2000年9月21日に、『ポケモンでパネポン』が発売された。これは、以前から出ていた『パネルでポン』というゲームのポケモンバージョンである。ゲームボーイカラー専用になって、グラフィックがぐんと美しくなったことをまず挙げておこう。
これまで、ポケモンの元祖であるゲームボーイの『ポケットモンスター』に加え、数多くの関連ソフトが発売されてきた。ポケモンバトルが中心の『ポケモンスタジアム』、ポケモンカードをゲーム化した『ポケモンカードGB』、ピカチュウと遊ぶ『ピカチュウげんきでちゅう』、ポケモンの写真をとってプリクラシールにできる『ポケモン・スナップ』など。どの作品も、ポケモン世界とゲームそのものの魅力がバランスよく融合していた。しかし、『ポケモンでパネポン』の場合、このバランスがくずれている。
『パネルでポン』というゲーム自体を、否定するつもりはまったくない。ゲームそのものは、初心者から上級者まで、プレーヤーのレベルに合わせて楽しめるすぐれた作品だと思う。「パネポン」が好きなポケモンファンには、とても楽しい作品かもしれない。だが、そこに「ポケモン」が加わり、パネポンを知らないポケモンファンを引き込む付加価値は残念ながら見いだせない。これはポケモン世界の魅力の要素が失われていることに起因している。
まず、ゲットできるポケモンの数が少なすぎること。ウツギ博士からもらえる3匹(チコリータ、ヒノアラシ、ワニノコ)に始まり、途中でトレーナー戦で勝つともらえるポケモンが5匹、たまごから孵るのが4匹、合計12匹だけである。金銀以前のポケモンはピカチュウのみ。しかも、たまごから孵る条件は、(攻略本などを見ないで)単にプレイしているだけでは全くわからず、気がついたら生まれているので、ゲットした感慨などまったくない。それに加えて、登場するのは、ジムリーダー、四天王たちが持っている13匹と、「おじゃまモード」などでちらっと出てくるプリンのみである。あまりに少ない。ポケモンは現在251匹いる。そのうちお目見えできるのはたったの26匹では、寂しいかぎりである。
さて、ジムリーダー戦で、一定条件をクリアして勝利すると、トレーナーが出てきてバトルが始まり、破るとポケモンをもらえるのだが、これも不親切きわまりない。まず、トレーナー出現の条件が厳しい。さらに、このトレーナーたちは、ジムリーダーよりもはるかに強かったりする。プレイ直後から、ポケモンゲットがこんなに厳しいのは、ゲームの魅力を損なう要因となっている。
さらに、進化もない。プレイするごとに自分のポケモンのレベルは上がっているのだが、だからといって、自分の腕に関係するわけでもないし、そのレベルアップは実感できないものである。つまり、ポケモンを育てる楽しさもないのだ。
ポケモン関連ゲームが、ポケモン世界の要素(収集、育成、バトル)の全てを備えていなければならないというつもりはない。しかし、わざわざトレーナー戦でポケモンをゲットできるシステムがあるのだから、なんでこんなに少ないの?と疑問を抱いてしまうのは不思議でないだろう。対コンピュータ戦でRPG形式をとり、ジョウト地方をまわるのだから、もっともっとトレーナーが出現したっていいはずだ。これは、ゲットできるポケモンのなかに、自分のお気に入りがいるからいい、という問題じゃない。ポケモンはゲットする行為そのものが魅力なのである。
似たタイプのゲームで、『ポケモンピンボール』という作品は、「ポケモン」と「ピンボール」の両要素がじつに上手く重なりあったゲームであった。初心者にも入りやすい難易度構成で、ゲットする喜びと、もっと上手くなりたいという気持ちがともに味わえた。しかし、『ポケモンでパネポン』は、最初からハードルの設定が高く、うんざりしたのもしばしばだ。ポケモンがパネポンになる必然性はどこにあったのだろうか?ポケモンサイドから見て、普段はパネポンを進んでプレイしないポケモンファンにとっても優しいゲームでなかったことは、非常に残念である。