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(3) チャイルドを抱きしめて(その1)
私たちが子どもの頃から抱えてきた心のキズや悲しみを、トラウマと呼びます。子育ての中でトラウマと向き合うことは、「自分の人生の本題探し」や、「自分の人生を、自分のものにする」ための、大きな原動力となります。
しかし、トラウマとの向き合い方について、誤解をすると大変なことになります。かえって自己肯定感を弱めたり、無力感をのさばらせたりすることにもなりかねないからです。
たとえば、「幼児期に親の愛をもらわなかった人は、自分が親になったとき、わが子を愛せないようになってしまう」「幼児虐待を受けた人は、自分が親になったとき、わが子を虐待してしまう」という考え方があります。確かにそういった可能性はありますが、しかしだからといって、「一生、トラウマの呪縛から逃れられない」というのは誤りなのです。自分の過去を呪ったり、怒りにとらわれ続けたり、どうせだめだと無力感に落ち込み続けたりすることは、トラウマにしっかり向き合っているとは言えません。それは単に過去にこだわり、過去に縛り付けられているだけの話です。
トラウマと向き合うということは、現在・そして未来をしっかり生きるために、過去の呪縛から抜け出るための作業なのです。そして、それは、「私は、トラウマの呪縛から、必ず抜け出してみせる!」と決意することによって、必ず可能になるのです。
ただし、頭を使った自己分析は、堂々巡りになったり、「やっぱり私は変われない!」という結論に結びついたりする傾向があります(以前の私がそうでしたから)。一番良いのは、人間が誰でももっている自己治癒力を利用することです。それは、実は「泣く」という行為なのです。自分の抱える悲しみを、悲しみと感じてあげたり、涙を流しているとき、私たちの心の中では、自然の癒しのメカニズムが働いているのです。
あなたの心の中にいる“小さな子ども”(チャイルド)は、「さびしいよー」「こわいよー」と震えています。「母なるもの」からの慰めを求めて、長年そこで待ち続けていたのです。
しかし「母なるもの」は、実際のお母さんとは限りません。あなた自身の中にも、生まれながらに「母なるもの」はちゃんと備わっていますし、あなたの苦しい気持ちを受けとめてくれる周囲の人も「母なるもの」なのです。そして「母なるもの」に優しく抱かれるとき、“内なる小さい子ども”は、涙と共に、少しずつ笑顔を取り戻すのです。そのとき、あなたは、少しずつ、無力感や孤立感から抜け出ていくことができるはずです。 |