ローレン・チャイルド、木坂涼訳、フレーベル館、2004年、税込1365円
「チャーリーとローラのおはなし」第三弾。
今回は入学を前に、学校へいかないとごねだすローラ。いつもながら、お兄ちゃんのチャーリーのもっていきかたがうまいし、ローラのへりくつもあいきょうがある。とくに、ワニのコスプレがいい。学校へいったことのないローラにとっては、たしかにハレのイベントだけれど、毎日学校に通っているチャーリーにしてみたら、ごくあたりまえの日常。そんなギャップをユーモラスにつかみ、子どもの心理を的確にとらえていて、好感がもてる。
高部晴市、フレーベル館、1999年、税込1365円
『きんぎょのおつかい』(与謝野晶子原作)の続編?
あいかわらずレトロなタッチの絵がいい味をだしている。金魚が海水浴に行きたがるというとんでもない設定も、ごくあたりまえにやられてしまうと、違和感を感じるひまさえない。ハンディにもちはこべる金魚(今回は水槽なしでオッケー!)は、ちょっとうらやましい。
真っ赤な金魚が日焼けしたら、どうなるか? さらにそのあとは? とんでもないナンセンスな結末にもわらえた。登場人物がほんとう? というくらいなの
だから、読者はさらにわけがわからない。でも、そこがいいのだ。石黒謙吾作、木内達朗絵、学研、2003年、税別1333円
じつは、盲導犬(というシステム)はあまり好きではない。だって、人助けのためとはいえ、人間のエゴのために、イヌの自我や欲求をぜんぶとりあげて、完全に隷属下におくのだから。と思っていたし、いまでも、その気持ちは完全には払拭できない。
けれど、自分がコントロールできないところで、運命をにぎられているケースは、ほかにもたくさんある。だいたい、生まれてきたときの環境は、自分では選べない。大切なのは、一定の条件のもとで、いかに最善をつくすことなのかな、とこの本を読んでちょっと気持ちがかわった。
盲導犬が必要なシステムだという前提のもとで、イヌに多大なものを求めるかわりに、そのイヌを尊敬し、ありったけの愛情をそそぐ。イヌがその命をまっとうするとき、よかったな、と思えたら、そのイヌのワン生は幸せだったのではないかと。
感情を抑えることを学んでいる盲導犬は、いつもなんとなく悲しそうな瞳をしている。この本のなかでも、ジョンの瞳は、子犬のころから、どこかさびしげだ。でも、そのジョンが、いちばんやさしい瞳をしているのが、さいごの場面。まるで、「たのしかったよ、ありがとう」とでもいいたげな、やわらかい瞳が印象的だ。
ちなみに、盲導犬というとゴールデンレトリバーだと思いこんでいたら、ラブラドールのほうが多いのだとか。
野中 柊、理論社、2004年、税込1260円
野中さんのポップな語り口は、こういうウキウキするような楽しい童話にはぴったり。
ちょっとプーがはいったかんじのおとぼけパンダのポンポン、おしゃまでかわいらしいチビコちゃんをはじめ、それぞれが我が強くてインパクトのあるキャラがまんさい。とくに、第一話「サンドイッチ・パレード」の、わけのわからぬかんちがいぶりとか、ひょうひょうとしたストーリーがユーモラス。第二話は、オムライスがとってもおいしそう。第三話「紅白ふわふわケーキ」は、びっくりパーティーにまつわるお話で、アメリカに住んでいた人ならではの感覚で楽しくもりあげる。
長崎さんの絵も、野中さんの語りにぴったりでかわいい。とくに、悩めるポンポンの後ろ姿。
山中 恒、理論社、2004年、税込1365円
山中さんの「よみもの文庫」全20巻の最終巻で、新作書き下ろし。
まず、オバケの世界の定義とルールが楽しい。バイキンオバケなんていう、人間界に悪をはびこらせている亜種のオバケとか(オバケの世界でもきらわれもの)、オリジナルなキャラもおもしろい。
山中さんらしい、個性的なキャラも、大きな魅力である。たよりないけれど女の子の心をくすぐるようなオバケン(ちょっと癒し系がはいっている)と、勝ち気な美少女のユキと、幽霊のくせに元気いっぱいで暴走しがちなピョン。死霊というよりは、妖怪にちかい幽霊は、ともだちになりたいような親しみやすさがあって、日本の妖怪文化の流れをしっかりと受け継いでいるようだ。(先祖代々の霊が家をしっかり守っているというエピソードもよかった。)
今の問題をしっかりと取り入れた山中さんならではの「よみもの」は、ぼおっとしているオバケンは予想以上にたくましくなってくれるし、嫌みなハンサムボーイのガタケンとも、最後は仲良くなれるまっとうな展開で、素直によろこべる。