている」と言うよりも、「そんな形でママにつらいをさせてしまったことが苦しい」という気持ちを抱えており、そのせいで、その子本来の成長力にブレーキがかかっている、ということが、意外に多いのです。

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