ピカピカ雑記帳
子どもの本&文化(ポケモン含む)はたまたバレエについて、日々あれこれ考えたことをつづっていきます。
2003年12月15日
12月6日の公開された「ファインディング・ニモ」は、初日2日間の興行収入があの「千と千尋の神隠し」を越えたそうである。でも、その「快挙」が、あまりニュースで取りあげられない。なんとなく作為を感じる。(ちなみに、「アニメランド ニモ」も早々と重版だとか。)で、「ラスト・サムライ」は、アメリカで一位になったとさわいでいるが、じつは、トム・クルーズ作品としては、「アイズ・ワイド・シャット」に次いで低調なスタートだとか。で、2週目にして、早くも首位交代である。身びいきの好きな日本人はかなり過大評価していて、オスカーの期待大みたいだけれど、そんなに世の中甘くないのでは。
2003年12月14日 助六太鼓の会&生徒発表会
仕事仲間のKさんとSさんが習っていらっしゃる和太鼓の発表会に行ってきた。前日の「シンデレラ」の西洋ファンタジーから、和リアリズムへと、ジェットコースターのような移動である。
太鼓は、やはり大地と密着しているというか、ダンスでいえば、フラメンコのような、地球の核からわきあがるエネルギーを感じた。体中にリズムがひびいてくるのだが、とくにきたのは丹田あたり。クラシックバレエの曲目は、たいてい脳天をぬけていくような、天上のメロディである。
2003年12月13日 新国立劇場バレエ団「シンデレラ」@オペラ劇場
シンデレラ:高橋有里、王子:小嶋直也、仙女:大森結城
マクドナルドがスポンサーの半額デー。さすがにお子さまが多い。まあ多いのはいいいのだけれど、ふだんバレエを観にこない人がたくさんいるせいか、上演中にうるさいのは困る。子どもはまだしも、大人はもうすこし常識をもってほしい。(ほんのちょっとのヒソヒソ声も、ビニールのガサガサも、ものすごーーーくひびくのです。)
高橋さんは、シンデレラ初役でなかなかガンバッテいた。が、アシュトンの細かいステップは身につくまで苦労するのだろう。ちょっとしたところで、まだ、ふりをこなすのに精一杯という感じもしなくもない。1幕で、ほうきをもって踊る場面で、ウンともスンとも反応しないほうき(当たり前だが)にちょっとキレるしぐさは、ちょっと怖かった。ここは、愛らしくしてほしい。
小嶋さんは、ソロはバッチリで、王子としての振る舞いも問題ないが、やはり、パートナーリングの不安定さが目につく。3幕は、かなり危なっかしいところもあり(つまさき立ちのシンデレラが、タイミングが合わなくてかかとがついてしまったり)、それでも無難にまとめてはいたが、今後の課題として精進してほしい。
四季の精では、研修生から一気にソリストになった本島さん@秋の精が、キレが悪くてがっかり。前日に、遠藤さんのスカッ! とする踊りを見ただけに、よけいにしょぼく感じてしまった。たしかに、アシュトンの細かくて速い振りは大変なのかもしれないが、いきなりソリストになるのなら、もう少し実力があってもいいのではないか。(これは、「ザ・シック」でジゼルを踊ったさいとうさんにも感じたことである。)でないと、やっぱり、「ひいき」と思われかねない(現時点の私はそう思っている。)しかも、さらにひどかったのは、カーテンコール。なぜ、シンデレラよりも前に出るのか(怒)! この無神経さは、ちょっと信じられない。いじわるなお姉さんが、笑いを狙ってズンズン前に出るのはご愛敬だけれど、はしっこにいる脇役が、中央のシンデレラより前に出るのは、いくらなんでもひどい。
と、いくらかケチをつけたが、舞台そのものは、いたって満足している。やはり、この「シンデレラ」という演目は、幸せの結晶なのである。
2003年12月12日 新国立劇場バレエ団「シンデレラ」@オペラ劇場
シンデレラ:志賀三佐枝、王子:イーサン・スティーフィル、仙女:湯川麻美子
初スティーフィル。「海賊」のコンラットや、映画「センターステージ」のイメージから、もっとカラッとアメリカンな王子を予想していたら、意外や意外に(失礼)、正統派のクラシックな王子だった。登場したとたんに王子様ビームで観客を悩殺するオーラはさすが! ABTの来日公演では、どうしてもニーナ最優先でチケットを取るので、スティーフィルとぶつからなかったのだけれど、今度は、フェリも観たいしスティーフィルも素敵だしで、どんどん欲深に(&財布はキビシク)なっていきそうである。
志賀さんは、やわらかく丁寧な踊りで、しっかりとシンデレラの愛らしさを表現していた。ジュリエットもそうだが、こういう等身大の女の子役のほうが、ハマっているかもしれない。
いじわるなお姉さんは、最初からとばしまくりのノリノリ怪演。でも、この「シンデレラ」は、かりにシンデレラと王子が小粒でも、お姉さんたちで笑いを取れなければ失敗になってしまうので、そのツボをよく心得ている。
四季の精では、あいかわらず西山さんがかわいかった。初冬の精の厚木さんは、ひややかな雰囲気がぴったりはまっていた。コールドも、オーケストラも、すべてが美しくて、「シンデレラ」はいつ見ても幸せモード全開になれる。
東京バレエ団「くるみ割り人形」@東京文化会館
クララ:ポリーナ・セミオノワ、王子:ウラジーミル・マラーホフ
5月に「眠り」で初めて観たセミオノワは、可愛くてスタイルもよくてテクニックも華もあって、大収穫だと思っていたけれど、なにせ日本での全幕初主演&初日だったので、めちゃくちゃ緊張しているのが伝わってきた。でも、この半年の間、本拠地のベルリンでかなり経験を積んだようで、今回は余裕と貫禄が感じられた。こういう「越えちゃっている人」は、成長も早いのだろうか。前回と同じく初々しくて可愛いけれど、もうりっぱなプリマである。とにかく、いうことなし。見ているだけで、しあわせだった。
マラーホフも好調のようでよかった。あいかわらずジャンプが軽やかで美しい。無駄のないなめらかなラインも、王子さまとしたの気品も完璧。しかし、なんであんなに軽々と宙に浮くんだろうか。ふつーの人が歩くよりも、さらにふつーにジャンプしているのである。余談だが、軽やか女王(?)の都さんとマラーホフのペアで踊っているのを見てみたい。
マラーホフは、世界バレエフェスでヴィシニョーワとは、なんだか合っていないなあと思ったのだけれど(本人たちは、相性バッチリと思っているらしいが)、セミオノワとは、なんとも美しいハーモニーをかなでていた。うっとりしているあいだに終わってしまい、ほんとうに、できることなら永遠に観ていたかった。それに、今回の「くるみ」の設定が、今のマラーホフとセミオノワの関係にぴったりで、よけいにほほえましかった。これからも、セミオノワをますます素敵なバレリーナに育てて、たくさん日本に連れてきてほしい。(来年の「マラーホフの贈り物」にセミオノワも参加するので、思わずガッツポーズ!)
雪のシーンでは、コールドの足音がうるさくてちょっと、現実世界に戻された。あそこが一番幻想的なのに。しかも、衣装がしょぼいから、なんだかスカスカした感じが貧乏くさくて悲しい。マラーホフとセミオノワのうっとりする踊りを、みごとに邪魔していて残念だった。
小林紀子バレエシアター「バレエの情景/レ・パティヌール/パキータ」@ゆうぽうと
「バレエの情景」 吉田都
都さんが登場してきたとたんに空気がかわる。彼女のまわりだけ、無重力状態なのだ。空気のように軽やかにおどり、体で音楽を奏でている。ああ、いつ観ても、都姫はすてき。
まわりのダンサーはなかなかガンバっていたが、都さんが出てきたら、なんだか鈍くさく見えてしまったのが悲しかった。とくに、男性が重い。都さんが踊っているときなんか、まわりでジャンプされると、邪魔で邪魔で、うざかった。
「レ・パティヌール」
この演目は可愛いので大好き。アシュトンらしい、ユーモラスで楽しい作品。スケートのポーズを、うまくダンスに取り入れていた。相対的に、みんなよかった。
「パキータ」 島添亮子/パトリック・アルマン
島添さん、登場したときに、風格たっぷりで感心した。ここ2、3年、このバレエ団のプリマとして踊ってきて、最近はすっかり定着しただけあって、着々と自信もついてきたのだろう。こういう風に、成長が見られるのはとてもうれしい。アルマンは、去年見たときよりも、だいぶ太っていたのではないか? お腹とかももとか、ちょっと見苦しい。バレエはビジュアルが大切なんだから、もっとしっかり自己管理してほしい(でなきゃ、踊るな)。
新国立劇場バレエ団「マノン」@オペラ劇場
マノン:アレッサンドラ・フェリ、デ=グリュー:ロバート・テューズリー、レスコー:ドミニク・ウォルシュ
フェリさまさまさまさまさまにつきる。無垢で清純だけれど、フェロモンむんむんの色っぽさは、まさにファム=ファタルそのもの。フェリ@マノンを観ていると、マノンは、おばかさんというよりも、悪いことをしているなんてちっとも思っていないのがよくわかる。ある意味、すごく自分に正直な人というか。
フェリの手の動きや、首から肩からかけてのラインは、どのポーズも美しくて、けれどそれ以上に雄弁なのが、奇跡のような脚。とくに、リフトされて宙をただようときのなまめかしさは、同性でもドキドキしてしまうくらい艶やかである。恋が始まりの出会いのパ・ド・ドゥと寝室のパ・ド・ドゥは、宝石のように綺麗だった。死の直前の、魂のぬけがらのような姿もめちゃくちゃ美しい。完璧なマクミラン・ラインに心を奪われているうちに、気がついたら踊りが終わってしまっていた感じである。来年は、彼女のジュリエットが観られるので、今から楽しみである。(ぜったいに来てね。←フェリには、腸チフスやら妊娠やらで、なんども振られているので、ちょっと心配。)
テューズリーは、前のロメオよりも精彩を欠いて、やけにグラグラしていた。演技はともかく、踊りは観ていて危なっかしい。初見のウォルシュは、びゅんびゅん力強い踊りで(さすが、ふとももの筋肉が発達しているだけはある)、悪玉のレスコーを、いやーに演じていてよかった。でも、カッコいいので、二枚目の王子さまも、きっと似合うのだろう。
ほかにも、ムッシュGMやルイジアナの看守が、むしずがはしるくらいのスケベおやじっぷりで、舞台を盛り上げていた。娼婦たちは、前に観たロイヤルのダンサーにくらべると、ずいぶん健康的な感じがして、スカートをめくって脚をむきっと出されても、そんなにドキドキしなかった。(ロイヤル公演では、あの脚ムキッがすごく印象的で、かなりあとまで脳裏にやきついていた。)まあそれで、フェリの色っぽさ・美しさがよりいっそう際立っていたから、いいのかもしれないが....
ちなみに、10月30日もチケットを取っていたのだが、デ=グリュー役のローラン・イレールが急遽降板したので、もともと個人的に多忙期ということもあり、チケットを払い戻しした。ネットの掲示板によると、父親が危篤だとか。そのことに対してのとやかくはいわない(踊らないのは残念だけれど、かれの決断を尊重すべきだと思うので)。でも、素朴な疑問として、芸の世界では「親の死に目にあえないと思え」とよくいわれるのは、日本だけに通じるものなのか、それとも、もはやそういう時代ではなくなったのか?(はたまた、バレエというジャンルではそういう「通念」自体が、もともとないのか?)
牧阿佐美バレエ団「眠れる森の美女」@ゆうぽうと
オーロラ:平塚由紀子、フロリモンド王子:逸見智彦、リラの精:坂西麻美、フロリン王女:青山李可、ブルーバード:相羽源氏
上野さんよりもテクニック的には負けても、お姫様オーラと華やかさでは、だんぜん平塚さんのほうがいい。一幕ではひたすら愛らしく、二幕では幻らしくうつろげながら、瞳で王子に助けを求めて、三幕で艶やかさをそなえた威厳あるオーロラ姫を、しっかりと演じわけていた。ついでに、カーテンコールで、大役を果たして、心からほっとしている笑顔も印象的だった。
逸見さんも、すみずみまで、王子さまオーラ全開で、ネポロージニーと同じくらいよかった。平塚さんと逸見さんの美男美女コンビは、きっとお似合いだろうから、いつか観たいと思っていたので、今回実現して嬉しい。
話が変わって、リラの精と王子がゴンドラみたいなのに乗って移動するとき、ネポロージニー王子は、リラの精の腰に手をやったり、腕をとったりと、ちょっと雰囲気がアヤシかった。オーロラ姫とよりもじつはお似合いかも? とか、ふと思ってしまったぞ。逸見王子は、リラの精の前にたって、一切スキンシップはしていなかった。
コールド(群舞)は、なかなかガンバっていた。あと、男性ダンサーで、白タイツをはくのが許せないぽっちゃりさんがいた。あれでは、ダンサー失格。なんとか絞ってほしい。
そういえば、すこし前に、朝日新聞でボロチコワの取材記事がのっていたけれど、その記者がバカ丸出しでびっくり。「ふつうの人とかわらない」って、フォローのつもりだろうが、かえって墓穴をほっている。バレエダンサーにとって、普通の人の体型は「デブ」すぎるのだから。もう少し、勉強してくれ(ボリショイまで行ったのだから、せめてほかの「ダンサー」と比べるとか)。
2003年10月11日
杏里 デビュー25周年記念LIVE@パシフィコ横浜
ライブは2年ぶり(ディナーコンサートとかはやっていたけれど)。浮き沈みのはげしい芸能界で、コンスタントに25年もやってきたのは、ほんとうにすごいと思う。さすが彼女の人柄というか、お祝いにゲストが4組もかけつける。キャイ〜ンの天野ひろゆき(客席にいたウド鈴木も、ステージに飛び入り参加)、ジャズ・バイオリニストの寺井尚子、角松敏生、高中正義。高中正義の演奏中に、衣装チェンジするなど、あいかわらずお客が退屈しないように工夫している。2度目のカーテンコールの後には、杏里を始め、バンドメンバーみんなで、手をつないで挨拶をする。このカーテンコールは最近のお約束なのだが(杏里ファンにとって、バンドメンバーは彼女と同格くらいに近しい存在なのである)、今回はゲストまで再登場して、カーテンコールに参加していた。彼女らしい、アットホームでなんとも幸せなステージだった。
牧阿佐美バレエ団「眠れる森の美女」@ゆうぽうと
オーロラ:上野水香、フロリモンド王子:ウラジーミル・ネポロージニー、リラの精:吉岡まな美、フロリン王女:伊藤友季子、ブルーバード:アンタンフヤグ・ドゥガラー
クラシックを見るたびに、ダメダメと思う上野水香だが、オーロラの気質は案外似合うかも? と期待半分、いやな予感半分で観にいった。結果は後者に軍配。
テクニックはあるし、とくに、バランスはすごい。けれど、首→肩→背中のラインがきれいじゃない。腕の動きも汚い。ほんの数ミリの差なのだけれど、でくのぼうに見えてしまう。けっして体が硬いわけではないだろうし、リバーダンスのような上半身を求められているのではないんだから、もっとやわらかく、のびやかになってほしいと、いつもいつも感じてしまう。
ついでに、テニクック以前に、オーロラに見えない。踊っているのは、上野水香なのである。コンクールなら満点かもしれないけれど、全幕で主役を「演じている」踊りとしては、とても不満足。こちらは、「上野水香」ではなくて、上野水香が演じる「オーロラ」を観にきているのだから。
また、上半身(の動き)が硬いからなのか、パートナーのネポロージニーがやらないせいなのか、はたまたリハーサル時間が足りなかったからなのかはわからないが、もともとあるはず(12日のペアはやっていた)のフィッシュダイブ三回もなし。あの場面で、素にもどったような、やけに硬い表情をしていたから(これにはガッカリ)、やはりリハーサル不足だったのかも。
今回の収穫は、ネポロージニーを見られたことくらい。品がよくて、折り目正しい王子様で、カーテンコールのちょっとしたしぐさまで、すべて完璧! ダンサーとしては、地味めに見えてしまうかもしれないが、バレエのクラシックではやはりバレリーナが主役なので、このくらいのバリバリ正統派が個人的には好み。長くて細い脚のラインも美しかった。
上野さん以上にひどかったのが、伊藤友季子@フロリン王女。とにかく、手の動きが汚い。プロローグの妖精でも、フロリンでも、手をひらひらさせる振りがあるのだけれど、あんなにうるさくてめざわりなダンサーは初めて観た。しかも、小手先の動かしかたなので、優雅さと美しさのかけらもない。さらに最悪なのが、レベランス(おじぎ)でも、手をひらひらさせていた(12日のフロリンは、もちろん、そんな真似はしていない)。あのー、ブルーバードは鳥でも、フロリン王女は鳥じゃあないんですけれど....ブルーバードのドゥガラーは、着地音が小さくてよかった。
話題の菊地研を、初めて個体認識した。背が高くてすらっとしているけれど、なんだか子ども体型というか、おつむがでかくて、でっちりなのが気になる。上半身がまだ薄いのだろう。いい具合に筋肉をつけて、逸見さんのような、すらっと美しい体型に育ってほしい。
新国立劇場バレエ団 「THE CHIC ザ・シック」@中劇場
第一部:「シンフォニー・イン・C」 ジョージ・バランシン振付 ビゼー作曲
酒井はな/マイレン・トレウバエフ、志賀三佐枝/奥田慎也、遠藤睦子/冨川裕樹、西川貴子/陳秀介
第二部:
「ジゼル」 さいとう美帆/小嶋直也
「こうもり」 真忠久美子/山本隆之
「ラ・バヤデール」 高橋有里/吉本泰久
「ロメオとジュリエット」 志賀三佐枝/デニス・マトヴィエンコ
第三部:
「ジャルディ・タンカート」 ナチョ・デュアト振付
厚木三杏、湯川麻美子、遠藤睦子、貝川鐵夫、白石貴之、山本隆之
「イン・C」は、第一楽章がとくによかった。コールドは、一番手堅いメンバーで固めていただけあって、それぞれの輝きが、うまく相乗効果をつくっていった。コリフェには西山さんがいた。キャスト変更になったので、ここで観られただけよかった。酒井さんは、ずいぶん貫禄が出てきた。
「ジゼル」は、もともと西山さんの予定だったのに、(だから、この日にチケットをとった)、別の人(宮内さん)がケガで、こっちまで影響がでて、さいとうさんになった。
最近、都さんとフェリのジゼルを観たばかりというハンデは差し引いても、まだまだ。出だしが重い。小嶋さんのリフトも、「うんしょ」という声が聞こえてきそうだった。リフトしながらの移動も、宙をただようというより、引っ越しの荷物運びのよう。だんだんと調子が出てきたみたいだけれど、全体として、ちょっとキビシイ出来。
「こうもり」は、山本さんがカッコいい。いつも縁がなくて、この人の主役の日は、観たことがないが、今度トライしてみたい。真忠さんは、ケガ直後で、太ったのだろうか。なんだか、太ももがぶるぶるしている気がしたが、振付のせいなのだろうか? でも、フェリの時はそう感じなかったし、直後の高橋有里さんも、つま先立ちで脚ぶるぶるさせても、太ももはふるえていなかった。
「ロメオとジュリエット」は出色の出来! このペアの「ロメジュリ」が、絶賛されたのにも納得。志賀さん、すごく軽やかで可愛かった。脚のラインが、まさにマクミランのうねり。マトヴィも、これまでで一番いい。ナチュラルなヘアスタイルもメイクも、ふだんのバリバリクラシックモードよりもずっと素敵だった。まさに、けなげな少年という感じ。最近食傷ぎみだったので、ちょっと見直した。だけど、バレエ版大澄賢也だと思うと、やっぱりキライ。
「ジャルディ・タンカート」は厚木さんが、キリリと美しかった。「イン・C」も踊ればよかったのに。
『ファインディング・ニモ』吹き替え版の試写へ。
3回目なので、いろいろと細かい部分を楽しみ、そしてよりいっそう感心した。片方のヒレが小さいニモは、よく見るとビミョーにぶきような泳ぎ方をしていたり、アジの大群を単体レベルで観察すると、それぞれ個性的でおもしろかったり。あと、最初のほうから、かなりいろいろな伏線があって、気づかなくてももちろん楽しめるが、わかるとさらにおもしろい。それにしても、あのちっこいカクレクマノミ(体長約8センチ)が、必死に大海を渡る姿、思い出すだけでも涙もの。
マーリン@木梨憲武は、真面目なのになぜかコミカルな役柄が、彼のキャラクターに合っていた。ドリー@室井滋は、英語の天然アッパラパーなドリーよりも、ゆったりと落ち着いた感じで、強いていえば、癒し系だろうか。
とにもかくにも、私の脳内では、ニモフィーバー真っ最中。(はやく、ぷにぷにのニモフィギュアとか、出ないだろうか。)けれど、これが12月になったら、日本中でフィーバーすることは間違いないだろう。アメリカのディズニーストアでは、ニモグッズは売り切れ続出で、入荷まで数週間待ちもざらなのだとか。
プロモーション体勢もかなりすごいようで、通常よりも一ヶ月早く関連本も発売。書店でどーん! とフェアをやるらしい。講談社の「ディズニーアニメランド」シリーズの『ファインディング・ニモ』は、わたしが文章を書きました。『ニモ』の絵本をお買いあげの際は、ぜひこの本を!(だから、3回も試写を観ていたのです。)
なお、映画『ファインディング・ニモ』については、公式サイトをご覧下さい。予告編や、キャラクター紹介、壁紙プレゼントなど、盛りだくさんの内容です。
2003年9月22日
『テディベアのハミッシュ』と次回作の朗読の収録に立ち会った。
新企画の立ち上げは、なにかとせわしく、スケジュールも超ハードだった。収録だから、わたしはあまりすることもないと思いきや(だから、本とかモバイルとかたくさん持っていった)、収録直前まで、番組プロデューサーと訳文の調整をしたりし、収録中も一語一句確認しながら聞いてさらに細かい修正をしたり、まるまる半日、神経を集中しっぱなしでなかなかスリリングだった。語り手の中島啓江さんも、的確なアドバイスをくださり、ありがたい。
しかし、中島啓江さんといい、つのだりょうこさんといい、さすがプロ。すばらしい朗読を生で拝聴できるのは、至福の時間である(忙しかったけど)。中島さんはとてもきさくで楽しい方、つのださんはめちゃくちゃラブリーで、お母さんとお子さんが夢中になるのもよくわかる。
関係ないが、つのださんの事務所社長に、私の名前(&本籍地との組み合わせ)が大受けで、いろいろと分析してくださった。珍しい(しかも、なんだかやけに仰々しい)名前だと、こういうときに、トクするのかも。
2003年9月19日 プロコフィエフ「シンデレラ」
クラシックバレエ好きついでに、バレエ音楽も大好きである。一番は、やはりチャイコフスキー。三大バレエの「くるみ割り人形」「白鳥の湖」「眠れる森の美女」は、どれもお気に入りで、とっかえひっかえ全曲CDを聞いている。そろそろ、「くるみ」の季節がまたやってくる。
ここ最近はずっと「眠り」モードだったのだが、ふとプロコフィエフの「シンデレラ」が聞きたくなる。で、CDを早速アマゾンで買った。オーボエの濃いアクセントもいいし、ビミョーな不協和音にハマりまくり。2枚組で、1枚目はちょうど舞踏会へ出発する場面まで、2枚目はハッピーエンドというキレのよさ。聞くだけで幸せのおこぼれをちょうだいできる。プロコフィエフのバレエ音楽は「ロミオとジュリエット」も有名で、こっちもいいのだが、なにせ悲劇だから、ちょっとためらってしまう。(バレエ音楽は、ストーリーと一心同体なので)
今年の12月と来年1月に、新国立劇場で「シンデレラ」を上演されるが、英国ロイヤルバレエで上演されるこのアシュトン版は、とにかく楽しくて(醜いお姉さんのコミカルな踊りが絶妙)、宝石のように美しいので、今から楽しみ。
Prokofiev: Cinderella [FROM US] [IMPORT]
ちなみに、「眠れる森の美女」だったら、↓のドラティ指揮のがおすすめ。もうひとつ、全曲収録のCDがあったが、イマイチ、ノリが、わたしには合わなかった。ただ、さっきアマゾンを覗いたら、残念ながら「在庫切れ」状態。せっかくいいものなのだから、ぜひ復活を。
また、「くるみ割り人形」と「白鳥の湖」は、有名なだけあって、たくさんCDが出ているが(小澤征爾指揮の「くるみ」もある)、わたしのイチオシは、プレヴィン指揮のやつ。繊細でテンポがよく、うっとりするほどなめらかで美しい。
2003年9月16日
『食わず嫌いのためのバレエ入門』(守山 実花著、光文社新書、760円)
バレエに偏見をもつ人をターゲットにしているが、いわゆるふつーのバレエガイド。でも、最初に登場する「食わず嫌い症状」がある人に、バレエを無理に勧める意図はなに? 「私の愛するバレエについて、もっと多くの人に、正しく知ってほしい」という願望は、同じバレエ好きとしてよくわかる。が、しょせん、バレエだって「娯楽」なんだから、処方箋まで出して「治療」する必要はないのでは。
それに、食わず嫌いな人は、まずバレエガイド自体を手にとらないだろうし、一方で、バレエファンとしては、偏見に満ち満ちた「症状」を読むだけで、ウンザリしてしまう。といのは、その「症状」がかなり変というか、被害者意識まるだしに思えたのだ。わたし自身は、「バレエ観るの好きなんです」といって、白い目で見られたことはないが、よほど特殊な環境にいるんだろうか?「バレエ、一回観てみたい〜」という人、まわりにけっこういるぞ。
あと、バレエに食わず嫌いする原因って、「バレエ=高い」という思いこみがかなりあると思う。だから、いきなり初心者に海外有名バレエ団来日公演のいい席を勧めるのは、逆効果な気がする(今年のパリ・オペラ座なんて、S席は2万円を超えていた)。
スターダンサーズ・バレエ団「ジゼル」@ゆうぽうと
ジゼル:吉田都、アルブレヒト:ヨハン・コボー
圧巻のジゼル。軽やかで、細かいステップも正確で優雅。しかも、都さんの体から音楽が出ているよう。コボーとの相性もばっちりで、リフトされるとほんとうに宙をただよっているようだった。
第一幕では、とにかく可愛らしいジゼル。ちょっと控えめでおとなしそうなところが、ジゼルの「はかなさ」によく合っている。この時点で彼岸の「軽さ」があるから、なんとなく、幸薄い予感がただよっている。
コボーは、典型的な貴族。ジゼルを好きだけれど、それ以前に、身分の違いとかをクールに受けとめている感じ。彼が変わるのは、ジゼルの発狂場面からだろう。
で、発狂場面は、思った以上にあっさり。もともと、見せ場中の見せ場なので、みんなこぞって、しっかりこってり狂いまくるが、都さんは、この時点で彼岸の世界へ行ってしまっている感じ。すでに、抜け殻になっているというか、控えめな彼女だからこそ、「邪魔な私は消えよう」という潔さというか。こういうところで、性格があらわれるのだと感心した。とくに、こういう時代背景なら、超えられない身分差に絶望した村娘が、あっさり心を停止してしまうのかもと、思った。
第二幕は、ふわふわ度全開。コボーとの相性もよくて、リフトされたときに重力が全然感じられなかった。
ふと思ったが、アルブレヒトって、懺悔の念でジゼルの墓をおとずれたのに、ウィリたちがあらわれたとたん、命乞い一辺倒で、ジゼルにまで命乞いさせて、けっきょくは自分がいちばん可愛いのか。まあ、「生きたい」ってのは、人間にとっていちばん基本的な願望なのだろうけれど、それなら、第一幕であっさりショック死するジゼルって、なに? まあ、クラシック全幕の男って、サイテー男ばっかりだけれど。
牧阿佐美バレエ団「ノートルダム・ド・パリ」@オーチャード・ホール
カジモド:ジェレミー・ベランガール、エスメラルダ:ルシア・ラカッラ、フロロ:ベンジャマン・ペッシュ、フェビュス:ドゥガラー
ラカッラが貫禄の美しさ。さすがの完璧ラインに、軽やかなステップ。プティ大のお気に入りだけある。もうこれだけで、じゅうぶんもとがとれた。
ペッシュ、ベランガールもガンバッテいたと思います。ペッシュは、やけにかわいいカジモドでした。それよりも、ドゥガラー@フェビュスが悲しい。踊りがどうとかいう問題以前に、ルックスで負けすぎ。「美青年」という設定が成り立っていないのでは。日本人キャスト組だったらまだよかったかもしれないが……
ところで、菊地研さんが、フェビュス降板なのは、なぜ? デュークも降ろされていたようで。プティのおめがねにかなわなかったのだろうか???
平塚さんが、ノートルダムでコールドを引っ張っていてちょっと嬉しい。
ただ、「ノートルダム・ド・パリ」自体は、もういいかも。三度観て、さすがに飽きてきた。クラシック全幕のような、普遍的な吸引力は、ちょっとないかも。
世界バレエフェスティバル・ガラ@東京文化会館
前日はおまけなかったようだが(その代わりにプレゼント抽選あり)、14日はバッチリ。
ドンキで、キトリ@ゴメス、エスパーダ@ローホ、メルセデス@マルティネス、
もう一人キトリ@カレーニョ、キューピッド@マラーホフ、海賊のアリ@アレクサンドローワ、タリスマン@ルグリに加え、闘牛士に女性ダンサー、キューピッドたちに男性ダンサーと盛りだくさん。ウヴァーロフやフィーリンの、おまけキューピッドがやけに端正で、かえって笑えた。本編も、それぞれ気合いが入っていた。
ステパネンコの黒鳥は、一回転、二回転、ゆーーっくり一回転と変速の難しいわざを、びくりとも動かずにやすやすとやっていた。
同じく回転が得意なロッホは、四回転を何度か決めたあと、ずっと二回転で最後までまわってしまいました。バランスもすごく長い! メリハリが効いていて、どの場面も綺麗。でも、この人、演技派としても有名だから、ドラマティックな役柄も見てみたい。とくに、白鳥の全幕で、オデット/オディールの演じわけをぜひとも見てみたい!
コホウトコヴァは、タリスマンで、またまた端正&さわかや!ひとつひとつが丁寧で正確で、クラシックの極み! という感じ。
アレクサンドローワは、ようやく彼女に合っているライモンダで本領発揮できてよかった(おまけでも大活躍)。
フェリのじゃじゃ馬馴らしでは、さすがの女優っぷり。オレリーのマノン@沼地は、とにかく美しくコジョカルのマノン@寝室は、めちゃくちゃ可愛かった。
名前忘れましたが、シュツットガルトのダンサーたちも、頑張っていた。去年、来日していたが、もっと先だったらよかったのに。
ギエムとル=リッシュのエック作品や、ジル・ロマンのベジャールは、うーーーん、イマイチ良さがわからず。記憶に残っているのは、ななめうしろのブラボーおばさんだけ。
ルテステュは、高熱を出していて、アダージオだけでしたが、たおやかで綺麗だった。可哀想に、最後はよたっていたが。
ヴィシニョーワとマラーホフのロミジュリもよかった。チャイコよりは、合っていたと思う、でも、基本的にあまり相性よくないかも....ちなみに、カンパニーの違うロッホとカレーニョ、コジョカルとコレーラは、すごーく相性良かったと思う。
ところで、ふたたび、オレリーの身長ネタ。おまけで闘牛士の格好した時も、ほかの女性ダンサーよりも大きくなかったような。顔が小さくてバランスいいから、長身に「見える」のだろうか??
世界バレエフェスティバル・Bプロ@東京文化会館
ヴィシニョーワとマラーホフが、予想していたよりも、相性がよくなくて、残念だった。ヴィシニョーワ、脂がのりすぎているのだろうか? マラーホフ(おつかれ?)で歯がたたないとなると、彼女とタイマンはって踊れるのって、だれだろう?
今回、一番たのしみにしていたロッホ、かわいい。軽々とフェッテに4回転入れていた。コジョカルもいつも通りにラブリーで、片手リフトでは、これでもかっ! と脚を高々あげていた。いや、でも、なにしてもかわいいけれど。コホウトコヴァも清々しくて素敵。彼女と都さんの踊りは、いつ見ても、心が洗われる。
ギエムのマノン・沼地は、アクロバティックですごいけれど、それほど心を打たれず。が、劇場内は、ものすごい大喝采。ほんとうにすごかったのか、はたまた、「ギエムだからすごい」のか……
同じく、ジル・ロマンも、私には良さがわからず。やっぱり、ベジャールはダメかも……
ルテステュとマルティネスは、円熟の極みというか、堂々たる踊りっぷり。ステパネンコとウヴァーロフもそんな感じだった。
アレクサンドロワ@シルフは軽やかでよかったですが、やはり、ルンキナ仕様の演目なだけに、ちょっとソンしていたかも。もっと、派手めのを踊ってもらいたかった。フィーリンのブルノンヴィル足さばきはさすが。
オレリーが無事復活で嬉しい! ルグリとのパートナーシップもバッチリで、ほよほよと見とれているあいだに終わってしまった。カーテンコールの時に気づいたのが、オレリーって、もしかして、ギエムよりも背高い?? (でも、顔はオレリーのほうがちっちゃい……)もっと小柄なイメージがあったので、びっくり。私の見間違いだろうか??
世界バレエフェスティバル全幕特別プロ「ジゼル」@東京文化会館
ジゼル:アレッサンドラ・フェリ、アルブレヒト:ウラジーミル・マラーホフ
フェリのジゼルは、3度目にしてようやく叶った。
さすがの演技派、微妙な感情まで、身体であますことなく表現できる。「こうもり」の華麗な淑女から、純情な乙女まで、自然になりきれるのはすごい。
マラーホフのアルブレヒトは、最初から罪悪感にさいなまれているような、憂いのプリンス。心の底では、叶わぬ恋とは知りながら、どうしても自分を抑えつけられずにいる恋の虜という感じ。バチルド姫登場で正体がバレて、彼女の手にくちづけするまでの「ためらい」がとても印象的。まさに階級社会の「許されぬ恋」の悲劇。これなら、アルブレヒトを恨めないかも。
二幕も綺麗だった。マラーホフ、さすがに軽い。妖精ウィリよりも軽い。半分彼岸の世界に足をつっこみ、「踊らされて」いる軽さに通じるかも。フェリは、ウィリになっても、人間の心でアルブレヒトを守るジゼルという二面性がバランスよくそなえていた。手で語り、表情で語り、脚でかたり、彼女の「ことば」がテレパシーで伝わってくるようだった。
ディズニー映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』を観た。
ディズニーランドのアトラクション三部作の二作目。一作目は『カントリー・ベアーズ』、次に控えているのは「ホーンテッド・マンション」である。
ひさびさに、文句なくおもしろかった! (←実写版で)もう数回観にいきたいくらい。
アレコレ細かいケチをつけようと思えばできるのけれど、そんなことはもーどうでもいいくらい、わくわくしながら、最後まで楽しく観れた。けっこう長めなのだが、あっという間だった。だいたい、いつもは途中で時計を見たりするのに、今回は気づいたら終わっていた。
とにかく、キャラがいい。ジョニー・デップ最高。ふだんはヘロヘロナヨナヨしたイカれ海賊なのに、いざとなると冴えまくる。ジャックというキャラを、しっかりつくりあげて、完璧になりきっていて、これこそ役者! という感じ。ジェフリー・ラッシュ@バルボッサも、さすが、いい味をだしていた。
オーランド・ブルーム@ウィル、キーラ・ナイトレイ@エリザベスは、キャラをつくりあげるというより、地の美しさで勝負していた部分が多かったと思うが、役にハマっていたのでこれも良し。
アメリカでも大ヒットしていて、第二弾もほぼ決定らしい。海賊スパロウにまた会えるのが楽しみ。
しかし、『カントリー・ベアーズ』がああいうけったいな珍品で、『パイレーツ・オブ・カリビアン』が超バリバリエンターテインメント、いちおう「三部作」なのに、いったいどういう基準でつくっているんだろうか?
レニングラード国立バレエ団「ドン・キホーテ」@文京シビックホール
キトリ:ナタリア・レドフスカヤ
バジル:ファルフ・ルジマートフ
ドン・キホーテ:シャルル・ジュド
もともとはキトリをヴィシニョーワが踊るはずだったのが、レドフスカヤに変更。しかし、「代役」だなんて、とてもではないが呼べない。あまりに素晴らしいキトリだった。テクニックがあるのは当然で、80%くらいの技量くらいに見えるような「余裕」のオーラをまとって、軽やかなキトリになりきっている。踊っているというより、キトリとして動いているというほうが正しい感じ。オデット/オディールの妖艶さが、キトリでもうまく活きていて、粋なスペイン娘をつくりあげていた。成熟した踊りと演技があるからこその、細部まで計算しつくされ、なおかつ新鮮で清々しいキトリなのだ。これからもあなた様についていきます。チャコットのインタビューによると、年末に日本でジゼルを踊るらしいが、いったいどこでだろう??(そもそも、年末の「ジゼル」公演が見つからない。)
ルジマートフは、じつは生で観るのが初めてなのだが、全盛期と比べて最近は…、なんて聞いていたものだから、どんなものかという期待と不安があった。でも、こちらもすばらしい出来! とにかく見せ方がうまいし、緩急をうまくつけて、アクセントがきいている。全盛期は、どんな神業だったのだろうか。なにはともかく、年齢を重ねるごとに、しっかりと進化(深化)した踊りとはこのことだろう。
レドフスカヤとルジマートフのコンビネーションもバッチリ。ふたりで並んで踊るとき、けっしてマスゲームのようにピタリとそろっているわけではないが、息のあったふたりがかもしだす微妙なずれが、かえっていい雰囲気をつくりあげていた。片手リフトも、気持ちよく決まっていた。カーテンコールにまでジャンプして登場したり、おそらく、ふたりにとっても、とてもいい舞台だったのだと思う。
ちなみに、ジュドがドン・キホーテ役で出演。味のある演技だったらしいが、そもそもジュドをよく知らない私は、けっこう注意して見ていたのだが、よくわからなかった(スイマセン)。
ディズニーアニメ『ファインディング・ニモ』試写へ。2回目。アメリカでは興行収入3億ドルを突破、『ライオンキング』をぬいて、アニメ史上最大のヒット作になった。
2回目もおもしろかったー! 前回はストーリーやキャラを追うほうが先だったので(いちおう仕事なんで)、映像美をそれほど堪能できなかったが、今回は、海中遊泳の気分をバッチリ楽しんだ。細部にわたる芸が濃くて、また新しい発見があった。
ストーリーはわかりやすいし、まっとうなキャラクターばかりなのだけれど、その組み合わせ方がいい。でも、善いキャラそろいなのは、けっしてイヤミではなく、うまーくユーモラスに仕立てている。観る人は、その時の状況や心情によって、いろいろなキャラに感情移入できそうだ。ちなみに私は、ニモ、マーリン、ドリーは別格として、フグのブロートがヴィジュアル的にけっこうお気に入り。性格がカッコいいのは、やはりクラッシュだろう。
『モンスターズ・インク』があれだけ良かったので、魚キャラにどれだけ入れ込めるか、ちょっと疑問だったが、もうすっかり夢中。これから冬めざしてニモフィーバーだぁ!
ちなみに、日本語吹き替え版では、マーリン(ニモの父)を木梨憲武、ドリーは室井滋が声をあてるそうな。いつもハイパーテンションで、歌ったり、声色を変えたりと忙しいドリー役を演じるのには、かなりの技がいるだろうなあと思っていたが、彼女ならおもしろいドリーになりそうだ。
2003年7月16日
プロ野球オールスター戦@千葉マリンスタジアム
阪神フィーバーで盛り上がるも、やはり松井、イチローというスーパースターが抜けた穴は大きい。ひとりで盛り上げる人がいないというか。(そういえば、前回オールスターへいったのは、イチローがメジャーに行く前年だった。)セリーグ先発の伊良部は、昔のホーム球場にめでたく凱旋できて、本人もまわりも嬉しそうだった。そういえば、昔、クラゲ弁当とかあったんだよなあ....
バックネット裏にすわったのだが、数段後ろに特設解説席があって、あの鉄人・衣笠がいた。国歌を斉唱した島谷ひとみも、ちょろっと登場。島谷ひとみは、国歌を意識してか和服姿だったのだけれど、なんだか七五三のように浮いていた。しかも、着物に合わせてへんてこに髪を結い、濃いメークをしていたのが、これまた似合わない。いつも通りの、さらさらヘアにナチュラルメークのほうがかわいいのに。
しかし、カメラ付き携帯が普及したせいか、おそろしい程に人がわらわらよってきた。(昔も、オールスターで特設放送席のすぐ下にすわったことがあったが、そんな騒ぎにはならなかった。今回は警備が甘かったからだろうか。)島谷ひとみはともかく、えええぇ?! 衣笠ってこんなに人気があったんだ!!! とびっくり。そりゃ、たしかに偉大な人には違いないが、子どもとか、だれだか分かってサインを求めていたんだろうか....ゲスト解説者に群がる観客って初めて見た。
2003年7月2日
新国立劇場バレエ団「ラ・シルフィード」「パキータ」@新国立劇場オペラ劇場
「ラ・シルフィード」
シルフ:西山裕子、ジェームズ:逸見智彦
ああ、この柔らかさ、軽さが観たかったのよ! と最初から感動。登場した瞬間から、舞台にいるのは、まぎれもなく空気の精だった。テクニック以前に、シルフかどうかがまず大切。西山さんは、やはりバレエ・ブランがよく似合う。彼女が主役の舞台がもっと観たい。逸見さんは、王子寄りのジェームズだったが、気品があって素敵だった。力強い踊りもよかった。
話はそれるが、シルフの軽さでいえば、吉田都さんがやはり秀逸だろう。前回の新国「シルフィード」公演では、直前まで腰を痛めて出演も危ぶまれていたくらいだったが、そんなことをみじんも感じさせない軽やかさでふわふわと空間をただよっていた。ジェームズと婚約者、その他大勢がみんなで踊っている時に、シルフが舞台をジャンプしながら横切る場面など、ほんとうに、幻かと思うくらい、あっという間に飛んでいってしまった(人間の技を超越していた瞬間)。
「パキータ」
プリンシパル:志賀三佐枝/デニス・マトヴィエンコ
このペアは、先日のシルフィードよりも、こっちのほうが合っていた。志賀さんのキレのよい踊りは、スペイン系の演目とは相性がいい。
2003年6月27日
新国立劇場バレエ団「ラ・シルフィード」「パキータ」@新国立劇場オペラ劇場
「ラ・シルフィード」
シルフ:志賀三佐枝、ジェームズ:デニス・マトヴィエンコ
シルフは、技術は文句なし、ラインは柔らかく、キレイなんだけれど、なんだか感情移入できなかった。ガンバッテいるのよモードがひしひしとこっちに伝わってくる感じで。空気の精の「軽さ」があまり感じられなかった。マトヴィはもういい。
「パキータ」
プリンシパル:ディアナ・ヴィシニョーワ/イーゴリ・コルプ
圧倒的な存在感のヴィシニョーワがすごい。80%くらいの調子だったという声もちらほら聞いたが、それでも、堂々たる大輪の花。世界的なスターのオーラに、まわりがかすんで気の毒なくらいだった。コルプは、うまいけれど、特筆すべきものは見いだせなかった。
2003年5月27日
ディズニー映画『ファインディング・ニモ』の試写を観る。全米公開は5月30日から、日本公開は12月6日から。
『トイ・ストーリー』『モンスターズ・インク』のピクサーが次に製作した映画というだけあって、すごい気合いが入っている作品。今度はオーストラリアのグレートバリア・リーフが舞台で、魚たちが活躍する。おおまかには、パパ魚がいなくなってしまった子魚(ニモ)を探してはるばる冒険するというもの。ディズニーだから、ハッピーエンドがお約束だけれど、そこに行き着くまでの、ハラハラドキドキがうまい。ピクサーらしいユーモアも随所で効いていたし、お涙頂戴部分が嫌みなくさらっと描けていたのも○。『モンスターズインク』を越える大ヒットになって、今度こそは、アカデミー賞長編部門賞をとってもらいたい(というのがピクサーファンの切なる願い)。
2003年5月16日
オデット/オディール:ナタリア・レドフスカヤ
ジークフリート王子:デニス・マトヴィエンコ
こっちと、ルテステュ&マルティネス主演の「白鳥」と、どっちにしようか迷ったのだけれど、ルテステュは前に観たことがあるから、初見のレドフスカヤに賭けてみた。結果的には、正解だった。
レドフスカヤは、たおやかな大人のオデットで、体の末端すみずみにまで神経のゆきどといた繊細な踊り。あれほど心を引きつけられて胸が痛くなるような白鳥は久しぶりなくらい。テクニックはもちろん、成熟した表現力を、キャリアとともに確実に身につけている踊りである。オディールは、あでやかで、これまた大人という印象だった。
マトヴィエンコは、たしかに上手いけれど、ちょっと日本で営業しすぎのせいか、ありがたみがない。せっかく「ゲスト」を呼ぶのなから、もっとたくさんの人を観たいのが本音。
ソリスト、コールドのレベルは、驚くほど高くなった。足音は小さいし、たんに揃っているだけでなく、空間に豊かさがある。何年か前の「白鳥」とは雲泥の差。よくここまで頑張ったと思うし、これからもますます期待したい。
2003年5月9日
第10会世界バレエフェスティバル全幕特別プロ「眠れる森の美女」@東京文化会館
オーロラ姫:ポリーナ・セミオノワ
デジーレ王子:ウラジーミル・マラーホフ
リラの精:遠藤千春
カラボス:井脇幸江
「第10会世界バレエフェスティバル全幕特別プロ」とはいえ、東京バレエ団に主役がゲスト出演しただけのもの。マラーホフの秘蔵っ子で、ボリショイとキーロフも狙っていたという金の卵が日本デビューということで、観にいった。とはいっても、前評判はすごいのに、実物観たらガッカリというケースも少なくないので(ボリショイのルンキナとか)、まあ少なくともマラーホフが出るんだからいいやくらいの気持ちだった。
ところが、どうしてどうして、というか、さすがマラーホフというか、金の卵どころか、特大ダイアモンドの純金コーティングくらいのたまげたお方。顔はものすごーーく小さく、手脚はほっそりとどこまでも長く、足の甲もぐいっと出ていて、奇跡のようなプロポーション。しかも可愛い。まだあどけなさの残る18歳で、なおかつ初日のせいか緊張しているのが伝わってきたものの、それでもこれほどの大当たりとは思わなかったから、大満足である。テクニックは正確で、足の上げ下げは高さに関わらずひじょうに美しいのが気に入った。なにより、華やかなのが◎。これからどこまで伸びるのか楽しみなダンサーがひとり増えた。
マラーホフは、とにかくセミオノワのエスコートに徹していて、どちらかというと彼にしては控えめだったけれど、それでも相変わらずの着地音の小ささと優雅なステップにはほれぼれする。カーテンコールで、セミオノワに、よくやったよくやったと両頬にキスしていたのも好感が持てた。
東京バレエ団といえば、リラとカラボスはともかく、他のソリストクラスはちょっとショボイのでは。回転とかあまりにフラついているから、一瞬そういう振りつけなのか思ったけれど、その直後で井脇さんやセミオノワがキリリとまわっていたので、あれは体力か技術が不足しているのでしょう。あまりに主役との差が激しいと悲しいので、せっかくいいゲストを呼ぶのだから、もうすこし頑張ってほしい。
2003年3月29日
パリ・オペラ座バレエ団「ラ・バヤデール」@NHKホールを観てきた。24時間に、全幕バレエ3本とは、狂気沙汰。さすがに眠かった。
ニキヤ:クレールマリ・オスタ
ソロル:マニュエル・ルグリ
ガムザッティ:レティシア・ピュジョル
前日よりも求心力がなかったように思えたのは、こっちが疲れていたからだろうか。大柄キャストから、小柄キャストに変わって、舞台映えがしないってことではないと思うが。
オスタは、「ジュエルズ」の時はそんなに気にならなかったが、ここではやけに小さく見えた。もともと小柄なのだけれど、小柄でも舞台では大きく見えるダンサーはたくさんいるから、体型だけではないだろう。やはり、まだまだオーラがないのかも。三幕では、技術的にけっこう危ない場面もあったし、残念ながら、なぜこの人がエトワールに?という疑問は払拭されなかった。
ルグリはさすがのダンスール・ノーブルだった。でも、いつも完璧で、完璧以外の言葉は見つからなかった彼が三幕でちょろっとよろけたのにはびっくり。加齢なのか、急遽出演することになったことによる疲労なのか、はたまた単なるアクシデントなのか。べつにとりたてて目くじらたてることでもないが、ただ、「完璧」の代名詞みたいな人だったので、よけいに驚いた。
ピュジョルは技術的には、さすがエトワールになるだけの器だったけれど、まあ、余裕がかもしだすオーラは、これからに期待だろうか。
2003年3月28日
AMP「白鳥の湖」@オーチャードホールとパリ・オペラ座バレエ団「ラ・バヤデール」@NHKホールを観てきた。ダブルヘッダーというおそるべき快挙(というか愚行)。まあ、どうせ一日つぶれるのだから、まとまっていた方がよいと思ったのだが、幸いにも元気だったので、どちらも眠くならずにすんだ。
ニキヤ:アニエス・ルテステュ
ソロル:ジャン=ギヨーム・バール
ガムザッティ:マリ=アニエス・ジロー
黄金の仏像:ジェレミー・ベランガール
ほんとうはニコラ・ル・リッシュがソロルを踊るはずだったのだが、前日のリハーサル中に怪我をしてしまい、急遽バールが代役になった。そして、なんと、翌日は、最初にキャスティングされていたルグリが復活!だとのこと(オレリー・デュポン欠場に伴うキャストチェンジで、バールが踊るはずだった)。結果としては、バール良かったし、ル・リッシュよりはルグリのほうが観てみたかったからいいけど、それにしても今回はオペラ座に振り回された。
ルテステュは神々しい美しさをそなえ、踊りも完璧で、さすが今のオペラ座を代表するエトワールだけのことはある。巫女である舞姫としての威厳はお見事の一言につきる。ただ、いつ観てもすごいと思うのだけれど、お気に入りにはならないのが不思議。まあ、好みということで。対するジローは、迫力まんまんで、パワー炸裂だった。いつエトワールになるかなるかといわれている人なのに、不幸にもがたいの良さがネックになっている。たしかに、バールもリフト大変そうだった。体型のハンデを克服できないのも、実力のうちといわれればそうなのかもしれないけれど、ちょっと切ない。バールは、たぶん前にも観たことあるのだろうけれど、印象にない。でも、今回観て、ダンスールノーブルとしての折り目正しさと、バネの柔らかさがとてもよかったと思う。今回のキャスト変更で一番得したのは彼かもしれない。こういうチャンスをきちんと活かして次につなげられるのも、本人の実力なのだろう。
さすがに、群舞のひとりひとりから、スタイルいいし、美人だし、上手。全体にとても密度の濃い舞台で、またAMPとのちゃんぽんも、混合することなく、別物としておなかいっぱい楽しめた。
ザ・スワン/ザ・ストレンジャー:アダム・クーパー
王子:アンドリュー・コルベット
女王:マーガリート・ポーター
もともとバリバリのクラシック派なので、観る予定はなかったのだが、開演直後からものすごい大絶賛されていて、急遽観ることにした。今回の日本公演は、ジーザス・パスター(スペイン人だから、ヘスス・パストールではないのが不思議)、首藤康之とのトリプルキャストなのだが、初演の時からスワンを踊っているアダム・クーパーに当たって良かった(彼のオフィシャルサイトに一時予定が出ていたので、それを頼りに取った)。結果的にはとてもおもしろかったので、他のキャスト(とくに人気急上昇のパスター)も興味あったが、まあビンボーなので、クーパーだけ押さえられただけで良しとする。
演出としては、一幕がいちばんおもしろかった。クラシックとは全然違う展開なのだけれど、チャイコフスキーの音楽を無駄なく使っていて、目からウロコがぼろぼろ。とくに、超アップテンポのポロネーズで踊るディスコダンスが強烈だった。二幕、三幕は、構成的にはクラシックからあまり離れていない。それだけ、原典の完成度が高いということなのだろうか。でも、肝心の白鳥/黒鳥が男性なので、印象は全然違う。男性が踊る白鳥は、生で観たほうが、野性味が増して迫力があった。四幕は、正直なところ、よくわからなかった。二幕であんなに強そうだったスワンが、どうして弱っちくなったのかとか、結末とか。
アダム・クーパーはスタダンに客演した時も観たが、たくましくてカッコいい。私は男性ダンサーに入れ込むタイプではないけれど、ハマる人続出なのはよくわかる。この白鳥で一気にブレークしたので、今後日本で踊る機会が増えるだろうか。この人の、全幕(マクミラン作品とか)を観てみたい。
2003年3月25日
『千と千尋の神隠し』がアカデミー賞を受賞したニュースがうざい。アメリカの対イラク武力行使がなければ、さぞがし大フィーバーだっただろう。なにが一番嫌かというと、アカデミー賞の名にひれ伏して快挙! 快挙! と煽るアホなマスコミである。
作品賞ならともかく、長編アニメ部門で、だぞ。世界に誇れる天下のジャパン・アニメがなにを今さら。そもそも、去年設けられたばかりの賞だから、これからだって、ざっくざっく取れるだろうに。ディズニー映画『美女と野獣』みたいに、作品賞にノミネートされていたほうが個人的にはすごいと思う(長編アニメ専門の賞ができてしまったから、それが可能なのかどうかは前例もないのでわからない)。
しかも、対抗馬が『リロ&スティッチ』だったから、これまた『千と〜』に軍配があがるのは当然だ。その理由は、『スター・ウォーズ』『ハリー・ポッター』『ロード・オブ・ザ・リング』がけっしてアカデミー賞作品賞を取れないのと同じ。『リロ&スティッチ』はバリバリのエンターテイメントだからである。
『千と〜』はもはや国民的映画としておもいっきり定着して、ベルリン国際映画祭で金賞というお墨付きもあるのに、それでもアメリカのアカデミー賞(でも作品賞ではなくて、長編アニメ部門)ば別格なのだろうか。過去を蒸し返せば、ポケモンだって、映画がアメリカで一位(という快挙!)を達成して初めて、これまで見下していた大人たちがこぞって態度を変えた(ああ、やだやだ)。
日本のものって、アメリカが価値を認めてくれないと、一流にはなれないのだろうか。野球にしても、イチローはもともと日本であんなにすごい選手なのに、アメリカで成功して改めて「彼はやっぱりすごかったんだ」と安堵する。大リーグを頂点とする野球なら、イチローの偉業を称えるのはまだいい。けれども、日本のアニメは、アニメというジャンルにおいて世界最高水準ではなかったのか? 『千と〜』だったら、「長編アニメ部門なら、取って当然でしょう。へっ!」くらいに構える余裕がほしかった(だから、私は受賞をぜんぜんすごいとは思っていない)。
ブッシュにへいこら追従せざるを得ない小泉さんも、結局は同じである。日本は随所にアメリカ至上主義があるから、いざという時に、アメリカとタイマンをはれない。
2003年3月24日
なんといっても読書人を分析解説するまえがきが痛快。朝の10分読書運動をラジオ体操に例えたり、現象をうまくつかんでいる。「ラジオ体操でスポーツに目覚めた子がいるか?」たしかに。
ちなみに、(当然ながら)わたしは「読書依存症」に属する。しかも、そのなかでも「始末の悪い」タイプである。読書人が社会全体で少数派なのに、さらにその中でも少数派。かつて、「善良な読者」だった時代も(きっと)あっただろうに、なにが自分を転落させたのか。
斎藤美奈子の本は、いつも半分くらいまではすごいおもしろいのだが、その後、だんだん食傷気味になってきて、最後は胸焼け感を覚える。作品に対する基本的な姿勢がネガティブなせいだろうか(別の著作で、同姓同名の斎藤澪奈子がポジティブなら、自分はネガティブだといっていたし)。好きでない(しかも世間の評価は高かったりする)作品ほどその理由を語れる気持ちはとってもよくわかるけれど。
2003年3月22日
パリ・オペラ座バレエ団「ジュエルズ」を見てきた。於東京文化会館。
エメラルド:エリザベット・モーラン、ウィルフリード・ロモリ、クレールマリ・オスタ、カール・パケット、メラニー・ユレル、エレオノーラ・アバニャート、アレッシオ・カルボネ
ルビー:デルフィーヌ・ムッサン、マニュエル・ルグリ、マリ=アニエス・ジロー
ダイヤモンド:アニエス・ルテステュ、ジョゼ・マルティネス
『ダンスマガジン』の写真とかで、ひじょーに美しかったため、ぜひとも観たかった念願の演目。イチオシのオレリー・デュポンが怪我で欠場は痛かったが、それでもとっても綺麗で楽しめた。
「エメラルド」はすてきだったけれど、これ!といったインパクトがない。モーランもロモリも、そつがないけれど、際立った点もない。「バヤデール」でオレリーのピンチヒッターになったオスタ、今のところは可も不可もなく。
「ルビー」のジローが輝いていた。ほんとうだったらとっくにエトワールになってもおかしくないはずの人なのに、不幸にもがたいがよすぎるのだ。ほかのダンサーだって、けっして小さくはないだろうに、それでも、大人と子どもくらい差がある。もし日本のバレエ団に客演したら、さらにアンバランスだろう。
ルグリは、さすがの軽さ。男性ダンサーのなかでは、軽さといえば、このルグリとマラーホフが双璧だろう。ムッサンとのパートナーシップもよかったけれど、やはりオレリーが観たかった(しつこい)。
「ダイヤモンド」は、ルテステュとマルティネスがまさにダイヤモンドのようなパートナーシップを披露した。ルテステュは、エトワールとしての貫禄、風格、気品に満ち満ちている。デュポン欠場となった今、彼女の「バヤデール」を確保しておいたことだけが救いだ。
ちなみに、「ダイヤモンド」では、藤井美帆がコールドで出ていた。ほかのダンサーと遜色のないラインの美しさ。けっこういい位置で頑張っていたと思う。ただ、アジア人(名前から推測して韓国の方?)と組まされていたのがややひっかかった。純粋に体格上「揃える」ためだけなのだろうか。でも、9割以上が白人なのに、わざわざアジア人同士組ませるのって、なんだか、人種隔離っぽい匂いがプンプンする。もしたとえそうなのだとしても、めげずにがんばってどんどん昇進してほしい。
2003年3月14日
ディズニー映画『カントリー・ベアーズ』の試写を観た。2003年4月26日より渋谷東急3ほか全国ロードショー公開
東京ディズニーランドにあるアトラクション「カントリー・ベア・シアター」の映画化。今後、「カリブの海賊」「ホーンテッド・マンション」とアトラクションの映画化作品が続くらしい。ちなみに、アニメではなくて、実写版+クマの着ぐるみである。
熊と人間が仲良く暮らすパラレル世界が舞台。11歳のベアリーは、自分が家族と似てないことが悩み。ある日、自分が養子である事実を知って、ほんとうの家族を探す旅に出る。で、かつての人気グループ「カントリー・ベアーズ」が演奏をしていた「カントリー・ベア・ホール」を訪ねる。だがホールは取り壊しの危機にあった。ホールをなんとか守りたいベアリーは、カントリー・ベアーズ再結成のために立ち上がる。
ギャグ満載、あまりにハチャメチャなストーリーで、楽しいことは楽しい。ドン・ヘンリー、エルトン・ジョンといった有名人が出てくるから、音楽に詳しい人にはおいしいのかもしれない。ベアリーの声は、『シックス・センス』『A.I.』のハーレイ・ジョエル・オスメントが担当だから、これまた豪華。でも、しかし、なんともいえない珍味という感じである。
クマと人間が仲良く暮らす世界というわりには、出てきたクマはベアリーとカントリー・ベアーズの仲間だけというのはちょっと不思議だった。ベアリーのお兄さん(人間)だけが、なぜかクマとの混生に疑問を持っているようで、なかなかいいツッコミ役をしていた。
2003年3月6日
8年近くにわたるアメリカでの駐在生活を終えて日本へ戻ってきた友人を訪ねる。元同僚なのだが、偶然にも、同じ高校留学機関の同期で大学はアメリカ(しかも同じニューヨーク州)だったこともあり、ずっと仲良くしている。子どもは二人ともアメリカ生まれ育ちなので、ビミョーに英語訛りの日本語で、楽しいから、色々英単語を発音してもらう。最初は恥ずかしがっていたけれど、そのうちたくさん絵本を持ってきて、「これは○○」とゲーム感覚で遊んで(つき合って?)くれた。ArielもJasmineもCinderellaも、おお!完璧!ああ、なんとかこの美しい発音をずっとキープしたいと親でなくても勝手に願ってしまうのだった。
ちょっと前にソトから新刊Amnesia in a Republican Countyが届く。アマゾンで予約してとっくに届いているのに(しかも、とっても高かった)、送ってくれるなら先に知らせてくれよーとケチなことを思いつつ、期待してページを開いたらやはりサイン入りだった。よしよし、こっちは永久保存版にしよう。これまで毎年クリスマスカードは送っていたが、返事をくれない時もあり、まさか本をエアメールで送ってくるとは、かなり意外。よほどお気に入りなのだろうか(それらしいことを手紙に書いていたけれど)。ちなみに、詩人シルバー・メンデスが登場する大人向けの小説シリーズの第三弾。まだ二作目を読んでいなかったから、急いで取りかからねば。あ、その前にお礼カードを買いにいかなくちゃ。
2003年3月5日
鬼ヶ島パーティで約束した作家さんとポケモン交換会。
お嬢さん(小二)のお話を聞いていると、やはり、大人と子どもではプレイの仕方が違うと実感。たとえば、大人だと伝説のポケモンはもったいなくて使えないが、子どもは平気でガンガン使う(もともと強いうえに、捕まえた時点でレベルが高いのから即戦力として頼りになる)。子どもは一匹だけ重点的に使いがちだが、大人は平均的にまんべんなく育てる。しかし、どっちでも楽しめるのが、ポケモンの広さ、おもしろさなのだろう。ちなみに、ゲームボーイは、もはや子ども一人一台の時代。
2003年3月4日
映画『ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔』を観た。
あっという間の3時間。戦闘シーン満載。ゴラムは、もっとぬめぬめをイメージしていたのだが。ギムリがユーモラスなキャラとして重々しさにアクセントをつけていた。サム、かっこよすぎ。指輪とあれだけ密接しているのに、まったく動じないサムこそ、じつは一番すごいかも。ガンダルフは、白の威厳でほんとうにまばゆかった。ファンタジーとじじいはやはり切り離せない。
2003年2月21日
ニキヤ:スヴェトラーナ・ザハロワ、ソロル:イーゴリ・ゼレンスキー、ガムザッティ:西川貴子
ザハロワ、美しすぎ。筋肉なんてひとっつもないのよってくらいになめらかな脚線美、つねに完璧な弧を描いている甲。バレリーナになるために生まれてきたとはまさにこの人のこと。体はめちゃくちゃ柔らかくて、足は横にも後ろにも高々と上がるし、背中もいくらでもしなりそうだけれど、きちんと芯のあるなめらかさで、日本でただいまホープとして活躍中のプリマとの格の違いを思いっきり実感した。柔軟性はあくまで素材であって、それ(ばかり)を誉められるくらいじゃあまだまだなのだ。去年ザハロワが主演した「白鳥」を泣く泣く諦めたのが、ただただ悔しい。今度のジゼルも楽しみだけれど、近い将来、絶対に「白鳥」も観たい。しかし、この人まだ若いのだが、「まだ若いから」なんて言い訳くさいことは一切必要ない。天才は若い時から天才なのである。
ゼレンスキーも、軽やかでりりしくて、これまでこの人を観たなかでベストの出来だった。惜しむべきは、頑張ってますオーラ全開のガムザッティ。大物ゲスト相手にプレッシャーはわかるけれど、あまりのレベル差に可哀想になってしまった。たんなる脇役じゃないんだから、自前がダメなら、ニキヤと対等に張り合えるゲストを起用してもらいたかった。
2003年2月6日
リンクを削除、追加していたら、ポケモンサイトが一気に少なくなってしまった。じつは、ポケモンサイトって、ゲーム攻略以外ではあまり見ないし、お気に入りも少ない。これはリンク貼りたい!って積極的に思うことはほとんど皆無だ(だから見知らぬ方からの相互リンクのお申し出をいただいてもお断りしている)。
私は、自分では「ポケモンサイト」を運営しているつもりはこれっぽちもない。自分がやっていること、好きなことをごたまぜに入れているだけである。けれど、第三者から見たら、「ポケモンサイト」と思われることが多い。まあ受け手が認識してナンボだから、別にそれはそれでいいのだけれど。ただ、もしこれから私の趣味が激変したら、このサイトもきっと変わっていくだろう。たとえばボブ・サップLOVEになったら、「野獣ファンサイト」とか思われたりするんだろうか。
2003年2月4日
今年からコンビニ(ファミマ、ローソン、セブンイレブンなど)では、一斉に節分の「丸かぶり寿司」の予約を始めた。で、昨日マルエツへいったら、丸かぶり寿司コーナーがでかでかと設置されていた(しかも、夕方すぎだったので、ほぼ売り切れ。)四国の知人から、そういう風習があるのは聞いていたが(四国以外のほかの地域のことは知らない)、なぜ突然、全国規模で丸かぶりフィーバーしているのか、さっぱり理解できない。しかも、この様子なら一気に全国区のアイテムになりそうな勢いである。ゲームソフトやコンサートチケットだけでなく、地方の風習までも全国にささっと行き渡らせてしまうコンビニやスーパーのネットワーク、恐るべし。
2002年に観たバレエベスト3
吉田都さんはいつ観てもよいが、この時は神が光臨したような輝きを放っていた。演技、踊りがすべて、楽々と完璧越え。めちゃくちゃ可愛かった。
マラーホフはこれまで何度観ても、ふうん素敵かも、くらいしか思わなかったが、今更ながらすごさを実感。からだがさらにしなやかにやわらかく進化していた気がする。あの軽さ、バネのやわらかさは至宝だ。
これまで何度となく振られてきたフェリをやっと観られた。小柄なのに素晴らしいプロポーション。とても二児の母親とは思えない。マイムもステップも、さすがの雄弁ぶり。プティらしい小粋な演目も堪能できた。
番外編 ニーナ・アナニアシヴィリ
2002年はニーナを3回も観ることができた幸せな年だった。「海賊」では見事なテクニック、「メリー・ウィドウ」ではコミカルな演技、「眠り」では正統派クラシックの堂々たるオーラ。それぞれの演目で違った魅力満載。やはり、ニーナさまさまに尽きる。
2003年1月27日
1月25日、児童文学の作家、評論家、編集者がつくっていらっしゃる同人誌「鬼ヶ島通信」の20周年パーティへ。
子どもの頃から大ファンだった佐藤さとるさんにお会いできて、ついついミーハーモード全開!二次会は、ポケモン交換大会だった。お子さんの代理でお母さまがGBAの運搬をしてくださった。間接的でも、こういう交流ができるのは嬉しい。ポケモンが好きでよかったと思う瞬間である。
あと、ある作家さんのお嬢さんが、ポケモンカードを一生懸命集めていらっしゃっていて、わざわざ私を探して秘蔵のアルバム2冊を見せてくださった。なんとこのサイトもごらんになったことあるらしい(汗)。小学校2年生のお嬢さんは、前作までのポケモンの方がお気に入り(とくにセレビィ)というので、クリスタルをおすすめした。もちろん、ゲームを始めたあかつきには、交換の約束もバッチリ!
しかし、このお嬢さんのように、前からポケモンが好きな子だってたくさんいるのだろうから、新しいのにばかりはしって、そういう子たちの夢を壊さないでほしいものだ。
2003年から「ゲーム雑記帳」「バレエ雑記帳」を「ピカピカ雑記帳」に統合することにしました。理由は単純。もともと更新が少ないのに、わざわざ3つに分けるのが面倒なので。