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自閉の少年作家・東田直樹君のこと



                         

東田直樹君をご存じですか? 自閉の診断を受け、日常の会話は苦手ですが、手づくりの文字盤やパソコンを使って思いを表現するのです。コンクールで最優秀賞を総なめ状態で、相次いで出版された3冊の本では、表面的な行動だけではわかりにくい自閉症の子どもの内面世界を、詳しく語ってくれています。

このサイトでは、「僕たちのような子どもの気持ちを、理解してほしい」という直樹君の願いに共鳴し、全面的に応援していくことにしました。




■文字で表現された豊かな感性

東田直樹君は、現在、千葉県立君津養護学校中学部の2年生。5才の時に「自閉傾向」と診断されました。急に手をたたいたり、大声を出したりすることがあり、会話によるコミュニケーションもむずかしい状態です。表面的な行動だけを見ると、「この子、なに考えているんだ?」という感じ。しかし文字を通して、彼はその豊かな内面世界を語ってくれるのです(以前は鉛筆で原稿用紙に書いていましたが、今はパソコンを使っています)。

直樹君の書いた物語は、2001年の「21世紀☆みらい博『未来のゆめ』コンテスト」で大賞を、2004年・2005年と、「グリム童話賞」の大賞を連続受賞しました。この10月には、小学館と朝日新聞社から相次いで作品集が出版され、NHK宇都宮放送局によってミュージカル化されるなど、にわかに注目を浴びるようになりました(TV取材も来ているとか)。
自閉症の人の中には、計算や芸術の面で天才的な能力を発揮する人がいます。大手の出版社から出た本の帯には、「天才作家が誕生」「少年詩人、鮮烈のデビュー」などという文字がおどっています。実際に直樹君の書いた作品を読むと、感性豊かな言葉がきらめいています。


■自閉症の内面世界を語る

しかし、ただ「この子は特別だ」「天才だ」というだけで終わらせたくないのは、一方で直樹君が、自分の生い立ちや、奇妙な行動をしてしまう理由など、「自閉症の内面」を詳しく書いているからです。
一見、「変な子」「困った子」としか思えない自閉症児も、実は豊かな感情を持っていて、自分自身の奇妙な行動に苦しんでいることは、抱っこ法を通して自閉症児と関わっている人の間では、よく知られていること(当たり前のこと)です。でも社会の多くの人は、その事実を知らないままなのです。「希望をください」という文章の中で、直樹君は訴えます。「勝手気ままに見えるけど、僕らはいつも一生懸命。みんなと仲良くなれないけれど、僕らはとても人が好き。僕らのことを分かって下さい。お願いだから。僕らは信じていたいのです。僕らにもみんなと同じ未来があると」(『この地球にすんでいる僕の仲間たちへ』より)


■直樹君と抱っこ法

直樹君は、4才の頃から抱っこ法のセッションを受けてきました。その中で「筆談」と出会い、さらにお母さんとの二人三脚の格闘の末、「自力書字」ができるようになったのです。今回、直樹君が注目されたことによって、自閉症のお子さんをお持ちの方の中には、筆談や自力書字に関心を持たれた方もいらっしゃることでしょう。
でも一番大切なのは、気持ちを受けとめること。直樹君も書いています。「抱っこしてもらうのに泣くなんて、おかしいと思う人もいるかも知れません。(中略)泣けば泣くほど心が軽くなっていったのです。」 直樹君親子の道のりも、ここから始まりました。

つまり、たとえ自閉症の子どもであっても、子育ての原則は同じなのです。「どんな子どもも同じ」なのですから、最近の抱っこ法関係の本やHPでは、ことさら「自閉症児のために」とは書いていません。
ただ自閉症のお子さんの場合、「気持ちの抱え込み」がとても大きいので、「この子が苦しんでいるなんて、とても信じられない」と思ってしまいます。だから抱っこ法に取り組む場合は、まずは慣れた人の援助(上級認定者のセッション)を受ける方がよいでしょう。(少し前に出版された本の中には、自閉症児の抱っこ法にしぼって解説した本があります。阿部秀雄著『自閉症児のための抱っこ法入門』 『自閉児教育の再構築』など→詳細

でも、抱っこ法うんぬんよりも、一番大切なことは、「自閉症の人たちは、みんな豊かな感情を持っていること。そして、それにもかかわらず、奇妙な行動・不可解な行動をしてしまうので、自分でも苦しんでいること」を、一人でも多くの人に知ってもらうことです。その内面のカットウを知ってもらうだけでも、自閉症の人たちの心は、ずいぶん楽になるのですから。そのことが、直樹君の大きな願いでもあるのです。ぜひ本を読んでみて下さい。


■TV出演

 2005年12月21日 日本テレビ系列「ザ・ワイド」
 2006年3月31日  フジテレビ「スーパーニュース“特集”」
 2007年2月28日  NHK教育テレビ「福祉ネットワーク・自閉というボクの世界」



自閉症の僕が跳びはねる理由 〜会話のできない中学生がつづる内なる心〜 
                       (エスコアール出版部)¥1,680 (税込) →

直樹君の最新刊です。著者自身が、自閉症について、「どうして目を見て話さないのですか?」「手のひらをひらひらさせるのはなぜですか?」など、50以上の質問に答えています。巻末には短編小説「側にいるから」を掲載します。この小説は、著者の家族に対する愛情に満ちあふれた内容です。


勇気はおいしいはず―東田直樹作品集 (小学館)¥1,470 (税込) →

2004年、2005年と「グリム童話賞」の大賞を連続受賞した『この世で一番美しい音』『白い小鳥』と、未発表の『ぼくたちの青の星』、以上3つの作品が収められています。また本の後半では、診断を受けたときのこと、困った行動が次々に出てきた頃のこと、筆談に取り組み始めた時のことなど、これまで東田さん親子の歩んできた道が、詳しく書かれています。


みんなの知らない海の音 ―驚異の13歳,初詩集 (朝日新聞社)¥1,260 (税込) →

こちらの方は詩集で、小学館の本から比べるとやや地味めです。でも、詩という短い言葉による表現だからこそ、きらきら光る感性が凝縮されていて、すごい存在感です。こちらの本にも、ペ−ジ数は少なめですが、直樹君の生い立ちの記が挿入されています。

この地球にすんでいる僕の仲間たちへ
 (エスコアール出版部)¥1,995 (税込) →

直樹君自身が自分の言葉で、今までの生い立ちを詳しく書いた本です。お母さんが自閉症を疑い悩み始めた頃に、実は直樹君自身も悩んでいたこと、3才の頃、幼稚園の頃、小学校に入学したとき…と、その時々のカットウが詳細に語られています。また、「飛び跳ねる理由」「数字が好きなわけ」など、自閉症の子どもの不可解な行動にも、ちゃんとわけがあることを解説してくれています。もちろん、抱っこ法や筆談との出会いについても書かれています。後半はお母さんの手記で、今までの親子の歩み、障害を持つ子どもの親としての思いを書いています。直樹君のふだんの様子、パソコンでの執筆風景などを撮影したDVDが付いているので、見た目の様子と内面世界との大きなギャップが、とてもリアルに理解できる本です。
  ※エスコアール(出版元)のHPで、直樹君を紹介する新聞記事を見ることができます。 →こちら

自閉というぼくの世界 (エスコアール出版部)¥1,680 (税込)  →

直樹君の処女作。自力書字をマスターする以前、小学校3年生の時に、介助を受けて筆談で書いた文章をもとにした絵本です。絵は、「子どものアトリエ」主宰者で、抱っこ法援助者でもある井村禮子さんによるもの。癒しの子育てネットワーク代表・阿部秀雄さんの解説が付いています。

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